『2018年 タベアルキスト和久井の印象に残ったこの10軒』 10軒目 料理で表現するカンパニリズモを目指すイタリアンレストラン。 自ら畑を耕し収穫した野菜や果物で料理を作るだけでなく、生ハムやチーズ、ワインなども自家製のものも提供していることで有名なお店である。 オーナーシェフの笹森氏は20歳でイタリア料理の道に入り、仙台で調理技術を身につけ、 東京の一流店で経験を積み、イタリアでは生ハムなどを手作りする店で修業し、30歳の時に故郷の弘前へ帰りイタリア料理店「オステリア・エノテカ・ダ・サスィーノ」をオープンさせた。 当初から独立後に頭に思い描いていたお店の形は、イタリアでみてきた「自給自足のレストラン」。 自家農園で獲れる食材以外は、なるべく近隣の生産者のものを選ぶ。そしてその土地にしかない料理を作ることが笹森氏のスタイルである。 今回は夜の8,000円コースをいただいた。 ●鯵ヶ沢ジャージー種のブッラータ 自家菜園のバジルを添えて 鰺ヶ沢の牧場の牛乳を使ったブッラータは、モッツァレッラらしい弾力や表皮の張りなどのテクスチャー、そしてじゅわっと出てくるミルクの甘みをが強い。 添えられた自家菜園の野菜はフレッシュで香りが高いのが特徴。 ●自家製生ハムとハムの盛り合わせ 盛り合わせ内容は、自家製ハム、鴨肉の生ハム、ピスタチオ入りモルタデッラ、ガーリックポークのプロシュート、豚ほほ肉のペースト。 なかでも印象的だったのが鴨肉の生ハム。野性味あふれる味わいで、噛みしる程に脂の甘味がじわっと溢れ旨味の余韻が長く続く。 ●穴子の炭火焼き 自家製ハーブとエディブルフラワーを添えて 三陸産穴子を使用した炭火焼き。 穴子は表面にチャコール感のある香ばしい焼き目を付けてあり、肉厚な身はハリのある弾力を持った仕上がりになっている。 脂の乗りを感じる旨味とぷるんとした弾力のある食感が良く、柔らかい酸味と甘味のあるバルサミコソースが良く合ってとても美味。 ●フォカッチャ シャモロックのレバームースとムール貝の泡 風味はガツンとくるリッチなシャモロックのレバームースと泡に満ちたムール貝の旨味がフォカッチャに染み渡る。 ●ズワイガニと田子産黒ニンニクのスパゲティ ズワイガニの甘みと黒ニンニクの酸味が絶妙なバランスを奏でるスパゲティ。 高温多湿で熟成させた黒にんにくは、にんにく特有の匂いがしないのが特徴。 黒ニンニクのフルーティーさを見事にコントロールしており、食べ進めるほどに黒ニンニクの香りと味わいが深くなっていく。 冷製スパゲティとして提供するところが心憎い。 ●嶽きみのピュレのラヴィオリビーツピュレ イタリアのサマートリュフを添えて サマートリュフのリッチな甘さに悩殺されつつ、いざラヴィオリを口に含めばモチっと歯応えに続いて生地の持つ粉の旨味が広がり、中から溢れ出す嶽きみ優しい甘みとビーツピュレの酸味が生地の味わいをより引き立てている。 ●七戸金子ファーム産 牛肉のビステッカ 七戸金子ファーム産牛肉のサーロインを使用。 中心から外側に向けて熱が通る火入れで、牛肉の旨味をギュギュっと閉じ込めている。 表面はカリッとしているが肉の内部はナイフの刃がすーっと入るほどに軟らかく、赤ワインをベースにしたシンプルな味付けなので、素材の味がストレートに五感を刺激する。 添えられた自家農園でとれた濃厚な香りルッコラの苦みがアクセントになっているのが実にいい。 ●自家製のチーズ盛り合わせ イタリア産トリュフを用いたカチョカヴァロ、白カビタイプ、ウォッシュタイプなど幅広い種類のチーズをひとつのお皿の上に。 食べ比べが楽しく、途中でトリュフが香るアカシア蜂蜜と共にいただけばチーズの奥深さを感じることができる。 ●ティラミス 彩りも鮮やかな烏骨鶏の卵を使用したティラミス。 キウイのチップスのさっぱり感と濃密なクリームのティラミスの甘さがマッチする。 ●自家製ミントティー 自家農園のハーブを使用したミントティー。 フレッシュハーブの香りが食事の時間をより心地よい時間にしてくれる。