2016年7月にオープンしたナベノイズム。場所は隅田川沿い。江戸通りと隅田川の間にある細い通りにあるのだが、今この通りがかなり熱い。ロケーションがすごく良いためか、近年注目のお店が次々オープンしている(気がする)。ナベノイズムは都営浅草線の浅草駅のA2出口を出たら3分ぐらいかな。近い。もともとこの道をよく使っていたので、ナベノイズムはいつか来たいと思っていたお店。5年という月日がたってしまったが、ようやく予約をとって訪店。 1階で予約名を伝えて3階へ。1階は厨房になっており、さらりとシェフ(渡辺さん)を紹介されるのが面白い。2階はテラス席があるのが特徴、3階は隅田川沿いのカウンター席がある。今回はこのカウンター席だったが、控えめに言って最高だ。東京スカイツリーが目の前にあり、隅田川の流れを楽しむことができる。もちろん2階のテラス席でも同じだと思うが、室内空間の方が安心して食事がいただけるという点はポイント高い。 そんな席の紹介はさておき、この日は休日のランチ。基本のコースは12,100 円(税込)だが、ディナーと同じコース(24,200円)もお願いすれば提供可能。緊急事態宣言ということもあり、ノンアルコールのドリンクも豊富に用意されている。ワイン用のぶどうを使ったノンアルコールのぶどうドリンクなど、おすすめたくさんあるので是非試してみてほしい。 最初のアミューズ。このインパクトかなりすごい。中央にあるのがメロンのガスパチョ。ほんのりとスパイスをきかせているが、メロンの甘みが前面に出ている。飲みやすい。右下から雷おこしを使った一品と、モナカを使った一品。どちらも絶品だが、特に良かったのはモナカ。上に乗っかるのはトロ。このアミューズ、あと2〜3個食べたい。スパイスの使い方、味の引き出し。完璧と言っていい。ほおずきを使ったピンチョスもレベルが高い。アミューズで唸ってしまうと、先が楽しみで仕方ない。 2皿目はナベノイズムのスペシャリテ。そばがきに、昆布で出汁をっったジュレ、そしてその上に乗るのがウニ。さじに軽くウォッカクリームを乗せているが、全体を混ぜて食べるのが正解。ベースのそばがきとジュレがあっさりだけどしっかりしていて、トップに乗るものの良さをガッツリ引き出しているのが興味深い。すごく不思議だけど、結論美味いからいいじゃないか。 3皿目は魚。この日はスズキだ。この皿がまた最高。スズキは生で出されるものと、バーナーで炙ったものの2種類。スズキってそこまでコクのある魚じゃないという印象があったけど、ニューサマーオレンジを始め酸味の使い方がうまく、端的に美味い。絶品だったのがタップナードのムース。オリーブのうま味を凝縮しながら、爽やかに食べられるように仕上げている。自分の説明力の限界。とにかく美味いから食べてみて。ちなみに左下にはオリーブオイルのパウダー。 4品目も魚。さかなと言ってもアオリイカだ。ただ、でてきた瞬間は「これがイカ?」と思ってしまう。包丁の入れ方と調理法。ちょっとした白身魚にも見えてしまう。あっさりとした味わいを残しつつ、食感は間違いなくイカ。そしてソースがパーフェクト。和の感じを残しつつ、間違いなくフレンチ。このソースは絶妙だった。パンで拭(ぬぐ)って食べたいけど、酢飯につけても美味しそう。伝えたいけど伝わらない。とにかく食べてほしい。 メインは豚。妻有ポークのロース。表面にはスパイスがたっぷり。このスパイスにナスが入っているのが面白い。あと、ソースがちょっとカレー風味なんだよね。付け合せのナスと玉ねぎも完璧すぎて、なんか言葉がない。 さぁ、デセール。1皿目はヤギのチーズのアイスクリーム。これをチェリーに合わせる。なかなか攻めの姿勢を感じる一品。個人的にはヤギのチーズも好きなので、全く問題ないが、個性が強いので合わない人もいるかも知れない。 2品目のデセールは紅玉。ムースとソルベ。パリパリのキャラメリゼ、しっとりとしたムースによる食感のコントラストがきれいだ。カルヴァドスの香りも強く残っていて、程よいインパクトがある。この一皿もレベルが高い。 最後はコーヒーを飲みながら小菓子を。クッキーとカヌレとマカロン。どの小菓子も少し和風な感じがあって食べやすい。特にマカロンが良かったかな。 最初から最後まで、レベルの高いフレンチだった。ポーションはそんなに大きくないけど、ストーリー性があって一品一品のメッセージがある。ギュッと込めたメッセージをフィルターで少し隠しているもの、前面に出しているもの、お皿によって違うけど、全部シェフの自己表現なんだと思う。このランチコースが11,000円(税抜)はやばい。来て正解だった。次はディナーだな。 #浅草フレンチ #ナベノイズム #ランチにフレンチ