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Hitoshi Tanakaさんの My best 2020

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東京都

寿司

Hitoshi Tanaka

「海の宝石箱やぁ」と陳腐な言葉が出てしまう。 写真#1のミニバラ散らし寿司であるが、シャリは少なく、これが前菜。茹で烏賊の柔らかさと賽子に切った胡瓜、醤油漬のイクラの歯応えの妙、何よりもタレの香りと味がよろしい。多分、日本酒が効いているのであろう。  写真にはないが、先付の牛蒡金平はやや太めで且つ硬めに調理されていて、歯応えが頗る楽しい。 写真#2はスミイカで、ヒマラヤ岩塩で頂く。ネタを舌に触れさせると柚子の酸味と岩塩の塩気が来て、最後に烏賊の艶かしい舌触りがセクシーである。 写真#3は、石川県甘海老の昆布締めで、甘海老のねっとり感に微かな昆布の恵みを感じる。 写真$4の北寄貝、歯応えがたまらない。磯の味が攻めてくる。プリプリ感が若干弱いのは漬けにしているからだろうか。 がっついて撮影を忘れてしまったが、鰆の藁焼きは初めての体験であった。ほのかな燻蒸の香り付けが楽しい。他店はどうしてやらないのであろうか。隣席の外国人に英語で、Rice straw smokedと説明したが通じただろうか。 メジマグロの漬けも撮影より先に手が出て口に入ってしまった。メジマグロという言葉を聞くたびに少しだけ悲しい気持ちになる。メジマグロという魚があるのではなく、本マグロ(クロマグロ)の子供のことをそう呼ぶのだ。牛に例えると beef ではなくveal なのだ。お味は親よりもあっさりした感じで、個人的には味が濃くないので漬けにしなくても良いのではと思う。 写真#5のウニ、小振りなのは私の予算の都合である。あんな値段でウニのシースーをザギンで食べられる幸せはない。 これまた撮り忘れの自家製ガリはスライスではなく、ゴロリとカタマリで出てくるが、さくっとした歯応えと中庸な酸味が素晴らしい。 ついでに、べったら漬けも東京名産のあの甘みと歯応えで顔が緩んでしまうのである。 写真#6の卵焼きは印象が薄い。 最後に手造りの小豆羹が出てきてお開き。オレンジの一切れと一緒に出された小豆羹は甘さ控えめでよろしかった。 店内には琴の音が流れ、調度品や内装も程よく接待にも使えるような店だったが、あのお値段はお値打ちである。