『2017年 タベアルキスト和久井の印象に残ったこの10軒』 10軒目 創業は2000年。地元・北海道産のとびきりの海の幸と築地などの魚河岸から仕入れた旬鮮な食材の両方の持ち味を存分に愉しむことができる鮨屋。 ご主人の中港大将氏は、札幌の「すし善」、東京・天現寺「笹岡」での修行後に2代目として店を継ぎ、先代のお店「港寿司」から場所を替えて「鮨みなと」をオープン。 店内はカウンター席のほか個室や座敷などで構成されており全部で90席もある大箱。 凛とした趣溢れる空間ながらもアットホームな雰囲気が流れ、一見客としても居心地の良さを感じさせる。 鮨は、江戸前鮨ならぬ蝦夷前鮨。 江戸前の粋と蝦夷前が融合された鮨は、江戸前の伝統的な細やかな職人の技により心に残る味へ導く。 ●松皮鰈 どこまでも上品で淡白。 くりっとした歯触りと、さっぱりとした食味の中にもほのかな甘みとざわめくような旨みがあり、口中から消えても後味が残る。 ●ボタン海老 濃い甘みが強く且つねっとりと舌に絡みつくような官能的な口当たり。 1日氷の上で寝かせることで、この強い甘みが引き立つ。 ●中トロ ほど良い脂のりの中トロは、グラデーションの美しさがある。 脂や赤身の酸味が溶け合い、噛み締めればコクある脂と深みをしっかり感じる。 ●北寄貝 軽く炙って供される。 蠱惑に満ちた香りが鼻腔をくすぐり、繊維質を噛み切る食感がよく、艶やかな甘みを含む汁がほとばしる。 ●鯵 淡路 釣り鯵 美しい飾り切りが施された鯵。 葱をすりおろした薬味がアクセントに。 強めに〆られた肉厚の鯵は口に入れると上質な脂の甘みがジュワッと広がり爽やかな酢の香りが後を引く。 ●毛蟹 噴火湾 軽くボイルした毛蟹は蟹味噌をのせて供される。 口に入れればみずみずしくも繊細な舌触りとほのかな甘みと甲殻類の旨みの詰まっている。 蟹味噌の濃厚さも言わずもがな。 ●バフン海胆とムラサキ海胆の小丼 余市産のバフン海胆とムラサキ海胆のスペシャルな小丼。 口に入れば広がる濃厚さとクリーミーさがあり香り高く甘み旨みの余韻が長い。 バフン海胆とムラサキ海胆の良さが重なってえも言われぬ至福の味わい。 ●イクラ軍艦 新物のイクラ。 噛めばプチッと弾け、ほろりととろける舌ざわりと、鮭の卵ならではのまったりとした 食味に出会える。 ●穴子 対馬 皮目を炙って脂の旨さを引き出した穴子。 ふっくらとした口当たりのあとにまろい舌触りが広がる。 噛み締めれば穴子独自香りが鼻の奥に抜ける。 ●干瓢巻き しっかり味付けした昔ながらの干瓢は、香り高い海苔でいただく。 ほっとする甘辛さは〆に相応しい。