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Mihoko KumagaiさんのMy best 2023

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東京都

天ぷら

Mihoko Kumagai

私が「野毛のおにかい」に行ったことを知っている友人から、「おにかい」系列の人気天麩羅店の予約が取れたから行かないか?という、激烈魅力のあるお誘いを受け、これは何がなんでも行かねばなりません。 二つ返事で同行させていただくことになりました。いゃ〜、楽しみです(^ ^) 現地に着くと、そこにあるのはやや歴史を感じる普通の民家なのです。郵便ポストに「みやしろ」と書いてあるだけ、ちなみにその壁面の端には「おにかい」と書いた小さな札が貼ってあるのみで、おにかい本店の1階がこちらになります。ガラスの入った扉は室内の光もなく真っ暗ですが、時間になりドアを開けると、さらに奥の扉のところでスタッフのお出迎えがあり、建物の外観からは想像できない温かみのあるフロアが広がっていました。席は全てカウンター、全8席ですがゆったりとしたテーブルと椅子の間隔なので大変居心地の良い空間になっています。 夜は25300円のコース1種類のみ、ドリンクはグラス、ボトルもありますが、ワインや日本酒のペアリングもできるとのことで、ペアリングコース(アルコール) 7000円 にしました。ノンアルペアリングも4000円で用意されているのも素晴らしい‼︎ ドリンクはシャンパンで始まりました。先付は百合根の饅頭、百合根に白玉粉を合わせた蒸し物に餡がかかった優しい味わいの春らしいスターターです。次はほんのわずかに油通しをして殻をむいた車海老、串で手渡されます。ほんのり赤い海老に泡醤油、キャビア、山葵が添えられ、海老の甘味が薬味で引き立ちます。油通しは海老の色を引き出すためとのことですが、ねっとりする口触りも油通しならではかもしれません。 ここから天麩羅が始まります。席には予め自家製の塩、天汁、おろし、酢橘がセットされているのでお好みで使います。まずは車海老、私は塩でいただきました。この自家製の塩があまりにも美味しくて、なぜ塩にこんな旨味があるのかを伺ったところ、岩塩を昆布などの出汁で溶かして若干の甘味を加えて塩味の角を取り、再精製しているとのこと、どうりで旨みと甘味が超絶なバランスの良さで、ずっと舐め続けたくなる塩なのです。このままでは天汁の出番がなくなるかも?と大将にどれを天汁でいただくのが良いか伺ったら、おろしに少し天汁をかけてお口直しのように食べながら天麩羅は塩で行くのが大将流だそう、妙に納得できる食べ方でしたので、真似をすることにしましたσ(^_^;)次は名物海老天海苔巻き、タレが美味しいのですが厚みのある海苔との組み合わせも秀逸‼︎ 添えられた海老の顎脚の素揚げも良いおつまみです。そしてタラの芽、春を告げる山菜は色鮮やかで美味‼︎ ここで名物の鮑のしゃぶしゃぶです。ぐつぐつ煮えたった肝ソースのスープに鮑を入れ30秒でレア、60秒で固めですが、私は味が凝縮する固め派かな?最後に一口大のご飯の天麩羅を投入しリゾット風にしますが、すかさずカウンター越しから禁断のバフンウニ乗せで鮑の肝とウニのハーモニー、これは人間をダメにするヤツ間違いなし‼︎ 再び天麩羅に戻って蕗のとう、顎は塩で、香りの強い芯はおろしと天汁でいただきます。続く琵琶湖のハゼは旨みが炸裂、次は趣向を変えて自家製カラスミを挟んだ揚げ餅、軽い食感にカラスミの塩味が良い感じ。そして長崎県小長井の牡蠣の天麩羅は海苔巻きスタイルで。紐から食べて食感を楽しみ、最後に肝の部分でクリーミーかつ磯の香りを堪能するのです。牡蠣1つなのに食べ方でこんなに変化に富んだ味になるのは目から鱗でした。 薄く衣をつけてカリッと揚げた金時さつまいもはそのままでも美味しいのですが、酢橘をかけるとケーキのような風味になるのですね。甘味の後はトラフグの白子炭火焼き、天麩羅と炭火を両方備えているのですね。ねっとりした白子は堪能的なテイストです。 最終の天麩羅は栃木の椎茸、千葉県香取の醤油が吹き付けられていて永遠に食べられる旨味と味‼︎ 次は名物のシャトーブリアン、胡椒を2粒噛んでから岩塩でいただけば肉の旨味が口の中で迸ります。続いて贅沢の極みの海苔の天ぷら、勝浦の鮪が載ってどちらも主役をはれますが確実に海苔天が主役、最後の瞬間に立ち昇る海苔の香りが最高です。お口直し的に極太のアスパラ、穂先からいただき、茎はその間に余熱で加熱という時間差を計算し尽くされた食べ方で。最後は1週間熟成させた千葉県富津のキス、酢橘と塩でキリッと〆ました。 食事は赤出汁と芝海老、帆立のかき揚げを崩して混ぜ込んだトマトの炊き込みご飯、リコピン酸、イノシン酸の旨みの輻輳にノックアウトでした。 水菓子は自家製塩羊羹、お薄と共に最後の余韻を楽しみながらお開きとなりました。 素材だけでなく食べ方も含めて計算された緻密な和食、素晴らしい体験ができました。

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東京都

牛料理

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西麻布で人気の肉割烹の姉妹店が2022年の秋に新富町にオープンしたということで、遅まきながら肉ラバーな友人と共に伺いました。場所は新富町と八丁堀の中間くらい、周囲はマンションが並び立つ半住宅街のようなところですが、よく目を凝らすと洒落たお店が点在するエリアで、こちらもマンションの1階という立地です。柔らかな間接照明のエントランスを入ると、白木のカウンター席のみのフロアが広がります。雰囲気は鮨割烹のようなので伺ってみたら、鮨店の後に居抜きで開業したとのこと、清潔感のある落ち着いた内装は一味違った肉割烹の期待が高まります‼︎ 予約したのは名物の手巻きがある23000円のコース(コースの名前がない⁈)です。サイトにある内容は以下となります。 先付  サーロイン ユッケ キャビア 柚子 八寸  季節のお野菜と和牛八寸 お椀  テール出汁 沢煮椀 凌ぎ  ヒレカツ巻き 木の芽 山椒醤油 温物  新玉葱真丈 香箱蟹餡 焼物  イチボ 檸檬     ヒレ 山葵 ガーリックチップ 進肴  極厚サーロインすきしゃぶ トリュフ 食事  天然真鯛ご飯 香の物  止椀  赤出汁 甘味  時に香る季節の実 まずは赤ワインで乾杯‼︎ ピノなら間違いのないマリアージュとなりそう(^ ^) スタートはユッケです。先付でユッケというのはかなりチャレンジングなスターターだと思います。このユッケはサーロインとモモを使って食感と風味に変化を持たせてタレで下味はついていますが、キャビアの塩味でさらに旨みが加わるという重奏が素晴らしい‼︎そしてほのかに香る柚子が最後に爽やかさをもたらし極上のスターターとなりました。八寸は蟹身とうるい、のれそれ、和牛の生ハムと味噌漬けのチーズ、春菊白和え、飯蛸の有馬煮です。印象に残ったのがのれそれの黄ニラ、上品なのにインパクトのあるニラならではの香りは、先付のユッケの残香も取り込んで風味が増すという味の記憶を引き出されました。 ここでお椀が出ます。和牛と鶏ももの合わせ出汁に、新玉ねぎの真薯とこごみという春を感じさせる組み合わせが良いですね。動物性の出汁は油分が浮いていますがくどくなく、丁寧に取られた出汁であることがわかります。そして名物のシャトーブリアン ヒレカツ手巻きの登場です‼︎ 大将自らカウンター越しに手渡された手巻きは、艶かしいローズピンクのヒレ肉の断面の上に生胡椒と木の芽が乗っています。カツの衣は薄いので揚げ物とは思えないくらい、もちろん肉は柔らかくとろける食感は極上の肉ならではのもの、酢飯ベースのご飯の味付けもさっぱりさせる良い仕事をしていて、これは目から鱗の一品でした‼︎ 次は甘鯛の鱗揚げです。鹿児島の筍が添えられ餡がかかっています。餡にはほのかなゆずの香り、鱗がキラキラしていて希少岩石のように美しく、筍も土の香りと春の生命を感じる味わいでビジュアルも素材も素晴らしい組み合わせだと思いました。 焼き物が始まり、最初は常陸牛のイチボのタレ焼きです。口の中でとろけてくるイチボは柔らかく肉そのものの甘味が素晴らしい‼︎ 醤油ダレですがホースラディッシュでさっぱりといただけます。添えられた小松菜のお浸しはお口直しとしてぴったりでした。続くフィレは素のままで供され、醤油塩、ガーリックチップ、本山葵をお好みでつけながらいただくのです。肉の旨みが凝縮していて、シンプルな食べ方でないとバチが当たるお肉を堪能しました。 そしてこれも手巻きと並んでこちらのシグネチャ的な一品、極厚サーロインのしゃぶしゃぶです。萬古焼の土鍋でぐつぐつに熱せられた出汁に7mmはあろうかという厚切りサーロインがそっと載せられて供されるのです。具材は自家製厚揚げと黄ニラ、出汁はやや濃いめの醤油の味付けですが、この組み合わせなので肉から出た旨みを吸って最適な付け合わせになります。残った出汁は木杓子で飲んでしまいましたが、ご飯を入れたら相当贅沢な雑炊になること間違いなしですね。 しゃぶしゃぶでら雑炊にしたいと思っていましたが、食事として葉玉ねぎとあさりの炊き込みご飯が出てきた時には、雑炊にしなくてよかった‼︎と思う自分がいました。土鍋で炊かれたあさりご飯は蓋を開けるとまさに春の香り、甘い葉玉ねぎとアサリの香りにノックアウトです。ぷりぷりのアサリがたっぷり入り、もう何も言葉が出ません。生海苔の赤出汁も大変美味しく、和食の粋を見せつけられました。 水菓子は目の前で作るせとかの苺大福と瑞々しい蜜柑、最後まで綿密に計算されたひととおりで至福のひと時が終わりました。 大将は和食のご出身だそうで、随所にこだわりの素材と仕事が感じられ、8席を巡ってすでに予約困難店になりつつあることを感じました。季節を変えて通いたい名店にまた一つ出会えました。

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新潟県

デリカテッセン

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魚沼市内から高速に乗るために走っていたら、農地直送のおにぎりが食べられるお店を発見、これは味見だけでしなければ、ということで立ち寄りました。 さっきランチを食べたばっかりですが、おにぎりたちの微笑みにノックアウト、早速後で食べるように調達です。2個だけ残っていた 塩おにぎり 140円 は待ちきれずその場でみんなでシェアしましたが、本当にうん十年ぶりに白米だけでほっぺたが落ちる感覚を覚えました。マジで自分史上最高の塩おにぎりです‼︎ 米そのものの味も旨みたっぷり、そしてフワッと、でも力強くという絶妙な握り方も最高です。口の中でホロっと解け、表面の塩味が舌に移り、解けた米の甘味がその上に重なる、もう想像するだけでも美味いおにぎりは、シャボニカ種の米の国に生まれてよかっととしみじみ感謝しました。テイクアウトした かぐら南蛮味噌 190円 は米の旨味と甘味を活かすピリッと辛い味噌の海苔を巻いたおにぎり、これも美味しかった‼︎ とても小さいですがイートインコーナーがあり、おにぎりだけでなくカツカレー(‼︎)もメニューにあり、そこで食べられます。味噌汁もあるので、本当に美味しい白米を主食として食べたい時には、少し遠回りになっても立ち寄りたいお店としておすすめです。次回はぜひカツカレーに挑戦したいので、また旅を企画しなければ‼︎

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食べ友さんから門前仲町の人気イタリアンの予約が取れたとのお誘い、これはお誘いに乗るしかありません。二つ返事でお返事したのは昨年、ようやくその日がきました‼︎ 場所は門前仲町駅から徒歩2分、1本奥に入ったところにあります。入り口のドアを開けるとシェフがにこやかにお出迎え、ホールスタッフもコートを預かったり荷物置き場を案内したりと、大変気配りがなされていて期待度MAXで席につきました。カウンターのみ10席のこじんまりした店内ですが、下がっているグラスや壁の黒板が良い雰囲気を醸し出しています。 メニューはお任せのコースでワインのペアリング付き(17000円)でした。添えられたカードにあった内容は以下となります。 〜本日の献立〜 1.古都華のカプレーゼ 2. カルパッチョ (目光、海鞘、九絵、平目、白海老) 3. タラバ蟹とフカヒレのフラン 4.蛍鳥賊と筍のリングイネ 5. 平目のセモリナ粉焼き 6. 穴子とジャガイモのバルサミコ 7.飛騨リーキのスープ 8. ひらこ地鶏の丸焼き 9. ドルチェ スターターは苺のカプレーゼ、合わせるドリンクは白ワインです。古都華は奈良で開発された苺でとても濃厚な味で、この苺のソースを敷いた上に果肉をのせ、北海道直送のモッツレラの上にオリーブオイルとバルサミコを振った一品は、まさに春を思わせるものでした。続いてカルパッチョです。目光、海鞘、九絵、平目、白海老ですが、目光だけ火を入れて甘酢漬け(カルピオーネ)です。10日間寝かせたクエはネットリとした熟成感が楽しめ、ウニを載せたヒラメは羅臼昆布で締めて昆布塩でいただく旨味炸裂なもの、新鮮なホヤはマツモの磯の香りが加わったところに酢のジュレで味が締まり見事なハーモニー、富山の白エビはキャビアの塩味がアクセントになりワインが進みます(^ ^) 温製はフラン、北海道のタラバガニ、気仙沼のフカヒレと豪華な素材の掛け合わせ、最後に立ち昇る柚子の香りで清涼感を覚えます。これもまさに和の技、素晴らしいシェフの発想と素材に敬意を表します。 いよいよパスタです。兵庫のホタルイカと熊本の筍のリングイネは、トマトソースなのに大変軽く、筍のほのかな苦味がトマトの旨味と合体して今までに経験したことないパスタソースでした。パンでソースを拭いたかったのに、その前の料理で食べてしまったは痛恨の極みでしたσ(^_^;) 魚料理はセモリナ粉をまぶした宮城産のヒラメのポワレと千葉の蛤のスープ仕立て、一番下には菜の花、トップには立派な蕨がそえてあり、素材の組み合わせに脱帽です。セモリナ粉なのでポワレしたヒラメはカリカリに仕上がっていて食感が心地よく、蛤のスープに浸しても食感が保たれています。菜の花の苦味がうまく活かされた絶妙な蛤のスープはもちろんパンと一緒に完飲ですね‼︎ このタイミングで供されたのがトマトとオリーブのパン、これが香り高い小麦とトマトの優しさが合わさった素晴らしいパンで、もちろん蛤のスープとともにいただき、最高の贅沢な食べ方かもしれません。 そして魚料理がもう一皿続きます。骨切りした気仙沼の穴子、アミガサ茸、じゃがいもをじっくりとグリルし、マルサラソースをかけて素揚げの牛蒡が添えられています。まず驚くのが穴子の大きさ、手首ほどもある穴子だそうで、言われなければ何の魚を食べているかわからないくらい見厚で、それでいて魚の味がギュッと詰まったテイストなのです。また土の香りのする牛蒡とマルサラソースがよく合うこと‼︎ この組み合わせは大好きです(^ ^) ここでスープが来ました。飛騨のポロネギのスープで、青い部分でコンソメを作り、香ばしく焼いたネギを少し煮て具材としています。出汁としてアンチョビも使っているのでネギだけなのに濃厚な味わい、これはびっくりな一品です。このスープからメイン料理にかけて起用されたのがトリュフパン、トリュフは多すぎるとくどくなりますが、こちらはほんのりと薫る程度なので料理の良いアクセントになっていました。 メインは宮崎のひらこ(飛来幸)地鶏の一羽丸ごとのロースト、付け合わせは仙台の白菜の茎とべにはるかのグリルです。塩だけで味付けされたグリルは香ばしくジューシーで最高です‼︎ 飛来幸地鶏のベースは名古屋コーチン、平飼いなのでしっかりした肉質の胸肉が美味しいのです。皮はバリバリで肉はしっとり、白菜の旨味、べにはるかの穏やかな甘みが複雑に鶏肉と絡まり、皿の中に調和のとれた小宇宙を見ました。 デザートはリコッタチーズと粗挽きヘーゼルナッツのパウンドケーキ、不思議なことに中がとてもしっとりしていて、赤ワインとともに素晴らしい余韻を残して終了です。 この日は奇しくも3.11、東北地方の素材を使った素晴らしいイタリアンの「シャポネゼ」を堪能しました。

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東京都

寿司

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2022年夏に開業した予約困難な鮨割烹の席が取れたというお誘いにあやかり、二つ返事で食べ友さんと伺いました。予約は17時30分か20時の席のみ、メニューはお任せのコースのみなのです。場所は東中野駅東口から徒歩2分、ビルの2階にあり看板は出ていませんが、階段の入り口に行灯があるので最初はよく見ないと行き過ぎるかもしれません。階段を上がると白木の店名のみの表札と引き戸があり、隠れ家感があります(^ ^) 店内は紺色の壁で落ち着いた雰囲気、8席のみのL字型カウンター席は大変ゆったりとしたもので、大将の温かいお出迎えでこれからのひとときに期待が高まります。 いただく 鮨くにみつコース15400円 は握りがメインの20品、内容は季節によって変わり、食事後は奥にある小部屋のテーブル席でデザートやお茶を楽しめるとのことです。 ペアリングオプションもありますが、今宵は大将のおすすめの日本酒縛りで行くことにしました。前に置かれたのはLIDDELLの純米グラス、初めてみましたが大変美しいシェイプのグラフです。最初は滋賀のひっぱりだこ純米吟醸生、清涼感のあるテイストでスターターに相応しいお酒です。 最初の料理は白エビの握り、静岡の山のいぶきの茶葉と塩で2時間前にミルで引いて締めた白エビが薄緑の織物のように美しく輝き、エビの香りとねっとりした舌触りの素晴らしい絡み合いで驚愕の始まりでした。次は春蒸し、富山のホタルイカ、芽キャベツ、白魚の蒸し物です。和紙の蓋を開けるとフワッと香りがたちのぼり春の先取りです。次は青森あいなめの握り、4日寝かせたもので塩と柚子でいただきます。旨み凝縮で歯触りよしの逸品です。ここでこちらのスペシャリテともいうべきブリフィーユ、1週間寝かせた高知のブリに酢漬けの大根を挟み込みミルフィーユ状になった握りです。脂が多いので酸味で乳化させてマイルドなることを狙っての作品は身震いするくらい美味しい‼︎ ここでお酒が栃木の仙禽に変わり、次の八潮鱒の握りの産地と近く相性の良さがあるとのこと、計算されたセンスの良さが光ります。八潮鱒は水流で育てるので筋肉質な鱒でオリーブオイルを餌に混ぜて育てるそう、それを3日間寝かせていて濃厚な香りとテイストになります。脂の乗った身は最後に鱒独特の香りが残るのですね。次は名付けてトリプルスプリングロール、サワラ、蓮根、春菊の味噌で3春なのだそう、メクワイの素揚げが添えられています。春巻きに味噌をつけ、サワラの香りと春菊の香りで春いっぱい(^ ^) ここでトロとエシャロットの巻物、エシャトロ巻きです。辛みを取るためにエシャロットを醤油漬けにしたおつまみ感覚の新感覚の巻物、大将は醤油漬けなので色が地味で映えない、と笑っていました(^。^) セオリー通りなら光り物の位置に、敢えて淡路のカスゴダイの握りです。小さくても鯛の香りは流石で、大将曰く「天才子役」だそう⁈ 次の日本酒は甘口なのにスッキリな高知の亀泉です。ここから合わせる握りは低温調理で焼きを入れてある苫小牧のホッキ貝、こんなにジューシーなホッキ貝は初めてです。次は佐渡のメジマグロの刺身、塩で叩き、敢えて血合いも使っているのに、大粒の結晶塩でクリアでマイルドなテイストがgood‼︎ 次は先程まで生きていた大分の車海老の握り、4分間のスチームで身がふんわりし海老の甘味が素晴らしい握りです。インドマグロのサク漬けの握りはサク を湯霜で皮膜を作って漬けるのでマイルド、芥子でいただくのも斬新です。 ここから高級食材が続きます。根室の馬糞ウニは敢えて握りでいただきます。新鮮なウニでないと形ができない握りは技と素材の良さに驚き、海苔の味がないピュアなウニの味が楽しめました。ノドグロの小丼は行者ニンニク味噌が添えられ、つぶしてご飯と合わせるのです。脂の乗ったノドグロだからこそニンニク味噌に負けない風味を発揮、塩焼きのノドグロとは異なる次元の美味しさを実感しました。握りのトリは大船渡の煮牡蠣、牡蠣を煮詰めたツメダレは自家製オイスターソースとも言える濃厚な風味で加熱することで凝縮する牡蠣の旨みがさらに倍増でした。 能登の新もずくのお椀の後、〆は塩かっぱ巻きと冷茶です。手摘みの大棟の茶はキロ単価10万円という高額なものですが、まるで出汁のような旨味凝縮のお茶できゅうりと冷茶でスッと清涼感を感じる〆となりました。 デザートは小部屋に移動し、生プリン、二色寒天、茶葉を使ったパウンドケーキの盛り合わせ、水出しの温かいほうじ茶がクリアで香り豊かで、至福の時を過ごしました。 細部まで計算された料理だけでなく、器や装飾は小瀬戸焼や織部焼の作家のものを使い、随所にこだわりを見せてくれた大将の阿部さんは18歳から鮨一筋、海外経験も積まれていて、次世代の鮨を背負っていただける方に出会えました。

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長野県

日本料理

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毎年恒例のイベントで、今年も松茸を求めて別所温泉にやってまいりました。松茸料理が人気の別所温泉にある料亭です。今年の予約開始の案内を見逃してしまい、松茸が終盤となる時期での予約になりました。うまく松茸に出会えることを祈りつつ、別所温泉に向かいます。 入り口でスタッフ一同の温かいお出迎えを受けて、奥の座敷に案内されました。板場で大将に少しお話しを伺ったら、今年は松茸は不作で企画にご苦労されたとのこと、かえって期待が高まりました。 今年の予約も昨年と同じく松茸丸ごと1本焼きがつく 琥珀 18900円 です。この日の内容は以下となります。 ・先付 松茸だけの土瓶蒸し ・前菜 鯖の棒鮨と卵焼き、酢取茗荷、松茸と生湯葉のゼリーがけ、ナッタード乗せ 信濃雪鱈昆布締め、刻み山葵和え 信濃太郎ポークのナチュラルハム ・蒸し物 松茸の玉地蒸し 自家製唐墨の餡掛け ・煮物替 鶏の摘み入れと松茸 濃厚鶏スープ ・進肴 信州産豚ヒレのローストと焼き茄子、炙り松茸に松籟亭特製和風ソース ・揚物 松茸の天麩羅と松茸のフライ 紅葉麩、新生姜酢醤油漬け ・炭火焼 焼き松茸 ・鍋物 信州産牛サーロインと松茸のすき焼き ・お食事 長野県オリジナル品種「風さやか」と松茸の土鍋炊きご飯、香の物 ・留椀 信州上田のブランド味噌「奏龍」のお味噌汁 ・飯塚果樹園「シャインマスカット」と「真沙果」、坂下果樹園「シナノスイート」 ファーストドリンクはメルマガ特典で1杯サービスになるので、対象ドリンクから各々チョイス、すぐに土瓶蒸しがセットされます。すぐにお出汁と松茸の香りが立ちのぼり、魅惑のひと時の始まりです‼︎ 前菜は盛り合わせ、特に名物の鯖の棒鮨は脂も乗って絶品です。そして今年は初めてのものに出会いました。昆布締めに乗っていたのはナッタード、長野で生まれた野沢菜の種を使った本格国産マスタードで、長野産のリンゴや穀物酢を使ってマスタードの製法で作られていて、フレッシュなプチプチ感と優しい酸味が昆布締めを引き立てます。毎年驚きを見せてくれる大将には敬意しかありません。蒸し物は王道の松茸の茶碗蒸しですが、今年は唐墨がかかっていて豪華仕様‼︎ そして煮物は鶏の濃厚スープ仕立て、これも新境地です。続く進肴も今までにないポークを使ったもの、今年は新境地が次々と開けていくようです。松茸の天麩羅に続いてメインの松茸炭火焼き、じっくりと焼き酢橘や塩で至福のひととき‼︎ もう一つのメインのすき焼きには、これでもかというくらい松茸が入っていて、最後の煮汁にお約束のオプションの白飯を入れて信州牛と松茸のエキスが溶け込んだ雑炊を堪能しました。 最後は松茸の炊き込みご飯です。土鍋の蓋を取るとみっしりと敷き詰められた松茸、食べきれない分はおにぎりにしてお土産でお持ち帰りです。デザートはフルーツ王国長野にふさわしい新鮮な果物で今年も素晴らしい秋の味覚を堪能しました。 今年は不作の松茸ということで、確かに例年よりも小ぶり、かつ香りも個体によってだいぶ差がありました。その差を埋めるべく、コースの組み立てと合わせる素材、手の掛け方が半端ない一つ一つの料理で、いつもに増して完成度の高いものになっていたと感じました。自然を相手に常に満足度の高い料理を提供し続ける姿勢には本当に頭が下がります。我々も頑張ってまた来年こちらに集まれることを願ってお開きとなりました。

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長野県

うなぎ

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11月の3連休、恒例の長野ツアーの道すがら、ランチタイムに伺うお店は、諏訪の鰻の人気店のこちらに伺おうと計画です。駐車場は湖畔側と店の裏にもあり、どちらかというと裏の方が停めやすいかもしれません。店の外観はどっしりとした玄関、小豆色の暖簾が風情を感じます。 店内はそれほど広くはありません。テーブル席、奥には3部屋の半個室の座敷があります。10名くらいまでなら利用できそうでした。混むかもしれないということで予約を試みましたが、週末や祝日は予約はできないとのこと、これは行ってみるしかなさそうです。ラッキーにも個室が取れ、全員同じ部屋に入れました。 メニューを見て、白焼きと蒲焼の両方が楽しめる しらかば二段重 4600円 に即決、そしてプラス100円で肝吸いに変更しました。鰻はオーダーしてから時間がかかるのはお約束、それも含めて楽しむのが良いのです。車があるので私はアルコールなしですが、ビールも楽しむ面々もいて羨ましい(^ ^) 待つかと思った時間よりも早く、お盆でお重が運ばれてきます。もう運ばれている時点で良い香り‼︎ 二段重というメニューですがお重は三段、一番下は白ご飯です。白焼もあるのでいわゆる蒲焼の鰻重のようなタレがかかったご飯ではありません。もちろん基本の鰻重を頼んだ友人のはちゃんとタレがかかっていて、これも美味しそう‼︎ 鰻重(松)だとご飯の間に1枚蒲焼が潜んでいるという噂もあり、これは宿題とするしかありませんσ(^_^;) さて、白焼はわさび醤油でいただくのですが、中はふわふわ、外側はカリッとして絶妙な焼き具合、これは日本酒が欲しくなります(^ ^) そして蒲焼、タレの上質感が堪りません‼︎もちろん外は香ばしく、中はふわふわ、ご飯が進んでしまいます。肝吸いも生臭さは皆無、プリっとした食感は新鮮な証拠ですね。お出汁も大変good‼︎ 食べれば満足度マックスになる二段重でした。 諏訪湖半には鰻の名店がひしめいています。元々しじみを養殖していた諏訪湖は栄養が豊富な環境で、その環境により天竜川から鰻が渡ってきてこの地に鰻の文化が根付いたそう、鰻文化の必然性がある土地柄なのですね。そんなロマンに思い馳せながらいただく鰻は、また格別の思い入れができてしまいます。こちらと同じくいくつかある名店、老舗店にはちゃんと自分の目と舌で歴史を実感すべくうかかいたいものです。でもその前に鰻重(松)の宿題をいつ片付けようかしら⁈

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東京都

ラーメン

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行きたいと思っていたこちら、ランチタイムが遅出になったので並ばなくてもいけるかな?と足を伸ばしたら大正解‼︎ ピッタリのタイミングで残席2席のところに滑り込めました。間髪入れずに次の方もいらっしゃったのでかなりラッキーだったかしら? ガチ勢の如く半チャンラーメンにしようか迷いましたが、噂では結構量があるとのこと、今回は様子見にして チャーシューワンタン麺 1000円 にしました。ワンタン麺は時間がかかるらしく、女将さんから「少々お時間をいただきます」と念押しされましたが、全然問題ありません(^ ^) オーダーごとにワンタンを包むので時間も必要なのです。楽しみだ‼︎ カウンターの前に水が置かれるので、コップを自分で下ろして待ちます。キッチンの中は女将さんがフロントを、大将は黙々と鍋を振り、麺を茹でてワンオペ調理担当なのですね。次々と麺料理とチャーハンができていく様は計算され尽くしたアスリートの動きそのものでした。 程なくして私のチャーシューワンタン麺がカウンターの上にきました。幅広の丼をテーブルの上に下ろすと、中にはキラキラと輝くスープ、細めの軽い縮れ麺、整然と並んだ厚みのあるチャーシューが4枚、肉入り雲呑が5つ、メンマ、鮮やかな緑色に仕上がった絹さや、極薄輪切りの白ネギのこれぞ調和のとれた小宇宙か?と思わせるような光景が広がっていました。スープをひとくち口に入れた瞬間、思わずにっこりしてしまう自分を密かに発見して狼狽えましたσ(^_^;) 絶妙な細さの縮れ麺はスープともよくあいます。ワンタンは生姜が効いて餡全体の旨みのバランスがよく、ギッチリと餡が詰まったワンタンはそれだけでも立派な一品になりそう、チャーシューは見た目は厚いのにホロホロと崩れる柔らかさなので、これは見事な仕上がり‼︎ 散らされた繊細な小口切りの白ネギ、鮮やかな彩りを添える絹さやの整った盛り付け方、何一つおろそかにしないラーメンに出会ったような気がしました。 両隣の方は半チャンラーメンでしたが、チャーハンの量がほぼ1人前⁈に見えました。でもとても良い香りで、これは朝ごはん抜きで再挑戦せねばなりません(^。^) 場所を考えると待ち時間が短い時間帯でないといけないので、リベンジを誓いつつ行けそうな日が来ることを待つことにしましょう‼︎

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千葉県

カリブ料理

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いつもは相方もお店の営業時間も合わなくてもっぱらテイクアウト利用でしたが、お店もオープンしていて、相方の都合もOK、うまくタイミングが合ってやっと機会が来ました。夜の部のお店でイートイン利用です。なんと家人が空いていることを確認してしてくれてから小一時間くらいしか経っていませんが、入り口には「本日キューバンサンドは売り切れ」の張り紙が⁈ 聞けばあの後すぐにテイクアウトでどかっとオーダーが入ってしまったとのこと、人気が出てきたのだ、と喜ぶしかありませんσ(^_^;) ま、いつもキューバンサンドのテイクアウトをしているので、今宵はハンバーガーで攻めたいと思います。 店内は元とんかつ屋さんの居抜きですが、カウンター上の大きなモニターには映画が流れ、カウンターの向かいの壁にはフィギュアのディスプレイ、壁には映画のポスターやネオンディスプレイがズラリと並んで、昭和と現代が入り混じった不思議な空間です。 まずはビールで家人とお疲れ様の乾杯、私は ヒューガルデン(中) 680円、連れはコロナ 680円 です。1週間の仕事の終わりに飲むビールは最高ですね‼︎ まずは早めにできるものということで、シーザーサラダ 780円 と メキシカンエッグ 480円 をお願いしました。シーザーサラダはロメインレタスではなくレタスとサニーレタスを使ったもの、ロメインレタスの歯触りやほのかな苦味というものはありませんが、とにかくたっぷり載っているベーコンが激ウマなのです。もちろんドレッシングも非常にレベルが高く、ベーコンの脂の甘味、香ばしさ、肉の旨み、チーズ、クリーミーなドレッシングと、一皿抱えて食べてしまいたいくらい美味しい‼︎ベーコンはSPF豚を一頭買いしている業者に委託して作っているオリジナルテイストの自家製だそうで、どおりで肉がとても美味しい‼︎ 毎回キューバンサンドウィッチで食べていて旨いと思っていましたが、マスターにお話しを伺て、そりゃ美味しいわけだわ‼︎ メキシカンエッグは、スパイシーな漬け汁でゆで卵を漬け込んだ味付け卵で、半熟卵にしっかりと味がつき、卵の周囲にはトロトロマッシュポテト、卵を崩してこれをつけながらいただくのです。初めての味ですが、これまたビールが進むσ(^_^;) お目当てのハンバーガーは具材の多さでいくつか種類があります。こちらの基本はポークパテのハンバーグ、連れは最もベーシックな DADDY’sバーガー 1180円、私は今マスターがビーフのハーバーガーのレシピを試行錯誤している試作品のDADDY’sビーフバーガー(勝手に仮称) 1180円 としました。お値段もまだ決まっていないので仮設定ですσ(^_^;) ポークのハンバーガーのパテの厚みは2cmくらいあるんじゃないか⁈というビッグサイズ、ビーフは脂が少ないためポークほどふんわり焼けないかわりにダブルパテで、結局2cmの厚みです(^。^) 試作品のビーフバーガーは、ギシッと詰まった食感のパテが薫香を感じる特製BBQソース、シャキシャキレタスと相まってめちゃ旨いバーガーに仕上がっています。私ならこれはリピートになるくらいヒットなのですが、マスター曰く、ようやくほぼ完成に近づいたけれどまだまだ理想ではないとのこと、これが正式にお目見えするのはいつになるんだろうσ(^_^;) ポークバーガーは肉汁が迸るパテで、これは肉質が良いのと抑えめなソースで、肉の旨みを全面に出したのが功を奏していると感じました。そして、使っているバンズは私も毎週通っている近所のひとぱん工房さんのもの、キューバンサンドのパンも含めて、その料理に合わせた配合、焼き方なので、具材との味や香りのバランス、口触りなどが総合的にカチッと噛み合っているのも特筆すべきことだと思っています。 激ウマなサラダとメキシカンエッグ、巨大なハンバーガーだったこともあって、この日はビールをジョッキで3杯もいただいてしまいましたσ(^_^;)まだ平日なのに、なんてことしてしまったのでしょう⁈ 明日は朝から反省して、早起きして仕事に行きましょう(^。^)

10

長野県

洋菓子

Mihoko Kumagai

上田から安曇野に抜ける道すがら、アップルパイの大きな看板を発見‼︎ それに釣られるように、ちょっと寄り道と洒落込むことにしました。これからランチなのに、もし食べることになっちゃったらどうしよう⁈ こちらは上田の鹿教湯(かけゆ)温泉斎藤ホテルが地元の素材で鹿教湯温泉を元気にしようと洋菓子店をプロデュースしてオープンしたとのこと、調べたら特にこだわりの信州産リンゴを使うアップルパイには定評があり、楽しみ‼︎ 連休や週末は隣にある病院の駐車場が臨時で使えます。到着時刻は朝10時前なのにすでに駐車場はほぼ満車、ただ回転がはやいようで、少し待てば入れることもわかりました。車をおいて店に向かうと、あれれ?入りきらない方々が外に並んでいました。これはすごい人気です‼︎ こちらのアップルパイは円筒形をしていてユニークですね。持ち帰りにも適していそう(^ ^) 店内にショーケースはありますが中はほぼ空っぽで焦りましたが、実は在庫は奥にあるようでオーダーは普通にできます。私は自宅でリンゴの種類で楽しむよう、この時期ならではの「紅玉」と「さんフジ」を1本ずつ購入(420円@1本)しました。時間が経ってしまい、サクサクのパイはどうなることやら?と心配しましたが、全く問題なくサクサクとしたままいただけました。これならあと1日くらい置くと今度はいい感じにしっとり感が出そう⁈ 残念なことに1本ずつしか買わなかったので、これは来年の課題ですね‼︎ 店内にはイートインコーナーもあります。実はすごく気になっていた1時間以内に食べなければならないミートパイがあり、時間があればイートインで試したかったのですが、並んでいる方達の目の前で食べる勇気があるかというと、自信なしσ(^_^;) これも来年の課題にすることにしましょう>問題の先送り(^。^)