k.kimura

k.kimuraさんのMy best 2019

シェアする

  • facebook
1

東京都

日本料理

k.kimura

色彩と味わいの美に浸る至福の京の宴 @代々木八幡 冬の味覚を楽しみに。お店へ向かう足取りはついつい速まる。 最上質の食材を繊細かつ美しく仕上げるための調理場の風景は思いの外、大胆で力強い。カウンター越しにその様子をかなりの範囲望むことができる京料理のお店は極少ないのではないか。 テキパキと働く弟子たちの前で腕を振るう大将との会話を楽しめるのも魅力の一つだ。 このお店に通わせてもらうようになって、4年が経つ。その巡る季節の変化も楽しいが、昨年の同じ季節との変化を確認するのもまた愉しい。 今年もまた去年より深くなった、美味を堪能した。 感謝。 [先付]ムカゴと新生姜のかき揚げ ビールのお供にと。ムカゴは栄養たっぷりの秋の食べ物。新生姜と合わせることで、土っぽさや酸味が薄れて旨味が際立っていた。 [前菜]秋鯖の棒寿司 首折れ鯖をギリ〆で。生で食べらるくらい新鮮な鯖を旨味を引き出すために最短の時間で〆たのだとか。透けるようなピンク。これほどの生感覚で鯖を楽しめる機会は少ない。 [お椀]川千鳥の腕【絶品】 スッポンだけでとった出汁は透明感あり、とても上品。ワイルドなスッポンを丁寧に調理された証。芽葱の緑と柚皮の黄が爽やかさを与えて綺麗だ。スッポンの肉は弾力性に富み旨味が深い。餅に出汁がよく絡んで美味し。ほのかに香る忍び生姜香りが京を感じさせた。 [向付け]鯛(明石)アオリイカ(長崎)縞鯵(和歌山) 銀杏の葉を模した器の曲線が優雅だ。色は上品な変化を持つ鬱金色だ。その器の中に三種の魚が慎ましく寄り添うように盛られていた。 [焼き物]松葉蟹(浜坂)【絶品】 最高級ブランドの松葉蟹。その証に浜坂の松竹丸のタグが付いている。焼いた脚は瑞々しくも濃い旨味。茹でたハサミの部分はボリューミーで身の繊維がしっかりした食感。解した身と蟹のミソを和えたものは芳醇でありながら新鮮なしなやかさが。そこにさっと酢橘を振って、絶品の珍味。 いけないいけない、お酒が進んでしまう。 [凌ぎ]江戸川春菊浸し 黒い器に深い緑の一色。春菊の味を引き出す上品な出汁。調味は酢橘だけだとか。だだ、ひたすらに春菊の美味さを楽しむ。爽やかな青味と苦味に酸味。そしてその食感は活きいきとしている。生命感を感じるポリシーの効いた一品。 [蒸し物]香箱蟹玉地蒸し 先程の春菊が「静」ならこの茶碗蒸しは明らかな「動」だ。内子の鮮やかな橙がビビッドだ。味の方も多彩で深い旨味。この連鎖攻撃で、味覚中枢が心地よく混乱する。 大将が雄雌の甲羅を見せてくれた。こんなに違うんだな。雄は脱皮の回数が多い分だけ大きく成長するらしい。 [揚げ物]江戸前太刀魚 煮おろし 出た、和製京風のトリック。感じすぎだろうか。色彩豊かな皿に鎮座するオレンジの切り身。サーモンだと思わせて、実は太刀魚なのだ。実に肉厚。ハラスの美味さと上品さはサーモンもはるかに及ばないだろう。衣の香ばしさとおろしの清涼感。三次元の旨味を感じる。 [煮物]京蕪と雲子 繊細な白とクリームの色合いに見惚れてしまう。鱈の白子は艶のある食感と上品なコク。そして、鯛の骨でとった出汁を品よく吸った蕪は円やか。それらを三河みりんでキリッとした仕上げられた白味噌の出汁に絡めて頂く。ジワッと身体の内側から美味と温もりが染みる。 [スペシャリテ]京都の海老芋 絶妙の加減で炊かれた海老芋をスライス。この厚みが絶妙だったモコモコせずに出汁の美味さと芋の旨味を口の中に広げることができる。アクセントのふり柚子が効いていた。 [食事] ・丹波栗ご飯 丹波の栗はその風土や気候の特徴から最上質と言われる。なるほど、ムラのない深い甘み。こんなに美味い栗ご飯は他にない。ハズ。 ・仙台牛と九条葱すき焼きごはん 大きな一枚の仙台牛でご飯が見えない。しなやかで柔らかな食感、肉の旨味はとても深い。そこに九条葱の甘苦感が加わり贅沢なすき焼きご飯に。 ・玉子かけご飯 ・赤出汁、胡瓜の古漬け [水菓子]石和の柿 長野のシャインマスカット

2

神奈川県

イタリア料理

k.kimura

手技と手業と知恵を尽くしたクリスマスメニュー @生田 クリスマスディナーで伺った。 とても久しぶりだ。何せ人気店。予約をするも満席で入れなかったりすること数回。やっと入れたという感じ。 店内は変わらず明るく、そこに温かく迎えいれてくれる。そして、料理を一つ口にしただけで感じる不思議な懐かしさと安堵感。 Facebookで海老のコンソメを作る風景がアップされていた。とても丁寧に、根気のいる作業だ。そんな下ごしらえをした材料を用いながら粋で繊細な盛り付けを披露する。そして、その造形は美しく時にダイナミックだ。皿の形や色彩、ソースの鮮やかなレイアウトと併せた演出も。 京料理やフレンチの精神が宿るイタリアンと言うとこの雰囲気が伝わるかもしれない。 さてさて、 ◆海老と彩野菜のスープ仕立て 色彩豊かなブーケのような仕立てに感激。白色の冷製ポタージュの上に海老コンソメのジュレ。トッピングに低温調理の海老と鮮やかな色とりどりの小さな野菜が綺麗に並ぶ。カットされた赤とオレンジのトマトが風車の羽のよう。 ポタージュはクリーミーで上品な広がり。そこに海老コンソメのジュレが加わると味に深みと重みが。絶妙な加減に茹でられた野菜はコリコリと心地良い歯触り。 惜しみなく手間をかけて繊細かつ大胆なセンスで飾る。スタートからアクセル全開。後が楽しみ。そして、老婆心ながら息切れしないだろうかと心配になる。 ・白いサイコロパンとカレーパウダー そこに、スッと添えられた小さな白い皿と白いキューブ。パンは軽くトーストされた感じ。これを器の底まで入れてスープを最後まで楽しむという仕掛け。カレーパウダーで味の変化を楽しんだ。 ◆鹿児島の甘鯛のウロコ焼き 光沢のある大皿に天井の白が映る。薄いクリーム色の蕪のソースに白いウロコ焼き。艶のある薄緑のオリーブオイルがさり気なくアクセントに弧を描いていた。「静」を想わせる、この柔らかで上品な色調のバランスが知性的だ。 ナイフを入れる潰れずにサクサクと切れる。そして嬉しいくらいに熱々だ。身は肉厚でその旨味を引き出す絶妙な下味が施されている。お約束のウロコはパリパリでとても香り高い。蕪のソースは柔らかでクリーミーで、その奥底に上質な出汁を感じ取れた。 ◆蟹とポワローのタリオリーニ 若草色の器にパステルカラーの具材が馴染み健康的な印象を与える盛り付け。 本ズワイガニの身が贅沢に入る。出汁がオイルに出て西洋ネギに染みている。深いコクがありながら驚くほど円やかなソース。 パスタはエッジの舌触り楽しく、ソースや具を上手く絡める。腰を感じる歯応えに元気と活きの良さを感じる。 ◆4種のチーズを包んだラビオリ 高さのある2つのラビオリの上に焼きカマンベールチーズのブリッジが乗っている。シンガポールの名所、マリーナホテルサンズの様な立体感と浮遊感のある外観だ。 黄色いラビオリの中には4種ものチーズがミックスされているのだとか。それぞれの特徴がジャガイモを介して一体となったような、とてもバランスの取れた味の主張をしている。 原木椎茸のソースはグアニル酸の旨味がしっかり出ている。流石の存在感。これがチーズの酸味と物凄く良く合っていた。 ◆和牛ランプ肉のグリル 黒キャベツ 鳥のブイヨンで炊いた大根の上に鮮やかなランプが乗り、その上に素揚げされた黒キャベツが浮遊する。「動」を感じるそのグラマラスで自由な造形に岡本太郎の芸術世界を想起する。 ランプ肉はレアで、そのトロみのある食感が贅沢。やはり牛の脂は熱を通し過ぎないほうが美味と思う。 大根には縦横に細かな隠し包丁が入り、ブイヨンをよく吸っていた。 3種のソースは、ゴボウ、ビーツ、山椒。味と色の変化が楽しい。乾燥オリーブがアクセントに。 炊いたもの、焼いたもの、揚げたもの。全てが最高のコンディションで合体していた。 ◆金柑と紅茶のジュレのパンナコッタ 出てきた瞬間にアッと思う。最初のブーケのような前菜の外観を見事にドルチェで再現しているのだ。去年もそのトリックに驚かされたが、またまた、凝っている。 前菜の2種のトマトは金柑とみかんに代わり、コンソメのジュレは紅茶のジュレに。 単なる遊びではなく、これがしっかり美味い。様々な小さなフルーツをジュレとパンナコッタと一緒に楽しんだ。 ・落花生のシューアイス 前菜と同じ白い小さな皿に小さなシュー。香ばしいピーナツを楽しみつつ。さっきは白いキューブだったが流石にそこまで再現する事は諦めたのかな。 実はこれ、去年のドルチェの終わりと同じにして韻を踏んだものだとか。後で聞いた話。 気付けなかったなー。 ◇ 赤ワイン ドメーヌモンローズ サラマンドル 2015(コートドゥトング/フランス)

3

神奈川県

イタリア料理

k.kimura

イタリア直送の珍しい食材を美味しく楽しむ宴 @読売ランド前 秋の終わり。 3人、ソファ席でワイワイガヤガヤと。 イタリア直産の素材は様々な手法で調理される。時に繊細に、時に大胆に。そして一皿一皿に美的な盛り付けが施される。マスターやシェフとの会話も雰囲気の大事なエッセンス。料理を食べながらワインを片手に大いに笑って過ごす。イタリアが少し近く感じた。そんな宴だった。 ◆前菜盛り合わせ ・洋梨とフルーツトマトの土佐酢ジュレ イタリアにも鰹節があるのだそうだ。その鰹出汁とホワイトバルサミコを使ったイタリア風のジュレ。心地よい酸味の奥に燻感のある鰹の香りが。優しい甘みの洋梨に爽やかな酸味。新しい懐かしさと表現すべき新感覚だ。 ・パテドカンパーニュ 味わいや食感の異なる多種の素材が一つになって。その複雑さと融合の美はとてもスマートだ。二種のソースを楽しむ。 ・生ハム、サラミ ・モッツァレラチーズ ・キャロットラペ ◆焼きリゾット 芳醇で味わい深いリゾットにチーズの酸味とお焦げの香ばしさ。味わいと食感に変化あり楽しく頂いた。? ◆スミイカ、蟹、蕪のペペロンチーノ【絶品】 爽やかで彩り豊かな外観。真っ白な皿にスミイカと蕪の白が同化し、艶のあるクリーム色のパスタが絡む。そこに鮮やかな蕪の葉や蟹肉の朱、細かな柚子の黄色が乗る。 説明によると、蟹とスミイカのゲソと蕪でペペロンチーノ作って、上からスミイカと蕪の葉のアーリオオーリオを乗せ柚子皮をすり下ろしたものだとか。とても手の込んだ料理。 ◆キアニーナ牛肩ロースのグリル ・タリアータ イタリア産のキアニーナ牛はその肩の高さが人の背丈ほどもある大きな牛なのだとか。その肩ロースは意外なほどに脂が少なく肉の旨味をしっかりと味わえる。熟成感のある旨味と甘みは品がある。噛み進めると、和牛やアメリカ、OZビーフと全く違った肉だとな気づく。ファンになった。 オリーブオイルの香り、チーズの酸味とクリーム感、ルッコラの爽やかな苦味と青味、これらが肉の旨味と合わった一瞬にイタリア料理の深さを感じた。行きたい。 ・フレッシュポルチーニ茸のラグーソス【超絶】 絶品のソースだ。イタリア産の本物のポルチーニは秋の贅の香り。そして、上品ながらワイルドな深い旨味がたまらない。食感もとろみがあって歯応えがとても楽しい。 これが品のあるキアニーナ牛と抜群のマッチング。本年最高の肉料理を食べた気がした。 ◆プリン やや引き締まった食感が素朴で美味なプリン。 バニラの粒が透けるカラメルをすくう大人の喜び。

4

東京都

イタリア料理

k.kimura

カピ子とカピ男の夫婦シチリアン @阿佐ヶ谷 実際にシチリアで生活していたシェフとその奥様が営むお店。 料理もドリンクもシチリアにこだわる。自家製生パスタから素朴ながら深みのあるラグーソースまで、ハンドメイドの美味さとエネルギーを頂いた。 ◆前菜4種 カラスミ/生ハム/サラミ/チーズ ◆ほうれん草とチーズのチャルソンス【絶品】 見た目が水餃子のようだが全く違う代物だ。皮は厚めでプリプリ。中身はほうれん草ソースとチーズのツートンカラーがとても綺麗。これらをラグーソースに絡めて食べる。歯応え、味の広がりと深みが立体的に感覚を刺激する。 ◇オレンジのワイン モスカート ◇レモンチェッロ 自家製のチェッロは果肉がしっかり。爽やかな酸味と甘みのバランスが抜群。

k.kimura

素直な美味さに調理人のセンスが光る @武蔵小山 オープンして落ち着いた頃を見計らって伺おうとそのチャンスを伺っていた。 それにしても、このアーケードの長さは大したものだ。都内一を誇るも、ただ通り抜けるだけの人にとっては結構辛い。なので、そこを抜けた直ぐの所にあるこのお店に着くとかなりの到達感が味わえる。 それでも訪れるのは、それだけ苦労をしても味わいたい温もりと美味さがあるからだ。 ◆前菜盛り合せ 小さなお皿に色とりどりの前菜が盛り付けられている。おせちの重箱の中を覗いているような、お楽しみの世界。 ・パテドカンパーニュ【絶品】 豚の横隔膜で丁寧に包んでいるのがよく分かる。それがコクとなり旨味となり全ての具材の味を整えているような。 ・レバーペースト 臭みなし、旨味深し。そして塩加減が絶妙。薄くスライスしたカリカリのパンに乗せて。軽快な歯応えの後に広がる芳醇な香りと味わい。 ・ラタトゥイユ それぞれの素材の歯応えを残した煮込み具合。 ・キッシュ バターの香りと玉子の円やかなコク。生地のサクサクとした食感にも特別な工夫の跡を感じる。 ・シャインマスカットのカプレーゼ 色彩が綺麗。活きの良い緑と赤、そこに上品なクリーム、光沢のある黄緑が。 ・キャロットラペ パテドカンパーニュの土台になっていたのだが、もちろん美味い。歯応えが楽しい。 ・秋刀魚のコンフィ【超絶】 80℃以下で8時間オイルで煮たのだとか。とても繊細な料理。丁寧に扱わないと皮に傷がついたり身が崩れてしまう。頭の先から尻尾まで全てが美味しく食べられる。頭はカリッと煎餅のように、肝は長時間のオイル煮で臭みや苦みが芳醇さに変化している。 次はもっと限界まで柔らかなのに期待。 ◆羊のグリル【超絶】 大きな肉の塊をお店で解体している。なるほど、皮下脂肪をこんなにもしっかり残したカットは珍しい。敢えてそうしたのはそこに旨味が集まっているからだろう。美味し。経験豊富なシェフが上質な素材を扱うと、こんな判断もできるのだろうか。 牛の脂が身体にキツい中年男子にまた一つの選択肢が増えたぞ。感謝。 付け合わせのジャガイモは深い旨味。これがジャガイモの味なんだな、と再確認。 ◆大人のプリン お約束のデザートはこれだ。ほのかに漂うブランデーの香りが大人。でも、スプーンでそこのカラメルを掘り混ぜながら食べる感覚に子供だった頃のワクワクを思い起こしたり。 ごちそうさま。

6

東京都

創作料理

k.kimura

丁寧にそして坦々と イタリアンに秘められた和の心 @祖師谷大蔵 会社帰りの一人飲みイタリアン探索は続く。 当日は先輩に紹介された2件にチャレンジ。一件は定休日。もう一件は、席は空いているがお一人様はお断りだとか。そう、ディナータイムにおけるイタリアン一人飲みは歓迎されない事が多いのだ。意気消沈しながらも、今晩の居場所を求めて駅から離れた方向にトボトボ。景色の雰囲気が住宅街になってきた。そろそろ引き返そうかと思った所で思わず立ち止まる。進行方向右側の壁面に目を奪われたのだ。瑞々しい庭草や蔦が一面に生い茂る。そして、その緑の壁に穿たれた穴の中に扉が一つ。その木製の框戸にはステンドグラスがあつらわれ、美しい弧を描いた天然の木の枝が引手替わりに取り付けられている。店名は TO 。そして、ワインと季節の料理 の説明が添えられてきた。このスローな感じに瞬時に惹かれ、扉を開いた。 カウンターの中からシェフが出迎えてくれる。「一人ですが」と告げると、「こちらでよろしければ、どうぞ」と、こじんまりとしたカウンターに案内してくれた。小生にとってはここが特等席。一気にご機嫌になる。 先ずは、お通しの枝豆でビールを飲りながらメニューを選ぼう。 目の前の調理台ではシェフが寡黙に料理を仕上げていく。その所作には慌てもなく、迷いもなく。坦々と見えるようで気持ちを込めるような緊張が伺える。 開業して今年で20年らしい。イタリアンのように見える料理が多いしワインを推しているものの、精神は和食にあると語っていた。それぞれの料理のソースや下味にはそれぞれに合った出汁を加えてあるのだとか。 ◆枝豆 しっとりとした殻には鰹の出汁が微かに浸みてきる。コリコリとした歯応え心地よし。 ◆ミンク鯨のウネサラダ風 赤白のコントラストがとても美しい。「ゆっくり食べて。脂が溶けてくると甘みが出ますよ」とシェフのアドバイス。その言葉通り、歯応えと味の深みが変化してくる。ミョウガと2種のネギとの相性も良し。 ◆焼アスパラガス プロシュート添え アスパラの直径7~8mmで、とても甘みのある上質なアスパラだ。コリコリの食感にバターの香りが食欲をそそる。 ◆シーザーサラダ【絶品】 深みのある味わいのチーズソースで和えたパリパリのレタスにごうかにパルメジャーノを振りかけて。微かにアンチョビ感。 ◆ゴルゴンゾーラのオムレツ【絶品】 脳天を突き破る美味さだ。切ってみた。絶妙なトロみの中から溢れる色彩と香りのパワー。それを支えているのは素材自身の旨味と先述の出汁の効果なのかもしれない。とにかく、ゴルゴンゾーラと玉子のこんなにも高度な融合は想像を遥かに超えるものだった。 ◇シャブリ プルミエ クリュ ◇ハウスワイン 赤 珠玉の料理を頂きながらワインも3杯楽しんで、満足だ。忙しい中、一人だからとオムレツ以外の料理をハーフサイズで作ってくれた。 そんな思いやりが思いやりが心に沁みた。 一人飲み・人情 いいね。

7

東京都

懐石料理

k.kimura

冬でも河豚 夏でも河豚 @代々木 天然河豚の名店で夏河豚を頂いた。 冬の時期よりも混まないので落ち着いて料理が楽しめる。この時期は鮎や鱧など、旬の魚をテーマにした季節の懐石料理が主役だが、当日は良い型の河豚が手に入ったとのこと。 調理の技と粋な計らいも加わって、河豚は夏でも優雅で美味だった。 ◆前菜盛合せ ・ぎばさ/ワインで似たトマト/トウモロコシ 清涼感があり、元気が出る色合い。 ◆河豚かわの煮こごり【名物】 艶やかで透明感のある煮こごり。河豚の皮だけで作られたものだとか。 一口めにややベタッとした感覚があるが、その後は口の中で滑らかに溶けてその美味さが広がる。皮はコリッとした歯応えだ。 ◆夏河豚の刺身【絶品】 立体感のある見事な盛り付け。この立派なヒレを見て魚体の大きさが想像できる。 柔らかな食感と旨味を出すために、5日間熟成させたものだとか。確かに。舌触りがしなやかで甘みを含んだ旨味が深い。 自家製のポン酢がとても上品で、繊細な河豚の旨味をとても上手に引き立てていた。 気分転換にアサツキを巻いたり、紅葉おろしを載せてみたり。楽しい。 皮の湯引きは遠慮なく箸でつまんでコリコリした食感を楽しむ。 特製のあん肝はマッタリとコクのある味わいで、色彩的にも全体のアクセントになっているようだ。 ◆ポタージュ【絶品】 ふぐちりの後に生米から作る雑炊の、その上澄みをすくったもの。優しいトロミの奥に河豚の旨味が。わざわざ、ふぐちりのの前に出してくれる。刺身の直後に胃の中を優しく温める準備運動みたいなものかな。粋なサービス。 ◆ふぐちり 綺麗に取り分けて出してもらえる。河豚の身はバサつかないしなやかな筋肉質。しっかりとした肉の厚みで充実した食べ応えだ。椎茸や水菜にも上品な河豚出汁の旨味が浸みる。 ◆河豚のカマの唐揚 深い甘みの漬けだれが食欲を増す。心地よい弾力の身は旨味が増大した感あり。 ◆雑炊 ここまで来ると、心身ともに満ち足りた感じだが、この香りと見栄えに、また欲が沸き起こる。 生米から作ったおかげだろうか、米にはしっかりと出汁が浸みていた。軟らかな粒感を舌先に感じ、玉子でまろやかになった汁を味わう。そして、中から小さな餅が出現。贅沢な味わいの中でそんな粋を楽しめたり。 至福だ。 ◆甘味 モナカ 可愛い丸い猪のモナカ。河豚じゃないのね。 今年の干支だからか。

8

京都府

イタリア料理

k.kimura

京の趣を纏ったイタリアンで涼を楽しむ @木屋町 鴨川沿いの古民家を改造した高感度イタリアン。待ってましたの梅雨明け。外は強い日差しで日傘をさす浴衣姿の婦人の姿が夏の京都を感じさせる。 白い暖簾を潜る。厨房を迂回しながらカウンター席へ案内された。外にはデッキが見える。夜に使われるのかな。簾を通して店内に差し込む日差しはいつのまにか少し和らいでいた。 ◆カンパチのカルパッチョ 冷えた漆黒の皿に綺麗な白身と大葉のジェノベーゼソース。和を感じさせるアートのよう。 塩とオリーブオイルで頂くカンパチは凛としていた。大葉の香りはやや控えめ。 ◆カラスミのパペッティーニ【絶品】 丁寧にほぐされたカラスミがキラキラと黄金に輝く。細い平打ちのパスタは繊細な舌触りと小気味良い歯応えだ。時間差で追いかけてくる芳醇はそれと対比的にパワーがある。 ◆スズキのフリット タプナードソース【絶品】 上質なスズキはプリッと肉厚で真白な薄い衣で覆われている。タプナードソースはケッパーの香りが爽やかで、繊細な衣に上手く絡む。微かな香ばしさを含んだスズキの白身の味わいはとても繊細だが皮目の脂部分にしっかりと旨味とコクを感じる。京都らしい妙を感じる料理だ。 京野菜の万願寺唐辛子はエネルギッシュな赤。綺麗な網目の焦げとのコントラストがアクセントになっていた。 ◆クレマカタラーナ 薄いクレマカタラーナを凍らせて細くカットしたもの。カラメルのほろ苦甘さとアイスの冷たくクリーミーな感じが楽しい。 ブラッドオレンジのシャーベットは爽やかな酸味。そして、メロンは甘く瑞々しい。 変化な組み合わせが楽しくなる対比的な組み合わせだ。 ◆エスプレッソ イタリア製のサトウキビの砂糖、シュガービッレ。なんとなく、遠慮なく、ザーッと投入してしまう。これでイイのだ。

9

東京都

焼き鳥

k.kimura

実直な美味さに嬉し泣き @六本木 国立新美術館の帰り、青山墓地沿いを歩く。 緑が深い。 轟音と共に突如として現れるヘリコプターが頭上スレスレを飛ぶ。 ここは何処だと一瞬不安になるが、木々の頭越しに六本木ヒルズを認め安心す。 行き着いた先は知る人ぞ知る焼鳥の名店。階段を登って中2階の扉を開く。質感のあるモダンなインテリア、くの字形に折れたカウンターに落ち着き、先ほどの不安が和らぐ。 焼き台の大将は意外にも若い。時折、会話を交わしながらこちらの好みを探ってくれる。そうだ、今日の気持ちは希少部位の旨味。 さてさて、 ◆砂肝刺し 立体的な盛り付けが綺麗だ。 シャクシャクとした歯応え。そしてヒンヤリした舌触りを楽しむ。 ◆お任せ8本 ①ふりそで 肩と腕のあいだ レアで頂く。しなやか食感と深い旨味。 ②レバー プリッとした食感の後でトロッと。 ③だんご 軟骨の歯応え楽しい。なんとも言えぬ熟成感。 ④アキレス腱 コリコリ。香ばしさの後から噛み締めると甘みが出る不思議。 ⑤オクラ ⑥ハラミ【絶品】 鳥のハラミは思ったよりしっかりしていた。美味し。独特の歯応え。   ⑦モモ かえしの立ったタレが潔い。 ⑧チョウチン 弾ける君キミは思いのほか、スッキリ上品な味わい。 ◆追加で2本 ・カワ 煎餅みたいな 打ち方 ・砂肝【絶品】 ゴツゴツとした彫りの深い外観だ。実際には刺身のような食感で、香りを生で感じることができる。素焼きに近い塩加減。この大人の美味さは初体験。 ◆鳥スープ 上品な濃さ、上質なスープ、素直に身体に染み渡る。

10

神奈川県

居酒屋

k.kimura

美味しくて楽しい高感度実力店 @新百合ヶ丘 2度目の訪問。早めの時間だったので先客はまだカウンターに2人だけ。その2人の間に案内される。長いカウンターの入口側に3人近接して並ぶ感じだ。前回もこんな感じ、ルールなのかな。広い店内の端っこに固まる感じでおかしな気持ちに。そんな違和感も一皿目の料理にありついた瞬間に消えてしまうのが悔しくも嬉しかったり。 次々とお客が入ってくる。サラリーマンの一人客や友人、夫婦客が多そうだ。 和風インテリ系の大将とお酒に詳しい男性、接客と配膳を担う女性スタッフのフォーメーションで、カウンター越しの会話も楽しく親切だ。 メニューによってはハーフサイズも対応してくれるので一人で沢山の種類を楽しみたい欲張りな小生にはとてもありがたい。 さてさて、 ◆豚シャブときゅうり お通しで。冷しゃぶの豚の旨味はとても上品。癖のない歯応えの後から旨味が湧き出す。きゅうりの食感楽し。 ◆たたきキュウリ柚子胡椒オイル 一体感というよりは意外性の驚きの方が強い印象。途中でちょくちょく唐突感が。 ◆自家製ツナとパクチーの味噌和え【絶品】 爽やかなパクチーの香りがスーッと広がる。しっとりとしたツナとの相性も抜群だ。これは美味し。 ◆5点刺し盛り 盛り付けの美しさに惚れる。一品一品に丁寧な手の跡が見える。 ・こしょう鯛 ・明石蛸 ・太刀魚 眩しいほどに輝いて、透明感のある身の中で筋が光る。美しい。 ・さわら【粋】 滲んだ脂の細かな粒子が虹色に光っていた。少し炙って。プックリした出で立ちで、これが小粋な旨味。 ・新イカ !後述。 ◆新イカの刺身【超絶】 盛合せの一品があまりに美味しかったのでお代わりで。新イカとは墨イカの子供でこの時期が一番だと大将が語る。小さなイカ、丁寧に皮を剥いて。根気のいる下ごしらえのおかげで繊細な肉にコリっと若々しい歯応え。そして、シュッとした甘みは贅沢の極み。自家製の煎り酒で頂いた。 ◆シャインマスカットとひじきのブルーチーズ白和え【珍品】 スカッとして、それでいて、ブルーチーズの力強さをそのままに感じたり。蜜の入った芋もフルーツみたいな甘さ。ひじきの舌触りが心地よく印象に残り。トータルのうまさだ。 ◆牛すじときのこのつまみつまみスパイスカレー 温かいものが食べたくなった。燗酒と一緒にと大将が勧めてくれたのは意外にもカレーだった。これをカリカリに焼かれたバゲットに乗せて食べる。スジはトロッとして奥の深い味わいで、ルーは辛さよりもコクと出汁を感じる。これに合わせてもらったのは山廃純米の八兵衛の温燗で、そのしっかりとした風味と甘みがカレーとマッチしていた。なるほど。そして、気づくと頭の毛穴から汗が。上質なスパイスが身体中に回った時の小生独特の反応である。 ◆ホヤ 前回よりも肉厚になった。成長により食感と芳醇さが変化するのが楽しい。個人的には身をもっと体液にさらして磯感を出したものが好みだ。 ◆炙り魚のご飯【悶絶】 正確には「香ばしい炙り魚のうまい飯」と記されていた。はい、その通りです。 料理もお酒も楽しんで、だらけかけた味覚神経が一気に緊張を取り戻すのがわかる。脂の乗った魚や蛸は特別な方法で炒められたような。そlれをご飯の上に乗せてバーナーで炙られている。芳醇な魚の旨味と口の中で溶ける心地よさ。そこに柔らかご飯とお焦げの風味。かいわれとミョウガのフレッシュ感が味の全体感を整理していた。 次回再必食。 ◇日高見 本醸造(宮城) ◇みむろ杉 特別純米(奈良) ◇八兵衛 山廃純米(三重) ◇リトロッツォ ロッソ 2017