▼多くの文人才人に愛された名旅館、熱海蓬莱の女将、古谷青游さんがその美意識と情愛を傾けた西洋館、ヴィラデルソル。旧徳川家の遺構、南葵文庫を移築した建物は細部に及ぶまで素晴らしく、そこだけ時が止まったようなオーベルジュでした。私も大好きで毎年のように伺い、好きが高じて結婚式もここで挙げてしまいました。▼その蓬莱は、センスのかけらも無い某買収先がぶっ壊して更地とし無くなってしまい、ヴィラデルソルもあえなく閉館。人が手を入れていない状態がこれだけ続いていると文化財指定されている建物のことが心配です。金だけ儲ければ良いのでしょうか? 怒りすら感じてます。▼しかし、幻となったその味は、料理長だった金野さんが独立し、いま湯河原の地で、さらに進化して復活しています。▼こちらのスタイルは、その日に揃った新鮮な魚介を前にしてから、シェフの金野さんがどんな料理が良いかを考えるためメニュー的なものはなく、スタンダード、グレードアップ、おまかせの3コースの中から好きなものを選び、後はどんな皿が出てくるのかを楽しみに待つだけという感じです。今日はおまかせにしました。▼ワイン、シャンパンともにリストから選ぶ感じですが、グラスのワイン、シャンパンも用意されています。魚介中心なんで、馬鹿の一つ覚えでシャブリを頼みました。▼料理は、一皿目の鮑のサラダからその繊細な味に驚き、アオリイカとピスタチオソースという組合せに唸り、毛蟹のリゾットの旨みの深さに圧倒されていると、定番料理の蛤の直火焼、そして魚の裏ごしスープ(スープドゥポワゾン)が出てきました。▼蛤の直火焼とスープドゥポワゾン。この2つは私の最後の晩餐にしたい料理!と勝手に思っておりまして、とくにその日その日で採れた魚を丸ごと使ってつくるこのスープが出てくると、飲む手が止まらず、毎回幸せな気持ちになります。▼今日のメインは平目でした。この平目の皮目のうまいこと、うまいこと。ここまで皮がパリパリにしっかり焼かれているのに、身はしっとりとしてふっくら。パサつき感はありません。一体どうやっているんでしょうか?▼またデザートもこちらの魅力でして、今日はパッションフルーツのミルフィーユでした。歯応え、香り、甘み、そして少しほろ苦さと味の重なりが素晴らしいです。▼最後はヴィラデルソルのときから好きだったハーブティー。お茶菓子はマカロン。これもまた美味い^_^ ▼もうカランクのあるこのマンションの部屋を買って住みたいくらい好きです。また必ず伺います。ありがとうございました。 #ハラクニさんお気に入り