k.kimura

k.kimuraさんのMy best 2020

シェアする

  • facebook
k.kimura

天空の劇場型レストランは美味く楽しく美しく @虎ノ門 9月に建て替えオープンした和製の最高峰ホテル。自粛によりクローズしていた名物レストランが再開した。 待ってましたと、4人で伺った。 丘の上の200m級のビル。最上階の41階に位置するこのレストランからの眺めは最高だ。夕方から薄暮、夜にわたり食事をしながらその景色の変化を楽しむことが出来る。 「光」のコースで特選和牛フィレとサーロインを2人前ずつオーダーし、更に銘柄牛のフィレを追加でお願いした。3種の肉を取り分けてもらって食べ比べするのが狙いだ。 この鉄板焼きのスタイルは前回の東京オリンピックの時にこのホテルで生まれたサービスだとか。なるほど。 焼き手がカウンターの中に入ってお客と対話しながら見事な調理の手捌きを見せる。東京の街並みを背景に繰り広げられるこのパフォーマンスは正に贅沢の極み。だからといって、気取っているだけで無いところがこのホテルのサービスの特徴。人懐っこさやユーモアがその洗練された会話の中に多分に織り込まれ、お客にリラックスと楽しみを与えているようだ。 さてさて、 ◆前菜 技巧を凝らした芸術的な外観の盛り合わせ。 ◆さざんかサラダ 名物とされるこのサラダはシンプルかつエレガント。和えてあるドレッシングに秘密があるのでは。 ◆車海老 活きている。それが鉄板の上で見事に裁かれる。残酷に見えないところにも工夫が。プリッとした歯応えと追いかける甘み。 頭の部分は潰して鉄板の脇に置かれ、最後にカリカリの煎餅で頂く。粋だ。 ◆帆立 真白の美味。ミディアムレアが美味しかった。 ◆蟹 旨みの濃い良質の蟹は絶妙の焼き加減で。 ◆季節の焼き野菜 玉ねぎが印象的。甘みと微かなトロミ。 ◆お肉三種(特選和牛フィレとサーロイン、銘柄牛フィレ) 銘柄牛は前沢牛。鮮やかな手捌きでカットされ、ガーリックオイルで焼いてフランベで香り付け。見事な炎に歓声が起こる。 一口食べてため息。トロけるような柔らかさと広がる旨み。肉の表面を覆うサクッとした焦げが特徴。その香ばしさが上質なスパイスのようで、食感のアクセントになっていた。 ◆ガーリックライス お約束のガーリックライス。鉄板に着いた旨味を纏い取るように炒め、おひつの中に納められる。そこで蒸されたのか、ふわっと香り高く、塩分は控えめでだ。お代わりをしつつ、目玉焼きをトッピングしてみたり。何度も楽しめる。 ◇サン・スペリー・ダラーハイト2013(アメリカ) カベルネソービニヨンが好き。酸味を抑えたフルボディが好き。ソムリエに相談して選んでもらった一本。 ナパバレーのカベルネは酸味控えめで深い。2013当たり年。ラッキーですね。そんな説明がありがたく、モチベーションが上がる。大正解。お肉にも良く馴染み、相乗的に美味し。 ◆デザート デザートテーブルに移動して。これはオークラの鉄板焼きのサービスの特徴。ここなら皆で囲んでゆったりと会話を楽しめる。 クレームブリュレにアイスをトッピング。上品。

2

東京都

日本料理

k.kimura

京料理の道理から外れないサプライズに感服 @代々木八幡 京都、その歴史によって培われた文化からコンサバティブなイメージを持つ。 料理の世界も然り。 本場京都でも、イタリアンと合わせてみたり、メキシカンと合わせてみたり。そんなチャレンジをされている京料理のお店を見かけるが、どうも奇をてらったというか話題作りが先行していると言うか。関東の人間である小生もついつい横目で見てしまうのだ。 ここ、代々木八幡の小さな京料理のお店で、この日、正しい道理から外れない見事なサプライズを味わうことが出来た。 京料理の道を磨きながらも常識に囚われずに挑戦を続ける大将には素直に頭が下がる。 [先付]藤九郎銀杏 慈姑チップス これほど深い味わいの銀杏を他に知らない。煎りたて、揚げたての贅沢なおつまみだ。 [前菜一]鯵棒寿司 針生姜 ピンと張った針生姜が透き通る鯖の上に乗る。実に粋だ。 [前菜ニ]雲子玉地蒸し 黒トリュフ【絶品】 椀の蓋を開けた瞬間に放たれる森の香り。湯気の中から姿を現したのは、まさかの黒トリュフ。 玉地の出汁はあくまで繊細。そこに秘められた熱々の雲子は艶かでしなやかな食感。とても上品な芳醇さだ。 山海の珍味が出会う繊細の極み。 [前菜三]海老芋 磯部揚げ 深黄の器に黒緑色の塊が3つ。まるで投げ入れられた石ころのような景に驚く。恐る恐る箸で摘まみ上げると磯の香りが立ち昇る。それを一口。滑らかな歯応えと上手に出汁の浸みた海老芋が、細かな粒子となった海苔の旨味を広げていく。その繰り返しがとても楽しく、思わず目を細めた。 山海の幸協業による美味、第2弾だ。 [椀]ハマグリ 松茸  今シーズン最後の松茸をここで食べられて幸せ。 耳かきの先ほどの塩。それだけしか調味をしない超高質料理だ。ハマグリの力強く上品な磯感のある出汁に松茸の森の香りが見事に一体化する。 山海の幸協業による美味、第3弾。 [向付]鰤藁叩き フワッと燃え上がる藁の炎に鰹をくぐらせて香りづけ。四国出身の慣れた手つきが心強い。 脂が満遍なくのった上等な鰹はそれだけで美味。その所作は贅沢でダイナミック印象だが、辛味大根の爽やかな絡みと極細のチャイブの香りを添えることでその味は上品で繊細な美味さに変化する。 [焼物一]甘鯛若狭焼き シンプルに見せる匠の料理が出てきましたよ。若い甘鯛なのか、白身は甘く引き締まった感じが残る。それに香ばしく焼かれた細かなウロコ。その両者が実に繊細な美味として味覚に入ってくる。噛み締めた時に皮から染み出る脂の旨味も忘れ得ぬ。酢橘で味の変化を楽しんだり。京料理らしい甘鯛の楽しみ方。 [焼物ニ]焼き茄子 白味噌 黒の椀に白味噌。そこに焼き那須の島。赤軸法蓮草の色彩、細かく削られた鰹節のふんわりとしたシルエットが美しい。 上品な青味のある茄子に濃厚で甘辛な白味噌が良く絡む。 前の料理のシンプルさとの対比的な味覚の効果を感じる。 [煮物]丸大根 鶉丸 唐草大根 針葱 料理の最後は出汁で煮込まれた大根の優しい美味、舌触りの楽しいウズラの肉団子。ここまでの展開で味覚神経が大満足状態。そこで味わうこの料理の美味さのパワーが絶頂を超えた更なる満足の域へ誘ってくれるのだった。 そして、肉団子の中に仕掛けられたウズラの卵。最後のサプライズはまさかのド直球。そのユーモアに、やられた。 [ご飯]栗ごはん、イクラ、松茸すき焼き、玉子かけごはん 秋の贅沢極みご飯に腹づつみを打つ。今夜も粋な仕掛けと美味い料理をありがとう。 ・牛蒡山椒金平と胡瓜ぬか漬け ・根芋の赤出汁 [果物]山形ラフランス この楓の葉の器を目に焼き付けてつつ今年の秋と別れを思う。 [お酒] ・加茂錦 荷札酒(新潟)槽場汲み生原酒 美山錦 ・鳳凰美田 碧判(栃木)純米吟醸無濾過生原酒 山田錦 ・田酒(青森)純米吟醸 辨慶 ・而今(三重)無濾過特別純米 ・十四代(山形) 中取り純生吟醸 ・十四代(山形) 大吟醸 播州山田錦

3

神奈川県

日本料理

k.kimura

冬海の贅を堪能す @新百合ヶ丘 新型コロナの第3波が押し寄せる中、感染に気を付けながらも最上質な海の幸を出し続けてくれるお店。心強い。 当日は奥の座敷で会食。卓ごとに目隠し仕切りがあるので色々と安心だ。カウンターで板さんの話が効けないのは残念だがお店のオーナーが何度も顔を出して料理やお酒の詳しい説明をしてくれる。このお店でお酒とワインを選ぶときにはメニューを見ずに相談した方が成功する。 ホールのスタッフのホスピタリティも高く、料理の順番の調整や追加等にも心よく応じてくれる。特に名物の豚カツを食べる時のタイミングは大事だ。揚げたてのサクサク、ジューシーを味わうためには追加注文のタイミングに注意することをお勧めする。 ◆前菜盆 ・海老芋の揚げ出し、スケコ、ターサイのお浸し、蟹とカニ味噌ポン酢のジュレ どれも美しく丁寧な手業が施されている。 特筆すべきはスケコを浸した出汁の上品さと、食欲をそそる海老芋の香ばしさだ。 ◆お造り ・赤貝 シャキシャキとした食感と瑞々しさ。ほのかに感じる甘味が上物の証。 ・カワハギと肝 肝と身を一緒に口に運ぶ。新鮮な冬の肝は脂も加わってとても上品な芳醇さ。永遠に食べ続けたい。それが中年男の脂肪肝に繋がったとしても。 ・クロムツ 寝かしたことによる熟成感が効いている。大きめに切られた身は柔らかく贅沢な口当たりで深い旨味が口いっぱいに広がる。皮目の部分を細かく切ったヅケのようなものがトッピングされていた。これは、秘技か。 ・インドマグロの大トロ トロだけに直ちにとろける。滑らかで全く酸味のない上等な鮪だ。 ◆生牡蠣 細いのとふっくらのと2種の牡蠣を頂く。同種の牡蠣だがふっくらした牡蠣の芳醇な味の深さに目を細めてしまう。奈良のお酒、風の森との相性が抜群だ。 ◆〆鯖【名物】 その日その日で産地や調味がことなる自家製の〆鯖は今やこのお店の名物。 脂ののった鯖に熟成感が加わってとても豪華な味わいだった。 ◆甘鯛の鱗焼き みぞれ浸し 若い鯛の繊細な鱗はサクサクとした軽快な歯応えを残して焼かれている。白身の旨味もありこれ単体では絶品の料理。 しかし、個人的な感覚からすると、このみぞれには疑問が残った。辛みが立ってしまいそれが酢と合わさり微妙な後味を残すことに。このお店では大変珍しいこと。 ◆トラフグの皮 ポン酢【絶品】 新鮮なフグの皮はピンとした弾力性をもち、コリコリと潔い歯応えだ。皮目の脂の乗りに旬を感じる。 皮下脂肪と言うと食欲が失せるが。 ◆珍味【絶品】 湯引きをした白身にカワハギの肝を和えたもの。ニュートラルな白身で広がる芳醇な肝の旨味は痛風覚悟でも食べるべきだ、と確信した。 かろうじて患ってはいなっていないが。 上品さと芳醇さが連立した完成度の高い珍味だった。 ◆豚カツ【名物・絶品】 安定感のある絶品の美味さだ。きめの細かな衣と、均一感のあるしなやかな食感の豚が特徴だ。揚げのコンディションは抜群で同席者が感動していた。ちなみに、当日のお供は山芋。 ◆骨煎餅 鯵だったかな。香ばしさと脂の旨味が嬉しい一品。 ◆イカの塩辛 深く芳醇な味わいだ、塩加減が絶妙でとても上品だ。 柚子などの香りづけをしないところに、ポリシーを感じたり。 ◇残草蓬莱(神奈川) しぼりたて(白ラベル) 純米生原酒 ◇残草蓬莱(神奈川) しぼりたて(黒ラベル) 純米生原酒 ◇伯楽星(宮城) 純米吟醸 ◇墨廼江(宮城)SoLiD 蔵の華 純米吟醸 ◇風の森(奈良)ALFA ◇七田(佐賀) 純米

4

神奈川県

イタリア料理

k.kimura

雰囲気が料理の美味さを増幅する例 @読売ランド前 人間というのは複雑で繊細な生き物だ。 その場の環境に漂う空気感によって、その時に感じる目の前の印象が大きく変わってしまうからだ。「人の心は移ろいやすいもの」と言われるが、無意識にその絶対的ではない雰囲気というものを積み重ねているからだろう。 この日、しみじみと感じたのはこのお店に漂う活き活きとした感じだ。もちろん、今はオープン当初の緊張感に気合が飛び交うバリバリの雰囲気はない。コロナによる営業自粛から蘇ったときの安堵感もない。正に新しい平常(ニューノーマル)の雰囲気が見えたように感じる。如何なる事象にも動じない安心感、スタッフを育てようとする成長の期待、料理に関する新鮮な情報、それら全てに温かな生気を感じるのだ。 そんな雰囲気がこの料理の美味さを最大限に増幅させているような。 やや理屈っぽい表現ではあるが、百聞は一見に如かずだ。 お試しあれ。 ◆前菜 ・切りたてプロシュートとニョッコフリット【絶品】 チーズ味の揚げパイをプロシュートで包んだもの。サクッとした軽快な食感とフワッと漂う芳醇な香り。 ・シャインマスカットのカプレーゼ 上質なモッツァレラに爽やかな甘さ。 ・ゴルゴンゾーラのムース バゲット 蜂蜜は欠かせぬ脇役で。 ・鰹のカルパッチョ 燻感が絶妙だ。 ・インカのめざめのポテトフライ トリュフの贅沢な風味が素朴なポテトの旨味に上手く乗る。 ◆肉厚椎茸のミートパイ ポルチーニソース【超絶】 これはたまらん。キノコの王様、ポルティーニの風味をしっかりと肉に沁みこませ、パイで封印している。見よ、この立派な断面構成を。 ◆鶏胸肉のバターソテー これを頂くのは2度目。部厚い胸肉だがその食感は柔らかくしっとり。決してバサバサさせないところに技がありそうだ。なるほど、丁寧にバターを掛けながら長時間かけて作ったらしい。豪快なパフォーマンスも良いけれど、このような根気のいる作業もありがたい。 ◆蟹と卵黄のペペロンチーノ

5

神奈川県

日本料理

k.kimura

質実剛健な美味さを支える繊細さの妙 @登戸 張り切って早めに伺う。 お目当ての爐の目のカウンター席だ。 使い込んだ感じの煉瓦の爐の上に年季の入った網が乗る。中では立派な炭が赤々と、静かに宴を待つ。 そんな様子をしみじみと眺めていると、様相が一気に変わってきた。オーダーが押し寄せて網の上はあっと言う間に満載状態に。爐に向き合う大将の動きも豪快さを増す。あることに気づく。網に乗せられた材料の表裏を返したり様子を観察したりしながら、網の下にある複数の小さな煉瓦の塊を取り外したり戻したりして網の高さを微妙に調整。網の上の素材の位置を入れ替えたり。墨の積み方を整えたり。それはかなり繊細に、そして入念に。 ふむ、豪快で力強い料理の影に実はかなり繊細な神経と手技が使われてあたんだな。 胆大心小とは正にこういうこと。 ◆ウニ【名物】 ◆たらば蟹 ◆金目鯛干物 ◆鰻 ◆ステーキ ◆焼きおにごり

6

東京都

寿司

k.kimura

高感度で好感度な寿司店 @初台 (新型コロナウィルス感染拡大に伴う緊急事態宣言より前の訪問です) 2度目の訪問。 そうそう、商店街の奥深く深く、自分を信じて進もう。左手に円窓と暖簾を見つけて安堵。 大きくて優しくて誠実そうな大将と親身にサービスしてくる奥様で営なむ寿司店。L型カウンター8席。店内は明るく隅々まで手入れが行き届いている。寿司店で長居は禁物とされるがこの居心地の良さについつい。 このお店の料理はとにかく美しい。自然の形を生かしつつその細かな盛り付けに対する心配りには目の保養になるほどのアートを感じる。複数の素材の味の相乗や巧みな食感の表現で舌を楽しませてくれる。 コースの内容はお造りから煮物、焼物、珍味に握りと実に多彩だ。 握りの酢は赤酢、2種のガリを盛る。 [つまみ] ◆きぬもずく 細く繊細なもずく。なるほど、絹のような舌触り。 ◆わかめ 艶やかな新わかめを軽く湯がいたもの。歯応えが残り美味し。煎り酒で頂く。 ◆真鯛 皮目を残した美しい切り方。淡路の真鯛はよく締まっている。そして深い甘みだ。山葵を乗せて煎り酒で。 ◆金目鯛 細かく切った切り身を集めてキューブ状に整えた斬新な造形。皮の朱と身の白のコントラストが美しい。軽く炙りが入ったか。脂の美味さの後ろに微かな香ばしさが感じられる。 ◆つぶ貝 この造形美に惚れる。 ◆つぶ貝の肝 相当な大物だったのだろう。上品。 ◆ホタルイカの西京焼きと白魚の天ぷら 色合いや食感にそれぞれの対比があり楽しい。 ◆煮蛸と鮑 しなやかながら心地よい歯応えを残した蛸の加減は絶妙だ。アワビは上品な旨味。噛み心地の違いを楽しみながら、お酒が進む。 ◆鰯 細かい包丁の跡が綺麗。爽やかさをもたらすタップリの浅月と頂く。 ◆カツオ藁のたたき 新玉ねぎジュレに細かく刻まれた新玉ねぎと水菜、煎り胡麻がトッピングされていた。とても細かい芸当。甘みと上品な酸味。繊細ながら複雑な食感に贅沢さを感じる。 ◆あん肝 形を保持するギリギリの柔らかさ。滑らかな舌触りと上品な芳醇さ。 ◆子持ちヤリイカの煮物  パリッとした皮とモチモチした食感のコンビ。柚子の香り爽やか。 ◆太刀魚の焼き スマートな旨味。その塩加減には絶賛したい。付け合わせの沢庵とトマトの色合い美し。 ◆蟹雲丹ごはん  濃厚 贅沢 ◆鯖棒寿司【絶品】 身が厚い立派な鯖。断面がとても美しい。そして脂ののりが良く旨味が深い。中央に仕込まれた極細キュウリと煎胡麻で食感と香りに変化を与えていた。 [にぎり] ◆炭イカ コリコリした歯応え楽しい。 ◆コハダ 品の良い酢がしっかり。包丁の筋が美しい。 ◆桜鱒 色彩がとても美しい。粘りのある美味さ。 ◆鮪中トロ 熟成【絶品】 素直で深い味わいに感動。 ◆トリ貝 シャキッとした歯応えが特徴的。上品な程度の磯感が残る。 ◆カスゴダイ 湯引き。黄身酢おぼろで黄金に見える。柚子の香を残した綺麗な美味さだ。 ◆雲丹(食べ比べ) 北海道は知内の最上質な雲丹。塩とたれで頂く。 芳醇ながら後を引かないキレがある。その点でその特徴が楽しめる塩が好きだ。 ◆鮪のヅケ 迷いの来ない直に深い味わい。表面にワサビの味。 ◆煮ハマ ドレッシーな見た目。しっかりとした味、歯応え楽し。 ◆玉 プリンに似たしっかりした甘さ。 ◇写楽(福島)純米吟醸 おりがらみ ◇田酒(青森)純米大吟醸 斗瓶取 ◇結(茨城)赤岩雄町 特別純米 ◇鳳凰美田(栃木)純米吟醸

k.kimura

この品格と活気が信用の証 @虎ノ門 ホテルのオールデイダイニングとはその名の如く1日の中で最も長く営業しているレストランだ。宿泊者への朝食サービスからランチ、ディナー、そして早朝から夜中にかけてのルームサービスと、サービスする相手の幅も広い。そんなことからオールデイダイニングはそのホテルの性格やサービスの質を表す象徴として捉えられることが多い。 ここは新しく生まれ変わった和製国際ホテルNo1のオールデイダイニング。「オーキッド」の名は従前のホテルから引き継いでいる。 おそらく4回目の訪問。ランチで伺ったが満席の賑わい。5分ほど待って入店した。 客席の間隔はかなりゆったりで安心感あり。一人でも4人席。安心、贅沢だ。 カウンター越しにオープンキッチンの中が見える。フェイスシールドをしたコックさんが大勢。中には背の高い帽子のシェフの姿も。その動きはテキパキとしながらも堂々とした風格がある。なるほど一流だ。 ホールのスタッフのホスピタリティは秀逸。お高くとまった感はなく、品よくフレンドリーなのだ。料理の説明をするだけでなく、口にあったか、更なる要望はないかなどタイミング良く聞いてきてくれる。なるほど、なるほどだ。 さてさて、 ◆オーキッドランチ ・前菜 一皿の芸術作品か。 周りのハーブはまるで編んであるような繊細な造り。 パテドカンパーニュの美味さは絶品だ。もちろん、臭みは一切ない。芳醇さとコク、そして広がりのある旨味。長年にわたり国内外のグルメを唸らせてきた秘伝のレシピを想う。 ・ポークソテー 熱々の皿。 試しにポークだけを食す。これが本物のポークソテーの美味さなんだろうな。熱の通りも絶妙で、素材の良さが表現された説得力のある味。 ラタトゥイユソースは単品で食べても美味い。これをポークに乗せて食べると味に立体感が出る。 付け合わせのハッシュドポテトと夏野菜も熱々の焼き立て。 ・パン3種 このホテルで焼かれたパン。バゲットの味わいは奥深し。 ・コーヒー このお店のコーヒーは、とにかく深く濃厚な味わいでダンディさがある。初めて訪問した時は驚いたが、慣れてくると好きになる。 #ホテルランチ

8

神奈川県

イタリア料理

k.kimura

季節限定の新メニュー @生田 朝晩の澄んだ空気とその冷え込みを感じつつ、秋の終わりの近さを知る。そんな、そこはかとないもの寂しさは不思議な食欲を生み出すものだ。しみじみと料理の美を楽しみ、ひたすらと食べ続ける。 ◆前菜盛り合わせ ・バターかぼちゃのポタージュ サラリとした口当たりから広がりのある旨味、追いかける上品な甘味が大人の感覚か。 ・サーモンマリネととキャロットラペ ・自家製リエットをのせたバゲット ・ローストビーフ ・鳥ハムのサラダ 噛み締める度に旨味が染み出す鳥ハムは定番の美味さ。 ・キッシュ ・柿と自家製のクリームチーズ 甘くトロリとした柿に爽やかな酸味のチーズ。 ◆豚ほほ肉と栗のラグーソース【絶品】 この秋の新メニュー。 赤ワインで煮込まれだ頬肉は繊維を感じさせない滑らかな舌触りでしっかりと肉の旨味を残している。恐らくこの芳醇で深い味わいのソースとは別に煮込まれたものだろう。しかし、それらは見事な一体感を表していた。 この力強いソースに合わせたタリアテッレが絶妙にマッチしている。 食べ進むうちに身体の芯から温まるようなそんなエネルギーさえ感じたり。 嬉しい驚きはこの栗のコリコリとした歯応えだ。ホクホクでもモコモコでもないこの感覚がこの料理の全体印象に締まりを与えていた。 「栗の季節も終わりですね」マダムのコメントで哀愁に浸りつつ、美味さの余韻を楽しむ。 ◆大山鶏のロースト【定番】 皮がパリパリ、肉はジューシー。油を使わずにゆっくりと丁寧にローストしたもの。安定美味のグランドメニューだ。

9

東京都

イタリア料理

k.kimura

大注目のヒッソリ系イタリアン @初台 昭和レトロな商店街の先にある小さなイタリアン。 若いシェフとソムリエがコンビで営んでいる。 人当たりが柔らかで引き出しの多そうなソムリエはこちら表層に表れる言葉でなく真意を理解してワインをチョイスしてくれるのが頼もしい。この日は一人で伺ったので料理に合わせたワインを色々飲みたいなと。楽しく会話をしながら躊躇なく栓を抜いてくれた。 シェフは寡黙に調理に没頭する。かなり狭小な厨房の中で複雑な下ごしらえから調理までを行う。その様相には迫力と料理に対する誠実さみたいなものが醸し出されていた。カウンターからメニューから外れたオーダーをしても、材料を見渡しながら提案してくれる。 この二人のコラボレーションからは癒しに似た居心地の良さと合わせて料理とワインに対する厳しさみたいなものを感じたのがとても印象的だった。 カウンター3席とテーブル8席くらいか。 ビル・エバンスのジャズピアノを聴きながらそんな空気と共に美味を堪能することが出来た。 ◆前菜 ・バターナッツの冷製ポタージュ ・ブロッコリーと海老の ・豚のカシラのテリーヌ【美味】 ◆鹿のハツとレバーのタタキ【絶品】 シェフが是非と勧めてきた一皿。 なるほど、序盤からいきなりガツンと来たな。 ガーリックオイルと塩、少しだけレモン。調味はいたってシンプルだが、驚くほどバランスのある美味さだった。今朝入荷したばかりの鮮度は抜群。熱の通りも絶妙で、とても美しいミディアムレア。ジビエ特有の臭みは無く、むしろ洗練された印象が強い。ハツのしなやかな歯応え、レバーのトロける舌触り。 ◆温野菜のサラダ 井桁の盛り付けは立体感があって美しい。 むむ、きっと特別な塩。それだけで野菜たちの旨味をこんなにも引き出すなんて。 ◆アオリイカと自家漬けイクラのビアンコ 自家製のタリオリーニ【絶品】 しばし見惚れる。キラキラと光るアオリイカとイクラが繊細なハーブのベールに覆われているような美しい外観。イイね。 そして食す。生パスタの舌触りにエネルギーを感じ、追いかけるガーリックの香ばしさとオイルの旨味がズーンと響く。 見た目は繊細でクールだが情熱を感じる味わいだった。 ◆仔牛サルティンボッカ グリーンペッパーソース【超絶】 その場でスライスした生ハムで仔牛肉を巻いてグリルしていた。キメが細かく若い仔牛の赤身に生ハムの芳醇さと塩味が見事に合体。その間に挟まれたセージの香味がとても良く効いていた。上質な発酵食品の進化系のような、初めて味わう贅沢な味わい。 付け合わせのアワビ茸、万願寺唐辛子、ズッキーニは見た目を色どるだけではなく、肉の合間に合わせて食すのが楽しい。 かなりのインパクト。 ◆ジェラート2種 なんと自家製。 数種類のナッツや何かが和えられたジェラートは不思議なコクと食感。 ピスタチオは香り良く甘さは控えめだ。 #教えたくない隠れ家 #注目すべきイタリアン

10

東京都

そば(蕎麦)

k.kimura

居心地よし ナチュラルモダンな蕎麦料理店 @代々木上原 大きな四角の塗り壁の脇に小さな入口が覗く。清楚でモダンな印象の外観。内装は化粧を抑えたナチュラルウッドの仕上げ。そこに清楚だが洗練されたアートワークがさり気なく配される。 居心地の良い、デザイントーン。 そんなこだわりはテーブルの上のセッティングにも表れている。和紙で出来た長方形ランチョンマットの上の外角合わせでピタッと置かれた正方形和布のコースター。直角がきちっと表現された置き方の細い箸と箸置きとさじ。このセンス、個人的に好きだな。 さてさて、 ◆蕎麦豆腐の揚げ出し 上品な出汁を効かせたオクラの餡掛は温かく優しく胃に染みる。揚げたての蕎麦豆腐に餡を絡めてミョウガを載せる。身体に優しい夏の前菜。 ◆蕎麦前盛り合わせ 美味い肴が可愛らしく並べられている。 ・タコの柔らか煮 ・ウニの赤ワイン煮 ・おから ・とうもろこしのさつまあげ ・きのこの煮こごり ・ゴーヤの金比羅 ・切り干し大根のはりはり漬け ・玉子焼き ◆蕎麦がき(鹿児島県鹿屋市) 少し前から蕎麦粉を練るリズミカルな音が聞こえていた。やや粗挽きの蕎麦は粒を感じる舌触りで香り高い。 ◆からすみ蕎麦(群馬県赤城町) 黄金の粉を纏った緑の小山。 からすみから立ち昇る上品な芳醇さが絶妙な温かみの蕎麦によって口の中に広がる幸せ。 ◆鴨のロースト 上質なフレンチを彷彿させるその盛り付けの美しさにため息が出る。丁寧に下ごしらえされた鴨は熱の影響を受けずに美形。そして美味。付け合わせの椎茸がまた旨し。 ◆とうもろこしと空豆のかき揚げ サクサク感の後からとうもろこしの甘み。空豆のコク。 ◆温かいおろし蕎麦(栃木県益子町)【絶品】 高さのある立体的な盛り付けが面白い。たっぷりのネギとミョウガの下に大根おろしが盛られていた。 心地よい辛さと出汁の旨味。 #手打ちそば #和モダン空間 #アート感覚