『2019年 タベアルキスト和久井の印象に残ったこの10軒』 10軒目 創業は2013年。近郊で獲れる鮮魚を中心とする旬の魚介に、江戸前の仕事を施した独自のスタイルで繰り出す鮨を愉しむことができる鮨屋。 ご主人の堺大悟氏は、福岡の「高玉寿司」、東京・青山の「海味」にて研鑽を積んだ後に独立し、2013年7月に福岡・赤坂に「鮨 さかい」をオープンし、2017年3月に現在の西中洲に移転し今に到る。 凛とした雰囲気が漂う店内は、伝統数寄屋建築の第一人者・前田伸治氏が設計した京都北山杉を基調とする数寄屋造りで、席は一枚板の白木のカウンター12席に個室がある。 流線型が美しい鮨は、赤酢と塩でビシッと決まった酸味が立ち過ぎない柔らかさが特徴のシャリが印象的な常に進化した江戸前鮨。人肌の温度で固めでほどよくはらけるシャリと熟成させ旨み引き出したタネが混ざり合った時に最大級の旨味が訪れる鮨である。 ⚫︎呼子 アオリイカ 2日間寝かせ。 肉質は弾力に富みねっとりとした食感も魅力。 適度な厚みがありながらも軟らかく、食べるうちにジンワリとイカの甘みが押し寄せてくる。 ⚫︎小柴 針魚 透き通った身とキラキラした皮が美しいカンヌキサイズ。 サクサクした食感と細魚独特の風味が後を引く味わい。 ⚫︎佐渡島メジマグロ(ヨコワ) 5キロ腹部分の漬け。 淡い味わいで酸味が立ち、鮪にはない脂の弱さが魅力。 ⚫︎小鰭 ゆっくり30分〆て2日寝かせたナカヅミよりの小鰭。 切りつけが美しく水分は少し残してあることで柔らかさが感じる印象。 ⚫︎油津 鮪赤身 本鮪ははえ縄漁で魚体は144キロ。10日間寝かせ。 平漬け。香りがとても強くねっとりとなめらかで、噛めば噛むほど旨みの盛り上がりをみせる。 ⚫︎油津 鮪中トロ 甘み、香り共に素晴らしく余韻がとても長い。シャリを引き立てるまさに理想的な中トロ。 ⚫︎油津 鮪大トロ スジの旨みが咀嚼する程に昇華し、あっという間に口内で溶けその余韻でシャリがまた楽しめる。 シャリの温度がこのタネにピタリ。 ⚫︎増毛 ボタンエビ 濃厚な味わいと甘み 表面だけ軽く漬けており中は生。 ボタンエビの濃厚な甘みと食感をしっかり楽しめる上、とろけていくという究極の味わい。 ⚫︎九十九里 蛤 歯応えはしっかりながらその身は柔らかくふわりとした食感と豊かな磯の香りがする。 噛みしめるほどに貝のエキスが口の中に溢れる。 ⚫︎キタムラサキ海胆 安定の味わいのはだてのキタムラサキ海胆。 口の中でひと房ひと房がとろけて甘い。 ⚫︎唐津 ムラサキ海胆軍艦 香りが高くビターな味わいが印象的な海の恵みが凝縮された海胆。 海苔との相性もベスト。 ⚫︎対馬 穴子 溶け具合圧巻な柚子皮の風味ががアクセントになった穴子。 圧倒的な食べ応えと後味の余韻が素晴らしい。 ⚫︎鉄火巻き ⚫︎玉子