kusu ryutaro

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2022

内幸町駅

カフェ

私の祖父は鹿児島で和菓子屋さんを営んでいる。 もう今年で80歳になる。 15歳の頃から和菓子の道に進み、今でも現役で働いている。 祖父の朝は、とても早く4時には起きて家の前で乾布摩擦をしてから仕込みに入る。 私にとって素敵ですごく尊敬のできる祖父だ。 そんな祖父とはもう5年くらい会ってない。 私は「祖父との再会」をとても楽しみにしている。 本題に入ろう。 先日私はいつものように友人Aと朝から行きたかった喫茶店に足を運んだ。 しかし、まさかの休日のためその喫茶店はお休みだった。 そこから近くの喫茶店を調べて足を運んでは、お休みを繰り返していた。 部屋を出てから1時間と少しが経ち「東京は土曜日に空いてる喫茶店はほとんどないんだ」と諦めかけていた時、本アプリにて周辺の喫茶店検索をしたときに出てきた「ヘッケルン」という喫茶店が徒歩4分圏内にあることを知り、一縷の望みにかけて電話をかけた。 電話越しには、元気なおじいちゃんの声がした。 「17時までやってるよ!!」 私と友人Aは1時間以上歩いているので、「どこでもいいからとりあえず喫茶店に入れればいい」くらいの気持ちで向かった。 店構えは、長年改装をしていないような味のある「THE 純喫茶」 店内に入ると、カウンター7席 テーブル3席くらいのマスターが一人で回すにはちょうどいいくらいの落ち着く広さ。 席について頼んだのは、人気メニューの珈琲とジャンボプリンのセット(¥700-) マスターはカウンターにいるお客さんとマシンガントークを繰り広げながらも一切手を止めずオーダーをこなしていた。 数分後注文の品が届きました。 まずは珈琲を一口。 コーヒーチェリーを感じる全く嫌味のない酸味のあるとても美味しい珈琲。 日本人はあまり浅煎りの珈琲を好まないというが、それはただ酸味が強いだけの冷えたら飲みにくくなるような珈琲に限った話である。 昨今、前述したような浅煎り珈琲を出している店が多いことは事実である。 そんなお店で試飲して苦手意識がある諸君にはぜひ「ヘッケルン」に足を運んで欲しいものだ。 珈琲を置いて、ジャンボプリンを口へと運んだ。 自身が感じた味を明確に言語化することは非常に困難である。 だからここではあえて簡潔に述べよう。 「美味い」 一通り食した後は、喫茶店の醍醐味であるマスターとの会話を楽しんだ。 1971年に創業して36年前から一切値上げをしていないそうだ。 1986年のバブル期到来以降一円たりとも値上げをしていない店が現在日本国内に何店舗あるだろうか。 驚異の記録であることは明白だ。 マスター曰く、最長の常連さんは50年間通っているらしい。 3世代で通っているお客さんも少なくないという。 そんなマスターからすると私と友人のような二十歳そこらのお客さんは孫のようだという。 職人気質で一日睡眠時間4時間、店先では16時間立ちっぱなしのマスターは少し私の祖父と重なって見えた。 私は久しぶりに祖父と「再会」したかのような気持ちなり、「こころ」が温まった。

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2022

神谷町駅

カフェ

今徐に筆を執る。 先日愛煙家である友人Aと東京にて再会を果たした。 友人Aとは、よく喫茶店に訪れる仲である。 喫茶店には色々な良さがある。それは時として、珈琲の味然りマスターの佇まい然り。 そんな様々な表情を見せる喫茶店が私はこの上なく好きで堪らない。 しかしながら最近は少し「喫茶店ブーム」がきているのではないかと思う。 それにあやかり度々喫茶店の仮面をつけたカフェに遭遇する。 私は声を大にして言いたい、「それは断じて喫茶店ではない。カフェだ!」と。 ここで私が述べる「喫茶店」の定義について言及する必要がある気がする。 喫茶店にも様々な形があることはもちろん認めるが、あくまで喫茶店と称するのであれば「全面喫煙可」ここは絶対に譲れないのである。 2020年に改正された健康増進法に則り、分煙もしくは禁煙店へと舵を取った喫茶店を揶揄するつもりは毛頭ないが、時代の流れに逆らい自ら茨の道を進むことを決断した喫茶店を真の喫茶店として私は全力で応援したい。 今後私の投稿に出てくる「喫茶店」はそういった確固たる「心意気を持った喫茶店」であることをご理解いただきたい。 これはあくまで私の持論である為異論は一切認めない。 これまでの前提を踏まえた上で本題に入ろう。 先日足を運んだのは、「珈琲大使館 神谷町店」である。 ペンキが少し剥がれ落ちたレトロな店構えに私は少し心を躍らせてながら足を踏み入れた。 店内は早朝にも関わらず、閑古鳥の鳴き声は微塵も聞こえてこなかった。 私は席に着くと、小倉トースト(¥200-)とアイスコーヒー(¥500-)を注文した。 注文が届くまでの間煙草に火をつけ店内を見渡した。 店内には煙草を片手に新聞を読むビジネスマン、スポーツ紙の官能的なページを恥ずかしげもなく見つめる御老体。 ここまでの雰囲気に文句の付け所など見当たるはずもなかった。 煙草の火を消すと同時に注文の品が運ばれてきた。 バターを塗ったトーストとその横の小皿に盛られた小倉あずきは、質素にも関わらず私の欲望を掻き立てるには十分すぎた。 食した感想は言わずもがな最高である。 バターの塩気とあずきの甘さは、まるで林家ペーパーのように阿吽の呼吸でお互いの良さを引き出していた。 まだ少し口の中に小豆の余韻が残る状態でアイスコーヒーを流し入れた。 珈琲は深煎りで酸味はほとんどなくほんのりと心地の良い苦味を含んでいた。まさかのMCは明石家さんまであったのだ、これには林家ペーパーも驚きである。 初来店にして、私の心の臓を強く掴んで離さない喫茶店に出会うのは久方ぶりである。 店を後にする時店前の看板に「心意気を売る珈琲専門店」という文言に気づいた。 そう、私は珈琲と小倉トーストを買ったのではない。 真の喫茶店の心意気を買ったのだ。