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akira iさんのMy best 2020

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フランス料理

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【相変わらずイナキ・エズピタルトは最高だった。】 インスタにシャトーブリアンの写真をアップしたら、早速二人のシェフからメッセージがあった。一人はトレフルの井上さん、もう一人は料理人のYamatoさん。 二人とも、イナキの料理に魅せられその厨房で働いていた中の人だ。井上さんは写真を見て”かっこいい。そうあるべきだなと打ちのめされた気分です”と言い、Yamatoさんは”イカの料理を見て久しぶりにゾッとした”と言った。イナキが何をしているかをよく知っている二人。シャトーブリアンの料理は非常に手の込んだことをしているのに、それを表に見せない。謎の構成要素を持って美味い一皿が完成されていることを、二人はよく知っている。その日に入荷した材料を使い毎日新しい料理を作り出していく即興性と、その完成度の高さ。井上さんから1週間前のシャトーブリアンで食べた人の写真が送られてきた。それは私が食べたものと完全に異なる料理と盛り付けと構成で笑ってしまった。 2回目のシャトーブリアンは以前よりも増して、凄みと驚きと、楽しさで満ち溢れていた。 「正直そういうお店だから全部が全部、100点の皿というわけではない。微妙だなと思う皿もあるけれど、この店がすごいのは、そういうネガティブを吹き飛ばす傑出した皿が、産み出され存在することだ」と井上さんはいう。私もそう思う。 そっけないパヴォの実を撒いた濃厚なグージェールと、アイコンであるセビーチェの強烈な酸味と辛味。いつものシャトーブリアンの始まりだ。次に来た羊とネギの春巻きは、やたらと塩辛くてちょっと大丈夫か?と心配になるが、後から考えてみればここのバランスは何か哲学的な意図ではなかったかと思わずにはいられない。 この後の料理の全てが、恐ろしく完璧に整えられていた。薄くスライスしたマッシュルームに隠されたカニからが本番だった。ダックのブロードとラビオリ。イカの下に敷かれたチョリソのジュ。食べ進めるにつれてその複雑さと多様なテクニック、一皿に詰め込まれた多量な素材を解き明かすことすら困難だ。 この日のボラとアーティチョークの皿はまさにその、傑出した皿だった。それは以前Yamatoさんが作った”人妻の火入れ”と似ている。ミキュイされた魚とアーティチョークのテクスチャーが一致していて、とんでもない一皿だった。こんな魚料理は食べたことがない。この皿のキラキラしたソースはなんですか、とYamatoさんに聞かれ、メニューがなくなっててわからないけど多分柑橘系、と答えたら”きっとそれは昼下がりの麗らかな木漏れ日だ、と彼は答えた。 メインは鶏、モモと胸と肝。アンディーブなどが、どう調理したかわからないパリパリしたレタスに包まれ隠されている。甘くやわからく、奥が深い。上質なジュに、もう一つ粘度を高めたソースが隠されていた。なんと幸せな一皿だろうか、今フランスで最も印象的なのは素材の味の強さだ。それは野菜も肉も、である。故に、過剰な味付けを必要としない。シンプルに、構成要素の巧さで美味いを引き出す料理が、イナキの料理、でもあるだろう。 デザートはフワッフワのムース。最後に卵黄をキャラメリゼしたプリンの再構築のシグニチャー。ブラッドオレンジにはインドのフェンネルシードがまぶされていて、最後の最後まで、ああ、本当に。素晴らしいと。 これは、ただ美味しいと食べる料理とはもう違うベクトルにあって、美味しいのその先、なぜ美味しいのかという謎かけと哲学であるのだ。 素材のどの部分を見せるのか。そこから引き出すのはどう言った味わいか。そういうものを構成して一つにまとめ上げる料理。 「材料は決まっている。 まだ熟れきっていない早いトマトの魅力をどう伝えるか。 そう。そこに焦点は行きがちだが、違う。 何を食べさせたいか。トマト?? そんなことではない。それはもう時代遅れの料理であり存在価値がパリにはない。」とYamatoさんは言う。 例えばそう言った発想から生み出されていく料理である。本当に、素晴らしい。革新的料理として取り上げられたこのレストランは、さらに進化していたことに驚いた。相変わらず、イナキエズピタルトの料理は最高だ。 最後にシェフと少し話をした。Yamatoさんがよろしく言ってましたよ、と言ったら”奴のベビーは元気かい?”と優しく笑った。 やはりこのレストランは、最高だ。たとえ万人に受けなくとも。愛すべきチームがあって、自由で、楽しませようという力で満ちている。 驚きの一皿にまた出会うため、私はまたこのお店の扉を開くのだろう。

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【 魅惑の55ユーロデジュネ 】 2016年からスタートしたLarcaneは、2018年に待望の星一つを獲得。当時のレストランは現住所とは異なりまだ小さな、路面店でした。2019年に場所を現住所と移し、その徹底的に整えられた快適な空間は、もう一つ星を獲りにきているのだろうと思えます。 サクレクールの北側の袂にある素敵なレストラン。店内はかなりの高級感です。ワインリストを全ページめくり、一番安いボトルワインを探します、こういうところは変な見栄は張らない主義。堂々と35ユーロのブルゴーニュ、白ワインを注文です。ヴィエイエヴィーニュだから30年以上の古木のシャルドネ100%。適度な膨らみがあって美味い。こういうワインがあるところが一つ星のいいところ。 アミューズブーシュは想像以上に柔らかくて思わず手元で破壊してしまいました。濃厚チーズのタルトです。お皿汚してごめんなさい。 アミューズの二つ目はトラウトエッグ2種と、貝のムース。この貝の盛り付け!シェフはスイス人だったことを思い出しました、緻密な機械時計を得意とする精密国家の威信か。とにかく貝がエロい。これとトラウトエッグにブル白です、どうしましょう。どうしたら良いのか。うますぎてクラクラする。 ポワソンはホタテ。その上に薄く薄くスライスしたアボガドに小さな小さなレッドオニオンがあしらわれております、緻密!サイドを固めるのはラビオリ。ラビオリの下には粘度の高いアヴォカドがありまして、一皿の中に2種の味混合です。完璧に美味い。 パン二個目、出てきました。4種から選ぶのですがどちらも最高級に美味いです。ブーランジェリーのパンを凌駕してきます確実に。 メインは豚肉。この豚肉とビーツの料理、ソースをすぐかけちゃったので写真映えしませんが、ソースは後がけ。かけるところ写真撮らせてほしいですが、そういう矜持はフランスではあまりないのかもしれません。で、肉に対して付け合わせが5-6種類ほどあって、いろんな味を変えながら楽しめる素晴らしい逸品でした。エマルジョン化したソースも今回、ここで初めて出てきたなと。野菜を細かく刻んだコンカッセが付いているのもいいです、パスカルロニョンがこれをやっていて”フレンチはゴミを出さぬ”とおっしゃっていたのを思い出しました。 これと同時に出てきたこの、黒い玉が乗ったソース的なものですが、これがまた、どえらい美味い。黒い玉は野菜で包んだ内臓っぽいもので、脂のある部位です。この出し方、グランヴェフール風。実際コースは前菜、魚、メイン、デザートですが、サイドが結構あるので満足感がすごい。 デザートも、別添えられたゼラチン的なものがあり、ザクロでひもつけされています。甘み、酸味、とハーブ感があり全体の流れとして素晴らしい完成度でした。 もう、非の打ち所がない。と思っていたらプティフールまでしっかり4種類。カンペキ超えてきた。 ここまでずっとガストロノミー寄りの料理を食べてきたのでこういった、しっかり目のフレンチは丁度よかった。ただしこれが続くときついし飽きてくるなというのも正直なところです。とにかく、カンペキに最後まで美味しいし、量的にも充分というかこれ以上食べられん。 すこぶる良かった。想像以上に良かった。あまりに良かったのでシェフの経歴を調べてみたけどあまり情報がない。やっとたどり着いたのはフランスのラリスト、2015年版で世界1位を獲得したスイスローザンヌの三つ星、ブノワ・ヴィオリエを師としていたこと。彼のキャリアはここのコミから始まり5年間で部門シェフまで登りつめています。奇しくも、ブノワ氏は2016年に44歳という若さで他界していて、天才シェフと言われたブノワ氏は、どこかベルナールロワゾーと重なるところがあります。独立直前はランブロワジーのセカンドだったヘキサゴンでソースシェフ。ランブロワジーといえばかのドラマで最近注目されている押しも押されぬパリのトップレストランです。そういった系譜の中にあるLarcaneというレストランでした。 パリは結構平均価格が高いので、しょうもない店に行ってもすぐに30ー40ユーロくらいになるんですよ。それを考えるとレストランのでジュネのクオリティの高さと対コストを考えるとすごいお得なんですね。(ボトルワインもそうですが)但し、確実にこれだけしっかりしたランチをとると2時間くらい使いますし、感覚的には移動も含め半日くらい潰れます。観光したい人とかにはやや向かないのかもしれませんが、”食べることこそ本懐!”という人には本当にオススメで、幸せな1日がこのランチだけで十分感じられるのがミシュラン星付きの素晴らしいところです。 いい気分で階段を上るとそこにサクレクール。パリを一望し、大満足。

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京都府

中華料理

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【 私はこう言ったレストランを、見たことがない。 】 見たことがない、というのは香港や上海、台湾や広州等の中華圏で、の話である。およそ私の経験から、こう言ったレストランは中国にはないのではないか、と思っている。 少なくとも、私は香港の投稿数が36件あり、広州に至っては投稿数トップ。これまで、かなりの日数をかけて、中国の中華を食べ歩いてきたと思う。昨年私は、モダンチャイニーズに関して徹底的に調べたのだが、基本ワンオペで他者を介在させない事により、更なる高みを目指す。という方向性に行くのは、どうも日本人だけではないだろうかと思っている。 「私がいない時に同じ料理が出せなければ、そんなものはオンリストできないと言われたので、ホテル時代はコンベクションオーブンなどで誰でも常に再現できるようレシピを落とし込んでいくのが大変でした」とシェフは言った。通常こう言ったファインダイニングになればなるほど、部門シェフの分業となりトップシェフはプロデューサーになっていく。 要するにこのレストランは、シェフの確実な調理技術をベースに創造性、独創性をふんだんに盛り込んだ料理を出すお店である。隅々にまでシェフの美学のみで成り立っており、そこには一切の妥協がない。昼の12時にスタートするために、コースにおける様々な食材を”一番いい状態で出す準備をする”ことが、どれほど大変な事かは想像に難くない。 しかし、その最終調理過程は本当に見事なものである。破綻がない。流れるような作業でそれらはサーブされてゆく。毎日これほど集中して、張り詰めた調理をこなしていくことが信じられない。といったら、シェフはにっこり笑っていた。 故に、この感動的なお皿が生まれるのである。明らかに手間暇をかけられ、丁寧な仕事をいくつも積み重ねて仕上げられた一皿一皿は、驚きと、感動と、快楽に満ちている。 ひとくち、口に含んだ時に背筋がゾワっとするお料理がいくつもあった。本当にゾクゾクする。気を衒ったところはどこにもなく、とても素直であるが故、その料理への真摯なアプローチが際立つ。 美味しいって、結局なんだろう?というシェフの一つの答えの発露である。油分、水分、塩分、酸度、粘度、糖度、テクスチャー、それらの様々な要素を見事にまとめあげて、尖ったところなど一つも無く驚くべきほどスムーズでありながら、それが極めて官能的であるのは、全てにおいて過不足がなく存在しているからであり、ほんの些細なバランスが崩れただけで成り立たなくなるであろう繊細なものである。 潤沢な知識と経験、化学的な知識と瞬発力、そして直感的な想像力を、想像通りに再現してみせること。これはもはや、センスである。努力の上に成り立つ味に、センスがなければこうはならない。 この日は貸切だったので、メニューはこの季節ならではの上海蟹とフカヒレスペシャル。私は毎年中国で上海蟹を食べていて、今年は食べられないかなと思っていたのだけれど。上海蟹は、日本のファインダイニングで食べた方が圧倒的に美味であり、その多彩な調理法でサーブされる料理は、中国でもなかなか見かけないものばかりである。 長いカウンターに落とされた8つのピンスポットライトに照らされ、美しい皿の上に料理が展開されてゆく。その、全ての料理に私は感謝しかない。

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兵庫県

ビストロ

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【 パリだから。に込められた意味 年末トレフルー1 】 私の愛するレストラン、トレフルが10月から二人体制となりました。満を持してワクワクのディネ。「どうしてランチの賄いを、いつもわざわざ店の外にテーブルを出して食べているのか」と尋ねたら「パリだから」「お店の前はすでにパリ」「地域民にここはパリという教育をしている」「怪訝な顔で見られる」「そのうち怒られそう」という答え。 そう、このお店はフランス料理店、ではなくパリのビストロ。日本人がフランス料理で思い浮かべるのはグランメゾンのお料理のイメージが強いかと思いますが、パリにはいろんなお料理があります。あの街は面白くて、どうでもいいようなレストラン、言うなれば、実は美味しくないレストランが殆どです。美食の街!と期待して出かけていた頃が懐かしくなるほど、パリで美味しいものにありつくには、それなりの経験と情報力がいると思います。 今年の2月にパリで食べ歩きをしました。思えば今の所あれが最後の海外渡航で、その時に私はこの二人のシェフに、パリで行くべき店を教えてもらいました。それらのお店はやはり、短期滞在で、インターネットで情報収拾したものとは全く違うところにあって、パリの酒場で今話題のお店だとか、あそこは凄いよね。とか、そういった感じで。例えばワインなんかはもう、言い方は悪いですがボルドーやブルピノの味はわかっちゃっててみんな飽きてて、みんなヴァンナチュールに夢中なのは、美味しくて、楽しくて、そこには冒険があって、美しいバックストーリーがあるからだと思います。工業生産品ではない、不確かな、誠実さ。 そんなわけでですねー。まあまあパリの最新情報で作った私の味覚で(大したことないんですけど)パリ、を最も感じられるレストランなんです、トレフルは。二人のシェフはセプティームのベルトラングレボーにしごかれ、シャトーブリアンのイナキエズピタルトに、徹底的に鍛え抜かれた人たちです。個人的には賛否両論あるレストランだと思います。好きな人はめちゃくちゃ好きだし、ダメな人はダメだと思う。私は、パリで食べたレストランの中で、やっぱりシャトーブリアンが一番好きなので。そう言ったレストランのアプローチだとか、料理への考え方が好きな人には、トレフルは天国です。そして、パリそのものでもあります。 エポールジュテ、ロワールのナチュールブリュットの淡い泡と、柔らかなポタージュからスタートしました。裏六甲の10キロ小猪に味噌と黒にんにくはとても美味しいのですが見た目通り。秋鹿を合わせてきたのは少し残念です、そこはワインでもっと際どく行って欲しいな。 イカスミリゾットと白子は柑橘系と何らかのテクスチャーが混じっていて、コメはイタリアのリゾット用カルナローリ米(リゾーニパスタではなく米です)を篠山から入れておりなかなか。米の弾力が独特でなかなか。合わされた開栓後5日目のコートドニュイのブルピノが、ガメイかと思うほど新鮮に甘く揺れてました。まあここまでは正直ふーん、って感じだったんです。このペアリングでは際立ってワインのうまさの方に気を惹かれてしまいました。彼らにはもっと期待している自分が完全にいたわけです。 次のポワソン。これ。もう本当に凄まじい料理でした。2月のシャトーブリアンで私が”傑出の出来”と評したボラとアーティチョーク、あの感動と同じく。マナガツオとマグロのアショア。「我々二人とも、師匠はバスク出身だから」というバスク地方料理だそうですが。上に乗せられたのは三木のアルジェリア人の畑の駐車場で抜いてきた雑草。スベリヒユだそうな。もう、なんという美味い料理か。バサるマグロと粘質なマナガツオに、鮮烈な雑草とスープ。これ。この一皿があるからトレフルは素晴らしい。どこのレストランでも見ない一皿。トレフルと、シャトーブリアンでしか見たことがない。凄い。構成要素も考え方も、自分の経験から最も遠い場所にある料理。野菜のジュとフォン、知覚できないほどに混入されたミックススパイスとビネグレット。オーガニックの野菜の、パワフルで幅広い味わい。恐ろしい、、、なんと恐ろしい一皿! 合わせたのはアルザスのピノブラン。これがまた濃い色の濃厚で、300年の歴史を持つアルザスでも最高のテロワと言われているマルククラインデンです。アルザスワインは今大注目です、ブリブリアロマにクラクラする。 あ、なんか長くなってきたから二つに分けます。

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【星を掴んだ、かわいい女性】 ちょうどこのレストランに行く前日、最新版ミシュランでパリの2つ星、Keiが三つ星になったニュースが流れてきました。日本人初のフランスでの三つ星という偉業達成です。その前年、もう一人。パリの日本人で話題になったシェフがいます。 Virtsuシェフ、神崎千帆。2019年にパリで一つ星獲得。それは、日本人女性としては初めてのことでした。これは本当に凄い事で、言うなれば”ステラマリス”の吉野建やSolaの吉武さんと肩を並べたって事です。パリでの星一つは、日本のそれとは少し訳が違います、圧倒的に格が高い。そして何より興味深いのが彼女の最終経歴があの、南フランス/マントンにある三つ星、”ミラズール”のスーシェフを務めていた、と言う事です。 最新の世界50ベストレストランの頂点を掴んだ、あのミラズールのスーシェフを3年間務めたわけです。これは凄い意味があって、そもそも三つ星(当時は二つ星でしたが既にベストレストランでは上位だったので既にスターシェフだった)レストランのシェフというのは大変な忙しさで、厨房にいないことも多いわけです。要するに、スーシェフはシェフドキュイジーヌと同じことができなければならない、しかも完璧に。という意味です。 神崎さんがスーシェフになった当時、ミラズールはひとつ星。その翌年2つ星になり、2019年ようやく三つ星へ。ミラズールがここまで来れたのは当時のスーシェフ、神崎千帆がしっかりと店を支えていたからに他なりません。実際ミラズールのマウロ氏が3つ星の授賞式で「ずっと僕のところで頑張っていてくれていた千帆とマルセロの店が星を獲得して嬉しい」と言ったそうです。 もはやスーパースターシェフといってもいいかと思いますが、厨房から出てきた神崎シェフは、本当に可愛らしい、柔らかな女性でした。公私共のパートナーでもあり、ミラズール時代から一緒に仕事をしている元パティシエのマルセロさんと仲良く写っているいい写真が、このお店の雰囲気を物語っていますね。 Virtusのオーナーは建築家のMarcelo Jouliaさん。もちろん彼のデザインの店舗であって、そのゆとりある設計は内観、外観ともに2つ星も狙えるクオリティを備えており、実にモダンでしゃれています。いいなあ。 さてこの日のデジュネはお試し30ユーロのコース。 アミューズブーシュはマルセロさんのピザ生地を焼いたもの(マルセロさんはいつかピザ屋をやりたくてやたら生地に凝っているそうです)にソース。前菜にヘダイ、ミカン、コールラビ。 メインがボラ、パセリ、フダンソウ。デザートにパッションフルーツ、ココナッツ、ヨーグルト というものでした。ああ、勿体無いことをした。デギュスタシオンにしておけばよかったです。星一つで30ユーロとかえらく安いなあ、と思ってたんですよね。ここら辺が星一つの日本の感覚とパリの感覚の違うところですね。ワインペアリングは20ユーロ、最初に日本酒が出てきてしまいました。メインに白、デザートに貴腐ワインという構成です。これも珍しい。 ああ、これはフランス人と勝負しているな、と感じます。明らかに日本人向けではなく、日本人以外へ向けたメッセージ。極めて上質な魚料理。軽やかで瑞々しく、一体感のある前菜。メインのボラも素晴らしいキュイと、フダンソウの力強さ。ボラは一本釣りのものを、野菜は契約農家から。ということで、上質な素材感たっぷりでした。こういった鮮度が高く上質な魚料理というのは、いまのパリの現代的な流れなんだと思います。一本釣り、活け締めといった技術での魚の扱いは、フランスではごく最近、日本人から学んだことなのですから。 Virtusに行く人は是非、デギュスタシオンのコースで。ペアリングでは日本酒を外してもらいましょう。 さて、彼女が師事したミラズールのマウロシェフ。実はベルナールロワゾーの最後の弟子、でもあります。彼が亡くなる前の日まで一緒にいた人。その次にアランパッサールのアルページュ。野菜からスタートして総料理長まで上り詰めました。最後にサロンも見ておきたくてアランデュカスのプラザアテネ。なるほど、ミラズールがここまできた理由にも納得です。その、系譜の一番最後にいるのが神崎千帆シェフ、だと思うと、この先も楽しみでなりません。 ”星に憑かれた男”、という本があります。ブルゴーニュ、コートドールのレストランで三つ星を撮った男、ベルナールロワゾーの手記です。彼が生み出した水の料理は現代においても革新的で、彼が生み出した技法や思想こそが現代フランス料理の一つの本流になっているのを、ご本人が見れなかったのは至極残念なことです、彼は本当に天才だったのでしょう。コメント欄に続きます。

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兵庫県

中華料理

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【 沢山の、ヒ、ミ、ツ。】 一皿目、ミル貝と山ウドのミル貝が、もうやたらと美味いので聞いてみた。 「シェフ、このみる貝の処理は、どうやったんです?」 「うっふっふ、ヒミツです。後ほど3時間ぐらいかけてご説明しますよ、ウッフッフ」 福星。台湾に行ったミルニュイ二人のお気に入り。中華とビオワイン、というテーマのお店であります。昨年より私の中で大躍進中のモダンチャイニーズ枠のお店にワクワクしながらフェードイーン!(ライディーン!)お店は外観そのまんまに、超シャープキレキレな内装です。無駄な空間しかない非効率。ゴワゴワコンクリートのスケルトンに、幅広のカウンター。 「当店はメニューはございません。お飲み物はどうされます?」「ぬお、どうしよう」「ペアリングなら12800円です」(おおお、そうだよね、この感じ結構ペアリングとるよねぇ、、、でも一応聞いてみよう)「えっと、ペアリングはお酒だけのねだ、、、」「いえ、料理と込みで。多く飲まれたら少し増えますが」 「問答無用、ペアリングでお願いします。」(リラックスインザ、中華) そんなわけで、ノンドサのシャンパーニュからスタートです。ノンドサージュってところでこのお店がどんなものを出してくるか、想像できますね。次のクラゲの頭とやまくらげ、黒酢仕立てにはノンラベルの3年もの紹興酒が出てきました。糖度が少なくていい、というとグフフ、鋭いですねと言うシェフ。ワンオペながら接客もなかなかお上手なんでございます。 さて。次の一皿の菜の花の北京マスタード、港式蜜汁叉焼、ピータン+梅ジャム。ワインはロワールのガメイ+グロローのビオロゼです。夢のような一皿。特にこの港式叉焼の出来栄えたるや!上海の2つ星なんか目じゃないし、香港でもこのような叉焼は食べたことがありませんと言うのも、現地的には甘味を前面に押し出す料理であり、また肉がもっとしまっているのです。強烈なインパクト。 そしてピータン!香港、鏞記のピータンが別格でしたが、少なくともそれと同等かそれ以上。崩して食べるのですが、ピータンのネガティブなところが一切ない洗練された旨味の塊。カリカリした食感を残す梅のソースと相まって、素晴らしい出来栄えでした 丹波どり+フキノトウの春巻き。「揚げたてです、騙されたと思って2分待ってから食べてください。まだ中で油が踊ってるので、落ち着いてから。ふっふっふ」と言い去っていくシェフ。楽しい。ワインはこれもロワール、しかしながらものすごいレア系なムロンという葡萄の白ワイン。1500本しか作ってないマイクロで、変態度満点のビオ白です。ああ、なんて幸せなマリアージュ。思い出しただけで泣けてきました、、、 干した貝柱、カニ、黄ニラのスープ。染み渡るピュアで上質な上湯の味わい。付加される3種の代表的テクスチャーと、さらに巧妙なる多層化に、もうメロメロです、美味しすぎてもう帰りたい。帰らないけど。そして至高のイカ。絶妙なる中華的加熱調理で、セロリとネギの瑞々しさと、フワフワのイカ、そしてイカの上は「エンペラとか内臓とかを全部使って、ソースにしてますこれがキク」という炒め物!完璧なる加熱調理です。もちろん別々の加熱時間ってことです。 ワインはスロバキアのスロボドネって、マニアックすぎる。「色が濃い」といったら「マセラシオンの時に赤ワインのように皮と接触させてるんで、そこら辺の味わいも」と滔々たるワインの説明をするシェフ。凄い!ぶどうはデヴィンとトラミンの50%って、そんな葡萄しりませんでございます、、、インポーター見たらアドレスがヤフー。ゲラゲラ笑ってしまいました。 さて、そろそろ字数制限がヤバくなってきたので駆け足で。赤海老の春雨にはしっかり目だけどキレのある東路紹興酒の女児紅10年です。海老がもう綺麗に包丁が入れられしゅって剥けます。最後にホタルイカの炒飯。たっぷりとホタルイカがはいっており、完全に見事な炒飯でした。どちらも間違いなく永久に食べたい。 あまりにも素晴らしいお料理とそのペアリング、シェフの経歴がもちろん気になりますよね、聞いてみました。「フフフ、オレンジページです。オレンジページは最高ですフフフ」との事。んなわけ、あるかい。と、最高のディナーでした。料理よし、酒よし、シェフも良し。 で、やっぱり聞かれたわけです、お店は何処でご存知に?というので「ミニュイの酒飲み」って言ったらいやほんと、あの人たちは本当にマニアックで本当に酒飲みで最高だ、という話で大笑いになりました。 「また忘れかけた頃に来てくださいね、面白い料理を作って待ってます。あんまり間隔つまってると、どうしても料理がカブっちゃいますからねぇ」というシェフ。いや、ほんと。最高。

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中国

北京料理

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【 おせちもいいけどタックもね。】 中国語の教本で最初に出てくる凡例をご存知でしょうか。うぉーやお、べーじんかおやー、です。 北京ダック頂戴、ですね。 娘が北京ダックを食べたいというので調べましたところ、眼福なる盛り付けをした北京ダックにぶち当たりました。上海では数店舗有名店がありますが、圧倒的な美しい盛り付けにメロメロ。 で、ホテルのコンシェルジェに予約してや、と頼んだらフル!無理!って言われて、でも開店時間のウォークインならいかっかもなーと言われたので、その時間の15分前に行ったら1時間半待ちだと。 流石の有名店でございます。 で、どーしようかとトイレを借りている間に七時までならええやでー。と相成りましてラッキーなことに席確保。1.5時間一本勝負の始まりです! 北京ダックは一羽299元、5000円と激安。小さいかもと大きいカモがあって同じ値段で、美味しい方をチョイス、勿論小さい方は若い個体。 後はキノコの料理。水とビール。キノコは超大ぶりでめちゃくちゃ美味しいです。技術の高さが窺える、流石ミシュラン一つ星。 で。カオヤー来ました。ライティングがブルーでどうにも食欲をそそらないし見栄えしないなというカットパフォーマンスなんですが、まあそれは味には関係がない。 じゃーん!出てきたそれはなんと美しい盛り。皮は薄くきれいに削がれ、外した身が下にあります。皮目の薄さが素晴らしい。 で、巻いて食べました。 驚いた。 まあまあ北京ダックをうまい店で食べてはきたのですが、これは別格。皮目のパリパリ!パリパリと言うかバリバリ!そして味付けが絶妙です! 薬味つけだれの方も種類が豊富で、味変も可能。ちょっと、ゾッとする旨さでサブイボがたちました。これは凄いぞ。マジで凄い。 二人で一羽となるとかなりの量なのですが、油分が相当少ない。かと言ってバサっともしていないという、これ以上の完璧など世の中に存在してはいけないと言う忌避されるべき真実に到達してしまったような危うさ、、 オーマイゴー 正直これ、何羽でもいけそう。流石の北京の名店にして、現代的手法で店舗数を伸ばしているだけはあります。 やーほんとすごかった! 最後に、カットしたダックの残りで取ったスープも供されます、美味美味。 ミシュラン一つ星、内装の豪華さ、このお味で二人で7000円。まあまあ狂気の破格値で大満足でした。 割と素直に味にうるさい娘ですが、これはうまい。と、相当気に入った様子。確かに日本じゃ一羽二人でまるまるなんて出来ませんからね。 皮の薄さもグッド。状態もいい。 予約がかなり取りづらいみたいですが、取れなかったらウォークインにトライしてください。個人的には1時間半なら、待ってもいいです。 あと、ウエイティングのところに無料のドリンク類がいく種類か、ちゃんとしたものを置いてるのも好感。 世界のスーパーシェフも認めるダドンの北京ダックは、流石のお味でございました。

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【 森の香り、注意深く。 】 シグニチャーカクテルは35種類ほどあるという。 「一番興味深い、印象的なカクテルは?」 「In To The Wood なんかがお勧めです、エライジャ・クレイグというバーボンの香りが、深い森を思わせてくれるんです。そこにキノコやウォールナッツ、メープルのエッセンスやオイルを足して、チョコレートのビターで、より深みを感じられるように。自家製のメープルウォールナッツもかじりながら楽しんでください。」 In to the wildというお気に入りの映画がある。アラスカの大地に魅せられ死んだ、ある男の実話だ。それは生きるという事を深く考えさせられるものであった。 深い森。香りの記憶。オークの薫香、湿った腐葉土、上昇する温度で立ち昇るキノコの香り。 このお店にベストをつけたのは、極めて語学が堪能でなければ理解することが難しいミクソロジストの作り上げたシグニチャーカクテルを、日本語で解説してくれたから、である。勿論、このお店の実力はアジアトップクラスのバー、アジアベスト50のトップ3を長くキープしていた折り紙付きだ。全くもって最高である。それが、1枚目の写真In to the woodsだ。 ーーーー 時間を少し巻き戻して、写真2枚目からスタートする。お店は何もないストリートにポツンとある。外から見る店名はOCHOと言う、バー用品専門店となっている。スピークロウ、という名前はどこにも書かれていないがここがそうだとすぐにわかる。 バー店内に入ることは難しくない、奥の本棚の隠し扉をスライドさせれば、ポッカリと煉瓦造りのトンネルが現れるから真っ直ぐ行けばいい。 行き止まりの階段を上がればバーカウンターがあって、たくさんの人で賑わっている。カウンターの隅に、腰を下ろして皮張りのメニューを見る。シグニチャーがかなりあるので私は、何を飲むべきかを、とあるブログで探すことにする。 するとどうだ。このお店は実は3階があって、2階と3階ではメニューが違うと書いてある。2階はカジュアルなバー。3階は、凝ったカクテルを出すとなっていて、、、上を見に行ってみたが、3階にはトイレがあって、その上はロープが張られ進入禁止だ。一体どこに行けばいいと言うのだ? 席に戻りスタッフに、3階で飲みたいのだけどと言ったら10分待ってくれ。と、言われた。 これは仕掛けと言っていいのかどうか、スピークイージー系の中でも最も壮大な、フェイク部分もフェイクではないという事になる。と言うか、2階も普通に本格的なバーなので、これでは本当に間違ってしまう。危うくここで飲んでまあこんなものかと帰ってしまうところだった。 この店の重要な核心部分は、3階だ。隠し扉を抜ければそこには違うメニューが待っている。 ーーーー 「栗の渋皮煮、食べます?私作ったんです。」 「え、作ったんだ、是非。」 「料理を作るのも、好きなんですよ。」 「じゃあ二杯目を貰おうかな。渋皮煮に合うカクテルを」 「じゃあ、オリジナルで。」 彼女はシガーボックスから取り出したそれを、カットして小皿に。これは私のプライベートストックなんですよね、香りが好きなんです。と、美しく笑った。 「ブランデーと、ドライベルモットのかっちりしたものに、栗の渋皮煮、味醂とか入れてますから、それの煮汁も使って。」 シガーに火をつけてグラスで蓋をする。 「香りのペアリングです。グラスの残香とのマリアージュ」 「香りのペアリングなんて初めてだな。」 「直接だときつすぎるんです、冷やしたグラスの水分に煙を吸着させて、より長く楽しめるように」 「赤ワインを飲んだ後の、グラスの残香みたいだね。」 「ブランデーですから、ね。」 バーテンダー歴は9年。このお店の看板バーテンダーは手際も早く正確で、尚且つ知識も豊富だ。いつも自宅で飲むものは?と尋ねたら、ハイボールが好きなんですと、彼女は答えた。 きっと、彼女の作るハイボールはうまいに違いない。上海トップに君臨するバーで、素晴らしいミクソロジストの美しい日本人女性バーテンダーがセンターを仕切っている。 彼女と話をするのは、殊の外楽しい。

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【ミシュラン二つ星、世界最安。】 今回の旅でどうしても訪問したかった二件のうちの一つ。一番行きたかった北京の宮廷料理を出す厲家菜はどうやら店をたたんだようで、ホテルのコンシェルジェも電話番号が存在しないんだといった。このお店カントン8は、元旦だけ休みだと言うので3日目のランチに。 ウォークインのみの対応と、旅行者にはタイミングさえ合えばミシュラン二つ星のレストランの味を味わえる、しかも、激安で。要するに、開店時間の前に行けばいいだけなので逆にハードルが低い。 開店15分前に着いたが、待っていたのは4組ほどで、開店時間そのままに席につくことができた。 コースメニューが300元と500元。アラカルトはすごい種類で存在する。コースにしようと思ったが娘がエビがあまり好きではないところで、メインにボストンシュリンプが据えられていてこれはもったいないね、と、300元のメニューをベースにアラカルトで取ることにした。とにかくメニューが、安い。ビールは20元、300円である。 美しい店内。興味深いメニュー。予約をほとんど取らないスタイル。出てきたクラゲのサラダの美しい盛り付け。それが、完全に見た目どおりの深い味わいであること。見掛け倒しでは全くない、洗練。 シェフのJie Ming Jian氏は14歳からキャリアをスタートさせ御歳68と50年のキャリアを誇り、香港のミシュランひとつ星、広東料理Yueのシェフドキュイジーヌであった人である。要するに独立して上海に店を持ち、二つ星を獲得したわけだ。 星級叉焼はスペシャリテの一つ。甘さの出し方、テクスチャー、肉の処理。インパクトがどこかにあるものではないし、感動的ではない、けれど。 全てがバランス良く纏まっているので文化の差を感じることがなくうまい。素直でストレート。 サンラータンは少し特徴的、美味しいけどこれも感動するかと言うと、そうではない。 特筆すべきなのはこの、酢豚。これを食べて思い出したのは、アスルメンデイ、エネコの作ったイベリコ豚のスペシャリテ。17歳の娘ですら明確に反応する酢豚。これは料理として突出してる。 衣と肉の決着が強固。そしてその豚肉が素晴らしく美味い。味も食感もそれは、完全に一つの塊として機能している。イチゴはただの飾りではなく、酸味と甘味で肉と一緒に食べると鮮やか。 肉厚のピーマン。ごろっと入った生姜の辛味。そしてもうひとつ、大きなぶどうも入っていて、これもイチゴと同じく機能する。 とにかく豚肉の具合が素晴らしいので、何かと合わせても本当によく調和する。これが謎の48元、たったの600円とは、、、600円! 最後に出てきたのはシェフのスペシャリテチャーハン。これも驚きなどはなく、素直なおいしさ。 さて。初めての店というのは注文が難しい。ポーションの量もわかりにくいし、どのような料理があるのかもわかりにくい。 食べていて理解するのはこのお店は、何を食べても美味しいから安心して色々頼めばいい、と言うことだ。なんとなくコースを意識しての注文をしてしまったが、敢えてチャーハンなど頼まなければ良かったと言うのは後でわかることであって、 さすれば。この料理に対してこの価格というのは極めて異常なクオリティである。また上海に行った時にリピートするか?と問われれば、私は本当に、こんなお店なら頻繁に通いたい。 私が食べた数品ではまだ、このお店の真価などわかりはしないと思う。とにかく洗練され軽やかで、素直な料理。素材の良さも感じる。こういった中華料理は、実はそう多くはない。とにかく素直な料理の味にミシュランは2つ星をつけているわけで、彼らがどこに重きを置いているか?ということもしっかりと、受け取ることができた。 ややもすると食べた後に喉がカラカラになったりとか、油が重いとか、僅かに濃い目だとか調味料を食べている感じがするだとか、 そういうことが一切ない。感動は、後からじわじわやってくる。そんなお店である。

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ステーキ

akira i

【ステーキが食べたい。】 ここまでシーフードがたまたま、続いてきました。さて、お肉です。フランスといえばやはりお肉でございましょう? 調べましたとも。美味しいステーキ屋さんです。お店は外から見ると肉屋さん。巨大なビーフハンガー、冷蔵庫にウサギや鴨やうずらの肉。目の前で肉を捌きまくっていて、肉を買って帰る人がひっきりなしですが、実は奥にレストランがあって、このお店の肉を買って調理してくれるんですね。ほんと何でもある。 たまらん。 お店の人と相談しながら肉を選びます。大体キロ35から47ユーロくらいが多いです。安い。一キロですからね!私はキロ47ユーロのアントルコートという最高級部位を600ぐらいでカットしてってお願いしました。 ここで失敗したのが表面積とグラムでの配分。切り分ける時にこれぐらい?って一応聞いてくれるのですが、それが何gか分からなくてOK、って言ったら400グラムでした。 なるほど、どちらかというとグラム指定するよりは、好みの厚みで切ってもらってグラムは無視する方が確実です。ここ、ポイント。肉は厚みが大事ですからね。で、着席。 実はこのお店の前菜で食べたかった子羊のタルタル、この日は入荷なしでした。タルタル自体がなかったので無念、サラダを頼んだのですけど、このサラダがまた驚く旨さだったのです、フランスの野菜は本当に美味しいし、言うなればこのどうでも良さそうなソーセージがやたらうまくて、それも驚きでした。 ワインはボトルで赤。 ステーキが出てきましたが、もう流石の焼き具合。ぱっと見ちょっと焼きすぎかなと思いましたが、表面はきっちり火が入ってカリカリしており、しかし中はしっとり水分をたたえています。 美味い!400グラムとか少なすぎるわ、、と思いました。肉の味が素晴らしい。やはりフランスは肉。肉料理の圧倒的パワアにメロメロです。ソースは2種、ブルーチーズとバジル系。肉はシンプルにゆるく塩が振られているだけですので、お好みでミネラル質の塩もどうぞ、ってところです。 付け合わせのポテトは牛脂でフライしており、これもまた絶品、、、! とにかく楽しいお店で本当に何度もリピートしたいと思いました。ビゴール豚もあるし、羊系も揃ってます、牛だっていろんな部位があるし、100日熟成の肉だってあります。いろんなお肉を試してみたい。もっと厚みのあるステーキを食べたい! 本当に良い店なので是非予約をしてお出かけください。最高すぎる。 お店を出たらちょうど今が旬のデモをやってました、ちょうど出発点だったみたいです。面白いのが目の前で結構どんぱちやってるんですけど、パリの人たちはそれをみながら優雅にランチをとってる人の多いこと。 こっちは結構冷や冷やしてるんですけどね。そう、ニュースで見る映像と実際は、だいぶ違うものです、思ったよりも平和的なんですよ。良いもの見れました。