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Hitoshi Tanakaさんの My best 2023

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東京都

フランス料理

Hitoshi Tanaka

ご縁があってお誘い頂き、ミシュラン三つ星連続十数年の店で夕食。個室なので料理の撮影ができた。歯応え歯触り、剛と柔の組合せの妙を楽しんだ。店名を和訳すると「本質」や「神髄」なので、店主の意気込みが伝わる。 ①白子に朝摘みピーカンナッツと水菜と青唐辛子添え 煎りたてアーモンド散らしにグリーンオリーブと梅のソース (写真#1) 冷たく冷やした白子のヌルヌル感とカリッと香ばしいアーモンドのカリカリ感、それに水菜のシャキシャキという歯応えの組合せを楽しめる。色味がよいので写真を一番目に出したが、実際はババロアの次に供される。 ②せいこ蟹内子のペーストに微塵切りの芹を練り込んで載せた アーモンドサブレ(写真#2) これも複数の素材のテクスチャの違いを楽しめる。サブレはサクサク、芹はシャキシャキ、内子はネットリである。 ③イタリアの少し苦みのある野菜であるタルティーボの温かいスープ (写真#3) 具には、ちぢみほうれん草やパンチェッタ(豚バラ肉)、オリーブシードの芯の部分を使っている。パンチェッタの出汁と塩味にタルティーボの苦みが合うのである。ガラスの器であるが、熱々で供されていて身体が温まる。 ④山羊乳のババロア・百合根とヘーゼルナッツ載せ(写真#5) 当店の代表的なメニューのひとつだと伺った。プロヴァンスのオリーブオイルとゲランドの塩で味を調えている。百合根などのほっくりした歯応えとババロアのヌルッとした食感の落差を楽しむのである。実は、店主の企てはオリーブオイルと塩を堪能してもらうことだったそうで、事前に知っておけば良かった。 ⑤ 黒トリュフとホッキ貝、クスクス(写真#6) まずは黒トリュフの香りを十分に楽しみ、その下にホッキ貝、土台は香ばしく焼き固めたクスクスである。そのクスクスも焼く前に鳥(名前は忘れた)の出汁で煮含めてある。 ⑥海老芋のフリット 穴熊のソース(写真#7) 出汁で炊いて薄いコロモを付けて揚げた海老芋への火の通し方が秀逸で、コロモの部分は丸で包装紙かと思ってしまうくらいの硬さであるのに、内側はトロリとしたタロイモ・里芋系のテクスチャーを保っているのである。それに鹿児島で獲れた穴熊肉と甘い香りとプリプリ食感のあるジロール茸を和えてある。なお、ジロール茸の和名はアンズダケである。同席の方から「芸が細かい」という声が上がった。 ⑦鰆ステーキとカボチャのラビオリ(写真#8) 当店の自慢の三要素のひとつに「火入れ」があり、それを体現した一皿である。芯は生に近く外側は火が通っており、中央部の舌触りは実に官能的であり、箸休めとしてのラビオリが実に効果的であった。ラビオリの中身は甘みの強いカボチャであり、ズシンとくる味のコンテチーズのソースを使っていて、鰆の軽みのある肉によく合う。 ⑧蝦夷鹿のステーキ(写真#9) 生のままではないのかと思わせる色味と歯応え舌触りであった。蝦夷鹿など食べたことのない私にはコメントが難しい。食感は豚レバーを少し柔らかくしたもので甘いマデラ酒のソースを使っていると説明された。 付け合わせは揚げたレンコンの上に蒸し焼きにした西洋ネギ(仏語でポアロー)を載せたもので、肉のネットリ感とレンコンのシャキシャキ感の対比が楽しめる。 ⑨コーヒーのシャーベット(写真#10) 実に巧みに出来ている。写真でも確認できるが中身は一様ではないのである。わざと氷片の大きさや味の違うものを混ぜ合わせてあるのである。私には氷の細片が入っているように感じたが、目で見る前に食べ終えてしまった。 ⑩ヘーゼルナッツのムース シュークリーム(写真#11) ムースもさることながら、ビー玉サイズのシュークリームに含ませてあるリキュールの甘みに身体がほどけていく感覚がした。シュークリームの皮がキャラメリゼされていて、それも楽しい。 ⑪ブルガリアの菩提樹茶(写真#12) 珈琲、紅茶、ハーブティーの三択から、ハーブティーを選んだら出てきた。菩提樹の皮を薄く切り出して煮詰めたものかと勝手に想像していたが、菩提樹の花を使っているようだ。リラックス・安眠効果があるという。 ⑫メレンゲのアイスクリーム(写真#13) 当店の定番メニュー。常温で放置したバターのような柔らかさに驚く。その滑らかさを浮き立たせるように容器には楽焼きのようなザラザラしたものを使っている。その容器を手で触れるとぞくりとするくらいに冷やしてある。なお、上に能登半島の海水を拭きかけてあるそうだ。山羊乳のババロアは欧州の塩で、こちらは日本海の塩、どう使い分けているのか気になるのである。

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東京都

日本料理

Hitoshi Tanaka

説明不要の名店にて個人で開催されている月例会の、しかも特別編にお誘い頂いた。感謝感激で、至福の時を過ごしたのである。食材のレベルが高く、大将の腕も確かで創意工夫もあり、至福の夕食であった。 ①前菜 茄子のペーストをパイ生地の小皿に詰め、その上に花山椒を山盛りにしてある。パイ生地、ペースト、野菜の三通りの歯触り舌触りを楽しむ。 ②蒸し物 駿河湾の桜海老と富山湾の蛍烏賊を、鹿児島県産そら豆の摺下ろしを真鯛の出汁で溶き餡掛け風のスープにしたものに、沈ませてある。最後に新潟県の五色あられを散らせて目と食感に花を添えている。写真#3は汚いが桜海老と蛍烏賊である。 日本全国の地名が出てくるだけで胸が高鳴る。 ③お造り 北海道で揚がった鮪の頭の肉は脂が多くトロの旨味がある。六時の位置にあるのは神津島の黒ムツ、これも脂がのっているが上品な甘さがあるので酢橘と塩で頂く。九時の位置の黄色は金柑の砂糖漬けで、よいアクセントとなっている。 ④碗もの 写真#8は行儀が悪いが、具材をサルベージしたものである。 ⑤鰻・バチコ 30グラムもある自家製のバチコ(なまこの卵巣の塩干し)は圧巻である。 ⑥揚げ物#1 芝海老のしんじょうを山菜と一緒に唐揚げにしてある。少し苦みのあるふきのとうのホクホクとすり身の弾力の対照が好ましい。 ⑦揚げ物#2 天然物のコシアブラとタラの芽。これも苦みが天ぷらの油の甘みでカバーされ、そのほどの良さに思わず微笑むのである。日本人なら春を感じずにはおられまい。 ⑧春の盛り合わせ 写真#10の特大(6L極太)の赤軸アスパラを斜めに切り、その感触を楽しむ。一番下には赤軸ほうれん草、皮付きの新ジャガ、蒸した新玉葱、山独活、自家製の細いグリーンアスパラ、馬タンの燻製の薄切りや甘みの強いミニトマトを並べ、貝割れを載せてある。生野菜はすべてあく抜きの工程を経ていないが、さらりとしてエグ味は感じられない。味付けは塩とオリーブオイルの薄味である。 ⑨煮物 この写真は是非とも拡大して観て欲しい。背景にあるのはフカヒレ姿煮、これをスッポンの出汁のスープに仕立てている。こちら側には小振りながらズワイ蟹の脚、ワラビとコゴミ。コゴミの下の蕪は中央を抜いて、その部分には河豚の焼き白子が二つ隠されている。目眩がするような逸品である。まさしく盆と正月が束になってきたような贅沢であった。僕はしあわせだなあ。 ⑩焼き物 馬のロースとハラミ。ほぼ生の焼き具合である。 ⑪魚卵のご飯:写真#15 イクラにしては色が違う。そう、これは岩魚の卵。外側がイクラの二倍ほど固く野趣がある。そして、写真#16はウニに別名黒いダイヤのキャビア。ご飯にはトリュフのオイルが入っている。全体としては写真#17にあるように赤だしの椀がついてくる。 ⑫ドルチェ 店主が自ら作成したマカロンを載せたデラックスケーキ。

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東京都

ビストロ

Hitoshi Tanaka

渋谷の宮益坂を登り切って左に折れた一本目の路地を入った直ぐ左側の半地下の店でフレンチとワインのあれこれを頂く。天才なのか努力の人なのか、ワンオペで次々に繰り出す料理の全てがハイレベル。 但し、フレンチといっても酒飲み用の料理であり、ワインも注文することが前提であり、ワインがないと楽しめない料理でもある。 写真#1は、「根セロリのババロア、トリュフ添え」、ここの定番のようである。生ハムの塩気とトリュフの香り、ババロアのネットリ感が楽しめる。 写真#2は、グラタン。 写真#3は、メニューにない皿で生ハム、パテ、テリーヌなどの盛り合わせで、いわゆるシャルキュトリの盛り合わせである。大皿で出てきてシェアした一人前がこの皿である。 写真#4は、イカのセート風サフランライス。烏賊のプリプリしながら非常に柔らかな食感が楽しかった。 写真#5は、クネル オマールソース。鯛と帆立が材料で、はんぺんのような食感であった。 写真#6は、キッシュ。 写真#7は、パペットステーキ エシャロットソース。小振りで酒飲みのアテにほどよい大きさであった。 写真#8は、フロマージュ。ブルーチーズ系、カマンベール系など。 写真#9は、飲んだワインの一揃いである。一同の中に詳しい方がおり、 8人で6本飲んだワインの選択はお仲間の通にお任せしたが、全部がそれぞれ特徴が際立っていて楽しい。それだけのワインを選ぶことのできる品揃えがあるということである。 開業して2年と日が浅いがそのうちに予約困難店になるだろう。

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東京都

日本料理

Hitoshi Tanaka

恵比寿駅から800m。店主のネットワークで集まる食材の素晴らしさ、そしてその選択眼に驚く。自作の食材や経営している会社からの材料も自在に使っている。 写真#1の先付けは、涼やかな蓋付きのガラス容器に盛られていて、佐賀県有明海産の生のクラゲ(写真#2)、天草の太めの鱧、自家製のマイクロトマト、紫蘇の花を煎り酒出汁で仕立てて、青柚子の皮を散らしている。この青柚子の酸味と香りが爽やかで目が丸くなる。 写真#3は。大将が養殖しているシャコで、しかも卵付きのメスである。身がもっしりと厚くそこに卵のシャキシャキ感が合わさる。そこに鰻のツメを使い、山椒の粉を振りかけている。ご飯が欲しい。そして千葉県産のメカジキを藁で燻して醤油漬けにしたものである。山葵を載せて口に入れると醤油と山葵の組合せに惚れ直す。カジキマグロの味は淡泊なのでこういう食べ方がよいのであろう。十時の位置には高知県産のヤマモモの実である。酸味があって桃を連想できないが、野趣がある。痛みやすいのであまり市中には出回らないので、貴重である。 写真#4は、シャコの断面。 写真#5の碗は、多色のあられに眼が行くが中には鰻の白焼き、自家製のミニアスパラ、今年は豊漁である駿河湾の桜海老。さらに北海道のホワイトショコラという玉蜀黍、宮古島の枝豆、そして秋田県の五色あられが散らしてある。各々の食材の粒々の舌触り、甘さ、嚙み応えの違いを楽しんだ後に、身が厚い鰻とサイズの大きい桜海老を賞味する。印象に残ったのは桜海老で、大きいので噛む時間が長く楽しめる。 写真#6は、宮古島産のドラゴンフルーツのつぼみの天ぷらである。ドラゴンフルーツの実さえ滅多に食する機会はないのに、つぼみを頂くの貴重である。薄いコロモのサクサクの中にぬめりあるつぼみがあって両者の食感の違いが楽しいのである。塩で頂く。 写真#7.#8は、米沢牛のメスの肩ロースのスライスを皮の厚い春巻きにねじ込んであって、そこに大将プロデュースの無添加のマスカルポーネチーズとピカンテのゴルゴンゾーラチーズを封じ込んであり、かぶりつくと芳醇な香りで鼻の孔が広がるのである。(ゴルゴンゾーラには青カビの多いピカンテと食べやすく青カビ少なめのドルチェがある)また、ブラウンマッシュルームもスライスして歯触りを愉しめるようにしてある。 写真#9は、素麺かと思いきやカッペリーニという極細のパスタを用いており、これは麵が汁でなかなかふやけず、食感を維持できるからだそうだ。椀種は千葉県竹岡(ラーメンで有名)で揚がった太刀魚。出汁も太刀魚で、季節外れの土筆に見えるのはフランス産のアスパラソバージュで、実はアスパラの仲間ではない。さらに僅かしか栽培は行われていないらしい。旬はそれこそ短いので出会えただけで感激である。味は淡泊で歯触りとつるんとした舌触りを楽しむ野菜である。生きててよかった。先付けと同じく紫蘇の花と青柚子が使われていて、清涼感がある。 ここで、撮影を失念したご飯があって、赤酢の酢飯に前沢牛のサーロインを叩いて載せ、ホワイトトリュフオイルを垂らし、北海道産の馬糞雲丹と岩魚の卵を載せた贅沢な逸品であった。但し、トリュフオイルの香りが強くて、それだけで参ってしまった。 写真#10、#11は宍道湖の天然海鰻である。これだけでも今夜この店に来た甲斐があると深く息をする。何も言えねえ。 写真#12は、鹿肉のカツが載ったカレーである。そして、大将はクズ肉と卑下していたが、ここで使われる上等な肉の端切れを惜しみなく使い、複数の肉や魚、野菜が使われていて、味は複層的であり、且つとても深みと奥行きがあって、カレーのスパイスは不要に感じられるほどであった。これは脳をやられる。 写真#13,#14は〆のドルチェでアイス最中である。中のラムレーズンがアクセントとなっている。 今回もある方のお誘いで、来店できた。本当に感謝である。

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秋田県

鶏料理

Hitoshi Tanaka

東日本一位になったことがある奥羽本線大館の人気駅弁である。秋田駅でも販売しているのでお買い求め頂きたい。 私は秋田内陸縦貫鉄道の車窓を眺め眺め頂いた。前のボックスの客も同じ弁当を食べていたくらいであるから人気のほどが知れよう。 鶏の出汁と醤油で甘辛く炊いたご飯がもっちりとしていて、具材は要らないくらいだが、椎茸の旨煮の味の濃さがアクセントとなってますます箸が進むのである。 固く煮た栗も山村の秋の風景をふと想像させてくれて、まだ若い稲が黄金色に輝く時期に再訪したいと思わせるのである。

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広島県

焼肉

Hitoshi Tanaka

福山で一番美味いと評判の店で訳あって一人焼肉を楽しんだ。食べたのは、牛タン、ハラミ、白センマイに冷麺である。 牛タンは薄目のスライスであるが、うまく下ごしらえしてあるのか歯切れが優しい。漬け汁のレモン汁も並の店と違う。どう違うか書けないのがもどかしい。 ハラミもジャガードしてあるのか、噛まずに呑んでしまいそうになるほど柔らかみがある。とても肉の甘みを感じたのは何故であろうか。これは秀逸である。 なお、全てのメニューは店員さんの「ハーフできますよ」の言葉に従ってハーフにした。また、店員さんの気働きが的確で、メニューの提案、配膳のタイミング、皿の取り下げ、お手拭きの交換、客への声掛けなどなど、指名制があったなら是非とも指名したい。まあ、名前は聞きそびれたけど。 店内は昭和の風情が残り、煙モウモウの店内であったがそれが苦にならないほど肉が美味い。

Hitoshi Tanaka

銀座八丁目お多幸の隣ビルの地下に驚きと満足の店がある。普段は経済的に手が出ない店が試験的にランチ営業していて、丹波玄という品種だけを使った焼肉を賞味できるのである。肉の組合せや順番にも工夫があって素人はただただ唸るばかりである。 写真#1は、但馬牛のテールスープで細かくほぐれた肉片が舌にあたり、コンビーフの食感を思いだしたがそれより数倍も濃いブローにやられた。これだけでご飯三杯はいけそうだ。 写真#2は、タルタルステーキ。写真を拡大してみると中央の花穂紫蘇の他に、肉の部分にも香味や嚙み応えを楽しむナニカが散りばめられているのが確認できる。 写真#3は、土鍋炊きのご飯。4人の客に二つの土鍋を使う贅沢。実は、鍋釜には最適のご飯の量というものがある。一升炊きなら八合の飯を炊くのが最適なのである。お米は滋賀県産のミルキークイーンで、もっちりとして甘みがある。 写真#5からは、オーナー自らが焼き上げて下さる。私はかねてから「素人に焼かせる」焼肉を否定的にみている。まあ、今まで店員さんに焼いてもらう高級店にはそれほど入った経験はないのであるが、玄人に焼いてもらうと、お肉は全く違うのである。 肉の順番はまずハネシタ(肩甲骨の下の部分、別名ザブトン)。山葵でもいけます。 次にリブ芯(肋骨の瀬肉、リブロースの芯の部分)、 そしてクリ(腕肉)、 そしてまたハネシタ レバ焼きとミノである。 肉の種類は言われたままを書いているので、素人の私には区別が付かないが、どれもこれもウマイしか言えない。 食べていくとだんだんと柔らかい部位が出てきて、ハネシタでまた元に戻り、最後は一番固いミノで締めるという構成に参ったのである。

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東京都

日本料理

Hitoshi Tanaka

説明不要の「食堂とだか」で秋の味覚を楽しんだ。Ⓡ仲間で幹事のKさん、ありがとうございます。鹿児島出身の大将が繰り出す料理は、全ての皿や椀に一工夫があって、酒も例外ではない。今回は爽やかさが際立つレモンビールを頂いた。隣席の女子は小松菜サワーであった。 写真#1、#2は、当店名物の「ウニ・オン・ザ・煮卵」である。ウニの甘み、イクラのプチプチ歯応えと塩味が主人公であるが、もっさりした煮卵があることでイクラが引き立つのである。 写真#3、#4は、里芋の唐揚げ、ブルーチーズ乗せであった。前の皿に残ったイクラをかけて食べると一層美味しくなる。里芋とブルーチーズを合わせることを思いつく才能がうらやましい。 写真#5は、ごま豆腐の揚げ出しと海老。胡麻の甘みと揚げ油の甘みを楽しむ。 写真#6は、北海道産の鰤しゃぶを、柚子胡椒と大根おろしを添えて、ポン酢を潜らせて食べる。焼肉も同じだが、火通しをプロに委せると仕上がりが違う。鰤の味もさることながら、湯にどれだけ潜らせるかのワザを楽しむ料理であると感じた。 社員#7は、松茸とつぶ貝の茶碗蒸し、つぶ貝は下に沈み、松茸は水面に浮かんでいる。ふわりとやって来る香りで目が細まり、噛みしめると滲み出る汁の豊かなエキスで、日本に生まれた幸せを感じるのである。 写真#8は、鰻の蒲焼きは、皮の固さが少し気になったが、甘めの粘度の高いタレが心地好い。 写真#9は、すだちを上に乗せたそうめんと糸状に切った山芋の麺、そうめんのつるり感と山芋のシャキシャキ感の組合せがなんとも宜しいのである。 写真#10は、鯖寿司は、大将みずから客の一人一人に手渡しされる。つまりは海苔が湿気を帯びない前に食べてしまえということなのである。 写真#11は、唐揚げチューリップ。骨が2本あるので本当はチューリップではないかもしれない。薄味に仕上げてあるのであっという間に平らげてしまった。銀杏も美味しい。 写真#12は、甘納豆チーズサンド。脂肪の多いねっとりマスカルポーネチーズのコクとサクサクのクラッカーがよく合う。 写真#13は、とだかの大将と土鍋で炊き立ての新米。大将の肖像権はご自身がフリー素材ということなので投稿した。髭を生やすとゼレンスキー大統領、今の顔は岡田准一と自称していた。 写真#14、#15は、上記の新米の上に七種の具材を載せた一杯。12時の位置から右回りに、ちりめん山椒、山形のだし、鰆のほぐし身、なめ茸、牛肉の時雨煮、明太子。そして中央に卵黄。 写真#16は、シャインマスカット大福である。多くの客が持ち帰りにしたが、私を含む二人だけが出来立てが絶対にうまいはずと食べたのであるが、大人の握りこぶしほどの大きさの大福なので腹パンになってしまった。 写真#17は、大福と一緒に供された知覧茶で、甘くまろやかで深いコクがあって渋みや苦みがないので冷やして出されてもイケるのである。なお、知覧茶は品種としては数種類あってその土地で取れ深蒸しにしている茶を知覧茶と称している。

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山形県

弁当屋

Hitoshi Tanaka

これは素晴らしい。素っ気ない牛肉弁当かと思いきや、具材の牛肉に殆どの費用を振り当てていて、選択と集中、一点豪華主義が極まった乾坤一擲、全力集中の弁当である。篠沢教授ではなくて、はらたいらさんに全部賭けるようなものである。(例えが古くてスマソ) 山形牛のカルビ焼肉と米沢牛のすき焼き風、、、などとくどくどとした説明は要らない。俺の目を見ろ、何にも言うな。山形へ行ったら食べてみろ、絶対だぞ。 本当は写真#3をトップに使いたいが、キャッチーではないので泣く泣く次々席にしたのだ。そしてその写真をよく観るとサシの入り方が木目細かで、食べる前から歯がなくて歯茎だけで噛み切れる柔らかさだと想像出来るのである。はい、無抵抗のヤワラカさでした。 新杵屋の「牛肉どまん中」は食べたことがあるし、東京駅でも販売しているので、今度は別の店の駅弁へと浮気したら大穴を当てた気分である。まあ、牛脂と醤油の相性は無敵だからどちらも高水準の美味さではある。 なお、「どまん中」は関西の言葉で、江戸っ子は「まんまん中」という言い方をするが、「ど」という接頭語はインパクトが強いので全国に広まったと見ている。(個人の感想です。)