【筆舌に尽くしがたい極2023.1.28】 憧れの銀座しのはらで長年修業された店主の北川さん。昨年9月オープンのこちらにオープン直後ならチャンスありかと予約して4ヶ月、漸く初訪出来ました。本家は未訪のままですが、大将のきた川さん曰く、しのはらプラスαの創作コースを目指しています。フレンチの銀座大石や鮨なんば、鮨龍次郎、天ぷら成生など超一流店で修行された極め人。人柄、運を備え、只者でないことは確かでしょう。 大石のコンソメ、柚子釜に忍ばせたなんばのシャリ、成生の天バラ、帆立の油通し等、修行の成果が散りばめられた珠玉のコース。全品非の打ちどころのない、逸品が続き、妻のテンションが上がりっ放し。途中、偶々篠原大将も顔出しされるラッキーは大吉を引いた気分。最高の舞台を楽しむかの如き、カウンター会席。 最短は7月のお昼ということで家族4人の予約を済ませ、長い余韻に浸りながらの帰路の幸せな時間よ。 その余韻を思い出せるよう、特に印象に残った料理を以下にと思って書き始めたら、殆ど全品になってしまいました。(コース全品は末尾に) ◎コースのスターターは汲み出しの蕪のすり流し。ひたすら優しい出汁の蕪の味の濃さに胃も心もしみじみ温まります。今日の宴の完全勝利は約束されました。 ◎八寸はもろこのつけ焼きのホクホク食感と能登振り海鼠のザクザク食感が初の衝撃。1月は正月を意識したコース構成で気分も上がります。 ◎大石のコンソメと牡丹海老、雲丹のマリアージュはプレミアム感たっぷりで得した気分。海老の味の濃さに驚愕。脱水してるのかなぁ。器はタイランドというオールドバカラ。骨董店から探してくるという拘りの器もこの店の魅力です。 ◎お凌ぎの柚子釜の酸味の正体は鮨シャリ。白子とジャンボなめこの餡とかき混ぜて食べる初体験の味。 ◎明石由良の鯛は軽く炙ったら、雲丹の塩辛を巻いて。カウンターのシェフズテーブルは楽しいです。焼物は焼き方の仕事を都度、さながら舞台の幕が開くかのごとく、引き戸を開けて見せてくれます。 ◎帆立の油通しは成生の技。80度の低音の油に数分。昆布醤油寒天と山葵で。 艶々の帆立は意外なほど低温。料理は全て、同じくしのはら出身の島袋さんがお客全員に説明、どうぞの掛け声がかかってから、箸を伸ばします。しのはら譲りの口上も最後まで舞台を楽しむ演出です。 ◎椀物は京風の白味噌雑煮。色から連想した通りの蓬餅の香りの強さは唐墨の塩味とのバランスが良い。斬新ながら気を衒った感もなく、究極の完成品。器も印象的です。 ◎鮑は鯛のすり身を抱かせて天ぷらに。大ぶり柔らか、肝ソースをつけて、鉄板の圧倒的旨さ。目の前で揚げる天ぷらはコースに更に膨らみを持たせてくれています。 ◎鰤の柚庵焼はかなり水分を抜いて、旨みの凝縮が舌から伝わります。古伊万里のお皿も見事です。 ◎強肴は鼈の色々な部位を串に刺して、つけ焼き。更に天ぷらにして、山椒塩を添えて供されます。逸品揃いの中でも白眉と言える独創性と味です。 ◎鴨焼は刀剣に用いられる最上級の鉄で作られた玉鋼板で。篠原大将にも説明いただくほど食材以上の希少品、これも最上のスパイスです。 ◎〆の直前の焚き合わせは鴨の骨から取った出汁を吸った聖護院大根。お腹に〆を迎える空間が準備される感覚です。 ◎〆ご飯その一は成生から取り入れた天バラ。塩昆布と胡麻を混ぜ込んだ絶品は妻が今日一というほどです。料理は塩味が軸。ドライとウェットの組み合わせのコース構成が美味しさを増幅します。 ◎〆ご飯そのニは近江米を信楽焼の釜炊きごはんを朴葉味噌、しらす、なめ茸で。言わずもがなの美味さです。 ◎お腹に余裕のある方は、と勧められたのはアローカナの卵天ご飯。天かすを纏わせたフライド卵の上に鰹節をかけて、これまた塩味で供されます。 ◎紅白金団はつくね芋と百合根の裏漉しで甘味を用いない黄身餡を包んだものです。これも妻を唸らせた絶品です。 献立 汲み出し蕪のすり流し 前菜 黒豆 海老芋唐揚げ 琵琶湖の本もろこ 河豚あん肝燻製和え 能登振り海鼠 数の子海宝漬 副菜 コンソメと加減酢の煮凝り寄せ 雲丹、牡丹海老、芋のすり流し お凌ぎ 柚子釜、雲子、ジャンボなめこ 向付 鯛昆布締め炙り 雲丹塩辛 帆立油通し 椀物 草餅 紅白千代結び 蕪 白味噌 油物 鮑真薯 肝ソース 焼物 鰤柚庵焼 強肴 鼈天麩羅 山椒塩 逸品 鴨焼き へべす胡椒 焚き合わせ 聖護院大根 柚子 飯 天ばら 香の物 白飯 朴葉味噌 じゃこ 香の物 卵天ご飯 菓子 紅白金団 #銀座 #和食 #鼈 #しのはら #きた川