一品ずつ丁寧に作られている料理はどれも奥深い味がする。今日は先ず貝柱の出汁で中華料理のおこげを和風にアレンジした一皿から始まった。付き出しは春の素材を使い季節を感じる。中でもあん肝を牛肉で巻いた料理は複雑な味が面白い。お椀は蛤のつみれで胃を柔らかく包み込む。その辺りから冷酒を頂くのだがタイミングよくお鮨が続く。河豚は歯応えがありあっさりとポン酢でいただく。今日のお鮨の主役は余分な脂身を豪快に削ぎ落としてヅケにしてくれた中トロでもう一貫もらいたくなる。白魚のかき揚げに添えられたそら豆がバランスよくマッチする。焼いている魚を見てあまりにも肉厚なので鰈だと聞いて少し驚いた。すき焼き風に仕上げたお肉の中には十分アクが抜かれた歯応えのある筍が入っていてここにも春を感じさせるひと工夫が食べる人を楽しませる。あっさりとした鱈と白子の焚き物の後にちょうど土鍋で炊いたしらすご飯が出来上がった。デザートが出された頃にはいつのまにか冷酒を5回もお代わりしてしまっていた(笑)