長崎のフランス料理店『impeccable(アンペキャブル)』でのディナー。 大坪シェフが一人で切り盛りする店だ。 ここで使っている野菜は、在来品種を無農薬無肥料で育てている農家さん達のもの。 食材やワインだけではなく器まで実際に訪れた地元の作家さんの作品を使うこだわり様。 ◆パテ・ド・ニコル 有明産の海苔を使っているが、元々は東日本大震災後に訪れた松島の海苔をヒントに作った料理とのこと。 繊細なパテに鳥の軟骨の食感がいいアクセントになっている。 ◆和牛のタルタル 長崎のブランド牛「出島ばらいろ」を軽くスモークしてから火を入れている。口に入れると脂がうまく溶けだす温度。 細かいミンチは手切りとのこと。 フランスで仕入れてきたというコンテチーズがよく合う。 アスパラ菜の彩りも鮮やか。 ◆熊本・不知火の猪 牛蒡に里芋と土を連想させる食材を合わせ、うまく一体化している。 自家製ライ麦パンも専門店に負けないクオリティの高さ。 ◆スズキ 有明産ざっこ海老とサフランのムースを入れて焼き上げている。海老の風味がたまらない。 ◆フォアグラの目玉焼きトリュフソース これは反則でしょ⁉︎ と思うくらい別格の味。もはや説明不可能。 特別な時にしか作らない料理のようだ。 ◆スープ 南島原の黒田五寸人参と地鶏がらのスープ。 なめらかな舌触りで、ひと口食べ進める毎に幸せを感じる。 ◆北海道・羅臼産の蝦夷鹿 きれいに脂の乗った蝦夷鹿。脂に甘みがある。 金時人参も蕪も焼いただけだが、食材の力強さを感じられる。 ◆蝦夷鹿カレー 蝦夷鹿の骨付ばら肉を野菜で煮込み、ガラムマサラで仕上げている。 始めガラムマサラが強いかなと思ったが、食べ進めると違和感なし。 かなりの量だったが、後口が良いので知らず知らずのうちに食べられてしまう。 デザートを食べている時間がなかったので、包んでもらって持ち帰った。
盛岡でBirreria(イタリアンスタイルのビアパブ)として営業していた『al forno(アル・フォルノ)』が、『Ristorante Shikazawa(リストランテ・シカザワ)』として本日リニューアルオープン。 初日の開店時刻に予約を入れてやって来た。 外観は元の白壁に黒みを帯びた木製の装飾が加わりシックになっている。中は特に変わらず。 改装中の休みにミラノとヴェネチアで現地の今の味を研究してきた鹿澤康幸シェフ(遊びに行った訳ではないはず…)の料理が楽しみ。 メニューは以前と変わらず、基本はコース一種類。 アラカルトも、コースにある料理が大半。 メニューの表示も相変わらず、イメージを表すイタリア語単語と主な食材が書いてあるのみ。 《Menù del giorno》本日のコース ◆Antipasti ・Affinità 宮城 鯖、マスカルポーネ 鯖の皮をしっかりと炙り、中は生の感触を残してある。 上には、生姜をモルトビネガーと蜂蜜で和えたもの。 脇にマスカルポーネ。 ・Impasticciare 普代 ドンコ、肝 普代産のドンコと肝に、ウズラの卵、トンブリのクリームがのり、混ぜていただく。 キュウリを巻いて器に見立てたのが可愛らしい。 ・Biscottare 山形村プレミアム短角牛 トリッパ 短角牛のトリッパ。煮込むのではなくフライパンでカリッカリに焼き上げている。 下には紅芯大根、ウォーターメロンラディッシュなど盛岡で育てられた野菜類に、シェフの実家の柿が敷かれていて、どれも噛んだ時のシャキッとした感触が力強い。 ・Primizia 普代 ヤリイカ 初物のヤリイカ。中はカポナータ、上には無農薬のほうれん草をのせてある。 手前はトマトを煮詰めたソース。トマト自体の酸味と甘みが凝縮されていた。 ◆Primi piatti ・Il piatto e semplice da preparare 宮城 牡蠣 自家製の生パスタの上に大ぶりの牡蠣。パスタのソースに負けないしっかりした味わい。 ◆Secondi piatti ・Scervellarsi 普代 鮭、昆布 鮭は低温調理をすることで、しっかり奥まで火を通しながらも、しっとりとした感触を残っている。 すき昆布が濃厚な海苔のようでおもしろい。 アンチョビソースにはマルケ州のヴェルディッキオの白ワインが使われている。 白インゲンも控えめに自己主張していた。 ・Vita イギリス産 山鳩 山鳩を高温で揚げるように調理。中は赤く肉自体を味わえる絶妙な火入れ。 人参の持つ甘みが凄い。 ・Persistenza 鴨 胸肉 コースにはなくアラカルトで追加してもらった。 これは2人分からの注文となるが、どう見てもそれ以上。 これまた見事な火入れで、たっぷりと堪能した。 ◆Dolce ・焼き芋 話が盛り上がり気がついたら仙台行きの終電が近くなり食べ逃した。(T_T)
昨夜は『kuromori』での食事。 イベント参加が多く通常営業での予約は久しぶり。 前菜の美しさに初めからテンション上がる。 鰹の紹興酒漬けの大きいこと!紹興酒の味はほんのり控えめ。 この中では漢方牛の煮こごりの舌触りが一番のお気に入り。 続いて点心。 春巻の中身は品の良い苦味が感じられる魚。何だろうと思ったら、福井産の鮎。言われてもピンと来ないくらいの見事な腹わたの処理。 焼売の中は、大ぶりで歯ごたえのしっかりした志津川産の帆立。 野菜炒めは、ボンディファームの野菜の力強い野菜を活かした優しい味付け。スープも全部飲み干した。 フカヒレは器いっぱいに広がる大きさ。日本一を自負する業者さんに処理方法など細かくリクエストした特注ものらしい。 トロッとしたスープを一口食べただけで、幸せが広がる。 都内で食べたらこれだけで2万円近くしそう。 牛肉の赤ワイン煮は、メニューを見て中華???と思ったが勉強不足だった。中華料理にちゃんとあるようだ。 柔らかく煮込まれた漢方牛と、甘みのある手作りの花巻がまた良く合うこと。 ナマコは和食で馴染みのあるコリコリっとしたものとはまったく違い、しっとりとろーっとした感じ。大きさもインパクトがある。 タケノコやシイタケも決して脇役ではなく素敵なバランス。 ここまででもかなりの量だったが、とどめの香麺。 麺はスルッと入ってしまうし、干しアワビなどで取った美しいスープも全部飲んでしまう。 デザートは手作りの杏仁豆腐にメロンソースをかけたものと、ずんだ饅。ずんだの餡は白インゲン豆とグリーンピースで作ったとのこと。
『日本料理 e.(イーピリオド)』でランチ。 仙台高裁そばの路地にあり、白壁が目立つ。 木を基調とし、明るく洗練さた内装。 窓際の席に通された。 向かいにある良覚院丁公園の緑が見える絶好のロケーション。 料理はおまかせのコースのみ。 《先付け》葛切り ポン酢 つぶ貝 岡ひじき 《二品目》無花果黄身酢掛け 海老 ズッキーニ 《吸物》玉蜀黍真蒸 鱚の葛打ち 酢橘 白舞茸 冬瓜 《造り》平目 縞鯵 土佐醤油 あしらい一式 《炊合》賀茂茄子 陸蓮根 水蛸 ヤングコーン トマト 旨出汁ジュレ 《揚物》甘鯛揚げ出し 《強肴》宮城野ポークのロースト 椎茸 柚子胡椒 《食事》鮎の土鍋ご飯 《香物》糠漬け三種盛り 《止椀》赤出汁 葱 滑子 豆富 《甘味》ヨーグルトアイス 水菓子 酪羮 丁寧な仕事が見てとれる。 和の技法の上に洋の要素がちらほら。日本酒よりワインの方が合いそうな料理も多かった。 舌と目と両方とでゆっくりと楽しめる店だ。
函館で一番気になっていたお店『Colz』。 前日の予約だったが、ランチタイムなら空きがあるとのことで、運良くやって来ることができた。 希望通りカウンター席に通され、メイン料理も含めたCコースを注文した。パスタなどを自分で選択せずお任せにすると、1品プラスされるというおもしろいシステム。 ◆グリッシーニ 下は、七飯町・山田農場ヤギのチーズを使っているとのこと。 ◆前菜盛り合わせ スープは、ジャガイモの冷製スープ。(フレンチだとヴィシソワーズだけど、イタリアンでは何と言うのだろう?) 魚は下にマツカワガレイ、上にアイナメ。 パテ・ド・カンパーニュは、満月ワインバー仙台の板垣さんから教わったものと聴いて驚いた。 他にも鯖のリエットなど、盛りだくさん。 どれも素晴らしく、これからの料理への期待が更に高まる。 ◆枝豆のラビオリ 小籠包のように皮を噛みきった際に出てくる枝豆のソースが甘く口の中に広がる。 これは絶品。スタッフ全員の大好物というのも納得。 (写真を撮り損ねたのが悔やまれる。) ◆フグのムニエル、ズッキーニの中はホタテのムース これも思わず笑顔になるほど、優しく幸せな味に包まれる。 ◆蝦夷鹿のモモ肉のグリル 美しい断面に肉質の良さが感じられる。肉自体の味わいを損なわないよう火入れは弱め。 添えてある生のヤングコーンやインカの目覚めも力強い。 ◆ほほ肉のグレーチャ 最後にパスタが来るのはイタリアンらしくないが、〆に炭水化物という日本人の感覚に合わせたようだ。 ずしりと来るボリューム。出される前に分量を訊かれた訳がわかった。 こちらにも山田農場のチーズが使われている。 ◆メレンゲのお菓子 口直しにとのこと。 ◆ブラックベリーのコンポート、ココアとクリームチーズのミルフィーユ 最後まで幸せにしてくれる優しい、それでいて風味に富んだ料理だった。
今夜の食事は福島のイタリアン『La Selvatica』にて。 一昨日、愛媛からイノシシが入荷したと聞いて、早速予約した。 調理の様子がすべて見えるカウンターの特等席。 〜anti pasto〜 Vellutata di tpinambur (トピナンブールとカリフラワー、白インゲン豆のヴェッルタータ) さらっとしたスープに、カリフラワーの程よくゴツゴツした舌触りが良い。 揚げたトピナンブール(キクイモ)の独特の食感がアクセントになっている。 〜primo piatto〜 Risi e bisi (お米クリエイターのお米と自家製生ハム グリーンピースのリゾット) お米の芯を残し自己主張させている。生ハム等で煮出したスープが思いのほか濃厚で、口の中にさっと広がる。 Pappardelle fatta a mano al ragu di cinghiale 自家製手打ちパスタ・パッパルデッレ、イノシシのラグーとともに 愛媛の柑橘畑を荒らすイノシシを駆除したとのこと。臭みも粗野な味もなく甘く上品な肉だった。 クリーム仕立てのラグーは絶品。以前どこかでよく似たソースを味わった記憶があるが思い出せない。 〜secondo piatto〜 Filetto di maiale con kunafe たけし豚フィレ肉のカダイフ巻き たけし豚のフィレ肉が食べられるのは、今のところここだけとのこと。肉自体の味を楽しむため焼き加減は超レア。 カダイフも肉を邪魔しないよう、食感にアクセントをつけるだけにとどめてあった。 Tagliata di cinghiale 愛媛県産イノシシのタリアータ シェフ曰く「余計なことは一切せず、塩を振って焼いただけ。」 フィレ、ロース、ハツをいただいた。 イノシシらしさはあまりなく、牛肉に近い食感。ドングリのみを食べさせたイベリコ豚のように、柑橘というほぼ単一の餌を食べるとこうなるのだろうか。 〜dolce〜 Torta di ricotta e gelato d'olio di oliva リコッタのトルタとオリーヴオイルのジェラート
今夜の食事は、福島のイタリアン『Osteria delle Gioie』で。 ◆新玉葱のピューレと兎のポルケッタ 玉葱の皮を開くと、兎のポルケッタが姿を現わす。底にある玉葱の甘みのあるピューレを絡めながらいただいた。 一品目から幸せな気持ちになる。 ◆前菜の盛合せ バラエティーに富んでいて、かつ見た目にも美しい前菜の盛合せは、いつも楽しみ。 イタリア産アスパラガスに大麦卵とモッツァレラチーズ、生ハムは定番? たけし豚のテリーヌの下には、カルチョーフィ。 《Primo piatto パスタ》 ◆Coda alla Vaccinaza 岩手短角牛テール肉のトマト煮込みローマ風 トロットロに煮込んだ短角牛。ソースは濃厚で、ここに香りの強いルッコラ・セルヴァティカが良いアクセントになっている。 《Secondo piatto メイン》 ◆Arrosto d'angello 仔羊背肉のロースト ワインの搾り滓を食べさせて育てたオーストラリアの仔羊。中心の柔らかく繊細な舌触りと周辺のしっかり焼き上げた食感のコントラストが良い。 カルチョーフィ、ヤングコーン、二十日大根など、周囲に飾られた野菜も力強く種類も豊富。 ◆ドルチェ(デザート)盛合せ グレープフルーツのソルベにブラッドオレンジ、有機レモン風味のティラミスと、最後まで目に美しく舌に美味しかった。
日曜の夜、仙台の愛宕橋近くにある『弘寿司』を初訪問。 外観はどこにでもありそうなお寿司屋さんだが、出てくるお寿司は普通ではない。 握りもアテも、一つとして「普通の」ものは無い。珍しい食材が使われたり、盛り付けで演出したりと、実に楽しい。 ◆ホッキ貝、車海老、マグロの赤身、志津川産のタコ・・・車海老の活きの良く、頭がいつまでも動き続けていた。 頭は後で焼いてもらった。 ◆マンボウのチャガマ・・・チャガマとは卵巣のこと。形が茶釜に似ているかららしい。 炙って、良い感じの食感になっている。 ◆モウカの星・・・ネズミザメ(モウカザメ)の心臓の刺身。気仙沼名物と最近耳にしたばかり。早速ここで食べられるとは思わなかった。 コリコリっした部分と柔らかい部分との違いが楽しめた。 ここから握り。3種類の酢飯(白酢、赤酢、甘み入り赤酢)を使い分けている。 ◆本マグロ(赤酢)・・・上に載せた行者にんにくは、トロの甘みを出すためとのこと。 ◆肝(白酢) ◆南蛮海老(甘み入り赤酢)・・・海老に小海老、卵が載っていて、目でも舌でも楽しい。 ◆本ビノス貝 ◆サンマ(白酢、赤酢) ◆松茸・・・これは宮城ではなく長野県産。岩塩を振ってある。 ◆鱸の昆布締め(白酢)・・・オレンジの味を酢飯に移しているのだが、これかま意外によく合う。 ◆穴子・・・ふっくらと柔らかく、実に美味しい。 ◆ホッキ貝 ◆イワシ、いくら、玉子