【ここまで差が出るのか⁉︎おでんの奥深さよ】 それぞれのおでん種がそれぞれの個性を殺さず、素材の味や香りがする。 ただそれだけの事なのに、そのことが他の地域との大きな差別化を果たしている。 唯一無二のおでん。 一般的なおでんと言えば、出汁が染み染みで、流動していない汁に浸かっているのが常。 当然、自家製の練り物や素材にこだわっているところ、出汁や醤油の違いなど星の数ほど存在する。 その所謂一般的なおでんの特徴は、染み染みの出汁と引き換えに、素材の味や香りはかき消され、複合的な調和によって楽しむ美味しさというのが常。 ところがだ。 ここ花くじらの種は、タコはタコの香りやプリプリの歯応えがあり、つくねの胡麻粒の香りとか、帆立はしっかり帆立だったりと、一々驚かされた。 それほどまでに大きな違いが出せる理由は、ぐらぐらと沸かした鍋と、濃度の高い汁にあり。 豚骨ラーメンなどでもそうなのだが、濃度の高い汁で素材を煮ると浸透圧が掛かり、ギュッと素材の個性が中に残るのである。 しかも、種を鍋に入れっぱなしにせず、タイミングを見計らって投入し、良きところで引き上げているではないか。 そして鍋の大きさも、大きすぎないから出汁に頼らないで済む。 ただでさえおでん好きなのに、迷わず全部の種を注文してしまったではないか。 染み染みであるべき大根などは、ほろりと柔らかく、減り張りのあるおでんを巧みに操るその職人技にも感無量。 まったく、恐れ入った!
【東京の名店が新潟に惚れ込んで移転再開した最優良店】 髪の毛ほどに細く切った長芋そうめんは、柳刃包丁のみで仕上げてある。 これはもはや食べる芸術作品と言っても過言ではないだろう。 その昔、1人50000円の割烹料理店を営み、予約も取れないような状態だった名店の親方。 この長芋だけを見たって、その凄さを存分に感じられるのだが、ここで提供される料理ひとつひとつ全てに丁寧な仕事がされているのだから、満足いかないわけがない。 美味い肴に美味い酒。 自家製のカラスミも、これまた絶品の絶品で、感動レベルだったし、日本酒が進みすぎて、すっかりほろ酔い。 駅から少し遠いけれど、新潟に来た時は是非一度訪れてもらいたい。
【等身大の美味しいお店】 背伸びをせず、気を張ることもなく、いつも通りの心持ちで食事を楽しめる。 コツコツと、コツコツと、料理に正面から向き合って、コツコツとコツコツと静かなる努力を続けている名店。 ひとつひとつ丁寧な仕事を素材に施し、美味しさを追求する。 普段は料理に集中していて寡黙な店主も、ふとした時に見せる屈託のない笑顔が、その人となりを表しているのだろう。 ラーメンが大好きで、直向きで、頑固。 この古い都で歴史の重圧に耐えられ、存続していられる理由は間違いなく「必要とされている」からだろう。 京都を知り、学び、関わりが少しずつ増していけばいくほど、その凄さが心底わかる。 僕が大好きなお店であり、信頼のおける大好きな店主がいるラーメン屋さん。