「死」をテーマに設計された黒一色の店内で繰り広げられる食体験は、劇場型といわれるとてもコンセプチュアルなもの。オーナーがスペインのエル・ブジ出身なので、代々木上原のセララバアドなどと同じくモダンガストロノミーが軸にあります。 テーマとなる死の意味合いとしては、「"死"と向き合うことで"生"を実感する」ということらしく、これはメキシコの死生観にも通じるものだったりしますね。 冒頭にまず丸鶏の濃厚なスープが提供され、その後にカルボナーラを再構築した前菜へとつながるのですが、まさに母なる鳥から卵へと生命の誕生を感じさせるスタートが印象的でした。 その後も視覚と味覚を驚かせる工夫の詰まった料理が続き、サーヴと共にBGMがリンクして切り替わるため、最後まで五感全体で楽しめます。 個人的に調布のMarutaの方が佇まいもコンセプトも好みなので2018年度のBest1は譲れませんでしたが、全体の完成度としてはBest3入り間違いなしです。