2022.2.12 はるか33年前に上野でサラリーマン生活を始めたときは、伊豆榮は上野精養軒と並んでとても敷居を跨ぐことができなかった。その20年後には上野精養軒のディナーを体験しましたが、たまたま鰻は別の店を贔屓にしてて足を運ばなかった。このたび上野勤務時代の盟友が名古屋に転勤するとのことで、せっかくの壮行は2人にとって憧れの店でもある伊豆榮ということで、ついに訪れました。不忍池から通り挟み、ゆるやかに上野公園を眺める落ち着いたロケーション。入り口は昭和の風情豊かな木造りで、受付はまるで老舗旅館のよう。小上がりを上がって、奥まで行くと館内エレベーターが一基。おごそかに4階の座敷に通してくれました。おそらく昔は畳に座ったと思いますがご時世がらテーブルに。窓からは伊豆榮の庭園とその向こうに不忍池が見られます。オーダーは鰻重の竹。ご飯がちょうど隠れるくらいの大きさの鰻一尾とのこと。松にしなかった代わりに吸い物を味噌汁から肝吸いに変更し壮行に花を添えました。待つこと15分、うやうやしく並べられたお重の蓋を開けると、フワーっと鰻の香ばしい香り。山椒をふると再び香りが立ち、箸を入れるとスッと入る…。これが33年憧れた伊豆榮の鰻。本当に幸せな気分になります。上野の思い出話に花が咲き、少し涙腺緩みつつ、いい時間を過ごしました。伊豆榮に感謝…