東京証券取引所の直ぐ側という意外な立地だが、取引所が重厚な石造りのため、この辺りは落ち着いた雰囲気が漂っている。店内の色調は白と灰色と銀色で、同系色かつ階調が付いていて、上品さの中に華やぎが有る。 アラカルトは無くコースのみだが、予約時にアレルギーを伝えて、内容を若干変更してもらった。 アフタヌーン ティーを思わせる立体的な盛り付けのアミューズ ブーシェからコースは始まる。ワインはお任せのペアリングにした。 オマール ブルーのガスパッチョは、ガスパッチョの鮮烈な赤色が美しく、爽やかな酸味とオマールの相性も良い。 僕はフォアグラを余り好まないが、ここのフォアグラは脂がしつこくなく、上品な口当たりだ。 鮑は出色の出来だった。鮑自体の質も高いが、甲殻類から作ったというソースは、アメリケーヌのように濃厚でありながら口当たりが軽いのが良い。 甘鯛は、鱗を付けた焼き方も見事だし、貝と海藻で作ったソースも色鮮やかで美味しい。 単角牛の焼き方は素晴らしく、付け合わせの野菜も美しい。トリュフを使ったソースが味に華やぎを与えている。 デセールは、白い覆いを破るとスープに浮かべたメロンの果肉が現れるという趣向だ。味は上品ながら印象的だ。 ハーブ ティーは、目の前でサイフォンで淹れてくれるのが楽しい。 どの皿も、見た目が美しく、かつ美味しい。 接客は洗練されていて、客への目配りも料理の説明も的確だ。 素晴らしい店だと思う。