Hitoshi Yamamoto
大濠公園駅
焼き鳥
➖ 福岡で練馬愛を語る晩 ➖ 田原坂を出て待ち受けていたのは分厚い雨雲。 百道にあるホテルまでたっぷり二時間高速道で降られてしまった。 九州に旅立つ前、福岡での夕飯を検索した時にビジュアルにやられた店があった。 名を「鳥次」と言い、姉妹店の水炊き屋共々ビブグルマンを頂戴している人気店のようだ。 やはりやられたい衝動が疲れを飛ばす。荷を解き間髪入れずに予約の電話で席は確保できた。 やられた一枚は鳥ソボロ丼! 店先に立つ頃には、先程迄の雨が嘘のように晴れた。 場所は大濠公園からほど近くで、パッと見、焼鳥屋さんには識別出来ない若々しい作り。 看板の鳥の字に鳥のモチーフを絡ませているあたり一筋縄でない事を匂わせる。 扉を開けるとシックな和モダンな居住まい。 ローズウッドの一枚板のカウンターであろうか落ち着きの間合いを見せる。 焼き場の煙の奥に漆喰壁が鎮座している。 集う客を自然に和ます舞台装置のようである。 席に着くと目にするのは炭の箸置き、遊び心に何度目かの火をつける。 注文はお任せコース ・サラダ ・串物5種 ・野菜3種 ・とりだんご ・とりスープ 締めて三千円也 おすすめの鳥刺とレバーパテと主役の鳥ソボロ丼を別注した。 好き嫌い、苦手を聴いてからお任せコースが始まる。 最初に鳥刺の昆布締めが運ばれる。 一口いただき、時を委ねる心積りが瞬時に沸き立つ。 何串目か?東京から昨日長崎入りし、熊本経由で今しがた福岡に到着した旅の旨を話す。 3店目のオープン準備で親方が不在であったが、親方が長崎料理に連れて行ってくれて、旨いものを味わい、色々と勉強し豊かになるよう教わったと話をカウンター越しに聞いた。 目に見える設以外に心配りをしている親方を想像し、味わいだけで無くまだまだ成長していく店をも見通せた気分になれ再訪したいとつよく思えた。 そんな話をしてくれた彼が、2年前まで練馬に十数年暮らしており、豊島園の木馬の会員であった事が判明。 千キロ離れた福岡の地で練馬の有名店の話で盛り上がるとは想像もしていなかった。 練馬の住人にとり、ピグプラスが消え、アンデスの灯も落ち、大黒柱の豊島園が閉園した 激動の年に思えるが、彼の練馬愛が磁石の役目となり「鳥次」さんと巡り合わせてくれた気がしている。 良き出会いであったと感謝する。 一品一品丁寧な仕事ぶりで供していただいた皿にも感謝したい。 やられに行った鳥ソボロ丼には想像通りの完敗であった。 すっかりご無沙汰の投稿でした。 今日も美味しくご馳走さまでした。