新進気鋭の職人が繰り出す江戸前の仕事は、熟成した旨味や脂のコクが違う 良いネタを上手にさばきましたってだけなら、そこそこ優秀な最近の回転寿司さんで充分です 若大将のワンオペ 土日限定の昼営業で伺うもカウンター5席は満席 小一時間待ったがあと20分で閉店時間 らちが開かないからニッコリ笑顔で一旦撤収 夜営業で2日後リベンジだ、その日にネットで甲殻類アレルギーを伝えて予約した メニューは8,800円のおまかせのみ 今日の予約は自分だけらしい 赤貝とヒラメ 寝かせることで旨味は飛躍的に増す 赤貝は5日、ヒラメは4日 今までの赤貝ってなんだったのかしら 寿司屋の醍醐味はコミュニケーションだ 若大将とさしの、贅沢な時間が過ぎていく 炙ったノドグロのくずし寿司 皮目の香ばしさ、溶けた脂に酢飯の甘みが絡む 柔らかな蛸煮の繊維はほろっとほどけ むちっとした鮑の酒蒸は噛むほどに甘く わずかに苦みがあるワカサギの滋味深い風味に 日本酒がすすむ 「ぼちぼち握り、お出しします」 すみいか かすこだい 中とろ 赤身 コハダ しめさば さんま ウニといくらのくずし寿司 穴子 つまんで口のなかにほりこむ はらりとほどける酢飯 卓上に醤油はない、若大将が刷毛で塗って出す 〆はハチャメチャに出汁が効いた味噌汁 甘い玉子焼きがデザート、すり身の旨味と長芋のなめらかな舌触り 魚介欲を最後まで満たしてくれる統一感 二時間足らず 若大将の仕事へのプライドは 芸術を愛でるのに似た特別な食体験へ誘う 食べればわかるはずだ 顔芸とパフォーマンスは、ただ退屈なだけだと #江戸前の仕事をきわめる若大将 投)接種済み