個性的な飲食店がひしめく商店街、阿佐ヶ谷スターロード。その終点近くに店を構える6席だけの小さなお寿司屋。若い店主さんが一人で切り盛りしています。黒が基調の控えめなエントランスは気をつけないと通り過ぎちゃいそう。 京王線グルメの会のプチオフ会でお邪魔。今夜は¥6,000のおまかせ握りコースをオーダー。店主さんのセンスが光る魅惑の時間の始まりです。 まず用意されたガラス細工の箸置き。水滴のようにもかたつむりのようにも見えるもの。なんでも梅雨の時期だけに出しているそう。ちょっとした小物にも店主さんのこだわりを感じます。 お通しはツルムラサキとしらす。まるで土を食べているような粘りのある力強い味ですね。 お造りは二種。ねっとり甘いいなだ、軽く湯引きしコリっとした表面と身の柔らかさとのコントラストが楽しいとり貝。お酒が進みますね。 二週間ぬか床に漬けた古漬けきゅうり。じんわりした酸味が口の中を刺激します。続いて鮑の肝の煮凍り。プルンとした心地いい食感にパワフルな肝風味。これも呑兵衛にはたまりません。 続くは豆腐と胡麻の白和えを挟んだズッキーニ。そして炒り納豆。豆腐と胡麻でズッキーニの甘さを強調。炒り納豆は醤油で漬けた納豆をごま油で炒めたもの。納豆の風味が凝縮して強めの塩加減がまたお酒が進みます。おっと、食べるのに夢中で写真撮るの忘れた〜! マグロのお腹のところの煮付け。たっぷり陳皮がかかります。食欲をそそる色合い。濃いめの味付けで脂身のこってりさがいい! 握りの前にしょっつるとお酢で漬けた加賀太きゅうり。煮付けで甘くなった口をリフレッシュ。さあここから握りのスタート! ・塩で〆た平目。ふくよかな味わい。この時期昆布〆だと濃くなってしまうそう。 ・あおりいか。こちらも塩で。細かく包丁を入れられた身が美しい! ここで干したもずくでひと休み。これは初めての食べ方。ジャキジャキした歯ざわりの中にほんわり磯の香り。おもしろいな。 ・本まぐろの赤身。少し寝かして筋を柔らかく。気持ち細めの切り身を数枚合わせて仕上げ。口の中でほろっとほどける軽やかなお寿司。 赤オクラの焼いたのを挟みます。ザクっとねっとり。ワイルドな風味がすごい! ・ピカピカできれいなあじ。存在感のある身。 ・くじら。握りで食べるのは初めてだ!とっても柔らかくてトロンととろける身。胡椒がくじらの風味を引き立てまるで牛肉のよう。くじらってこんなにジューシーなんだなぁ。 さあここからスパート! ・とろけるうにの海苔巻き、・細かく包丁を入れられた、香り立つ中とろ、・ほわっと柔らか芳醇なツメで味わう穴子。 最後に玉子焼き。しっとり甘い密度の濃いもの。カステラを食べているようです。 追加のしゃこ。一匹半が載ります。しっとり旨味が濃くて美味しいですね。 〆は昆布と時鮭のお椀。じんわり身体に染み渡る味わい。お酒を楽しんだ後にぴったりです。 盛りだくさんの料理と握りであっという間に時間が過ぎていきます。確かな素材と丁寧に手間をかけた仕事。店主さんの穏やかな人柄も魅力のひとつですね。 充実した楽しく美味しい時間を過ごせる素敵なお店。 ごちそうさまでした!