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山路 力也さんのMy best 2021

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1

東京都

焼き鳥

山路 力也

2021年7月、麻布十番の閑静な住宅街にオープンした焼鳥店。「肉匠堀越」オーナーにして「鈴田式」を手掛けた末富信さんが仕掛ける新業態は、なんと薪を使う斬新なスタイルの焼鳥。 一斉スタート、おまかせコースのみ。炭火では無く薪火で焼く焼鳥。炭と違って水分を蓄えている薪で焼く。遠赤外線の力を使えない火入れ。そのための串打ち。これまでの焼鳥の概念が変わる。 鶏は高原比内地鶏を中心に、部位によって名古屋コーチンや長州鶏などを使い分ける。水分を含んだ薪火で焼くからこそ辿り着けるみずみずしさのある焼鳥は、無限で食べられてしまう。 串焼きと一品料理を良いテンポで出してくる、おまかせコースの構成も素晴らしい。薪焼の鳥串のほかに、鶏のリエットをたっぷりつけた地元麻布十番Mont-Thaborのトーストや、葛で作った鶏出汁の素麺なども。締めの炊きたて土鍋ご飯とデザートまで、すべてが素晴らしい。

2

京都府

焼肉

山路 力也

京都東山三条にある人気の肉料理店にようやく。鮮度の良い黒毛和牛や国産牛をリーズナブルに楽しめると評判。 カウンターに座りお任せでお願いする。目の前で切り分ける肉質の良さは断面を見れば分かる。カットやトリミングも美しく、絶妙な頃合いで焼き上げる。肉の旨さを引き立てるタレのバランスも秀逸。リピート必至。

3

福岡県

居酒屋

山路 力也

春吉の人気店が2021年11月、新築ビルの一階に移転リニューアルオープン。前の店よりさらに住吉橋寄りに移動。旭軒前の三角地帯に出来た新築ビルの一階。春吉エリア、どんどん熱くなっていくなぁ。 三角敷地だからこそエントランスから扇状型に広がるレイアウトが楽しい。前のお店も良かったが、格段と楽しい空間になった。厨房には藁焼の焼場があり、奥には赤坂こみかん同様の土鍋を炊く釜戸が置かれている。 ここに来たらやはり藁焼きを食べなければならない。藁焼きと薪焼きにはまだまだ可能性があると感じる。そして締めはもちろん土鍋ご飯。炊きたてのつやつやご飯に、削りたての鰹節。旨くないわけなかろーもん。痩せるわけなかろーもん。

4

福岡県

焼肉

山路 力也

2021年4月オープン。春吉の人気店、焼肉すどうの新業態。今年一番リピートした焼肉店がこちら。 すどうはフルアテンドで一枚ずつ焼いて貰うコースの焼肉店だが、こちらはいわゆる町焼肉のような雰囲気でハイクオリティな焼肉を楽しめるコンセプト。港にあるからヨーコなのだ。 肉は和牛メインでカットやトリミングも綺麗で状態も実に良い。メニューはもちろんアラカルトが主体。初訪問時は店主の須藤さんにお任せして、2回目以降はその日の気分で。どこかで聞いたような「飲めるロース」など、遊び心ある品も随所に。締めのカレーも美味い。

5

愛媛県

寿司

山路 力也

愛媛松山で人気を集める寿司店。二代目の若き主、高平康司さんは30歳の若さ。和食店での経験を経て「鮨よしたけ」で5年修業。先代で創業者の父親が26歳でこの店を作り独立したように、同じ26歳で代継ぎをした。父親も付け場に入るが息子の完全なサポートに徹する。聞けば料理や寿司の組み立てなど、全面的に任せているとのこと。 序盤は趣向を凝らした肴たちから。スターターに虎魚の出汁で身体の中に熱を入れて、その余韻が抜けぬタイミングで虎魚を出す。鯛はオリジナルで作らせた塩で食べさせて、青柳はしゃぶしゃぶ仕立てで。 中でもスペシャリテの鮑が白眉。泡というよりも肝のソースが凄かった。変なクセがなく滑らかでコクがあって、どこか洋食にも通じるような。残しておいたソースにシャリ玉を入れて食べさせるのも楽しい。肴から寿司への中継ぎのような働きも兼ねている、テクニカルな一品。こういうのをスペシャリテと言うのだな。 後半の握りは瀬戸内の地物を中心にコースを構成。変に凝ったややこしいものは一切なく、正統な江戸前スタイルで瀬戸内の魚を握る。握りは全部で14貫(玉子まで)で、海苔巻を二つほど追加でオーダー。  品数も多く、ちゃんと寿司を食べさせたいというメッセージが感じ取れる構成。しっかりと締められた地物の小肌と、笹の葉で挟んで炭火で蒸し焼きにした穴子が特に素晴らしかった。シャリは赤酢をブレンドしたもので、程良い酢加減と炊き加減、温度、味わい。 実は一度松山に来た時に予約を試みるも取れず、今回はリベンジだけのためにやって来たのだが、わざわざ松山へ寿司だけ食べに来た甲斐があった。7月にリニューアル改装して再オープンするそうなので、新しいお店になったらまた来てみたい。

6

東京都

割烹・小料理屋

山路 力也

伝説のカリスマ岡田賢一郎さんが新しく始めた肉割烹が、2021年2月麻布十番にオープン。 岡田さんが前に手掛けていた西麻布の焼肉店「THE INNOCENT CARVERY」で、キッチンの岡田さんの前のカウンター特等席が、いつしか「岡田前」と呼ばれるようになり、ついに全16席が岡田前という店が出来た。 キッチンの中央にはスペイン製のチャコールオーブン「Josper」が鎮座。炭火のオーブンとしてもグリラーとしても使える優れもの。そんな和牛のグリルをメインに据えたお任せコースは肉尽くし。 夏のメニューは、松阪牛の旨味が詰まった枝豆の茶碗蒸しから始まり、神戸牛松阪牛の揚げたてメンチカツには雲丹がどっさり。スペシャリテのタン刺しはサマートリュフと共に。サーロインの冷しゃぶはみずみずしいアスパラガスと胡麻ダレで。アスパラ豆腐と蓴菜のお椀は神戸牛の旨味ほとばしるお出汁で。 さらに目の前で作ったユッケとキャビアを炊き立ての土鍋ご飯の上に、これでもかと言うほど乗せるユッケご飯。鹿児島黒毛和牛タン、神戸牛サーロイン、松阪牛内モモのグリル。締めは毎朝打っている手打ち蕎麦。デザートはトリュフアイス。さらにお土産でローストビーフサンドとカレーソースまで。最初から最後まで徹底して牛を楽しませる圧巻のコースとなっていた。 岡田前なので、目の前で岡田さんが説明をしながら一品一品調理して提供する岡田前ワールド。やはり自分の食べる料理が作られていくのを目の前で見られるのは楽しい。また違った季節の料理を堪能しにお邪魔したい。

7

東京都

寿司

山路 力也

「飲み物はどうされますか」 『お茶でお願いします』 「ならばつまみではなく握りからにしますか」 『お願いします』 このやり取りが親方に火をつけたのかは分かりませんが、おまかせで出て来た握りは怒濤の28貫。しかし一時間ほどでペロリ。 まずシャリが美味しい。硬めの炊き方もさることながら、甘さがなく酸味と塩味があります。それでいて角も立っておらず、ついつい後をひく味になっているのです。 シャリ玉が大きめでタネも大きく切りつけているので、一貫一貫の存在感が凄くどっしりとしていて、あぁ寿司を食べているなぁと感じさせてくれます。変な包丁も入っていないので、妙に柔らかくなく咀嚼する寿司です。煮烏賊など古き良き江戸前の香りも感じさせます。 ただでさえ貫数が多いわけですが、シャリもタネも立派なので、量としては普通の店の三倍近いボリュームではないかしら。それでいて値段は二万ちょっとと、かなりリーズナブルです。これはリピートしたくなるなぁ。御馳走様でした。

8

大阪府

焼き鳥

山路 力也

2020年11月オープンの焼鳥店。北新地屈指の人気店「焼鳥 市松」出身の店主が立つ店は、市松創業の地にてオープン。市松の想いが創業の地に戻って来た、という意味合いで「松里」という店名にしたとのこと。 緩急織り交ぜリズミカルにコースを組み立てるのは市松同様。比内地鶏の美味しさをしっかり満喫出来る。ショートコースと新たに始まった通常コースがあるが、通常コースをオーダー。 名物の鶏生ハムから始まり、食べ応えあるぼんじり、食感のコントラストが楽しいネギマと皮せせり、お代わりしたくなるレバーパテ、市松創業時に出していたというチキンラーメンの再構築など、最後まで飽きさせない楽しさがある。

9

東京都

焼き鳥

山路 力也

2021年6月、再開発が進む大塚にオープンした焼鳥店。「鳥しき」の流れを汲む人気店「やきとり阿部」が手掛ける新店。 阿部や鳥しき同様にお任せのストップ制。今回は伊達鶏だけではなく、黒さつま鶏も使い分けていくとのこと。新店ながらも安定感があるのはさすが。締めのラーメンも本格派。

10

東京都

居酒屋

山路 力也

神楽坂の住宅街の一角に、2021年8月オープンの一軒家レストラン。人気燻製料理店『燻製アパートメント』が手掛ける新業態は、神楽坂の住宅街にある古民家をリノベーション。全席個室のみ。 事前オンライン予約決済、接客一切ナシ、飲み物や料理は事前に準備されている完全セルフの尖った業態。料理はもちろん燻製がテーマで、全て燻製料理。飲み物も飲みきれないほど置いてあって、料理も込みで6,600円というのは安いなぁ。 燻製料理をつまみながら、気のおけない仲間とホームパーティーのように過ごせる楽しい空間。新しい飲食店の可能性を感じる佳店。