代々木上原に凄腕の寿司職人が登場した! 季節の変化の一瞬も逃さないぞ、と言わんばかり。食材選びやその味付けに強いポリシーを感じる。 ◾️おまかせ ◻︎つまみ(8皿くらい) 旬のもの、珍味、季節 少量多種のつまみにはそれぞれ細かい工夫が施されている。 〔胡麻豆腐、竹炭塩で食べる新鮮アワビとタコ、カニのコロッケ、秋刀魚の肝焼き、白子のフライ、クリームチーズの酒盗乗せ、自家製イカの塩辛、蟹味噌で食べるバーニャカウダ、生シシャモ焼、そして松茸土瓶蒸し〕 どれもこれも、口に入れる度に唸るくらいに美味い。食材そのままではなく、全てが匠の手が加えられたものだ。 常識に捉われ創作のセンスも伺える。 ◻︎握り(7貫) 醤油をつける必要はない。絶妙に味付けされている、江戸前のスタイルだ。 一瞬間も緊張を途絶えさせない姿勢が続く。 当日は大間の鮪があった。中トロと赤身を握ってもらったが、舌触り、歯触り、そして旨味がグッと押し寄せる。ネタの大きさは普通、シャリはやや少なめ。とても上品だ。 〔鮪赤身、中トロ、カワハギ肝乗せ、赤貝、竹炭塩を乗せたイカ、炙り鯛、鯖〕 店内は新装で明るい。カウンター6席に小上がり1卓のキャパシティだ。 客相手や魚のさばきは店主が、つまみや椀ものは厨房の弟子が担当しているようだ。 手間をかけた少量多種の料理を提供するにはギリギリの線だろう。 店を出る時には店主の顔に少しの疲労が見えた。 それでも大きな声で挨拶をしてくれる。 久しぶりに「粋」を味わった。 #マイベスト2013
店に入ると、一文字のウェイティングバーが横たわり、右側にガラス張りのキッチンが。たっぷりの炭で肉の塊を豪快に焼いている。 ついつい見とれていると、上品な黒服の店員がさり気なく案内してくれる。 そう、ここは高いレベルの「醍醐味と上質」を一度に味わう店なのだ。 店員はとにかく教育が行き届いていて、さらに気さくさを加える余裕すらある。 ワインのチョイスはベテランを捕まえた方が良さそうだが…。 とにかく、肉を食べよう。 35日熟成、骨なしリブステーキ350g ミディアムレア 熟成に技を使い、味付けは塩胡椒だけだ。 ん〜、これが、実に味わい深い。 歯応えもちょうどいい。喉越しも充実。 350はペロリだった。 #マイベスト2013
小田急線、新百合ケ丘駅南口のそばに2012年後半にオープンした和食。 雑居ビルの1階に控えめに顔を出すその店は、季節の食材を最上の料理にして、美味い酒を呑ませる事に徹した筋肉質な店なのだ。 メニューは店名にある一汁五菜の構成によるコースがメイン。 「酒菜コース」を頼んだ。3000円だったか? 炊き込みご飯とデザートを追加したコースもあるようだ。 ◼一菜(前菜) 揚げナス、蛍烏賊のスモーク、薄揚げの田楽 ◼二菜(刺身二皿) 鮪、カンパチ、生ツブ貝 →甘みと歯ごたえあるカンパチが印象的 赤フグの刺身 →ポン酢で頂く。 ◼三菜(蒸し物) 比内鶏の茶碗蒸し →上質な水炊きのようなしっかりとしたスープの茶碗蒸し。具は食感のある竹の子とフカヒレのみ。 ◼四菜(鍋) →固形燃料での紙鍋。春菊やフキなど、野生味と歯応え重視の具材。 ◼五菜(揚げ物) 一口ヒレカツ →店主はこの店を開く前にトンカツ専門店にいたらしい。柔らかくジューシー、そして油臭くない上品なカツだ。 ◼一汁 赤出汁の味噌汁 ◼カンパチのカマ焼き 肉が厚く立派なカンパチだった。焦げた塩の香ばしさと白身の旨みが程よくマッチする。 ◻お新香盛り合わせ ⁈⁈信じられない位に塩っぱい。 ここまで絶妙な味のコントロールを見せていたのになぜ?というくらい。 食べられず。 お酒は店主が厳選したものを揃えているようだ。 「遊穂」という石川の酒をぬる燗で飲むのが気に入った。 とにかく、材料も味のセンスも一流だと感じた。 客にどう楽しませようか、どうやって感動を与えようか、戦略を感じさせる。 店員の応対もアットホーム。かつ、客の様子を厨房に正しく伝えているようだ。運ばれてくる料理にそれが反映されたり、質問の答えを伝えてくれたり。客とお店との親近感を信頼に進化させるアシスト役を十分に果たしているようだ。 この新百合ケ丘に楽しみな店が加わった。 #マイベスト2013