焼肉に続けて連れてってもらいました。 大将に二軒目だと告げると、「じゃぁ、シャリ小さめで、五貫ほど握りましょか」ってことで。プラス土瓶蒸しお願いしました。 最初に出てきたのは鮪漬け。マニキュア塗ったみたいな綺麗な色してます。 次に鱚。身を細く切って三つ編みにしてあります。こんなん初めて。 鰤は分厚く切った後、丁寧に細かい包丁が入ってて、柔らかく口の中でとろけます。 雲丹イクラの相盛りの軍艦、烏賊とお任せで五貫いただいた後、黒板にお勧めって書いてあったこはだもいただいちゃいました。 お寿司とともに冷酒いただいたんですが、お替りする時に別の銘柄リクエストしたら、冷酒はこの銘柄だけって言われました。酒好きの常連さんに寿司に合う手頃な銘柄を選んでもらって、それ一本でやってはるそうです。色々呑みたい人もいるでしょうけど、あくまで寿司で勝負って心意気が私は好きです。 大将と客との距離感もちょうどいい感じで楽しくお寿司いただきました。
夕刻5時過ぎ。小雨降るなか桜を眺めつつ走ってきた電車は宇野駅にたどり着いた。 青春18切符を握りしめた三十年前の18歳は改札を出て帰りの電車までの居場所を探した。この町の情報として知っていることはほぼない。ただ、終着駅だということと、港町だということ。一日中鉄道に乗ることが目的の旅なんてそんなものだ。 そんな私の目にとまったのが、このお店。 瀬戸内の魚が食べれそうだ。ビール注ぎ職人の店ってステッカーも貼ってある。別にビールに拘りはないが、男は日本酒か焼酎呑めって雰囲気の店はちょい苦手。 40分1本勝負と決めて扉を開けた。 先客はなし。 「ご予約のお客様ですか?」 「いや、次の電車までの間、ちょっと呑ませてもらえませんか?」 ってことでカウンターに座らせてもらう。 生ビールを注文すると、アルバイトとおぼしき若い女性がビールを注いでくれた。どう見てもビール注ぎ職人には見えないが、職人より女性に注がれる方を好む客だと思われたのであろうか? その推測は半分だけ正解。若い女性はどちらかといえば苦手なのだ。 突き出しとのことで、しらすおろしと菜の花のお浸しがでてきた。立飲み通いの私にとってはこれで充分なんだが、それも悪いので本日のお勧めメニューから刺身盛合せをお願いする。 大口の予約が入ってるのだろうか、大将はじめスタッフはみな板場で忙しそうにしてる。ってことで多分ホール担当のそのお姉さんがマンツーマンで私の相手してくれることに。 もともと話好きなのか、職業的使命感からか、ふらりと来る客に興味を持ったのかわからないが、お姉さんは色々話しかけてきてくれる。けど、ごめん、今日は一人旅モードやから。 刺身は、サーモン、鰤、白身2種は鯛となんか地魚かなぁ。対面が料理人さんやったら何の魚か聞くんやけど、お姉さんと伝言ゲームするのもなぁ。 鉄道旅でビールの飲み過ぎは致命傷になりかねないので、時計を見つつ生二杯飲んだところでお勘定お願いする。 すると、お姉さんが伝票集計して、誰の確認もとらずに私の前に。え? 若く見えたけど会計任されてるの? さて、あとは家まで、のんびり電車に揺られますわ。