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山路 力也さんのMy best 2016

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東京都

そば(蕎麦)

山路 力也

 21年にわたりロブション・グループで腕をふるってきた渡辺シェフが待望の独立。浅草隅田川沿いという場所の一軒家レストランは、1Fのキッチンから4Fのテラスまで螺旋階段で貫かれている。やや狭小な敷地を上手く縦に使って、リバーサイドという立地を生かした作りになっている。  浅草駒形という場所らしく、料理は和と仏の華麗なる融合が成された独特な世界観。イメージカラーのオレンジを巧みに使いながら、江戸野菜や浅草伝統の素材などを上手に組み合わせていくストーリーの組立が秀逸。  日本料理の演出も施しながら、フレンチとしての軸はぶれることなく、ソースをしっかりと感じさせるキュイジーヌモデルヌ。皿数も多くポーションもあるのは、昨今の少量多皿のトレンドへのアンチテーゼか。ヌーヴェルジャパニーズフレンチとも言うべき、新しいアプローチが清々しく心地良い。 #年末年始

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東京都

フランス料理

山路 力也

 2016年はフレンチの当たり年の様相を呈しているが、最後の最後にまた一軒大型新店が登場した。西麻布の交差点から程近い場所に、12/1グランドオープンした「Crony」は、カンテサンスの小澤さんがティルプスの春田さんをキッチンに迎えた、ノルディックキュイジーヌのエッセンスが光るガストロノミー。もうそれだけでワクワクしてくる。  そしてそのワクワクをまったく裏切る事ない、素敵な空間と素敵な料理たち。イントロダクションは華やかにモダンガストロノミー的なアプローチで、コースが進むごとに徐々にヌーヴェルキュイジーヌ的なお皿になり、しっかりフレンチを食べたという満足感が残る。  店もカッチリし過ぎず、カジュアルさすら感じさせるビストロ的な空間でありながら、レストランとしての佇まいも持つ、程よいバランスが心地よくセンスの良さを感じる。オープンキッチンのライヴ感が楽しめるカウンターとテーブル席のフロアと、落ち着いた雰囲気のテーブル席、さらに個室もあるのでハレの時にも普段使いでも楽しめそう。  いずれは遅い時間にはアラカルトも提供するそうで、交差点を挟んだ「s'accapau」と共に深夜の西麻布がより楽しくなりそうだ。 #冬グルメ

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東京都

イタリア料理

山路 力也

 麻布十番の人気リストランテ「La Brianza」が、2016年5月、六本木ヒルズけやき通りに新本店をオープン。麻布十番は「VIA Brianza」にリニューアルして、奥野シェフは六本木新本店に立つ。  明るくてカジュアルな雰囲気だった麻布十番とは一転、こちらは照明も落とし気味で、どことなくマンハッタンの街角にある大人のリストランテというイメージ。ベタベタな土着のリストランテではなく、NYのエッセンスを香らせた空間は、このけやき通りという立地にマッチしている。しかし、アットホームでカジュアルな接客、居心地の良さは変わる事がない。  この日は特別に2席しかないシェフズテーブルへ。キッチンかぶりつきの特等席。もちろんメニューは奥野さんに全てお任せ。「何が食べたいですか?」「少しずつ盛り合わせましょうか」などと、こちらと会話しながら、お腹の様子も伝えながら、メニューが構築されていく。  麻布十番時代よりも「和」を意識したかのような料理は、イタリアンの技法は使いながらも、時にフレンチや和食のアプローチも垣間見えるフュージョン。これはカテゴライズする必要のない、完全に奥野さんの料理。もちろんスペシャリテである「黒トリュフオーブン焼きピエモンテ風」も健在。次々と出て来る一皿一皿が本当に美味しく、楽しく、美しい。六本木の夜がさらに楽しくなった。

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焼き鳥

山路 力也

 千駄木の人気焼鳥店が外苑前に電撃移転。12/9グランドオープンの初日にお邪魔。スタイリッシュでモダンな雰囲気の中、広々としたキッチンを囲むコの字型の大きなカウンター席は、千駄木時代の3倍のキャパシティである30席。そこを基本的に焼き場は今井さんが一人で回す。  完璧な火入れ。部位ごとに異なる焼き方で、どの串もジューシーでクリスピーに仕上げる。30席になってしまって、そのあたりのオペレーションはどうなるのかが一番気になるところだったが杞憂に終わった。素晴らしい。  この日は「焼鳥今井のコース」3,800円を。焼鳥は6種に野菜焼きが5種、さらにスープ、レバーパテ、豆腐などもつく。その後に追加で焼鳥を3種に締めの親子丼、デザートのどら焼きまで満喫。また足繁く通う店が増えた。 #冬グルメ

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フランス料理

山路 力也

 2016年2月にオープンした注目のガストロノミー。南青山の路地裏にあるビルの2Fという隠れ家立地。マンションのドアのような武骨な作りの玄関を入れば、オープンキッチンが印象深い落ち着きあるダイニングが広がり、まるでシェフの家に招かれているかのような空間が広がる。  オーナーシェフの加瀬史也さんは、『レストランヒロミチ』でキャリアをスタートさせ、25歳で渡仏。『レ・プレ・ドゥージェニー』『レ・クレイエール』を経て帰国し、『カンテサンス』で経験を積んで30歳で独立を果たした。シャンパーニュ地方の『レ・クレイエール』での修業経験から、シャンパンの美味しさと幅広さに目覚めたという加瀬さんが据えたコンセプトは「シャンパーニュ・ガストロノミック・レストラン」。シャンパンとフレンチを合わせるスタイルを構築。グラスでも常時3〜4種類揃え、コースとのマリアージュも用意している。  料理は¥10,500のお任せコース一本のみ。旬の素材はもとより、その日の食材によって構築される料理は一期一会の世界。ビジュアルは至ってシンプルながらも、同じ素材の違った部位を違った調理法で一皿に乗せるなど、その素材を立体的に扱いコントラストを感じさせる皿たちがいい。クラシックでもなくモダンガストロノミーにも寄り過ぎず、加瀬さんならではの世界観がしっかりと現出している。とはいえ、まだオープンして一ヶ月の店。これからのさらなる深化に期待したい。今年Q1で一番注目すべきフレンチだろう。

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割烹・小料理屋

山路 力也

 日本料理の名店「京味」で修業した笹田秀信氏による、シンプルでありながら奥深い料理を楽しめる佳店。創業は2005年だが、2012年に現在の場所に居を移した。華美でなく凛とした空気感のある空間は、その料理を形にしたような雰囲気で出迎えてくれる。  素材を厳選してその素材の持ち味を最大限に引き出す。それには繊細な仕事が不可欠。そこに最小限の味付けで完成させる。お浸し、椀、焼物、炊き合わせ、どれも派手ではないが一級品。一皿一皿に唸りながら、ニコニコしながら。素晴らしい。

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イタリア料理

山路 力也

 「BACARI」「QUINTCANT」などを手掛けるサローネグループが9月にオープンさせた最新店。オープンキッチンのある開放的な空間で、系列の中では一番カジュアルな雰囲気の中、質実剛健なイタリアンを楽しめる。  肉じゃがならぬ「タコじゃが」など楽しい料理が数多くあるが、中でも圧巻はグループ総料理長の樋口シェフが浅草開化楼製麺師の不死鳥カラス氏と共同開発した小麦粉「ファリーナ ダ サローネ」で作った特製のパスタフレスカを用いたパスタの数々。他では味わえない存在感あるパスタに感動することだろう。

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東京都

フランス料理

山路 力也

 惜しまれつつ閉店した松濤の人気フレンチ「bacar」の石井シェフによる待望の新店が、一年の準備期間を経て千駄ヶ谷の地にオープン。活気あるオープンキッチンでカジュアルな雰囲気でありながら、ハレの時にも使えそうな居心地の良い空間。  bacar時代の料理の延長線上にあるコース料理の数々は、より進化した技法やアプローチでどれも楽しさと驚きがあるものばかり。オリジナリティとサプライズが詰め込まれた一皿一皿は、サーブされるたびにテンションが上がっていく。 #年末年始

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東京都

フランス料理

山路 力也

 2016年2月、麻布十番にオープンした注目のフレンチ。オーナーシェフの原島さんは南青山「L'EMBELLIER」のシェフを経ての独立。ホテル経験もあり、ふぐ調理師免許も持っており、フレンチにとらわれない技法やアプローチで料理を表現している。  旬の素材の良さを切り取る料理は、スッポンや真鯖などの魚介と蝦夷鹿などのジビエの両方がどちらも印象的。特に魚の火入れは白眉。派手さはないが、じっくりと丁寧に素材と向き合う姿勢が料理にしっかりと反映されている佳店だ。 #年末年始

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東京都

フランス料理

山路 力也

 2015年秋にオープンした話題のフレンチにようやくの訪問。目黒川沿いに建つビルの2F。キッチンの脇にストレートカウンターがあり、奥にはテーブル席。ステンレスを効果的に使った内装は、シンプルで無機質なテクスチャーの割には、なぜか温かみがある雰囲気になっているのが面白い。  シェフの大土橋真也さんは、ジョージアンクラブ、ジョエルロブションを経て渡仏し、パリの人気店「Saturne」で腕を磨いて帰国。初台のアニスの立ち上げから参画して、こちらにシェフとして就任した。  メニューは8品お任せの一本のみ(遅い時間帯はアラカルトも)。調味などはクラシカルスタイルを思わせながらも、プレゼンテーションはモダンガストロノミー的なアプローチが施され、一皿一皿がとても楽しい。色のコントラストが鮮明で、まるで絵画を見ているような皿がいくつも。中盤からの4品は「パンペアリング」と称して、メインの料理にあった形のパンを添えてくるのもユニークな試み。  少量多皿とはいえ、パンもしっかり出てきてお腹にも十分満足。それでいて7,000円という価格はかなり良心的ではあるまいか。数ヶ月ごとに少しずつ料理が変わっていくそうだから、今年は季節ごとに足を運んでみたいと思っている。