Katsuhira  Takano

Katsuhira Takanoさんの My best 2018

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1

神奈川県

ラーメン

Katsuhira  Takano

【ふらり夏の伊豆の旅】 自宅を4時過ぎに出て、お店に到着したのが整理券配布1時間前の6時ごろ。軒先のベンチには4、5人ほど。“意外に並んでないな〜”と、お店の脇に回るとあちゃー、さらに長い行列が!そのまま10数人の並びに接続しゲットした整理券は24番。10:50に再集合です。 ずっと行きたかった人気店。湯河原駅から歩いて20分弱の住宅街に佇む殺風景な一軒家に、各地から多くの人が訪れます。この日は最終的に103枚の整理券を配布。これでも少ないようですが、なかなかのハードルの高さです。めったに来れないお店なので、注文は『塩らぁ麺』と『つけ麺』のコンボ! まずは塩らぁ麺から。きちんとお盆にお箸とレンゲをセッティング。透き通った綺麗なスープに浮かぶ麺と具材が、藍色が印象的な有田焼の丼のステージできらびやかに輝きます。まずはスープをひと口。おおー!鶏油のまろやかなコクと鶏の旨味が口の中に押し寄せてきます。油断するとレンゲが止まらなくなりそう。やばいよこれ! 一旦落ち着いてから麺をひと啜り。滑らかな口当たりの極細ストレート。ふくよかなスープを纏って口から喉をめがけ心地よく流れていきます。アクセントに加わるのが白髪ねぎ。麺と同じくらいの細さに切られ、麺の滑らかさの中にザクっとした小気味いい食感を加えます。チャーシューは鶏と豚。しっとりした鶏、旨味の濃い豚と、味わいの違いを楽しめます。当然ながらスープも完食。 改めてお盆を交換されて供されたつけ麺。昆布水に浸かったたっぷりの麺につゆ。これです!ずっと食べたかったのは! 指南書通りにまずは塩で麺そのものの味を楽しみます。昆布水のねっとりした口当たりに小麦の風味。塩気が麺自体の甘みを引き立てます。山葵を添えればまるで麺の刺身。いやーこれはいいねぇ! 次につけ汁につけていただきます。こってりした鶏油の旨味と甘味。芳醇な醤油の味わいと相まって、鴨南蛮そばのイメージ。つゆにねっとりした昆布水を纏った細平打ち麺をくぐらせば、まるでとろろ蕎麦を手繰っているよう。なんというか、ラーメンという範疇を飛び越えて創作和風麺料理といった趣です。凄いねぇ。 最後は大勝軒よろしく昆布水でつけ汁を割って完食。都合2杯をいただきましたが、満腹感よりも美味しさの余韻が上回ります。気づけば次はいつ3時に起きようかと考える自分がいます。行けて良かった。 ごちそうさまでした! #ラーメン

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沖縄県

おでん

Katsuhira  Takano

【沖縄ふらり旅】 今回の旅一番のお目当て。ずっと行ってみたかった那覇栄町ディープゾーンの人気店です。なんたってまずはその営業時間。21:30“頃”開店というなんとも中途半端でアバウトな設定がシビれます。事前情報では平日でも開店前に並びができ、場合によっては1回転目に入れないことも。そうなると“いつから並ぶか”に頭を悩ませることになります。 ちょいと気張って20時過ぎに到着。さすがにまだ並びはできていません。すこし栄町市場辺りをふらふらして10分ほどして戻ってみると、ん!?誰か立ってるぞ!“すみません、並ばれてますかー?”と声をかけたら、伏し目がちにそそくさと無言でその場を離れられてしまいました。うーん、そんなに不審者チックだったか。 意を決してそのまま並ぶことに。その後5分ほどでカップルが一組接続、さらに21時頃には10人ほどの行列が。なんやかんやで21:30には20人以上が列を作っていました。 21:40分くらいかな?ガラガラっと威勢のいい音がしてシャッターが巻き上がります。ちょっとはにかんだかわいい笑顔の女将さんに促され店内へ。お客さんが全員席についた後、入店順に注文が聞かれていきます。 まずはメインの『焼きてびち小』。“焼き上がりまで1時間かかりますよ”との声がけが。もちろん予習済みのため了承し、『おでん盛合せ』と『ミミガー&マメの刺身』、『島らっきょう』をお願いします。 オリオン生でひと息ついたタイミングで島らっきょうが登場。塩漬けされたもので薬味の鰹節とともにいただきます。どこか玉ねぎを思わせる辛味がとっても刺激的。オリオンのいいお供になります。 続いてミミガー&マメ。マメは豚の腎臓ことです。驚いたのがマメの食感。まるで赤身肉のようにしっとりしたものです。脂もなくてあっさり食べやすく、添えられた赤唐辛子をちょっぴり潰してキリリとした辛味を加えればもう箸は止まりません。ほどよい酸味の酢醤油の味わいがまたいいんですよねぇ。ミミガーは脂のコクと軟骨のコリコリ感が絶妙です。 おでん盛合せは大根や玉子、ちくわに厚揚げなんかが入ったもの。真ん中にこんもり盛られた野菜が目を引きます。レタスに青梗菜、白菜に定番のからし菜というラインナップ。テビチの旨味が移った鰹出汁のつゆをたっぷり吸ったところをザクザクいただきます。 オリオン生を何杯か、そして泡盛『さんご礁』のロックを頼んだとろこでテビチの登場です。ホントに1時間かかった!一見、こんがり焼かれた鉄鍋餃子のようなルックスです。箸を入れてみると軟骨とコラーゲンが中から現れます。カリっと焼かれた外側はサックサクでとってもクリスピー。中身はプルプルむっちりなゼラチン質。旨味が詰まったところを一心不乱にしゃぶりつけば、至福のときが訪れます。これは想像以上の美味しさ!途中、皿に残ったミミガー&マメのタレをつけていただけば、濃厚な旨味に辛味、それに酸味が加わり味わいにまた一段と深みが増します。これはいいな〜。 焼きテビチは噂に違わぬ美味しさ。リピートする方が多いのも頷けます。開店したてはピリピリしていた店員さんも、落ち着いてくると気さくに話をしてくれます。お店の雰囲気はまさしく親戚の家。このアットホーム感も多くの人を虜にする理由なんでしょうね。 並ぶ場合は21時までに行くのがいいかな。沖縄が誇るディープ酒場。また来よう。 ごちそうさまでした! #酒場 #酒場放浪紀

3

静岡県

居酒屋

Katsuhira  Takano

【ふらり夏の伊豆の旅】 伊豆半島の最果て、漁師町下田の銘女将酒場。きっとまた帰って来たくなる暖かなお店に出会えました。 そこかしこで印象的ななまこ壁が目に入る街、下田。駅前から少し離れた住宅街、下田八幡神社の門前にひっそり佇むお店です。暖簾に描かれた猫達がなんとも可愛らしいですね。店内にもいたるところに猫をモチーフにした置物があります。女将さんはかなりの猫好きなんだねぇ。猫好きな人に悪い人はいません。これは楽しい夜を過ごせそうだ。 こちらのお店は決まったメニューはなく、女将さんのお任せでその日の料理が出てくるスタイル。まずはお通しの『ひじきの煮物』で静岡麦酒の樽生をいただきます。なんとも立派なひじきは風味が濃いもの。軽く炙られた油揚げがトッピングされ、香ばしさを加えています。 続いて『いんげんとセロリの酢の物』。いんげんの酢の物なんて珍しいですが、これがまた美味い!ちょっと甘めの仕上げでいんげんの独特な食感とシャクっとしたセロリの小気味よさがいい塩梅でバランスしています。 前菜的な2品の後に『野菜のポトフ』です。じゃがいもに玉ねぎ、えのきにカリフラワー、豚肉が入る具沢山なもの。野菜の旨味が溶け出した滋味溢れるあっさりスープ。黒胡椒がピリっといいアクセントになっています。 下田で水揚げされた地物の『お造り』。今日は鰹に鯵、タコの3種です。この時期の鰹は脂が軽やかで爽やかな旨味を楽しめます。旬の鯵は身が甘いですね。たまらず日本酒にスイッチ。静岡のお酒『臥龍梅』です。冷蔵庫から好きなお酒を出して自分で酒器に注ぐシステム。辛口の純米吟醸はお刺身にぴったりです。 焼き物は『タカベ』。なんでも下田でも夏場にしか出回らない珍しい魚だそう。足が早いので流通にはなかなか乗らないそうです。小ぶりな鯵のようなシェイプで、産卵期前の7月がまさに旬。こってりした脂がたっぷりのっています。これは美味しいねぇ。 ちょいとここらで小休止。『鰹の酒盗』と『じゃこ山椒』でつなぎます。“酒盗”とはよく言ったもので、ほんのちょっぴり舐めるだけでお酒がクイクイ進むんですよねぇ。次の日本酒は由比のお酒『正雪』をチョイス。山椒がピリリと効き、ヒリヒリした刺激が続くほんのり甘辛なじゃこがまたいいアテになります。 『黒むつの煮付け』。鉄板の金目鯛じゃないところがニクいですね。こってりした甘辛なタレで煮込まれた身はしっとりほっこりして、金目鯛に負けないくらいの味わい。むつの出汁が出たタレだけでお酒が空いちゃいそうです。 次のお酒は『黎明』を。なんでも下田自酒倶楽部の会員だけで飲まれている、とってもレアなお酒だそうです。どっしりした飲み口は、こってりしたむつを迎え撃つのに相応しいもの。 試しに作ってみた品とのことで『イワシのピザトースト』が登場です。ぶつ切りのイワシを豪快にトッピング。チーズで一体感を出すなんてことはせず、イワシ、トマト、玉ねぎ、パンの主張をあえて調和させず、口の中で暴れさせるもの。こんなチャレンジングな一品が味わえるとは!こういうの好きですよ! 〆は『蕪の漬け物』に『明日葉入り餃子』。こういうなんてことないひと皿が仕上げにいいんですよねぇ。 いわゆる家庭料理ですが、地元の新鮮な食材を使った、ちょいと手間をかけた女将さんのセンスが光る絶妙な味わいの品々が楽しめます。気づけば、おおらかで気さくな女将さんを慕うご常連でカウンターは一杯に。帰りしなにトマトと酒盗をお土産に持たせてくれる心遣いも沁みますねぇ。 珍しい魚とお酒が楽しめる、まるで実家にいるような暖かさを感じられる良店。また来たいね。 ごちそうさまでした! #酒場 #旅グルメ

4

福井県

居酒屋

Katsuhira  Takano

日もとっぷり暮れた福井の街。まだまだ飲み足りず、駅前から片町へと河岸を変えます。メニューに描かれた酔いどれ河童のイラストがとっても味があるお店。まずはビールをもらってお通しの『めかぶ』からスタートです。 めかぶは鰹出汁が効いたつゆにちょいと付けていただくスタイル。つゆに酸味はなく、まるでそうめんのつゆのよう。あっさりした優しい味わいで、呑兵衛の荒れた胃を癒してくれますね。 続いて一度食べてみたかったお目当ての『いかの沖漬け』。これもとってもユニークなもの。出汁に浸かったいかの切り身を肝に和えていただきます。むっちりしたいかの食感がたまりません!出汁の風味と芳醇な肝の味わい。合わせるお酒は福井の地酒『梵』の純米大吟醸、艶。しばし至福のときを楽しみます。 本日のおすすめから『ガサえび』を。刺身と天ぷらにしてもらいます。“越前えび”やお隣の石川県では“ガスえび”とも言いますね。ねっとりした身は甘みが濃いもの。天ぷらにするとプリっとした食感も加わりまた味わいが変わります。 次のお酒も福井の『黒龍』。純米吟醸です。アテは厚揚げを。ふっくらした身を越前そばよろしくたっぷりの大根おろしでいただきます。パリっとした皮、ほわっとした身にたっぷりの出汁が染みます。 もう一品いきたいな、というわけで仲間が鋭い嗅覚で見つけた『クラゲの刺身』を。これが大当たり!プチっと弾けた後にジューシーな旨味が溢れ、その食感はクラゲというよりまるで海ぶどうのよう。楽しくて箸が止まらなくなります。これはいいねぇ。そして最後は『ぶりのカマ焼き』。小ぶりながらもしっかり脂がのった王道の力強い味わい。 三軒目だったのでそろそろお開きの時間。するとサービスということでデザートが。ほんのり甘いクリームがかかったコーヒーゼリー。これはいい〆ですね。ありがとうございます。 いただいたものは、どれも看板に掲げる“鮮なるものをより旨く”というコピーに違わぬ逸品揃い。遅い時間に無理して入れていただきましたが、穏やかで優しげな女将さんの心配りに心から感謝です。 まさに“いい酒いい人いい肴”が揃う福井の名酒場。 ごちそうさまでした! #酒場

5

神奈川県

居酒屋

Katsuhira  Takano

キリ番1,400投稿目は港街の古典酒場です。 ずっと行ってみたかったお店。第4土曜以外の土日祝休みとあってなかなか伺う機会がなく、振替の平日休みに念願叶っての訪問です。路地裏にひっそり佇む一軒家。まるでそこだけ時が止まったような鄙びた店構えです。16時の口開けと同時に入店。カウンターの一角を陣取ります。 数多の飲兵衛たちが思い思いの時を過ごしたであろう、年季の入ったカウンター。すすけた壁と天井、年代物の業務用冷蔵庫に特注の銅製酒燗器、素っ気ない裸電球と、とっくに不惑を超えたおっさんが年甲斐もなくときめいてしまいます。 お通しの古漬けのお供にまずは『生ビール』。それと名物『湯豆腐』を。大鍋から供される湯豆腐。せっかくだからと一丁をお願いしたら「大きいけど大丈夫ですか?」と制止が入ります。確かにサイズは大ぶり。大人しく半丁にしてもらいます。 半分に切られた豆腐にたっぷり練り辛子が塗られ、バサっと刻みねぎと鰹節、醤油がかけられて完成です。かの太田和彦氏が提唱する“日本三大居酒屋湯豆腐”が盛岡のとらや、伊勢の一月家、そしてこちら、横須賀の銀次ですが、残念ながら盛岡のとらやが閉店となったため、現在は“二大居酒屋湯豆腐”に。一月家には先日伺ったので図らずもこれで名居酒屋湯豆腐制覇となりました。 力強い食感の木綿豆腐。たっぷり塗られた練り辛子は、辛さはほどほどでほわっと鼻に抜けるフレーバーが絶妙です。香りの良いフレッシュなねぎがたまりません。鰹節がまた変わっていて、ふりかけ状のフレークのようなもの。旨味が詰まった感じがとっても美味しいです。 一月家の湯豆腐は滑らかさもあり女性的な感じでしたが、銀次のどっしりした湯豆腐はとっても男性的。この力強い味わいは横須賀ではポピュラーなホッピーにも合いそうです。 湯豆腐で生ビールを2杯片付け燗酒にスイッチ。伏見のお酒、招徳です。屋号を銘した白磁の徳利。スっと細長いシェイプはどこか上品さを感じます。お供は『地だこ刺身』。味の濃い身がふくよかな招徳の味わいを受け止めます。 続いて『しこ刺身』を。たっぷりのカタクチイワシを皿に盛り、ねぎと生姜をバっとやり醤油を回しかけて仕上げます。銀色に美しく輝くピンピンなイワシ。量もたっぷりで、これだけで熱燗2本が空いてしまいました。 口開けはそのお店の真髄を垣間見れる時間。手慣れた様子で注文を通すご常連達は、お店の方と会話をするでもなく黙々とお酒と肴を片付けていきます。店内に流れるのは“コッコッコ”という湯豆腐に使う鰹節を削る音にTVの音。ご常連のみなさんはこのお店の品の良い静寂さを大事にしているのかな。 気づけばそろそろ2時間。グループのお客さんも増え、お店もずいぶん賑やかに。それと正比例するように、口開けで入ったご常連が次々に席を立ちます。お店がよそ行きの顔に変わる時間。長居は無粋ですね。そろそろおいとましましょう。 大女将にそろばんで勘定いただきお会計。近くを訪れたら夜空を舞う蛾よろしくまた裸電球に吸い寄せられてしまいそうです。 ずっと残っていてほしい市井の銘酒場。 ごちそうさまでした! #酒場

6

三重県

居酒屋

Katsuhira  Takano

【ふらりお伊勢まいりの旅】 内宮へのお参りの後、伊勢に来たら絶対行きたかった酒場へ開店時間目指しての訪問です。ちょい早めに着くと暖簾はまだ仕舞われたまま。外からうかがうと中から楽しげな声が聞こえたため、入り口の引き戸を開けるとすでにカウンター席はお客さんで一杯。途中合流した仲間と一緒にかろうじて空いていたカウンター席に滑り込みます。 かの太田和彦氏による“日本三大居酒屋湯豆腐”のひとつに数えられる、ここ伊勢は一月家の『湯どうふ』。大生と共に早々に注文です。 主役の豆腐は燗酒でいうと人肌燗あたりの心地よい温かさ。口あたりは絹と木綿の中間くらいの絶妙なもの。コシと滑らかさ、両方が楽しめる逸品です。そこにキリっとした味わいのほんのり酸味が効いた出汁醤油がかかります。さらに旨味が詰まった立派な鰹節が。これは文句なしの美味しさ。豆腐好きの飲兵衛はすべからく虜になることでしょう。 続いて頼んだのはお店の名物『かしわきも煮』。鶏のレバーとハツを醤油で煮冷ましたもの。鶏モツの旨味を十二分に楽しめます。これもお酒のお供にぴったり。 ここはやっぱり地元の名物を、と頼んだ『鮫たれ』。鮫肉の天日干しを軽く炙ったもの。旨味がのったしっとりした身はふぐの一夜干しに似た味わい。これは燗酒だ! 屋号を銘した徳利で供される燗酒。もう一本いきたいねぇ。というわけで『かまあげ』を。こうなごを茹で上げたもので、まるで大きな釜揚げしらす。これをさっぱりおろし醤油でいただきます。味わいもしらすに似ていますが、大ぶりなところが飲兵衛としてはうれしいところ。 開店早々に席が埋まる人気店。観光客はもちろん、地元のご常連も楽しむ普段使いの酒場です。家族経営で温かく活気のある雰囲気の中で心地よく酔えます。近くにあったら確実に通っている銘酒場。 ごちそうさまでした! #酒場 #旅グルメ

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東京都

割烹・小料理屋

Katsuhira  Takano

絶品の野菜と店主さんのセンスが光る珠玉の料理の数々!下北沢の隠れ家感ある箸でいただくフレンチ割烹で大満足のコースを堪能です。 第19回京王線グルメの会定例会でのディナー訪問です。渋谷の次にダンジョン感溢れる下北沢駅から徒歩5分ほど。中心に屋号のロゴを据えた白い看板が目印です。階段で2Fに上がると現れるしっとりした雰囲気のこじんまりとした空間。厨房を囲むカウンターにテーブル席が10席という設えです。壁にはワインボトルのほか、珍しい銘柄の日本酒の四合瓶がずらっと並びます。おもしろいお店だ。 飲み放題付きの季節のお任せコースは一品一品が印象に残るもの。 『焼きとうもろこしと牡蠣のポタージュスープ』 ざらっとした舌触りが残るとうもろこしのポタージュ。ほのかに香ばしさを感じます。そこに季節の牡蠣。ツルンっとした滑らかさが素材感が残るポタージュと食感のコントラストを描きます。牡蠣の濃厚な旨味がいいねぇ。 『琉球干し豆腐と蒸し鶏の中華風』 まさか中華がくるとは!コリっとした歯応えが残るたっぷりの干し豆腐。ごま油の香ばしい風味がたまりません。蒸し鶏はただただ柔らかくふわっとソフトな食感。シンプルながらも手が込んだ一品です。 『季節野菜、ケール、生かつお節の玉手箱』 漆器の箱にたっぷり入った野菜たち。ケールを敷き詰めた上に大根や人参、赤蕪など色鮮やかな野菜が盛り付けられています。野菜に降りかかる生節。野菜の力強い味わいに生節のフレッシュな風味がたまらない組み合わせです。 『鶏レバームースと安納芋の最中』 片方に鶏レバーのムース、もう片方に安納芋を詰めた皮を重ね合わせた最中。こってりした旨味のレバームースにフレッシュでライトな甘味の安納芋。旨味と甘味が寄り添い合う甘美な美味しさに胃袋を鷲掴みにされます。レバーと安納芋、代わりばんこ交互に上にしていただくと、それぞれ違った味わいが楽しめるのもまたユニークです。 『猪とアボカドの岩海苔和え(コリアンダー、ヘーゼルナッツ、白ごま)』 野趣溢れる猪肉に岩海苔で和えたアボカドを合わせたもの。コリアンダーの独特な香りにヘーゼルナッツや白ごまの香ばしさと、風味も食感も複雑さを楽しめるメインのひと皿です。猪の少しクセのあるワイルドな味わいにアボカドの優しさ。そして岩海苔の磯の風味に塩気と、まさに山と海が一体になった味わい。おもしろい。 『焼きウニギリゾット』 〆はお店のスペシャリテ。チーズを纏った小ぶりな焼きおにぎりに雲丹を載せ、春菊のペーストをあしらったもの。まずはそのままいただきます。焼きおにぎりの表面のクリスピーさがたまりません。香ばしさの中にねっとりした雲丹が絡み、そしてほのかにチーズの風味。美味しいです。 半分ほどいただいた後、ユニークな形の徳利に入った出汁を回しかけます。春菊ペーストが出汁に溶け出し香りづけ。焼きおにぎりを崩しながらサラサラといただけば、しっかり満足感のある見事な〆を楽しめます。 ビールから始まり白ワインに赤ワインと、美味しい料理に合わせてお酒もしっかり堪能しました。シェフは野菜ソムリエとのことで、さすが野菜の美味しさは折り紙つき。そして一品一品驚きのある料理は、より食事を楽しくしてくれます。 季節毎に来てみたくなる素晴らしいお店。 ごちそうさまでした!

8

千葉県

そば(蕎麦)

Katsuhira  Takano

掛け値なしにまんま民家でいただく絶品蕎麦会席。お店のロケーション、見事な技、確かな味と眼を見張る要素が絡み合う素晴らしい店です。 京王線グルメの会スピンオフ企画で訪問。そぼ降る雨の中に佇む一軒家。一見普通の民家で、お店らしさといえば花瓶にかかる屋号を銘した控えめな看板くらい。通されたのはこれまた普通のお宅のリビング。まるで親戚の家に遊びにきたような感覚です。 はじめに店主さんから本日のコースについての口上が。3日前までに予約が必要な『ひらひら蕎麦三昧』。焼き味噌や玉子焼きなどからメインの蕎麦、デザートまで付くフルコースです。 『冬菜の漬物』 まずはお通し代りにテーブルにセットされた一品。“女池菜”とも呼ばれる新潟の伝統的な冬野菜だそう。さっと茹がいてから塩昆布で和えたもの。昆布の旨味の中に寄り添うほろ苦さがいい感じです。 『焼きみそ』 しゃもじに塗られて焼かれた味噌。蕎麦の実はもちろん、たっぷり入る生姜の風味がお酒に合いますね。早々にビールを空けて冷酒『大山』にチェンジです。 『姫柿みそ漬け』 柿の味噌漬けね。どんな味だろうと思ったらとんでもなかった!卵の黄身を柿に見たて、蕎麦で施した柿の葉と茎の造形。焼きみその側に何の気なしに添えられた技ありの一品です。味噌の塩気と豊かな風味が染み込んだ黄身のねっとり艶めかしい口当たりに、カリっと香ばしい蕎麦煎餅のコントラストが見事です。 『鴨みそ』 たっぷりの鴨肉に蕎麦の実、各種薬味が入った味噌。こってり濃厚な旨味たっぷりな味わいの中にピリリと唐辛子の刺激。これは熱々の白飯も進みそう。 『玉子焼』 どっしり肉厚な玉子焼き。甘味が立つコクのある味わいで、中の具に鴨肉がたっぷり入ります。添えらた蕎麦の芽の風味が爽やか。何気に付け合わせのトマトの味が濃くて美味しいです。 『ひらひらサラダそば』 コース名にもある“ひらひら”とは、サラダにたっぷりトッピングされた蕎麦煎餅のこと。さっくり香ばしい軽い食感がフレッシュな葉野菜とベストマッチ。葉野菜の下には平太打ちの蕎麦が隠れ、全体をざっくり混ぜていただきます。キリっとした酸味のぽん酢にタタミイワシの旨味、蕎麦の風味と喉越しが楽しめる一品。 『揚げそばがき』 “揚げだし豆腐”ならぬ“揚げだし蕎麦がき”。こういう食べ方は初めてです。つゆが沁みた表面のさっくり感に蕎麦がきのねっとり感。おもしろいね。桜の葉を模した揚げ蕎麦も可愛らしいです。 『天ぷら』 残しておいたそばがきのつゆを使っていただきます。海老と明日葉の天ぷら。ぷりっと弾けるような食感の海老にさっくり軽い明日葉。海老は旨味がギュっと詰まり、明日葉は自家製で採りたてだそう。たまりませんね。 『ざるそば』 さあ、メインのお蕎麦。今日は常陸の蕎麦だそうです。粗く挽かれた蕎麦が残るもの。気持ちざらっとした口あたりでしっかりつゆを持ち上げます。店主さんこだわりのつゆは、黒糖の上品な甘味が立ち昆布と鰹節の旨味がまろやかなコクのある味わい。こちらのお蕎麦はどちらかというとつゆが主役といった印象。実際、店主さんはつゆ作りから蕎麦の道に入り、それからつゆに合う蕎麦を自分で打ち始めたそうです。美味しいです。 『そば久寿餅』 デザートもやっぱり蕎麦。蕎麦粉を練った葛餅です。味付けは黒蜜にきな粉。いわば信玄餅のそばバージョン。スプーンにひと匙のそばリキュールを回しかけるとふくよかなコクが加わります。桜を模した大根の赤酢漬が春らしさを演出しています。 ゆったり3時間かけて楽しむコース。ご家族で切り盛りする温かいアットホームな雰囲気の中でいただく、センスと技、こだわりが光る美味しい料理の数々。もはや蕎麦屋というより蕎麦を使った創作レストランといった趣です。 駅から遠くて不便というところも、もはや一つのエッセンス。驚きと美味しさが並び立つ良店です。 ごちそうさまでした!

9

神奈川県

居酒屋

Katsuhira  Takano

顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系フグ目フグ亜目フグ科トラフグ属アカメフグ。別名彼岸フグと呼ばれ、春の彼岸ごろによく釣れる、または“食べると彼岸に行く”ということから名付けらたそう。なんとも物騒な名前ですが味わいは格別。そんなアカメフグのコースをお手頃価格で楽しめるお店にお誘いいただきました。 初めて降り立った追浜駅。湘南病院に向かう坂道の途中に佇む一八さん。開店の17時なると縄のれんがかかります。酒好きは縄のれんを見ると高揚するんですよねぇ。罪作りなお店だ。 コースは下記のラインナップ。 ・お通し〜鰊の煮付け ・あん肝 ・ふぐ刺し ・ふぐの串焼きと唐揚げ ・八角の味噌焼き ・てっちり ・〆の雑炊 お通しの鰊はふっくら仕上げられたもの。こんなにほわっと柔らかい鰊は初めて。これはコースも期待できそう。 ねっとり濃厚なあん肝に合わせて早々にビールから日本酒へスイッチ。宮城の伯楽星です。キリっとすっきりした伯楽星はあん肝と好相性。 たっぷり四人前が盛られたふぐ刺しは、大皿の絵柄が透けて見える見事な捌きっぷり。身が硬いアカメフグは普通は3日ほど寝かせるところをあえて2日で出し、歯ごたえを残すそう。旨味が詰まってコリっした小気味よい食感がたまらない美味しさです。 捌いたふぐの皮に残った身、いわゆる皮身を焼き上げた串焼き。まるでお肉のような食感は鳥ささみの焼き鳥を食べているよう。さっくりクリスピーな唐揚げはホックホクの身とサクサクした衣のコントラストが見事です。 肝を和えた味噌を塗って焼き上げた八角。淡白な身に纏った味噌はただただ芳醇。肝の風味がのった味噌は炊きたての白飯に合わせたくなります。 さあ、メインの鍋!ぶつ切りのふぐがたっぷり入ったもの。骨が付いたホクホクの身をしゃぶり尽くします。ここでちょっとしたお楽しみ。先ほど数枚残したふぐ刺しをしゃぶしゃぶ。軽く火が入った身は刺身とはまた違ってほっくりした食感に。いいねぇ。 たっぷり旨味が出たスープで〆の雑炊。一旦鍋が下げられた後、人数分のお椀で供されます。熱々なところをハフハフいきます。美味しくないわけないですよねぇ。ふぐの出汁が存分に出た汁を堪能。たまりません。 お料理のコース料金は¥3,500。充実したラインナップの日本酒もお手頃価格でうれしい限り。刺身に鍋、焼きに唐揚げとふぐまみれの宴。追浜まで出かける価値は大いにありです。 ごちそうさまでした!

10

福井県

かに料理

Katsuhira  Takano

今回の福井旅のハイライト。名所、東尋坊を臨む商店街の一角にあるお店で越前がにを存分に味わいます。 東尋坊で唯一という大手水産会社が経営するお店。創業80年を越えます。皇室御用達の蟹を扱い、その目利きには定評があるそう。海産物の販売と飲食が融合したスタイル。ひっきりなしにお客さんがやって来て、お店の活気も相当なもの。このお店だけ大晦日のアメ横のようです。 さて、今回は1.1kgの越前がにを2人で約1匹いただきます。店内の大きな水槽で悠々と泳ぐ蟹を吟味。見事な越前がにを3匹チョイスです。茹で上がりまで40〜50分かかるとのことで、お店の軒先で売っていた『うにと甘えび』をちょいと摘んでから東尋坊観光へ。この日は晴天だったので東尋坊の見事な眺めを楽しめました。 お店に戻り2Fの座敷へ。蟹の他に少し摘まもうということで『ホタルイカの塩辛』、『スペシャル浜焼き』、『タコの唐揚げ』、『かに玉』を注文します。 と、ほどなくして襖が開き、いよいよ蟹とご対面!その姿が目に飛び込むと同時に歓声が上がります。瑠璃色の大皿に映える甲羅の赤がとってもキレイ。蟹を持っての記念撮影をひと通り終えてから、お店の人の手ほどきで蟹を解体していただきます。 ふっくらした身は甘くて味が濃いもの。蟹自体の風味が強くジューシーで、カニ酢がなくても美味しくいただけます。たっぷり詰まった蟹味噌はただただ芳醇。殻を割って身をほじりしゃぶり付く。ひたすらその繰り返し。ああ、この時間が永遠に続けばいいのに。 一緒に頼んだ品々もどれも新鮮。特にコリっとした身とさっくりした衣のタコの唐揚げ、甲羅で仕上げた半熟の目玉焼きを蟹味噌で和えていただく、かに玉が好みの味でした。 茹でたての蟹は文句なしの美味しさ。なんでも水槽で1〜2日寝かせた蟹を大釜で一気に茹であげるそう。なんと専門の蟹茹で職人がいて、重さや大きさがバラバラの蟹それぞれに適した茹で加減で仕上げるそうです。 1kgの蟹に身は約450g。1人だいたい200gくらい食べた計算です。絶品の蟹をたらふくいただき大満足。贅沢な旅を満喫しました。 ごちそうさまでした! #旅グルメ