Masayuki Wakui

Masayuki WakuiさんのMy best 2016

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1

東京都

寿司

Masayuki Wakui

『2016年 タベアルキスト和久井の印象に残ったこの10軒』 10軒目 四谷荒木町の路地裏にのれんを掲げる鮨屋。 店内はいまや貴重な木曽檜を使ったカウンターに、細かい仕様が見て取れる格子戸など拘りが伝わってくる。 特に、直接現地の仲買の方と交渉し、直送してもらっている雲丹に関しては絶対的な自信をもっている。 この日は、旬の雲丹の協演。 幻の雲丹を含め、淡路島由良、北海道利尻、熊本天草、鹿児島阿久根、山口萩の全国各地の雲丹が6種類。 どの雲丹もその土地の個性が現れ、味わいの変化が面白い。 なかでも、今まで味わったことのないインパクトだったのが、北陸の某エリアで僅か2週間の漁期で漁獲される「秘密の雲丹」 見た目は、薄い山吹色で粒子は細かく身にハリがあるのが特徴。 口に含む前から独自の香りが鼻に抜ける。 ミョウバン不使用で色合い同様に味わいも上品で甘みも淡く、口に入れた途端にとろけるが、潮の香りを含んだ味わいは満足度が高く余韻が心地良い。 次回はいつ食せるかは運次第。 一期一会の秘密の雲丹に、ただただ感謝した。

2

東京都

焼き鳥

Masayuki Wakui

『2016年 タベアルキスト和久井の印象に残ったこの10軒』 9軒目 この道30年以上のベテラン職人が腕をふるう知る人ぞ知る焼鳥店。 こちらは、今はなき池之端の名店「八巻」の流れを汲む店でもある。 大きな団扇で扇ぎながら肉を焼き上げるご主人の立ち姿は必見。 席は焼き場を囲むカウンターのみで、お品書きには特にお決まりコースは無いが、おまかせで注文すれば食事のペースや好みに合わせ、最高の状態で焼き上げてくれる。 使用する鷄は、新鮮な大山どりと錦爽どり。 丹精には焼かれた串はどれも軽やかな口当たりで、間に野菜串が挟まれることもあって、重たさを一切感じぬまま食べることができる。 なかでも印象に残った串がちぎも。 丁寧に薄皮を取り除き厳選部位のみ供される。 鮮度の良さが如実に表れる艶とハリが食べる前から旨さを想像させる。 レアな焼き加減が絶妙で、口の中で弾ける強烈な旨みと後から追いかけてくる濃厚な甘みは悶絶もの。 また、水分を飛ばしすぎない絶妙な火入れ加減は見事というほかない。 鷄の味わいを存分に引き出した、食べ心地軽やかな職人技の串でした。

3

宮崎県

鶏料理

Masayuki Wakui

『2016年 タベアルキスト和久井の印象に残ったこの10軒』 8軒目 繁華街のはずれに佇む鶏料理専門店。 鶏の味わいも店の雰囲気も、実力がありながら肩の力が程よく抜けているところが地元民を惹きつける。 料理は、宮崎県の名物料理の鶏ももの炭火焼や鶏刺しなど種類は少なめ。 新鮮な鶏肉だからこそできる「鶏たたき」は、レアな仕上がり。 表面を香ばしく炭火で炙り、旨味をギュッと閉じ込め鶏肉を細く刻んで、薄切りの玉ねぎと青ねぎと共に供される。 ひとつひとつの作業全てに対する細やかな心遣いは、まさに職人技。 歯応えはしっかり、香ばしさが鶏の甘味を引き出しプリッとした食感が際立つ。 そして噛めば噛むほどジューシーな肉汁と濃厚な旨味が押し寄せ、噛むほどに味わい深さが伝わってくる。 また、酸味が効いた甘酢ダレの後味のバランスが絶妙。 小さな工夫が随所にきらめく、鶏好きは虜になる鶏たたきでした。

4

福岡県

四川料理

Masayuki Wakui

『2016年 タベアルキスト和久井の印象に残ったこの10軒』 7軒目 福岡市の郊外に店を構える四川料理の店。 コンセプトは、四川の街で食べられている料理をそのまま出すこと。 シェフは、四川料理に心酔し、日本で手に入らない食材や香辛料を求め、足しげく現地へ赴きリアル四川を再現している。 日本人の口に合わせるのではなく、できるだけ中国の味を再現したその料理は、少し高級感のあるものから、庶民の味までバラエティ豊か。 頂いたふくよかで奥深い正宗四川料理のなかで特に印象に残ったのが、麻婆豆腐三種花椒食べ比べセット。 麻婆豆腐は異なる三種の花椒を使用。 まず視覚で食欲を刺激し香りが食欲をそそる、そしてひと口ごとに変わりゆく味わいに。 口にしてみると、風味を感じる木綿豆腐は柔らかな舌触りを残しつつしっかりで、粗めに引いた挽肉は旨味も強い。 食べ進めれば、豆豉の塩気にグラデーションのある辛さがじわっと効いてくる。 辛味だけで押してくるものではなく旨味が層を成している深い味わい。 幾重にも広がる辛味と鮮やかな香りが後を引く、唯一無二の麻婆豆腐でした。

5

岡山県

寿司

Masayuki Wakui

『2016年 タベアルキスト和久井の印象に残ったこの10軒』 6軒目 昭和21年創業の西の横綱と称された鮨の名門。 かつては、金に糸目を付けず瀬戸内産の極上のタネを仕入れていたことで地元の旦那衆に愛され、「岡山に名店あり」の噂が全国の鮨通に広まっていったという。 建物は鮨屋らしからぬ風雅な数寄屋造りで、門から玄関まで石畳が引かれ鮨屋の象徴たる暖簾は掛かっていない。 扉を開ければ外観の雰囲気ような敷居の高さはなく、いたって寛いだ空気が漂っている。 握る鮨は凛とした風情が漂う瀬戸内海の旬を活かした江戸前鮨。 18貫食した中で特に印象に残った一貫が、独創的なフォルムの「どんちっちアジの握り」 どんちっちアジは、島根県浜田市のブランド魚の名称で、島根県西部沖でまき網漁業で水揚げされたマアジの中でも平均脂質が10%以上で重さ50g以上のマアジのことを指す。 ただの脂ののったアジではなく締まりがあり、豊かな表情と海の味のする軽やかなアジである。 その特徴は、タネの表面からは数ミリほどの乳白色の脂の層がくっきり見えるほど。 口に含めば、とろんとした舌触りで途端に表面の脂が溶け始め軽やかなシャリと渾然一体となる。 穏やかかつ凛とした風情と味わい、鮨好きを感嘆させる鮮烈な握りでした。

Masayuki Wakui

『2016年 タベアルキスト和久井の印象に残ったこの10軒』 5軒目 繁華街の狭い路地裏に佇む昭和33年創業のホルモン専門店。 創業以来、広島ホルモンを牽引してきたお水でもある。 店内は大きな鉄板を取り囲むようにカウンター席が広がり、食欲をそそるホルモンが焼ける香りが充満している。 メニューは、ロース、カルビなどの定番から、広島名物のコウネをはじめ、白肉、ヤサキ、ビチカブといった珍しい部位まで揃う。 看板メニューは、新鮮なハチノス、センマイ、キモ、アブラをネギ、キャベツ、玉ねぎと共に厚い鉄板で豪快に焼き上げる「おまかせホルモン焼き」 酸味を感じる特製味噌ダレをつけていただけはクセになる味わい。 ハチノスはクニュとした弾力で、センマイはコリコリとした食感が楽しめる。 キモはサクッとした歯触りで臭みは抑えられ濃厚な味わいで、アブラは脂身が甘くプリプリの食感で、旨味たっぷりの脂が染み出てくる。 噛めば噛むほどに旨味が染み渡る、一度食べると病みつきになるホルモンでした。

7

山口県

居酒屋

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『2016年 タベアルキスト和久井の印象に残ったこの10軒』 4軒目 古い呑み屋街の一角に店を構える昭和27年創業の大衆酒場。 地産地消を心がけ変わらない味を提供し続けている、昭和の香り漂う地元密着の店でもある。 ウリの魚介類は、萩や地元の漁師から天然のみを直接仕入れるこだわり。 なかでも天然とらふぐを使った料理は豊富で、ふくさし、ふくちり、ふくゆびき、ふくせごし、唐揚げ、ヒレ酒などが並ぶ。 尚、下関辺りでは、フグは不遇になるので、福と掛けてフクと呼び、高級割烹から大衆食堂まで提供している。 「ふくさし」は、大皿に美しく敷き詰められている。 一般的には皿の模様が透けて見えるような薄切りがフグ料理の技と言われているが、こちらのふくさしの身は厚めに捌かれている。 薬味はもみじおろしと鴨頭ねぎ。 ちょっとポン酢に落とし口に入れ噛み締めればふぐならではの強い食感が訪れ、時間差でじわっとふぐの何とも言えない甘さが追いかけてくる。 まさに天然ふぐの味は、一度知ってしまったら禁断の味。 こぢんまりとした店ならではの温かい心配りとふぐの贅沢な余韻に浸れ、自然と顔がほころびました。

8

沖縄県

居酒屋

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『2016年 タベアルキスト和久井の印象に残ったこの10軒』 3軒目 繁華街から離れた路地裏にひっそりと佇む、沖縄では珍しい本格割烹料理屋。 店内は、こぢんまりながらも清潔感溢れるシンプルかつスタイリッシュな雰囲気。 料理は、沖縄らしいものは皆無なので一般的な観光客には向かない印象だが、ひとつひとつ細やかな手仕事が効き舌がほっと休まる味。 特に、酒肴が充実しているが、カウンターの上には大鉢に惣菜も並んでいる。 刺身、天ぷら、焼き物など一通り頂いた中で、なかでも印象に残った逸品が「さんま炊き込み飯」 こちらのものは焼いた秋刀魚の頭や骨を入れ出汁を取り、さらには肝も入れて炊き込んでいるので秋刀魚の醍醐味をストレートに感じることができる逸品。 ご飯からは湯気と秋刀魚の香りが充満し、脂たっぷりの身を味わえばジュわ〜っと口の中に旨味が広がっていく。 また、お米の炊き方が絶妙で、噛むほどに旨味が倍増し余韻が長い。 日本人の心を揺さぶる、秋の味覚の代表秋刀魚と新米の組み合わせは、米の隅々まで旨味が染みわたる傑作でした。

9

東京都

居酒屋

Masayuki Wakui

『2016年 タベアルキスト和久井の印象に残ったこの10軒』 2軒目 路地裏に佇む四季に応じて北海道の海の幸が充分に楽しめるお店。 海産物は全て北海道から空輸で直送していおり、本物の味が並ぶ。 その内容は、ホッケ、イクラ、タラバガニ、ツブ貝等々北海道ならではの珍味の数々。 名物は北海道の冬の風物詩鍋「かじか鍋」 美味しすぎて鍋底をつつき壊すほど箸が進むとの意から"鍋壊し"との別名を持つ。 北海道の鍋といえば、かに鍋、鱈鍋、石狩鍋、三平汁など鍋がたくさんあるが、一番の美味とも言われる。 かじか鍋には、身の部分だけでなく頭や胃袋、ヒレなども余すところなく投入され、味噌で味付けされる。 冬が産卵期なので、小さなオレンジ色の卵も。 淡白な身は筋肉質でぎゅっとしまった歯応えがあり、皮と身の間は特にプルプル分たっぷり。 アラをしゃぶると、身がかたまりでホロホロと取れてくる。 美しく輝く肝は深いコクがあり、鮟鱇の肝以上の深い味わいと旨味。 また、白菜、長ネギ、エノキなどの野菜が、出汁をたっぷり吸ってこれまた美味。 濃厚で後を引くスープとプリプリの身が渾然一体となり、抜群のハーモニーを生み出した他の魚介鍋とは一線を画す絶品鍋でした。

10

大分県

寿司

Masayuki Wakui

『2016年 タベアルキスト和久井の印象に残ったこの10軒』 1軒目 豊後水道の新鮮な魚介類を使った料理が食べられる海鮮料理屋。 大分県の郷土料理「琉球丼」発祥の店と言われるお店でもある。 琉球丼の由来は様々あり、琉球の漁師から調理法を伝えられたという説や千利休に由来するという説など諸説があるという。 こちらの琉球丼は鮮度抜群の関アジを使用。 鮮魚の半身を、醤油や生姜などの入った漬けに浸し、それらをしそや青ネギなどと一緒に酢飯にのせ供される。 丼にぎっしり敷き詰められた銀色にきらめく関アジは薄切りだが、驚くほどコリコリの歯応えが特徴。 頬張った瞬間、早速関アジの香りが弾け遅れて本来の旨味が押し寄せる。 関アジの上にたっぷりのったネギや大葉の香りがその味わいを際立たせ清涼感を演出。 酢飯は風味豊かで、キリリと立った酸味が関アジの個性をより引き立てている。 酢飯の酸味と関アジの旨みとが絶妙に調和した、元祖の名に恥じない琉球丼でした。