まろやかな音質が響き渡る空間。一台のモノラルスピーカーが醸し出す昭和の空気感は、まさに完璧。キャンディーズ、南佳孝、懐かしい昭和歌謡が静かに流れ、心をふっと解きほぐすようなメロディが特別な時間の幕を開ける。 扉を開けば、そこはまるで異世界酒場。昭和特有の懐かしさと温かさが訪れる者を優しく包み込み、「ここに来てよかった」と心の底から思わせる不思議な力がある。 名物の大串もつ焼き。一串で他店の焼き鳥2~3本分に相当するボリュームでありながら、価格は驚きの180円。手に取った瞬間、その圧倒的なコスパと存在感に心が踊る。 シロの焦げ目の美味しさ。シュガートーストの焦がし砂糖を思わせるご褒美感に衝撃をうけた新子安の支店「じゅんちゃん」に対し、花月總持寺の本店「もつ焼き惇平」は、昭和の素朴感を現代に引き継ぐ、最高に最幸な大人のご褒美。 辛子味噌でいただくコブクロ刺し。その歯応えと濃厚な旨みは、これまでどの名店でも味わったことのない衝撃的な一皿。「これ以上のもつ焼きやコブクロ刺しに出会うことは、もうないだろう」と確信させる一瞬だった。 感謝の念が溢れる。「もつ焼き惇平」、いつのまにかアプリがカタカナ表記になった「レッテイ」、そしてこのお店を教えてくれた「お兄ちゃん師匠」。この特別な食体験に導いてくれたすべてに、心の底から「ありがとう」を伝えたい。これはまさに人生の大感謝祭。その会場がこの場所だ。 この感動をどのようにすれば伝えられるのか。試行錯誤をしたものの、写真では伝えきれないできないと悟り、そっとスマホを置く。完敗を認め、静かに乾杯した。 駅からの道のりですら、まるで物語のプロローグのように特別だ。線路沿いを歩き、花月園駅前公園を抜ける。それが最短かつ最速のルート。たどり着いた先に待つのは、この唯一無二の味わい。 この街に住む未来を夢見るほどの魅力。地元の仲間を誘い、この店を訪れる。それが日常になることを望まずにはいられない、特別な場所。 この場所での食体験は、まさに人生のご褒美そのもの。 そして今日は、2回目の訪問。特等席の2階で味わいながら、また一つ、新たな思い出が心に刻まれた。 2024年11月30日、4度目の訪問 1階のカウンター席で初めて界隈の重鎮“お兄ちゃん師匠”にご挨拶を済ませ、2階へ。軽やかな雰囲気の中、ふるふれ抹茶ハイの「中おかわり」をお願いしたところ、驚きのひと言が。 「木戸様は先ほどお帰りになられましたが、お二人に一杯ずつお酒のお代をいただいております。」 なんと、お目にかかる間もなく、お心遣いだけが届く粋な計らい。飲み友ちゃんと二人、お酒をご馳走になり恐縮しながらも、しみじみとその余韻を味わいました。 知的な瞳がキラリと輝く、大人の余裕とセンスを感じさせるスマートなイケオジ。ああ、カッコ良すぎる師匠。こんな風に振る舞える自分になりたい。 #2階にあがる時は1階の本日のおすすめホワイトボードを撮ってからあがるとより幸せになれそうだ