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k.kimuraさんのMy best 2022

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最上質な日本料理を最上質な和の空間で @日比谷 帝国ホテルのスペシャリティレストランとして2021年10月にオープンしたお店。 神楽坂の超有名店「中むら」グループのプロデュースによるお店。同グループの神楽坂「虎白」からの日比谷「寅黒」か。調理責任者は虎白の鷹見将志氏だ。そして意外にも帝国ホテルの歴史で初の直営日本料理店なのだとか。 内装は斬新さと安定感を兼ね備えた和のデザインで賞賛を集める建築家の広谷純弘氏だ。 最上質な和の空間で頂く珠玉の料理。それを支える超一流のサービスは独特の品格の中でお客を和ませてくれる。それが和製ホテルのありがたいところ。 当日は壁に金箔を貼ってその上に織物を纏った個室。料理の合間にその内装の芸の妙を楽しんで、至福のひと時を過ごさせて頂いた。 さて、 ◆フカヒレとホワイトアスパラ塩焼き パリパリとしたアスパラの食感は水々しく新鮮な甘みが素直に沁みてくる。フカヒレのソースは思いのほか塩味が効いて刺激的な印象。 ◆稚鮎の蒸物の春巻き 敢えて姿を見せない粋な世界。幾何学的に思える細い円柱の中から飛び出す若々しくも芳醇な味の広がりに驚き。パリッとした歯応えの後から追いかける軽快な苦味の上品さに唸る。 ◆帆立のしんじょう とにかく上品な出汁。五臓六腑に沁みるな。しんじょうは貝柱の旨味に小さな柚子の皮のアクセントが効く。椀入力浮くミニオクラの緑がとても綺麗だ。 ◆お造り ・石川のどぐろ炭おろしと北ムラサキウニ 脂の美味さと炭の香ばしさが超絶妙にマッチ。 ミョウバンを一切使わないウニの本物の味を知る。 ◆お造り ・伊勢海老のキャビア乗せ さすが帝国ホテル。キャビアの量が半端ない。伊勢海老の甘味とか豊かな噛み心地と、プチプチ弾けるキャビアの食感が神経を刺激。 ◆金目松笠焼肉 とうもろこし 鮮やかな金目のウロコの焦げが素晴らしく綺麗なコントラスト。プリプリでカリカリ。絶好のタイミングでその美味さを楽しめた。 とうもろこしは甘味深し。 ◆毛蟹蒸物 メロンのスープ なんと言う見事な演出。蓮の葉からこぼれ落ちるじゅんさいの健気さ。 それをめくって毛蟹を頂く。解された蟹の身は舌先に繊細でしなやかな刺激。トロントしたじゅんさいと対比的だった。 ◆椀 旨味が凝縮されたスッポンは炭火焼きしたもの。スッポンの出汁を吸った冬瓜がたまらなく美味。 キクラゲは今までに食べたことのない食感。パリパリとシャキシャキを合わせた感覚が楽しい。 ◆ご飯 ・牛蒡と牛肉の炊き込みご飯 なんと牛にくは生。炊き立ての白米に混ぜなぎら旨味を出すのだとか。しゃぶしゃぶくらいの熱の通し具合になる。品のある牛蒡の土の香りがレアな牛肉とマッチすると言う妙。 素晴らしい発想だ。 ◆甘味一 他い深い甘味のラム酒のアイス。サクッとしたキノコのガレットと共に。 ◆甘味ニ ・椰子の白わらび餅 わらび粉とココナッツミルクを練り上げた冷や菓子。 神楽坂駅の石かわ、虎白の店主が創り出した甘味だとか。 ココナッツミルクのコクと香りがわらびと合わさることで優しい和の美味に。

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東京都

日本料理

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温故知新の会席を味わう @代々木八幡 秋の終わりに訪れると店構えがバージョンアップしていた。 暖簾を止めて、しめ縄の形の美しさを強調。 行燈に書かれた店名の書体がより高貴な雰囲気を漂わせていた。 盛り塩に乗せられたカボチャの顔やお化けは、粋なハロウィン仕様の表現だ。 引き戸を開けると現れる大将の笑顔は、変わっていなかった。 当日はカウンターが鈴なり。初めての6人並びだ。 そう、このお店にはカウンター越しに料理人の所作を観たり大将との会話を楽しむところに魅力を感じるお客が集まるのだ。大将もそのコミュニケーションを大事にしている様子。なので、狭くても文句を言うお客は皆無だ。 上品に、そして、賑やかに料理が進む。 店内ごがサッパリしているなと思ったら、いつも壁の上に飾られていた大きな熊手が無い。それを見て新鮮な決意を改めて感じたのだった。 [先付]くわいチップ 焼き獅子唐 一杯目のビールに合わせて作ってくれる先付。 揚げたてのクワイは軽快でありながら深さのある噛み応え。繊細な塩加減と香ばしさを感じつつ、この先の期待感が高まる。  [前菜]小蕪風呂ふき フーフー言いながら。舌先を刺激するしなやかな繊維と甘みの後から追いかけるほのかな苦味に自然を感じる。それを自家製の柚子味噌が包み込み、その融合がとてもリッチ。 [前菜]柿なます 石和の柿はシャキッとしてほのかに甘い。なますの歯応えも軽快で、気持ちが引き締まり味覚が敏感になってくる。 [椀]湯葉汁 山葵【超絶・名物】 大将が京都の修行時代に作っていた名物料理だとか。 味覚を研ぎ澄まして感じてみる。非常に繊細な美味さ。味わえば味わうほど深さを感じるこの出汁は何だろう。 海老や蟹の甲羅を焼いたような香ばしさに似た風味がかすかにかんじられるが、そんな単純では無いはず。 繊細な湯葉が主役。それに甲殻類は強すぎるような。大豆などの豆類を煎って根菜の干物と炊いたような…。素人の推理は続くばかり。 結局、教えてもらえなかった。 [向付]関アジ アオリイカ 針生姜 大分の関アジに佐島のアオリイカという一流の素材。肉厚の関アジはクロスに入った隠し包丁によってとても食べやすく。身が引き締まりながら脂の甘みあり。 アオリイカも鮮度抜群でコリコリした歯応えを残しつつ品のある甘みを放つ。 [焼き物]黒むつ レモン 内房の黒むつは肉厚。その切り身はコロッとした形で食欲を唆る焼き色が付いている。 その白身は極薄味で、レモンの効果が抜群だった。 [揚げ物]焼き海老芋 25cmもありそうな大きな京都の海老芋。 その長さを生かしてカットされたシルエットだ。 [蒸し物] シラカワ丹波蒸し 京の魚、シラカワは白甘鯛のこと。それに丹波栗とは。素晴らしく雅な京の風情を纏った一皿だ。 黒の椀の中のシラカワは繊細な肌を見せて [小鍋]白子みぞれ鍋 本日のクライマックスは鍋。土鍋でグツグツした状態で提供される。 熱々の白子は北海道浦河町産。衣の香ばしさと白子のクリーミーで芳醇な味わいが最高。 最後は匙で全ての旨みを纏ったしぐれを頂く。 [ご飯]あわみのり 新米 赤出し ・炊きたての柔らかいところ 香り豊かな炊き汁を纏った新米。若々しい芯を感じながら楽しむ。 ・蒸らした白米を浅漬けと共に ふっくら甘味のある上質なご飯。 ・新筍すき焼き【絶品】 10月に筍を食べられる感動。近江牛の贅沢な旨みと新筍のコリコリ感。それがご飯で広がっていく。 ・いくら醤油漬け 粒が揃った上質ないくらはとても品のある漬け具合。プチプチが心地よく、ベタベタにならないところが普通と違う。 ・蕪の葉とジャコの炒め 油を吸った蕪の葉は心地よい苦味と香ばしさ有り。ジャコの塩味と旨味が合わさり充実感のある味わいに。 ここで満腹満足。 [甘味]有の実 クイーンルージュ もぎたてを予感させる歯応えとジューシーさ。 後味がとても爽快。 [お酒] ・加賀錦 荷札酒(新潟)朝日 純米大吟醸 ・天美(山口)特別純米 ・田酒(青森)山田錦100% 純米大吟醸 ・而今(三重)火入れ 特別純米 ・十四代 本丸 秘伝玉返し(山形)特別本醸造

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神奈川県

イタリア料理

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スマートさの奥にある情熱を見る @生田 スマートとはスラリとした体型だけを意味するものではない。洗練された様子とか、高機能などと意訳されることが増えてきた。 このお店よ料理もサービスも、とてもスマートだ。完璧さを追求しつつ、それをさりげなく出してくる感じ。 だが、それを成しているのは我々が目にしない弛まぬ努力や気遣いのおかげ。 当日の料理を味わうに、そんなスマートさの奥にある匠の粋を感じ、大いに楽しませて頂いた。 脱帽。 ◆ジャガイモのポタージュ きめの細かいポタージュ。そのクリーミーさはあくまでも上品、そして充実感を感じさせるの濃厚さを感じさせる。 ◆前菜盛り合わせ【名物】 ・鶏ハムサラダ、リエットを乗せたバゲット、ローストポーク、生ハム、とうもろこしのキッシュ、カポナータ ◆ごくきみとうもろこしのペペロンチーノ【絶品】 青森の名産「嶽きみ」を丸ごと一本、贅沢に使ったパスタ。の都合なのでパスタはタリアテッレだ。どこまでも甘く深く。爽やかな唐辛子の辛さがそれを更に効果的に感じさせてくれる。 ◆門﨑丑のグリル【絶品】 肉汁をしっかり保った門﨑丑は鮮やかな赤。その赤身 はキメが細かく旨味が深い。そのパワーに応じるように付け合わせの野菜たちも元気だ。 ◆チョコのテリーヌ フランスの名門、カカオバリー社のカカオを使用したテリーヌ。甘さは控えめで濃厚、美味。 グラッパを合わせて頂いた。

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神奈川県

イタリア料理

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収穫の秋は贅沢なキノコとムール貝の宴 @読売ランド前 この時期にこのお店では希少で最高級と言われる食材を利用したメニューが楽しめる。 イタリアでキノコと王様と言われるポルティーニ茸。そして、フランスの超名門モン・サン・ミッシェル産のムール貝だ。 それぞれの特性を巧みに引き出した料理に感動を覚えつつ、ご機嫌の宴は続く。 ◆前菜 生ハムとイチジクとチーズをサラダ仕立てで。 ヘルシーでありながら様々な味覚を刺激。白ワインと良くマッチ。食のモチベーションが上がる。 ◆ポルティーニ茸のフリット【絶品】 これよこれこれ、生のポルティーニですよ。 それを丸ごとフリットし、食べやすくカットしてくれている。熱々を頂く。独特の旨味がジューシーに溢れる。繊維の歯応えにも品があり。 衣にも味付けがされており、その存在が少しだけ気になったが、十分にポルティーニの美味さが楽しめる。 生ハムと交互に食べて味の残像の変化を楽しんだり、レモンをギュッと絞って味変したり。 日本でこんな贅沢な楽しみ方をさせてもらえるお店は数少ないはず。ありがたや。 ◆肉厚椎茸のミートパイ【絶品】 大きな原木椎茸をベースにしたボリューム感のるミートパイ。とろけるチーズと肉汁をたっぷりと吸った椎茸、パイの香ばしさなどなど。それは形だけではない非常に立体感のある美味さ。 炭火の香りが残る付け合わせの玉ねぎの甘さはトマトクリームソースと融合している。 一皿で色々な体験ができる贅沢。 ◆モンサンミシェル産ムール貝のボンゴレビアンコ【超絶】 待ってました。 鮮やかなムール貝の黄色にドライトマトの赤、ハーブの緑、それが地色となる貝殻の黒の上で映える。その圧巻の彩に息を呑む。 鮮度のあるムール貝はプリプリの食感で、旨味がしっかりと残されている。 モンサンミシェル産は小ぶりとなるケースが多いが、このお店のそれは一つ一つを楽しむボリュームとしても満足度が高い。 しっかりと出汁の出たソースをパスタに絡めて楽しませて頂いた。 ◆ピスタチオのジェラート 最後のお楽しみはいつものこれだ。エスプレッソとのマッチング最高。

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東京都

日本料理

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包丁と筆の二刀流 @駒込 天は二物を与えず と言うことわざがある。 このお店の大将はそれを大谷翔平並みに打ち破った人。 店内に貼られた水彩画の数々。それは魚介や野菜を題材にしたもので、繊細かつ写実的で生き生きと描かれている。そのクオリティはプロ並み。無造作に貼られているのが勿体無いな。 そんな匠の技を惜しげもなく披露する姿勢は料理にも表れている。 さり気なく出される一品一品は、素晴らしい素材を丁寧に下ごしらえして手業をかけて調理した絶品の料理だ。 そんな珠玉の料理を気さくに説明してくれる。 絵画鑑賞と美味堪能の上に人情を味わう。 ◆前菜盛り合わせ ・北雪、イカ塩辛、お浸し、温泉玉子 食前酒と共に肴を。 前菜を頂くこの時間が大事。会話も潤いこれからの展開の期待度も増すものだ。 そんな我々の様子を観察しながら厨房の中から大将が戦略を練っているように思えたり。 ◆お造り ・鯛 鱗の肌を綺麗に見せるこの切り方にうっとり。均整のとれた表情の変化。それは歯触り、舌触りにも伝わる。 ・車海老【絶品】 「この色と模様が本物の車海老の証だ」と大将から教えてもらう。潔くも充実感のある歯応えと甘味が良かった。 ・鮪 切断面の綺麗な中トロと大トロ。口の中でとろけつつ、インパクトある旨味が残像となって残る。素晴らしく上等な鮪だ。 ・箸きり鮑【超絶】 3時間もの間、お酒で炊いた鮑は柔らかで上品な旨味。その柔らかさは箸で切れるほどと江戸の食通が表現していたとのこと。 ◆松茸の土瓶蒸し じゃじゃーん。今年最後であろう松茸だ。 潜んでいたのはなんと車海老。なんて贅沢なんだろう。 その贅沢な汁をおちょこでちびり。深い旨みの出汁と松茸の香りがたまらん。 「少しお酒を入れるのが通だよ」との対象からの勧め。お酒好きにはこれがまた気持ちよく酔える。 歯応えを残した具材をつまみにしながら、色々な味わいを楽しめる。 ◆焼き物【超絶】 大きなザルに色鮮やかな盛り付け。山に流れるせせらぎでで漁をしている様子を模したのかな。鮎や海老が泳ぎ沢蟹が戯れる。そこに餌の入った籠が。 そんな物語を感じさせる作品だ。 ・車海老の塩焼き 艶やかで鮮やかな赤。頭から尻尾まで全て食べてしまった。身の味は濃い。そこに香ばしさやほろ苦さが加わり美味の複雑さが増してくる。 ・鮎の塩焼き 躍動感のある立派な鮎。品のある旨味を引き出す塩加減や皮目の脂が素晴らしい。これも頭から尻尾まで頂く。 ・沢蟹の素揚げ まるで生きているかのような出立ち。丸ごとガリっと頂く。ジュワッと滲み出る蟹の旨味。 ・杏煮 これはこのお店の名物らしい。春に採れた杏を仕込んで甘く煮込む。果実としての食べ応えあり、品のある甘さと酸味のバランスが絶妙だった。 ◆天丼【名物・絶品】 これを目当てに来店するお客も多いのだとか。 大きな車海老が主役。お供はかぼちゃとインゲンの海苔巻きだったかな。 衣全体に程よく沁みたタレの味が他では味わえない美味さだ。 車海老はプリップリ。身の甘さがタレの沁みた衣とその香ばしさと融合する。 なんと贅沢な瞬間。永遠に続けば良いのにと言う思い儚くペロリ。 ◆甘味 ・柿、シャインマスカット、メロン 新鮮な果物の水々しさと甘さですっかりリフレッシュ。 満足の余韻を楽しむ。

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神奈川県

日本料理

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貫禄の美味を醸し出す @新百合ヶ丘 もうすぐ10周年を迎えるこのお店。 今は亡き父に連れられて初めて伺ったのは2013年の4月のことだ。 突如現れた新進気鋭の日本料理店は、今では同エリアで随一の質と信頼を確立している。 歴史伝承と革新で地元が誇れる老舗になって欲しい。 ◆前菜 月替わりの前菜はいつもながら彩り豊か ・茄子の揚げ浸し 熱々を頂く。絶妙な揚げ加減に浸り加減。 ・きゅうりとクラゲと椎茸の胡麻和え 蒸し暑い夏にこれは嬉しい。はっさくが効果的。 ・ゴウヤの天ぷら ・玉子豆腐 ◆蟹と椎茸の茶碗蒸し いつもの優しい出汁。沁みるね。 ほぬした蟹の身が舌先に心地よい。 ◆お造り 今回は一皿。盛り付けの趣向も変わった印象。 一つ一つを独立させて見せている。 ・コチの炙りたたき【絶品】 塩で頂く。癖のない旨みと甘み。 ・本鮪 ・ヤリイカ ・シマアジ【絶品】 高級魚の貫禄を感じさせる美味さ。 ◆金目鯛のおろしあんかけ 肉厚で贅沢感あり。プリプリ食感と皮目の旨み、そこに出汁が加わって奥深い味わいに。 大根おろしの辛味が少し気になった。 ◆真鴨のロースト 低温調理されたピンクの肉が美しい。 噛むごとに滲み出る旨み、皮の脂との融合の美味さかな。 ◆うざく 脂の乗ったリッチな美味さをさっぱりと。 ◆ヒレカツ【名物・絶品】 今日も肉質、上げ具合共に最高。塩→ソース→塩で頂く。軽快な衣の歯応えの後からしっとりとした食感、ヒレの旨み。 それをしっかり楽しむなら塩だと思う。 ◆酒盗チーズ 確かに、酒を盗みたくなるほど酒に合う。チーズとの相性は抜群だ。 ◇KUWAGATA(栃木) ◇星正宗(福島県)限定純吟 ◇花邑(秋田)美郷錦 純米吟醸

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進化の継続が信頼の礎か「オークラ東京」@虎ノ門 [シリーズ : ホテルのクラブハウスサンド]★★★★★ 昼時に会食で伺った。 コロナも落ち着き館内のレストランは大活況な様子。それでもこのお店のゆったりしたテーブルレイアウトは視線も話し声も気にならずありがたい。 テラス越しの緑を楽しみつつ会話もスムーズに進む。スタッフに声をかけたい時に辺りに目をやると必ずスタッフがこちらの様子に気づいてくれる。手を上げたり声を出して呼ぶようなことはさせないと、さりげなく、そして注意深く目を配ってくれているようだ。 そんな永年の歴史で培われたサービスの安心感のおかげで料理の美味しさを更に楽しむ事が出来そうだ。 ◆クラブハウスサンド どこのホテルにも用意されるメニュー。だからこそ楽しい。それぞれのホテルが個性を表そうと工夫を凝らしていそうだからだ。 さてさて、 なるほどの造形美。一つ一つのサンドイッチが以前よりも尖った三角形になり、それぞれの具材も均一に。洗練された外観の印象だ。 厚めのサンドをガブッとかぶりつく醍醐味も魅力の一つだが、ここは和製ナンバーワンホテルのレストラン。脂やドレッシングが食べた側から滴り落ちるようなことは避けたい。その為の厚み調整が絶妙だと気づく。口一杯に頬張れる丁度良い厚みと幅の調整はこのためか。 かじりついた瞬間に感じるベーコンの香り高さ。その次に訪れるのはパンのサクッとした歯応え。そしてハムや玉子の深く柔らかな食感。噛み締めた時の野菜のシャキッとした感覚と広がるジューシーさ。そして口内調味による複雑で広がりのある味わい。 飲み込んだ時にそのバランスに満足。 さすが。こんな幸せなサンドイッチが食べられるのならこの値段はかなりのハイコスパと言って良いのでは。 付け合わせのポテトは、自身の美味さがはっきりわかる上質な素材。 ピクルスとオリーブが気分転換に。 ◆レモンパイ このレストランだけでないと食べられない伝統の一品。 メレンゲのサクッとした食感と上品な甘さ、搾りたてのフレッシュなレモンが香るクリーム、そしてパイに感じる微かな塩味。これらが実に優しく融和する。 なんとも言い尽くせない美味。 百聞は一食に如かず。

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東京都

イタリア料理

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忘れられない味 忘れられないお店 @外苑前 まだ肌寒い春の初め、側道に出た赤いパラソルに魅せられて無理を言って外で食べさせてもらった。その場の環境や景色が良いと言う訳ではないが、外を感じながら温かな店内を借景に料理を頂くのも楽しい。 食べログ100名店にありながら、敷居を高くしないとてもフレンドリーな雰囲気。出てくる料理は派手さはないが、誰が食べても普通じゃない美味さ。イタリアンの本当の佳店ってこうなんだな。 ◆カリフラワーのポタージュ これは温まる。とても滑らかな舌触りで深みと広がりのある味わい。カリフラワー自体は味の主張が強い素材ではないが、ほのかに感じられるところが愛おしい。味のプラットフォームとなっている出汁との相性や加減が絶妙なんだろうな。オリーブオイルの香りが粋なアクセントに。 ◆前菜5種 おまかせで これは楽しい。 個性のある珠玉の前菜が集まった、さり気なくも上質な盛り合わせ。これからの展開に期待膨らむ。 ◆トリッパの煮込みレンツォ風【絶品】 シックな彩りで賑やかな盛り付け。ハチノスの煮込み加減が最高。舌触りがしなやかで歯応え柔らかく、旨味を残している。それがスープの旨味を吸った豆のコクと物凄く上手くマッチしている。 ◆タヤリン バターソース黒トリュフ【絶品】 バターソースにパルメザンチーズというとてもシンプルなパスタが出てくる。これはこれでとても硬派な出立ち。そこに目の前でトリュフをすり下ろしてくれる。永遠に止まらないでほしいと思うほど、豊かな香りが広がってくる。 トリュフを感じながらバターソースを繊細に絡めとるパスタは細ウチのタヤリン。広がり続ける味わいと風味。舌先に感じる繊細なパスタの張り。 ◆バルバリー鴨もも肉のコンフィ ハーブ風味【超絶】 鴨肉の最高峰であるパルバリー種。そのもも肉をコンフィに。コンフィはやりすぎると旨味が油に溶け出してしまい肉に残らないケースが多く感じる。ところがこれは絶妙な煮込み加減。熟成感のある深い旨味と引き締まりながらプリッとした食感をしっかり残している。ハーブは控えめで素材自体の味が最前面に押し出されている印象。 自分の食い道楽史上、最高の鴨料理かも。 これは忘れられない。

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東京都

ステーキ

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一世を風靡した空間は今も @新宿 新宿を代表するホテル、パーク ハイアット 東京の最上階にあるレストラン。 ご存じ、この建物は巨匠、丹下健三による設計で、ホテルのインテリアはジョン・モーフォードが手掛けている。 ホテルのエントランスを抜けて、シャトルエレベーターでロビー階に。竹藪を見てからライブラリーの間を抜ける長い廊下を経て高層エレベーターに。扉が開いた瞬間に広がる東京の夜景が目に飛び込んでくる。 ホテルの奥の奥、上の上。この長い動線を誰をも感動させる感動させる演出に変えるデザイナーの発想力に唸る。 何度も伺っているのだが、その感動の新鮮さは全く衰える事がない。 店内はダイナミックな空間構成だ。天井の高さや床のレベルにも変化あり。 ホールの中央のテーブルについても、不安感無く、とても落ち着く。特大の壁画を眺めたり、人影の向こうの夜景をゆっくりと眺めたり。んー、これこそが、大都会の喧騒を離れた大人の隠れ家だ。 不作法もしれないが、コースよりも的を絞って食べたいものだけを注文してガツッと食べる。 イイじゃないか。 ◆サラダと前菜 ◆マッシュドポテト ◆グリーンアスパラガスのグリル ◆グリルドビーフ リブアイ ◆オーストラリア産仔羊の背肉 食後は大きな月が目線に見えるバーに移動してバーボンを。 やっぱり生演奏はイイ。軽快なジャズ。 マスクで歌うボーカルの女性が少々この毒だったが。 コロナ禍だが、ここだけは外国のお客が多い。 そんな、いつもと違う賑やかな話し声や笑い声も雰囲気だな。 さーて、月も上がった。 余韻を楽しみつつ、長い帰路に着く。 ?

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東京都

中華料理

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最上質のさり気なさが醸し出す最上級の居心地 @麻布十番 政財界のVIPが多く訪れると言う老舗中国料理店。 なーるほど。安全で最上級のもてなしを実現させる仕掛けが随所にありそうだ。 以下、個人的な想像も入っていますが、 一般のお客は大通りから入店。人の目を気にする要人は裏通りに面した敷地内の車寄せに車を入れて特別な入口から建屋入って直ぐにエレベーターで個室のある階にアプローチできるようになっている。 各階には豪華なアートワークで彩られたロビーがあり、そこから各個室へ入るのだが、入口をクランクさせているので扉を開けても個室の中を見通すことが出来ない。 それが実にさ品よくさり気なく設えられている。永年に紡いできたお客目線のサービスへの探求が生み出したものなのだろう。この洗練された安心感の中で味わう宴こそが贅沢。 料理は上海と広東の融合がコンセプト。 上質な素材の特徴を最大限に引き出すような調理がされているようだ。どこまでも実直であり上質な。優しく深く広がりのあるメニューに心酔していると、次の一皿では特別な唐辛子による心地よい辛味が楽しめるとか。緩急を折り混ぜた物語性のあるコースの仕立てに感無量。 ◆前菜の盛り合わせ ・豚ばら肉のパリパリ焼き、クラゲの頭葱風味 ◆蟹の四川風【絶品】 ◆北京ダック【名物】 ◆キノコと海鮮のフカヒレスープ【超絶】 ◆シャラン鴨フライ ◆鮑の酒蒸し ◆牛肉の甘辛ソース炒め ◆干し貝柱と卵白のチャーハン【絶品】