Hitoshi Tanaka TOP USER

Hitoshi Tanakaさんの My best 2021

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1

東京都

ラーメン

Hitoshi Tanaka

2021年2月1日午前11時半、隣の駐車場で15分前から待つ。店の前に並んだ椅子にバッグを置きっぱなし。誰もいないと思ったら、天から降ったか地から湧いたか、いつの間にかゾロゾロと行列ができている。 ホワイトウォールにブラックウッドのカウンター、シャレオツな店内には鯖節だろうか魚介系の出汁の香りが空間を占領していた。 特製ワンタン麺白だしハーフを頂いた。ハーフといっても豚肉ワンタンと海老ワンタンが三つずつ入るものが、二つずつになるだけで、100円安い。 滋味溢れるスープはイノシシ酸の強烈な印象を出している。青葱の香りと歯応えも良いアクセントになり、ほぼ完飲した。 麺は、やや細でツルツルのストレート。スープをよく絡ませてクチビルを小刻みに撫でる。 ワンタンは、何も言えねえ。英語で言うと、ビヨンド デスクリプション。海老はこんなに弾力があったっけと灰色の脳内から海老の記憶をフェッチするまで暫く時間がかかった。豚肉は微細に挽かれていて、それだけのスティッフなカタマリ感がヌルリとしたワンタンの皮と好対照で嬉しい。 まあ、細かく描写してもこの歓びは伝わらない。中目黒駅から少し歩くが行って食べて欲しい。(中目黒駅から徒歩18分、池尻大橋から8分) なお、隣の駐車場は20分毎に400円取れられるが、あんなに旨いラーメンが喰えるなら安いものだ。はい、私、第三京浜と首都高を使って横浜から来ました。

2

東京都

天ぷら

Hitoshi Tanaka

言わずと知れた銀座一、日本一、世界一の天ぷら店である。(個人の感想です。) 店に揚げ場は二つあり、近藤文夫氏の天ぷら鍋に当たる予約客は、12名に限られる。近藤の大将は長年の鍋に向かう姿勢が固まって猫背になっているが、目付きの鋭さと目配りは一流のシルシである。 具材を掴み、粉を付け、コロモ水に潜らせ、鍋に投入、火加減を調整する。箸で天ぷらを裏返す。その無駄のない動作は人間国宝による無形文化財の舞踊を見るようでもある。YouTubeで観る講道館柔道十段の三船久蔵氏の所作に通じるものがある。ここは近藤氏の動きを鑑賞するレストランシアターでもあるのだ。 https://www.youtube.com/watch?v=CcLFvJC3SKg 鍋には生のまま絞った太白胡麻油を75%、焙煎油を25%の割合で合わせたものを使っている。生絞りの比率が大きいので想像するような胡麻の香りがしない。しかも後味スッキリに揚がる。天ぷら屋独特の臭いもしない。近藤氏に伺ってみると3分間に全ての空気が入れ替わる特別注文の換気装置を稼働させているそうである。 実は、胃にもたれるとか、油がどうもという先入観を覆したいというのが彼の望みであったし、その考えを実現させているのだ。例えば、天ぷらを載せる敷き紙は少しでも油が付けば交換される。つまりは、天ぷら一品毎に交換されるので客がたじろぐ場面もある。 そして、とうとう彼は天ぷら粉まで作ってしまった。詳しい説明を伺っただけでなく、お土産に一袋いただいた。ここではその説明を省略するが、天ぷらを鍋から上げる時に、普通の店なら箸の上げ下げで油切りするが近藤氏はそれをしない。天ぷらのコロモが非常に薄いので、余分な油が残らないのである。 https://www.nisshin-foods.com/foods/products/4902110376364.html 先ほど揚げ場は二つあると書いたが、彼は後進の成長の場として二つ目を作っているのである。近藤氏の妙技を観ることができないのかと怒って帰る客もたまにはあるらしいが、常連になればなるほど二番目に回されるという。私が近藤氏の揚げ場に通されたのは理由があったわけである。 さて、料理に話を移そう。 突き出しはホタルイカの酢味噌載せ、天ぷらではないのでノーコメント。 海老の頭は甘さと軽さが秀逸で、カリカリ具合も宜しい。 塩で頂く海老の身は薄衣をまとい、肉の弾力と尾の殻の歯応えが対象的である。 二尾目の海老はつゆで頂く。噛んだ後の座屈の後に一本毎の筋肉から旨味が滲み出てくる。 北海道契約農家のアスパラは3本に切ってあり、食べ方を尋ねてみると根元は塩、穂先はツユでお召し上がり下さいと説明があるが、真ん中はどうするのか説明がない。敢えて尋ねてみると「真ん中はお好みで」と返ってきた。 噛むと断面から水分が滲み出て、採りたてのように新鮮なのだと分かる。穂先は私の生涯で食べたアスパラで一番柔らかいので唸ってしまった。 茨城産の蓮根が二つに割ってあるのは、塩とツユでそれぞれでお楽しみ下さいとのことである。歯切れの良さと甘みに驚いた。 キスはキスの味がした、何の不思議もなけれど白身魚の味がこれほど濃いとは思わなかった。ほろほろと崩れていくし身が愛おしい。 ふきのとうは春の苦みが去りゆく冬を思い出させる。広げたビジュアルが楽しい。 こごみは微かな春の香りが口内に残り、歯応えも楽しい。 大きな帆立は貝柱の旨みをこれでもかと押し出してきて降参である。 天ぷらなのだが、半生と生の部分が私は好きであった。 ペコロスは火傷しないように注意深く食べたいが、甘味を求めてハフハフと頬張ってしまう。天ぷらは蒸し料理だと近藤氏は語るが、その通りである。 穴子は大きくなると皮が固くなるので小振りのものを選んでいる。少し長めに鍋に泳がせ衣を香ばしくしてあるようだ。 ちなみに、揚げた穴子の身を箸で割るのは揚がり具合の確認である。揚がってなければぐにゃりとなって、揚がり過ぎだと固くて反発が大きくなる。 最後に海老と小柱の掻き揚げの天丼。小海老ではなくて海老である。口の中の充実感は比べるものがない。コースでは天丼の他にご飯、天茶が選べるが、天丼と天茶が同じくらいの人気だそうである。 アラカルトでお召し上がりの女性が一人だけ居て、人参の千切り寄せやそら豆などを頼んでいた。その注文の一つに平貝に木の芽を載せて海苔で巻いた天ぷらがある。これだけは大将が鍋を離れて自分で海苔を巻いた。件の女性は二回も注文したのであるが、二回とも近藤氏が全部を担当したのは何故だろうか。

3

京都府

日本料理

Hitoshi Tanaka

次回の上洛時にも必ず食べに行きたい。 写真#1の説明: 左上の木の葉皿の上には、跳び子と菜の花の生雲丹載せ。 右上の壺は、赤貝に蕗の和えもの。 中央の器には蛍海老に芝海老、そして上に絹サヤで下には酢味噌。 その下の六時の位置には、海老の香り揚げ。 八時の位置には、桜の葉で包んだ白身魚のお寿司。 お花見団子を模してマッシュポテトの団子。 どれもこれも春爛漫、季節を感じる八寸である。 写真#2の説明: 鯖寿し、烏賊、鯛と平目の上に載せた桜の一枝と下に敷いた青葉が嬉しい。折敷の柾目板も含めて春のイノチを感じさせる一品である。 さて、カウンターの上には野菜が山盛りになっていて、蕗の薹、タラの芽、こごみ、加賀の蓮根や薩摩芋などお好みで天ぷらに、大振りの椎茸と空豆は焼いて出してくれる。静岡のメロン農家が栽培しているというトマトは湯引きし、皮を剥いて出してくれる。 この投稿に並ぶ野菜の写真はどれもこれも普通に見えるものばかりであるが、素材が良いのか、選択眼が素晴らしいのか、熱の加え方の違いなのか、何もかも天井に向かって吠えるほど美味いのである。 例えば、トマトは口に入れると目玉が飛び出るほどの瑞々しさと、甘みと酸味のバランスにやられてしまうのである。書けば書くほど実態から離れてしまうような気がしてならないので、ここら辺で筆を置くが、ご興味のある方は行ってみて食べて欲しいのである。 但し、お任せとかコース仕立てはなく、アラカルトで注文する仕組みであることにご留意頂きたい。

4

東京都

ケーキ屋

Hitoshi Tanaka

何も言えない。うなるのみ。少なくとも今年前半のトップは間違いない。生きてて良かった。Rettyの皆様、ご紹介ありがとうございます。 写真#1のストロベリータルトは、見目麗しいだけでなく酸味の強い苺をワザと選び、リコッタチーズの旨みを引き立てていて、そしてほのかな薔薇の香りがすっと鼻に抜けるのだ。 写真#2のゴルゴンゾーラチーズケーキは、パイナップルが潜んでいて歯応えを楽しむことができるが、主役は少し刺激のあるゴルゴンゾーラチーズである。咀嚼していると塩味も感じて濃厚なクセのあるチーズそのものの味を楽しめるのだ。 二品しか楽しむことができなかったが、どちらも作者のセンスと意図が素人の私にも明確に伝わり感動した。

5

神奈川県

ラーメン

Hitoshi Tanaka

香りが高い醤油のスープが身体に染みる。ゴクゴクと飲み干してしまいたい。最初の一口は塩が強いかと感じたが、それは一瞬で次に丸みを感じてくる。流し込んだ鶏油の仕業なのか。そして、そのスープを生かすように素麺のような極細麵が使われている。但し、素麺と違ってエッジが立ち、腰もある存在感のある麵である。 食べたのは、わんたん入りしょうゆらぁ麺。 わんたんはふたつ、金華豚の粗挽き肉の舌触りが心地良い。もう一つは鶏肉入りだが、鶏肉らしからぬ濃く豊かな滋味を感じた。わんたんだけで、ただものではないと判る。どちらも大きな存在感があるので、この個数で満足してしまうのである。 チャーシューは、ロース肉の生ハム仕立てとバラ肉をまとめた煮豚の二枚セットで、味だけでなく歯応えの対比も楽しめる。生ハムの方は早めに食べないとスープの熱で味変してしまう。松戸のとみ田のように別皿で出す方法もありかもと思う。(前の週に食べに行ったので、記憶が新鮮です。) web予約して東海道線に揺られ湘南の海を車窓から望みつつ遥々とやってきた湯の街湯河原。暇かと問われれば暇でと応える。15台収容の駐車場には多摩、浜松など遠方のナンバーが並び、求道者の集う聖地巡礼。ここはメッカまたはリヤドなのである。 定めに従い予約時刻の10分前に到着すると、予約登録の姓名を問われる。申告すると自販機の使用を許され、食券を買うがすぐに取り上げられて店の外に出されてしまう。 14時の予約なので、舌下腺、耳下腺、顎下腺から澎湃として唾液が噴出して、腹の皮が背中にくっ付く。 さて、完食完飲、満足してごちそうさまを言うと、大将が空になったドンブリに視線をやり、「ありがとうございます。」という。店を出る時にもう一度ごちそうさまを言うと、大将含めて全員が作業の手を止めてこちらを向いて「ありがとうございました。」とお辞儀された。 飯田商店への支払いより、交通費の方が随分とかかったのだが大満足した。機会があればまた食べに行きたい。

6

東京都

イタリア料理

Hitoshi Tanaka

Rettyでは同じ店を複数回投稿しても、当然ながら最初の投稿の一回しか店舗数はカウントされない。それでも繰り返し投稿してしまうのは、料理と店の印象が深くて、食卓を囲む皆に喜ばれるからである。 前菜、パスタ、メインのそれぞれを、十指に余る選択肢の中から選ぶのだが、全てを試したわけでもないのに不思議なことに選ぶ皿が固定してきている。 それらは以前の投稿で紹介したメニューなので、今回は写真を眺めるだけにして頂きたい。 今回の食事は、同期入社8名で13時半のランチタイムに高い方のメニュー(¥3300)を選んだ。あれも食べたい、これも試したいということで、相談して皿をシェアすることにした。但し、メインだけは個別にした。大勢で行くならこの方法が宜しいと思うのである。 食べ終わると店の前に集合して記念写真を撮る団体があるのは、銀座ではこの店ぐらいなものであろう。この事実だけでラ・ベットラ・ダ・オチアイがどういう店なのか想像してみて欲しい。 ウエブサイトに堂々と「日本一予約がとれないイタリア料理店」と書いてあるのは伊達ではない。集合写真で撮影される笑顔は料理の満足度のシルシなのである。 以前の投稿はこちら https://retty.me/area/PRE13/ARE2/SUB201/100000005106/44034288/ https://retty.me/area/PRE13/ARE2/SUB201/100000005106/43045896/ https://retty.me/area/PRE13/ARE2/SUB201/100000005106/42951817/ https://retty.me/area/PRE13/ARE2/SUB201/100000005106/37007274/ https://retty.me/area/PRE13/ARE2/SUB201/100000005106/34821951/ https://retty.me/area/PRE13/ARE2/SUB201/100000005106/30898132/ https://retty.me/area/PRE13/ARE2/SUB201/100000005106/624988/

7

京都府

日本料理

Hitoshi Tanaka

地下鉄烏丸線の北山駅から北へ上がった所に予約の取れない割烹料理店がある。古民家を巧みに改造した調理場とカウンター、それに囲炉裏の部屋もあり、料理の素材、腕も確かなら、大将の語りも冴えていて、時間の経過を忘れてしまうのだ。 ■2021.10.25(月)夕餉 ■お料理 お任せ¥12,000 追加料理、お酒消費税含むお会計¥17,000 ■留意事項 松茸など良い材料が入手できた時は、料金は変更される。 現金決済のみ ■ご予約 一休などネットから ■本日のお料理 ①お迎えのお茶 まずは、囲炉裏のある部屋に通され、赤紫蘇茶で口の中を清涼にして料理を楽しめる下地作りをする。なんでも、紫蘇には胃液の分泌を促す作用があるという。 ②先付け 大きなヤツデに似た葉を敷いて出された三皿、奥の大きな器には蒸した渡り蟹に黄身酢を掛けて、身の太い大黒しめじと隠元豆を添えて、その上に針状に切った栗(針栗)を振りかけてある。と思ったが、隠元豆ではなく、今が旬の「祇園豆」と説明された。新しい食材を知るというのは楽しいことである。 手前の左には間引きの時期にある金時人参と原木栽培の椎茸、野菜の胡麻和え。柿の朽ちて色付いた葉を模した小皿を使うところが季節感を増すのである。 右側には鰆に水菜、大原の柴漬け、上に載せた南瓜は酢で味付けがされていて食欲をそそる。 ③お凌ぎ 南瓜の冷製 和食の季節性は、何も食材だけではない。祇園祭には山鉾の器を使うし、端午の節句や節季にちなんだテーマを選ぶ。そして今宵はハロウィンもテーマに入れているので、南瓜や南瓜色の料理を出している。さつま芋と蒸した明石の蛸がスープに浮かび、また「うりずん」という四角い豆を散らしている。これは併せて「イモ・タコ・ナンキン」と女子の愛する食べ物もテーマとしている。一番上に緋色のエディブルフラワーを載せて色味にインパクトを与えている。また、明石の蛸は名残りの時期だそうである。大将の説明を全部暗記している訳ではないので勘弁されたい。 なお、「とかく女の好むもの 芝居、浄瑠璃、いも、たこ、なんきん」は井原西鶴の「浮世草子」に書かれていたというような一口知識を料理の説明に散りばめてくださり、身体だけでなく頭にも栄養が行き渡るのである。 ④椀もの この季節定番の松茸の土瓶蒸しである。松茸の香りは何か日本人の心の芯を揺さぶるような力を持っていて、思わず深呼吸をしてしまうのである。松茸は赤松林のしかも下草や枯れ枝などを取り除くという手間を掛けた山でないと出てこない。山で爺さんが小枝を集める(柴刈り)作業は、ガス燃料の普及とともになくなり、結果として日本の松茸はレッドブックに載るような絶滅危惧種となってしまった。 大将から松茸の産地や相場の話を伺い耳学問を重ねた。今回の松茸の産地も教えて下さったがそれはここには記さない。 ⑤お造り 紋甲烏賊、明石の鯛、はまち、そして太刀魚の炙りである。すだちと山葵が添えてある。刺身はどれもこれもエッジが立っていて、大将の目利きの技が判る。大将に拠ると普段はイカタコを餌にしているが、今の時期の明石の鯛は海老を食べているので、一番コストパフォーマンスが高いそうである。また、最近は漁協から市場というルートを通さず、船から直接買って料理人まで運ぶ商売もあるそうである。 さて、大将は毎日のように丹波口の魚卸売市場に足を運ぶそうだ。今や電話だけでなくメールで食材が届く時代であるが、旬の時期、値頃感覚を養う意味もあって通っているとのこと。なお、大将の通う先はもう一つあって近所のスーパーFRESCOで、これも重宝しているそうだ。(自宅用食材のみ) ⑥雲丹 雲丹は昆布を食べる、雲丹が美味いのは餌の昆布のためであるが、ここ四年間は昆布が地球温暖化のために不作なのだそうだ。 ⑥焼き物 カマス寿司である。イアン・フレミングの007シリーズで題名は忘れたが、ジェームズ・ボンドがカリブ海で潜水していると獰猛な魚であるバラクーダに遭遇する場面がある。ハヤカワのミステリ新書を読んでいて勝手に大きな魚を想像していたが、のちになってカマスの一種だと知って興醒めな思いをした記憶がある。 (今は、007の小説は新書から文庫に移っている) また、「酒が飲める、酒が飲める、酒が飲めるぞ」と歌ったグループの名前が「バラクーダであった。あの歌の題名は「日本全国酒飲み音頭」である。 ⑦炊き合わせ(煮物) 写真ではお汁粉のように見えるが、黒米のお粥である。仄かな甘さととろみで一息つく。