Mihoko Kumagai
吉祥寺駅
寿司
古い友人との久しぶりの再会、最近転職したとのことでお祝いもかねて食事にいきましょう、ということで、2年前オープンしたこちらに伺いました。ビルの2階なのですが、路地に面していて若干お店を見つけるのが難しいσ(^_^;) そして2階に行くには1階のエントランスからビルの中にずずっと奥に進んだところにある階段を使うので、中に入っても「あれ?階段どこ?」となってしまいます。でもご安心ください、その階段を登れば、白木の扉の上品な佇まいの玄関があり、扉に手をかけたところですぐにお店の方が出迎えにお見えになりました。到着した時からの好対応に期待が高まります。 予約したのは 上会席コース 13200円、サイトに載っている内容は以下となります。 ・前菜5種 ・蒸し物 ・壱の寿司 ・天婦羅 ・酢の物 ・弐の寿司 ・海老ドック ・巻き物 ・お味噌汁 ・甘味 まずは泡で乾杯‼︎すぐに前菜が供されます。菜花と焼き蛤と近江蒟蒻の酢味噌和え、赤富士サーモンの砧巻き、鶏の八幡巻き、筍の旨煮、蚕豆チーズ、京人参カステラ、カラスミ大根という豪華な盛り合わせ、かなりのボリュームがあります。奈良漬風の自家製カラスミと大根のサンド、サーモンの砧巻きが秀逸でした。茶碗蒸しは大きめのショウサイフグの唐揚げ、安納芋、芽キャベツが乗り、銀餡がかかったもので、具材の組み合わせがかなり意表をつかれるものでした。 ここから前半のにぎりが出ます。トップバッターは那智勝浦の鮪の赤身、柔らかい口当たりでコクのある赤酢のシャリはマグロ赤身の旨みを引き出していました。続いて三重県産のハタ、モンゴウイカを白シャリでいただくのです。イカの飾り切りが美しい‼︎ 続いて天ぷらになるので、アンデス岩塩、抹茶塩、カラスミ塩、天つゆが並びます。あの自家製のカラスミの塩は楽しみ‼︎天ぷらは長野県産アスパラ、八丈島のキンメ、根室のホタテ、鹿児島の紫芋です。衣は薄く軽い仕上がり、あまりヒラヒラした華やかさの少ない衣ですが、このコースは品数が多いので敢えて抑えめの衣にしたとのこと、実は細かい配慮がなされていたのには感心しました。もちろん天ぷらそのものは素晴らしい仕上がり、紫芋は上品な甘さと優しい歯触り、キンメはふっくらと仕上がり、アスパラの味は濃く、ホタテは旨み炸裂でした。塩は岩塩が私好み、野菜はすっきりとした天つゆがとても合うと思います。 酢の物はなんと能登の岩モズクの上に根室塩水ウニを乗せたもの、ウニの酢の物は人生初かも⁈ 細モズクとも言われるモズクは繊細でシャキシャキ、塩水ウニなのでくどくなく、すだちのお酢なので爽やかさもあります。これはびっくりな一品でした。 次はこちらの本店の看板料理となっている海老ドックです。パリパリに仕上げた大海老天が手巻き風に供されるのです。有明海苔の磯の香りがエビの旨味を引き立て、尻尾まで食べられる海老天は衣も華やかな豪華な巻き物でした。 ここから第二部のにぎりとなり、那智勝浦のメカジキ、大船渡のイワシです。メカジキは玉ねぎ醤油が乗っていて玉ねぎの刺激で脂の乗ったメカジキが甘く感じます。イワシは抜群に脂が乗ったもので、炙ってさらに脂が甘くなるのにはびっくり、今年一番のイワシでした。 食事はなんと干瓢巻きの天ぷら⁈薄ごろもですがしっかり揚げてあり、温かい酢飯がマイルドな酢飯に変化、炊いた甘辛い干瓢もじんわり温かく、甘味と酸味のバランスが絶妙な仕上がりでした。お椀はまさかの澄まし仕立て、蓋を開けると胡麻豆腐と梅花にんじんと大根がきれいに並び、和食出身の大将ならではの美しいお椀でした。 デザートはパンナコッタに柘榴のジュレというおしゃれな色彩、トッピングの真紅の柘榴のプチプチ感が食感とビジュアルのアクセントが印象に残るものとなりました。最後は温かいお茶でしばし友と歓談、よい再会になりました。 大将の和食出身ならではの技とこだわり、生粋の和食ながら意表をつかれる調理と素材、食材に関する熱い想い、それらが凝縮された料理の一品一品に、私たちも驚き感心することに大変印象に残りました。大切な方とのひとときを粋な料理と鮨が伴走してくれて、目も心も舌も満たされる、そんな素敵なお店に出会えました。