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山路 力也さんのMy best 2014

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1

京都府

イタリア料理

山路 力也

 2011年のオープン以来、祇園で注目を集めるリストランテ。イタリア料理店とは思えない京町家をリノベーションした店舗は、白木の格子戸がお出迎え。しかし、格子戸を開ければ全面ガラス張りのエントランスで、オープンキッチンとカウンターが目に入ってくる。店名の245とは店の地番から。  オーナーシェフの吉岡正和さんは「CANOVIANO」京都三条、大阪江坂でシェフを務めた人物。閉店してしまった三条のCANOVIANOは、京野菜イタリアンとして人気だったが、こちらでも京野菜を中心に美山産のジビエなどを使って、遊び心満載の料理を生み出している。  美しさと美味しさ、そして独創性を兼ね備えた料理の数々は、一皿一皿メッセージとストーリーがある。この日のラビオリに使われていたのは美山産のアライグマだが、ロードキルではなくてちゃんとハンターが旬の今の時期を狙って仕留めたもの。その背景には畑や寺社を荒らす害獣としてのアライグマの存在がある。  また色の使い方が素晴らしい。黒子のフリットの黒と白のコントラストに鮮やかな花のアクセント、鰻の薫製の冬の色味に映える南天とトウモロコシの赤に銀杏の黄色、シャラン鴨のエディブルフラワーの黄、そしてサラダのカラフルな色合い。逆にトマトのパスタでは敢えてトマトの色味を隠して白く仕上げる。  さらにテクスチャーのコントラストも秀逸。黒子のフリットは竹炭で色をつけたパン粉で白子をフリットしたものだが、色のコントラストと同じく食感のコントラストを演出。サラダは色味もさることながら、素材によっては揚げたり茹でたり生だったりと、色々なテクスチャーを感じる事が出来る。それを一つのボウルに入れて個々の食感のみならず全体でも楽しませる、研ぎ澄まされたセンス。  キビキビとしたキッチンでのシェフの動きに迷いはなく。ソムリエの方との盛り付け、サーブのコンビネーションもスムーズにこなれている。さらにお客さんを邪魔をせず飽きさせず、付かず離れずのフランクなトークバランスもいい料理のエッセンスに。京都に来たら必ず足を運ぶ店がまた出来た。

山路 力也

 代々木上原で人気を博していた四川料理の名店が、食の激戦区である麻布十番で勝負がしたいと2012年冬に移転。上原時代から何度となくお邪魔している、個人的にもお気に入りの四川料理店だ。以前と変わらず地階店ながら、より重厚感が増して雰囲気が俄然良くなった。  本場中国四川で修業を積んだオーナーシェフの井桁良樹さんは、テレビなどでもお馴染みの人気シェフ。四川の伝統ある料理をベースに独自のアイディアとアレンジを加えて、オリジナリティあふれるメニューを生み出して人気を博している。  日本人としての感性をしながらも、四川料理の根幹でもある「辣=辛味」と「麻=痺れ」を大切にした料理には、本場四川の香辛料を30種類以上使用。キリッとした辛さの中に痺れのアクセントが加わり、全体を複雑な香りがまとめあげている料理の数々は、一度食べたら忘れられない味わいだ。  この店に来たら必ず食べて頂きたい逸品が「四川名物よだれ鶏」。思い出しただけでもよだれが出る、という意味を持った四川の鶏料理「口水鶏」。旨味が凝縮された茹で鶏に、辛味の中に甘みが広がるタレをたっぷりと絡ませて食べれば至福のひと時が訪れる。「成都タンタン麺」は本場さながらの汁無し担担麺。底からよくかきまぜて食べるべし。

3

東京都

天ぷら

山路 力也

 外苑西通りの裏路地に佇む大人の隠れ家。カウンター8席とテーブル1卓のみで、すべて店主の目が配れるようになっている。原則として予約制の2回転。青山エリアで深夜まで美味しい天ぷらを食べられる稀少な存在だ。  店主の元吉和仁さんは、独自の哲学を持って天ぷらという料理と向き合った。その結果、揚げる時間はもちろんのこと、衣のバランスや厚さ、油の温度までも素材ごとに変えていく手法となった。天ぷらは素材の美味しさを引き出す手段であり、主役の素材にあった揚げ方があるはずと、素材ごとに揚げ方や提供の仕方を変えるのだ。  その素材をどう調理したら美味しくなるのかを突き詰めた結果、最高の調理法が「天ぷら」だと語る元吉さん。過去の流儀や固定観念にとらわれることなく、頑なに美味しい天ぷらを突き詰めていく孤高の職人は、凛とした姿で今日も素材と向き合っている。

4

東京都

フランス料理

山路 力也

 恵比寿駅から明治通りを歩くこと10分。重厚でシックな趣ある空間がお出迎え。ここは2011年のオープン以来、食通たちを唸らせ続けているフレンチレストラン。「マノワ」とはフランス語で「館」や「家」の意味。重厚感あふれる雰囲気ながらもオープンキッチンで活気と温かみに満ちた空間が心地よく、個人的にも大好きなお店だ。  メニューはいずれもプリフィクススタイルで「リヴェルテ」¥6,000と「ヴェレーゾン」¥10,000の2種類。リヴェルテでも6皿あってアミューズ、前菜2皿、魚、肉、デザートとしっかり。フォアグラを鯛焼きに見立てた一品など、若いシェフの遊び心が随所に活かされていて楽しい。  オーナーソムリエの中村豪志さんは、長年「ア・ニュ」でソムリエを務めた後に独立。「顔の見える食材を使って、東京にいながら自然を感じて欲しい」と語る中村さんは、生産者と交流を重ねながら食材を選び、狩猟期には自ら狩りに出掛けて仕留めたジビエを提供する。野菜を育てた人、鹿を撃ってさばいた人、魚を獲った人。食材の一つ一つに込められた作り手の想いを受け止めた料理の数々は、大地の恵みにあふれ力強い輝きを放つ。四季折々に足を運びたくなる店だ。 #デート #口説ける

5

東京都

日本料理

山路 力也

 6月3日、西麻布の路地裏、重慶飯店の地下にオープンした洒脱な雰囲気の料理店。外階段を降りると地下なのに一軒屋のような雰囲気のエントランスがお出迎え。こちらは1993年、博多に創業した人気店の東京初進出店である。  博多清川の本店は何度となくお邪魔しているが、和にこだわらず美味しいと感じられるものをボーダレスに提供する世界観が楽しく、しかもどれも一切手を抜かずに質の高いものを提供する佳店で、個人的にも大好きな店。博多に行かねば食べられないと思っていた田中田が、東京にやって来るというニュースにいてもたってもいられずに訪問。  店は52席とレイアウトこそ違えど、博多本店とほぼ同規模の大きさ。個室を除くほぼ全席から厨房を眺めることが出来るのもいい。店主の田中さんは厨房とホールと大忙し。久々の再会を喜びつつ、田中田の世界観を堪能する。博多の郷土料理や名産をエッセンスに加えたり、とにかく一つ一つの料理が美味しくハイセンスで、力強い存在感を放つ。魚、肉、なんでもござれで「博多がめ煮(筑前煮)」や「博多水炊き」などの郷土色豊かな料理も多く、お造りなど本日のおすすめが毎日変わる。博多でも締めに食べる「ぜいたく丼」は雲丹、鮪トロ、イクラがこんもりと盛られた極上の逸品。これを丼抱えてがっつりとかき込む贅沢。  ポジションとしては日本料理店、割烹に近いと思うのだが、業態としてはあくまでも居酒屋である。しかし、食材は徹底的に最高のものを吟味し、調理や盛りつけも一切手を抜かずに仕上げる。田中さんも「本物を知る大人のための居酒屋」と定義する。堅苦しくない雰囲気で上質な料理を気軽に楽しめる空間。そう、こういう店ってありそうでなかなかない。これでまた西麻布の夜の楽しみが一つ増えた。 #夜に来たい #口説ける #デート

6

栃木県

ステーキ

山路 力也

 日光でステーキといえば「和牛」である。いや、日光のみならず関東近県でも屈指の名店と言って良いだろう。ここのステーキを食べるためだけに日光に行く価値がある。実際この日もそのために日帰りで日光まで車を飛ばしたのだ。  霧降高原の入口にひっそりと佇む洋館。窓の外には緑が広がり四季折々に目を楽しませてくれる。宿泊施設もあるのでオーベルジュ的な利用も出来る。ランチは3,000円から、ディナーは5,000円から用意されているが、せっかくこの店に来たのならやはり最低でも10,000円以上のステーキを食したい。この日は20,000円のコースでオーダー。  和牛スジ肉と野菜をじっくり煮込んだコンソメスープは、じわじわと力強い旨味が広がる逸品。厚めにカットされた和牛のタンを使ったオードブルに、旬の素材を用いたサラダ仕立ての一品もなかなかのもの。そしてメインのステーキは専用牧場で飼育された前沢牛。ヒレとロースが選べるので一つずつ。焼き加減ももちろんお任せで。ベテランシェフがギリギリの線を見極めて火入れした、ぎゅっと旨味が閉じ込められたまさに極上の一皿。程よい焼き目の肉肌と柔らかな肉の食感のコントラストもお見事。締めのガーリックライスにデザート、そしてオーナーシェフの好きなココアまで、一切手抜きのないコースが続く。  私にとってステーキは日常食べるものではなくて、ハレの日のご馳走。ならば、たまには都心を離れて日光の高原の中でゆったりと極上のステーキを堪能しても罰は当たるまい。

7

東京都

イタリア料理

山路 力也

 2011年のオープン以来、連日予約の取り辛い人気を誇るイタリアン。店名の「29」からも分かるように、こちらはいわゆる「肉イタリアン」の人気店。聞けばオープン日も2月9日だったのだとか。どちらかと言えば男性的でガッツリとしたイメージがする肉イタリアンではあるが、こちらの店はガラス張りで白を基調にした明るい雰囲気で、女性的なイメージを持った店だ。とはいえ、オープンキッチンで接客なども元気で、店内も賑やかな雰囲気でとても居心地が良い。好きな空間だなぁ。  肉がメインということもあって、こちらの料理はフランスに近い北イタリアの流れを汲んだもの。牛肉はもちろん、兎肉などのジビエも用意されている。この日頂いたメインは「岩手県産短角牛ランプの炭火グリル」。周りを強火でカリッと仕上げて、あとは置火でじっくり時間をかけて中までゆっくりと火入れ。断面の赤の美しさに心奪われる。粗めの岩塩で肉の旨味をとことん堪能。いやいやこれはうまいぞ。  料理一つ一つのポーションも適量で、美しい盛りつけや色使いの前菜からテンションが上がる。「兎とズッキーニのフリット」はトスカーナの名物料理で、こちらも程よい量でお酒にピッタリ。トウモロコシを使ったスフォルマートも、スフォルマート好きの私にはたまらない逸品。盛りつけも華やかで可愛らしく、これは女性客が多いのも頷けるというもの。パスタ類も手打ちで一切の手抜き無し。29はただの肉イタリアンではない、肉メニューが強いお洒落なイタリアンなのだ。

8

東京都

フランス料理

山路 力也

 奥沢の小高い丘に建つ築60余年の日本家屋。エントランスの階段を上がり家の中に入れば、そこは四季折々の素材を活かしたフレンチレストラン。この外観にどこか見覚えのある人も少なくないと思うが、こちらは人気ドラマ「リーガルハイ」の古美門先生の邸宅外観に使われているのだ。和洋折衷の独特な雰囲気の中、極上のフレンチを堪能出来る「とっておき」の店だ。  オーナーシェフの森重正浩さんは、フランス各地で地域に根付いた素材を用いた「キュイジーヌ・レオジナール」を学び、帰国後も国内のオーベルジュなどで腕をふるい、1994年にこの店をオープンさせた。三島産のハーブや小田原産の自らも山や川へ行き、自然や食材と触れ合うのが好きだと語る森重シェフが作る料理は、どれも季節感にあふれ自然を再構築したストーリーが流れている。  四季を感じられる自然に包まれた庭園を眺めながら、シェフの思いがこもった料理の数々に酔いしれる一時。シトロエンをこよなく愛するシェフとシトロエン談義をするのも僕の秘かな楽しみのひとつ。 #デート #口説ける #夜に来たい

9

東京都

フランス料理

山路 力也

 2010年のオープン以来、注目を集め続けているフレンチの新進店。シェフの古賀哲司さんが大切にしている言葉は「和」。「和み」「味の調和」「日本の四季を彩る和」を感じられるような料理になるよう、一皿一皿に思いを込めて提供している。  厳選した食材に手間ひまをかけた料理と上質のサービスで、普段味わえないような「非日常」の一時を過ごして欲しいと語る古賀シェフ。そんな一時を彩る料理は20種類以上ものメニューの中から、前菜やメインディッシュに関わらず好みの4皿とデザートを選ぶオーダーメイドのプリフィクス。人気の「蝦夷鹿ロース肉の岩塩包み焼き」には洋梨の赤ワイン煮が添えられ、5種のベリー・ヴィネガーソースが鹿肉の味を引き立てる。  優柔不断の私はいささか困ってしまう部分もあるが、逆に連れとうまくバランスをとりながらオーダーすれば色々楽しむことが出来るのは嬉しい。その日の気分で各々が食べたい料理で自分だけのコースを組み立てる楽しさ。それを友人たちと食べ較べる楽しさ。レストランとしての質とサーヴィスはキープしつつ、使い勝手はとても気軽なのが良いな。この店でしか生まれない会話や時間をゆったりと楽しもう。 #口説ける #デート

10

東京都

焼肉

山路 力也

 言わずと知れた肉好きならば行かねばならぬ名店。吉祥寺の人気店「わ」「たるたるホルモン」の姉妹店という肩書きは最早不要になってしまった。  こちらはおまかせ一本のみ。一昔前のカルビ崇拝主義や、昨今の熟成肉信仰を嘲笑うかのように、ただひたすら出て来る赤身の肉、肉、肉、肉。牛のみならず馬や鹿など、とにかく肉、肉、肉。  やれ熟成期間がどうだとか、育成方法がどうだとか、そういう講釈はどうでも良いのだ。目の前に出された肉をんまっ!と言ってただひたすら食べ続ければそれで良い。それがこの店の楽しみ方。  もちろん店を出る時にはお腹いっぱいなのだけれど、まだいくらでも入りそうな。そしてまたすぐ明日にでも行きたくなるような。でも予約いっぱいで数ヶ月先までは無理みたいな。そういうお店。