TARO.n
東新宿駅
台湾料理
【客家料理から棒餃子まで…台湾人の本格料理】 ※コメント返しは原則お休みしてますので、記入ご遠慮ください TOP USERの義務感投稿かつRetty初投稿。 2024年12月に東新宿にオープンした『華士林』。 喧騒けたたましい明治通り沿い。 階段を昇ると煌びやかなランタンに繫体字のメニュー。 まるで台湾の下町にワープしたと錯覚したよう。 店名は台北最大の夜市「士林夜市」からだろうか? 夜市を連想させるような賑やかしい台湾の雑踏が連想されます。 店の方も全員、中国語圏の方で かなり本場式の台湾料理をいただけたのでご紹介。 ■棒餃子 …¥660 これは台湾でよく見かけるタイプの棒餃子ですね~ (参考画像19、20枚目:台湾の大手餃子チェーン「八方雲集」。いずれも2019年、台北にて著者撮影) 個数こそ4個と少ないものの、ひとつひとつは重量感がありボリューミー。 箸をもつ指先に重さが伝わってきます! 皮はやや薄手。パリッと焼き目のついたメイラード反応した香りの良さがあります。 餡は粗挽きでゴロゴロと力強い食感。刻んだニンニクのガツンとしたスパイシーさはありますが、 八角など中華圏のテイストは抑えられており比較的日本人の味覚にもなじみやすい味付けでした。 ■揚げ天ぷら(炸甜不辣) 台湾でポピュラーな食材「甜不辣(ティエンプーラー)」。 実はコレ、日本が関係している食材ですね。 おもに中四国や九州など西日本の一部地域では、 いわゆる「さつま揚げ」を「天ぷら」と呼ぶ。 この西日本の練り物の呼び方=「天ぷら」が、日本統治時代の台湾に伝わったものが「甜不辣」となります。台湾の夜市などに行くと屋台で割とよく売られています。 「華士林」の甜不辣は表面が素揚げされておりサクサク、内側は日本のさつま揚げよりもだいぶモッチリした食感。タピオカもそうですが、台湾は弾力感の強い(QQ)な食べ物が好まれる食文化のため、 同じ天ぷらとはいえ台湾人の嗜好が大いに反映された食感なのかなと予想。 表面には五香粉&ターメリックがまぶしてある。 中華圏とカレーの合いの子のような独特な味付けでした。 ■生姜モツの炒め(薑絲炒大腸) こちらは台湾客家(ハッカ)料理。 客家とは漢民族の一派で華北から華南に移住してきた人々の末裔。 最新の大陸の客家研究では、 西晋末に北方の異民族が華北地方に侵入した事に始まる永嘉の乱(307年-312年)に始まり、 数世紀にまたがって大まかに6次に分類される、客家の華北⇒華南への大移動(中には華南⇒華南への移動も含まれる)があったとされています。 沿岸部に近い福建や広東の客家の一部が台湾海峡を渡り台湾に移住。 特に台湾北部の新竹市周辺では実に人口の84%が客家に縁のある人々であり、 台湾社会の中でも一定数のコミュニティが形成されてます。 ~全県の客家民族の人口は県全体の84%を占め、典型的な客家文化の県として有名で「好客竹県」(客家新竹)と呼ばれています。(「台湾観光情報サイト」より引用)~ 著名人だと前の台湾総統の蔡英文さんも父方が客家系だったりします。 客家は独自の言語や文化風習があり、 料理に関しても大陸の江西客家料理や台湾客家料理など地域によって幾つかの類系があります。 (参考画像22枚目:台北の客家料理店「晋江茶堂」、2019年著者撮影) この「薑絲炒大腸」は客家料理の超定番料理。 ムセそうな強めの酢の酸味感と刻んだ生姜の辛味成分や薬味感が同居。 クセのある味ゆえ好みは分かれやすい料理となりますが、私はこれが好きで紹興酒のアテにも丁度よいので熱炒(ルーチャオ:台湾現地の居酒屋)に行くと大抵注文します(笑) くるんとカールしたモツのプルプルした弾力感もたまらなく美味しい一品です。 ■大吟醸一合 …¥530 なぜか日本酒あり(銘柄不明)。 しかも一合で530円と激安でした(笑) ~あとがき~ 日本国内では、 一言で表現されがちな「台湾料理」。 だが料理ひとつひとつを丁寧に因数分解すると ・台湾原住民の食材ルーツのもの (例:愛玉子、馬告など) ・福建の漢民族持ち込んだ福建料理がルーツのもの(例:魚丸湯など) ・台湾客家料理 ・日本統治時代に日本から伝わり台湾料理化したもの(例:甜不辣、関東煮(おでん)など) ・国共内戦後に大陸各地から移住した漢民族(外省人)が持ち込んだ料理(例:臭豆腐、小籠包、三杯鶏など) 実に多様だと分かる。 ある意味、台湾料理は複雑な台湾社会の縮図だ。 台湾料理研究は日本人なら阪大の前川正名氏、台湾人なら陳玉箴氏が詳しく興味あれば論文を読むのがお勧め。 単純な「台湾料理うまい」だけでなく、 台湾の多様さへの理解も大事ですね