この店を投稿するかどうか迷った。料理、器、テーブル、インテリア、照明、音楽、サービスのどれもこれもすこぶる上級な上に、コスパも飛び切りに良いのだが、この店に来た方来た方が、人気が出て混むと困るということでネットに上げないらしい。私も少し迷った。 ドラムのスネアと囁くような女性ヴォーカルの歌声が流れ、真っ白なテーブルクロスにシルバーウエアのカゴがあるが、その中に割り箸も入っているので四品の前菜をお箸で食べてみた。 まず、タコの卵になめこ、葱の青いところの和え物が面白い。写真#4は蛸卵を箸で持ち上げたところである。写真#6がなまこ、コハダ、根野菜の酢の物で、歯応えのバリエーションを楽しめる。写真#7は富山で獲れた蛍烏賊、夜の海に浮かぶ漁船の網に光る烏賊の光景が思い起こさせる。蕨と合わせてあるのが春を感じさせる。ここまではお箸で進められる和食と断じても良いが四皿目は、ミニトマトにモッツァレラチーズにオリーブオイルが来て急にフォークが欲しくなる。 セロリの摺り下ろしとチーズを溶かしたトマトスープには。ホクホクの馬鈴薯がゴロリと入っており、ハフハフと頂く。前菜の冷からスープの熱(アツ)への変化である。 金柑の温泉卵、鶏レバー、砂肝、ハツを添えたサラダにカシューナッツ片が散らしてあり、歯応えの変化も楽しめる。鶏モツの味付けは和風に感じたがどうだろうか。写真の並びは時系列に沿っていないが、サラダは三番目に出てくるのが興味深い。 写真#1と#2はメインのパスタで、人参セロリなどの野菜を使ったオレンジ風味のソースをかけた大きめの豚の肩ロースが存在感を出していて、これがお箸で崩して食べられた。ホロホロと崩れるのである。思い返すとスープでスプーンは使ったが、ナイフとフォークは手にしなかった。 自家製ホッカッチャはチーズの香りがして、しっとりした歯触りが楽しい。一個しか出てこなかったが、立て続けに二個でも三個でもいける旨さである。お約束通りに温かいので、香りも高く感じるのだ。出来ればお土産に出して貰えば良かったと今になって後悔している。次回は予約時に頼んでみよう。