Kiyoshi Fujioka

Kiyoshi Fujiokaさんの My best 2019

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フランス

フランス料理

Kiyoshi Fujioka

Le Cinqは、パリのFour Seasons George Vホテルのメイン ダイニングだ。白い木を基調とした内装で、大きな中庭に面しており、華やかな雰囲気がある。テイスティング メニューとアラカルトがあるが、我々は夕食に訪れて、アラカルトから定番を選択した。 二皿のアミューズの質が高く、期待が高まる。 前菜は、玉葱の「パリジャン スタイル」。玉葱を炒めるという、ありふれた料理に見えるが、豊かな甘みに驚く。 主菜は、トリュフ スパゲティ。と言っても、イタリア料理のパスタとは全く異なる。縦にしたスパゲティで盾を作り、その内側にハムや木の子を詰め、トリュフ ソースを和えている。複数の素材が強く自己主張しながら、全体的に強烈な旨みが生まれている。 デセールは、グレープ フルーツのジュレ。素材の酸味を最大限に引き出し、驚く程の酸味がある。酸味だけではデセールとして成り立たないが、同時に甘みも強く、酸味と甘みにが見事なバランスを保っている。 料理は完璧で、接客も洗練されている。究極の体験だった。

Kiyoshi Fujioka

Epicureは、パリのLe Bristol Parisホテルのメイン ダイニングだ。室内は白い木を基調とし、花柄のカーテンがアクセントを添え、上品な雰囲気を漂わせている。メニューにはアラカルトとテイスティング メニューが有るが、我々は夕食に訪れ、アラカルトから定番を選択した。 二皿のアミューズの質が高く、期待が高まる。 前菜は、 マカロニにトリュフやアーティチョークを詰め込んだもの。色彩も美しく、フランス料理を食べたという実感がする。 主菜は、ブレス産の雌鶏を、豚の膀胱の中で蒸し焼きにし、ザリガニや木の子などを添えている。膀胱自体は食べないし、もちろん綺麗に洗っている。この店の名物らしく、我々を含めて、客の半分位がこの品を注文していた。客の目の 前で給仕が大きく膨れた膀胱にナイフを入れ、その後、鶏肉を素早く切り分ける様が面白い。パフォーマンスだけでなく、味も見事なものだ。鶏肉に有りがちな繊維感が全く無く、今までに経験したことのないような柔らかい食感の鶏肉だ。ただし、分量が極めて多いので、(僕を含め)少食な人は食べ切るのに苦労するかもしれない。 デセールは、濃厚なココアのクリームにアイスクリームを添え、隠し味の塩で味を引き締めている。かなり分量が多く、甘いだけだったら飽きてしまうだろうが、苦味や塩気もあるので、とても楽しめる。 全般的に堂々たるフランス料理でありつつ、重くなりすぎていない。ミシュラン三つ星ながら、給仕たちの乗りは良く、記念撮影をする際に複数の給仕達がポーズを決めて一緒に写真に収まってくれた。こういう接客を好まない人もいるだろうが、僕はいい印象を抱いた。

Kiyoshi Fujioka

3回目の訪問。今回は季節に合わせてジビエのコースを選択した。 二皿のアミューズに続く前菜は、オマール ブルーとリドボー(仔牛の胸腺)とセップ茸という意表を突く組み合わせ。更に銀杏とアンディーブも組み合わされている。個々の素材の存在感が強いながらも、全体としてよく纏った見事な品だ。 続く魚は平目。縁側をフリットにしているのが面白い。 ジビエはフェザン(雉子)とコルヴェール(青首鴨)を頼み、連れと分け合った。 スコットランド産の雉子は、縮緬キャベツと共に、先ずココットで蒸して柔らかくした後に、焼いている。身は柔らかく、個性がありながらも獣性は感じさせない。縮緬キャベツから出た出汁が雉子に染み込み、円やかな味わいを生み出している。家庭的な料理をレストランの技術で昇華させた、出色の逸品だ。 米だけを食べさせて育てた新潟産の鴨も、上品でありながら存在感のある味わいだ。内臓を使ったサルミ ソースが、味に深みを与えている。 蜜柑を使った口直しは、さっぱりとした味わい。 林檎とスフレのデセールは、スフレの食感がきめ細かだ。 素材によってはコース料金に追加料金が発生し、全体ではそこそこ高額になるが、それぞれの品の水準が高く、満足感の高い食事だった。シェフは、手が空いたら積極的にホールへ出て、料理を説明してくれる。

Kiyoshi Fujioka

半年振り2回目の訪問。前回と同じく10皿の「喜び」というコースを頼んだが、満足度は前回を上回るものだった。 前菜のグリーンピースは、春らしい爽やかな味。 フランス料理は、肉は美味しいが魚が和食に及ばないことがあるが、ここは魚料理も和食を上回るのが素晴らしい。鮎は、カリカリとした焼き加減は和食と並び、クレソンと熊笹のソースで和食に差をつける。 スープ ド ポワソンは海の幸が凝縮された濃厚さ。 白アスパラガスは、驚くほど大きい。 オコゼも、和食並みの焼き方と、和食を上回るソース。 主菜の羊は、藁で燻って薫りを付け、野趣が多少ありながらも臭くないという、絶妙の仕上がりだ。 デセールも繊細で手が込んでいる。 全ての皿が驚くべき質だ。

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東京都

フランス料理

Kiyoshi Fujioka

13品という少量多皿構成だが、それにも関わらず個々の皿が強い印象を残す。どの皿も香りが良く、食す前に香りを嗅いでしまう。温菜は素材そのものの香りを活かし、冷菜はハーブや香辛料を上手くあしらって香りを立てている。 火入れも見事だ。先ずはフライパンで、次いでオーブンで焼くというイサキは、中身はレア ギリギリだが、皮はパリパリしている。短時間焼いては休ませるという過程を何度も繰り返すという鳩も、中身はレアに近い。このような焼き加減の肉は、店によっては温度が低くなってしまうが、この店の肉は火入れが一見浅いながらも温度が高く、香りが立つ。 サービスは若干事務的な感じするが、とてもプロフェッショナルだ。ワインはシャンパーニュも含めてペアリングで6杯頼んだが、グラスが空になったら継ぎ足してくれたので、実質的には7-8杯飲んでしまった(ありがとうございます)。オペレーションも極めて効率的だ。かなりの多皿で満席にも関わらず、皿出しのテンポは軽快で、間を持て余すことが無い。厨房の統制が良く取れているのだろう。

6

東京都

寿司

Kiyoshi Fujioka

店は銀座のみゆき通りから近く、辺りには高級ブティックが立ち並ぶ。店の入り口は鮨屋というよりバーみたいな雰囲気だ。 摘み無しにいきなり握りが出てくる。何と32貫という途方も無い数だが、何とか完食できた。美味しいことも一因だが、握りが小さくシャリがかなり少な目だということも要因だ。信じられないようなことだが、32貫で米は一合分程度だそうだ。 赤酢を使った酢飯は美味しいし、 ネタの質もとても高い。部位の異なる鮪6貫を含め、これだけの種類の握りを食べると満足度は高い。 仕事の速さにも感心した。一人の職人がカウンターの客6人に対応するのだが、客達がほぼ同じ時間に食べ始めて全員に32貫も出すのに、間が空くことが殆ど無い。 強い印象を残す店だ。

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東京都

イタリア料理

Kiyoshi Fujioka

店は恵比寿と代官山の中程に在る。8人掛けのカウンターがオープン キッチンに面しており、調理の様子が全て見えるのが面白い。BGMを奏でるのは、今時珍しいヴァイナル(アナログ)レコード。こちらの方がデジタルに比べて音が柔らかいとのこと。 肉の薪焼きが名物だが、他の料理も素晴らしい。店主の田窪氏は薪焼きにほぼ専念しているが、他の料理人達の技量もかなり高いのだろう。 素材は全て国産だそうだ。出だしの『カプレーゼ』は、なんと房総半島の水牛からその日に絞った乳を使っているとのこと。シンプルながら、素材の質が極めて高い。 『穴子根/セロリ/ラルド』の穴子は、天ぷらのような見事な揚げ方。 『真鱈白子/芹/アンチョビ』は、白子のねっとりとした食感に陶然とする。 『筋肉ホタテ/西洋茸/唐墨』は奇妙な料理名だが、実の締まったホタテ貝を使ったパスタだ。 お待ちかねの『アイルランドヘレフォード牛/薪/切れ味』は、外側はカリッとした食感で、中身は赤いものの、しっかり火が通っている。いたずらに柔らかさを求めるのでなく、噛み応えを重視した焼き方だ。味付けは塩と胡椒だけだが、これで十分。何気ない付け合わせの人参の美味しさに驚く。 主菜の後にパスタが二品続くのが日本的だ。 『花キラリ/熟成栗』は上品なリゾット。 『TACBO風ボロネーゼ』は、ボロネーゼの肉が見事だ。 口直しの『紅まどんな/レモンリーフ』に続いて供された『ミルク/ピスタチオ/マルサラ』は、アイスクリームの濃厚な味と滑らかな食感が印象的だ。 お茶菓子のフィナンシェまで素晴らしい。かなりカリッとした焼き方で、肉にもフィナンシェにもシェフの個性が出ているのだろうか。 ワインのペアリングも美味しく、ソムリエの説明も丁寧。 最初から最後まで、極めて満足度が高い。

Kiyoshi Fujioka

ニース海岸沿いのホテルLe Negrescoは、古き良き時代の贅を尽くした造りだが、館内に現代アートのオブジェを配置するなど、時代に沿って変化している。このホテルには泊まらなかったが、メイン ダイニングのLe Chanteclerで夕食を摂った。 Le Chanteclerの内装は老舗らしい装飾的なものだが、料理は軽く繊細で現代的なものだ。伝統に固執せずに進化していく姿勢が好ましい。 アラカルトでもアミューズが幾つか供される。前菜のネギは、驚くほど美しいプレゼンテーションだ。味も柚やチーズを添えて複雑さを出している。主菜の帆立貝は差別化するのが難しい素材だが、素材も火入れも上々で、胡桃やトリュフを添えて味わいを豊かにしている。デセールのスフレは泡立ちがきめ細かく、上品で柔らかな口当たりだ。

9

東京都

懐石料理

Kiyoshi Fujioka

店は青山の根津美術館の近くにある。店内は暗色を基調とした禁欲的な内装で、カウンター8席と個室からなる。写真撮影は禁止。いわゆるお任せだが、書かれたメニューも無いので、メニューを覚えにくいが、恐らく以下のような感じだ。 ・ぐじの蕪蒸し ・お造り(鯛と鮪) ・松葉蟹の真丈のお椀 ・喉黒の炭火焼き ・豆腐の白味噌仕立て ・八寸(揚げたワカサギ、白バイガイ、雲丹、鮟肝、穴子煮こごり、鯛手毬寿司など) ・松葉蟹の酢の物 ・ご飯、ご飯のお供(金目鯛フライ、漬け鮪)、赤出汁 ・豆の葛焼 ・抹茶 ・リンゴのアイス、オレンジのゼリーなど 料理は優しく繊細な味わいだ。喉黒は脂が乗っていて、かなり浅い火入れだが、食感の見事さに驚嘆した。八寸は見た目も美しく、カウンター全体から嬌声が上がった。 食事(ご飯)が興味深い。炊き上がり直後の水気をかなり含んだ柔らかい状態で先ず供されるのだが、その後短時間で水気が抜けていき、米に腰が出てくる。「ご飯のお供」として追加で料理がいくつか供され、白米と共に食べるのが美味しい。 店主の宮坂氏は、穏やかな人柄で、調理をしながら、付かず離れず客に声を掛けてくれる。

Kiyoshi Fujioka

半年振り2回目の訪問。 野菜を多用しているが、単なる添え物でなく、主菜と互角の存在感が有る。シェフは短期間、和食店でも修行したそうだが、野菜のサラダに野沢菜を用いるというのは、イタリア料理のシェフでは思いつかない発想だろう。 花ズッキーニのフリットは、揚げ加減が良質の天麩羅を上回る。 赤海老の蓮根饅頭は、濃厚な魚介類のスープに饅頭を添えた、日本ならではの逸品。 僕は健康上の理由から肉の脂身は食べないことが多いが、ここの鴨の脂身は美味しく、思わず食べてしまった。 この店は席によっては東京タワーが見える。今回、最初に通された席からは東京タワーが見えなかったが、「今日は東京タワーが見えないね」という我々の会話を聞きつけた給仕が、すかさず東京タワーが見える席に変えてくれた。満席でなかったからこそ可能であるが、こういう対応は気持ち良い。 グラス ワインを4杯頼んだが、これらの美味しさも特筆すべきだ。ボトルも含めてワインの品揃えは少なめで価格も手頃だが、価格を上回る満足度だ。 素晴らしい料理の割には、料金は手頃。