友人の転職祝いに、ずっと気になっていた神泉のオルランドさんへ。渋谷や池尻大橋からも全然歩けます。 パスタ、ドルチェ、ドリンク以外は最初に頼んでおくスタイルで、次のような流れに。 ・ヴィテッロトンナート ・シラスと青唐辛子のフリッタータ ・トリッパの煮込み ・牛ヒレ肉の生胡椒ソテー ・マッケロンチーニ ポモドーロ ・ブカティーニ カーチョエペペ ・ティラミス ・ピスタチオのパンナコッタ ・コーヒー シンプルにしてダイナミック、されど繊細。寡黙なシェフの繰り出す一皿一皿に唸りっぱなしでした。カウンターだったので、その鮮やかな技に何度も見惚れながらあっという間に2時間半が過ぎます。 前菜から予想の2倍くらいのポーション、仔牛肉の絶妙な味わいとトンナートソース、そしてそこに加わるオリーヴオイルの香りが堪らない。そういえばここはヴォリューム凄いというコメントが複数あったっけ。続くフリッタータは一皿ずつ丁寧に仕上げられ、シラスの柔らかな風味と青唐辛子の穏やかな辛味、そして卵のほっこりとした味わい。そして大ぶりに切られたレモンを搾って完成する一皿なのです。こんなに美味しい卵料理食べたのいつぶりだろ。最後のトリッパの煮込み、とろとろに煮込まれたトリッパはもはや原型を保っているのが不思議なほどに柔らかく繊維が解れ、煮込むトマトソースも野菜がほろほろに崩れており甘く優しく染み渡る。最高。 このタイミングでパスタを頼んだので、セコンドピアットの方から到着する形に。牛ヒレ、塩をしている段階からこぶし大の塊肉を見て「え、2テーブル分だよね…?」と思ってましたが塊2つともうちの分でした(驚愕)。こりゃ食べれるのかな、と度肝を抜かれましたが、ロースト(多分)された後にマルサラ酒と生胡椒の効いたソースの旨味を存分に吸い上げた牛ヒレは繊維すら感じないほどにふわっふわ、レアの赤身の旨味とソースの馥郁たる味わいが渾然一体となり口へ届きます。これ、間違いなく現時点で人生最高の牛ヒレ肉でした……。ちょっと感動しすぎてしばし茫然自失。自家製パンでソースを拭いたいところでしたがパスタ2皿頼んでいるのでぐっと堪える。 パスタ。マッケロンチーニは水を使わずセモリナ粉と卵だけで練り上げたパスタで、ポキポキした歯触りが楽しく、そしてシンプルなポモドーロソースが抜群に美味い。トリッパもそうでしたがシンプルだからこそ違いが出るのでしょうね。そしてブカティーニのカーチョエペペもチーズ好きには堪らない塩味と香り。 既に腹10分目でしたが、ドルチェまで行ってしまいました。ティラミスも「え、4人前?」という驚愕のポーション、しかししっかりと苦味が効いており盤石の仕上がり。そして断面が美しい…。ピスタチオのパンナコッタはしっかりと濃いピスタチオの香りが活き、かつまさに「調理されたクリーム」の名を冠するに相応しい濃縮したクリームの味わい。ガラス容器に入ったものを皿に開けてくださってるのですが、底面のカラメルに近い層はより濃縮度が高く、上層の滑らかな質感とコントラストを楽しむこともできる。こんなにも正統派かつ美味しいパンナコッタを次いつ食べられるのでしょうか。 とにかく言葉を失うほど絶品な、孤高の皿が続きました。2人で6皿+ドルチェは相当にヤンチャしてしまったので(笑)、次は4名程度で伺えればと思います……ヘヴィー級の感銘でした。