Akinobu Ujino

Akinobu Ujino

  • 2投稿
  • 0フォロー
  • 2フォロワー
  • エリア(すべて)
  • />
    ジャンル(すべて)
Akinobu Ujino

Akinobu Ujino

excellent

小川町(東京)駅

魚介・海鮮料理

期待を裏切らない。 これを実現するのは容易ではない。 期待は勝手に膨らむし、好みや欲するものは不変ではないからだ。 しかしそれ故、常に期待を上回ろうと切磋琢磨するのが職人の性であり、 その気質が店と訪れる者の信頼関係の架け橋となる。 今回はこの場をかりて、ここは信頼関係を結ぶに足る店であること、 ご共有させていただく。 始まりは、以前お邪魔した駿河屋賀兵衛の川崎アゼリア店での会話にある。 どうも元々は、神田の万世橋の店が一号店であるとのこと。 ちょうど神田の周辺は散歩エリアであるし、立ち寄ることとした。 万世橋のマーチエキュートは場所柄そう古くはない。 この店自体も同じはずだが、まるでずっと神田にあったかのような馴染み方は、 入る前から楽しませてくれる。 ちょうどお昼時だったので、新しいメニューという、 黄身醤油漬け鮪丼と、それに合う酒を注文した。 料理に合わせ、楽しませてくれる酒を出してくれることは、 川崎アゼリア店でも経験済みだったが、この店でも健在であった。 いただけたのは聖(ひじり)という群馬の袋吊りの綺麗な酒であった。 丼の味も黄身のまろやかさが鮪と抜群にマッチし、 差し味としてラー油がいいアクセントとなっていた。 食感も様々で、ねっとりした鮪に、カリッと胡瓜が顔を出せば、 サクッと余韻を添えるアオサと、食べていて楽しい逸品だった。 余談だが、写真の丼の側にあるのは知恵の輪であり、 なんと見つけた人だけが遊べる、店の遊び心の一つであった。 (全ての席にあるわけではないようだ) その後新ゴボウと行者にんにくの酒盗きんぴらなど、 この店の真髄である塩辛や酒盗とのマリアージュを満足いくまで楽しんだ。 全てが期待と想像を越えられるのは、なかなか新鮮な体験だ。 店にかかるBGMも良い仕事をしていた。 そんな中、酒を嗜みつつ、ふと見上げると、 よく造り酒屋の軒先にある杉玉が目に入った。 新酒ができたときに、造り酒屋は蒼々した杉玉を掲げ、 新酒ができたことを皆に知らせたものだ。 お客はそれを見て新酒を楽しんだり、その後も時間が流れ、 杉玉が茶色がかっていく変化を見ながら、 酒の熟成具合を把握しつつ、季節の移り変わりを感じることができた。 もしこの杉玉が真に茶に染まるまで、ここを訪れ続けることができれば、 自分も何か、酒や料理について語れるようになれるだろうか。 四季の移り変わりも、この店で味わうのも悪くない、そんな気持ちにさせる、 なんとも不思議な縁すら感じる、良い店であった。

Akinobu Ujino

Akinobu Ujino

excellent

この界隈でこんな店は貴重だ。 店に入ると、一度には飲みきれない種類の酒にまず圧倒される。 数々の銘柄も、有名なものから、まず見かけないものまで揃っていて、 かつそれらが全て純米というのだから、驚きだ。 聞くと、全て大将が自ら厳選したというのだから、感服する。 味も全て良く、肴やこちらの好みによって、 ぴったりの酒と飲み方を提供してくれるセンスも素晴らしい。 料理は、静岡の恵みを余すことなく使用された数十種類の塩辛に、 それを活かした創作料理が、また時間を豊かに過ごさせてくれる。 特に、店頭限定という、さんまの塩辛は絶品だった。 店員や大将の人柄も良いし、 地味に大将セレクションという、店内に流れる曲も自分好みで、 今後もゆったり楽しみたいお店だった。 美味しい酒と肴と共に、ゆったり過ごしたい方々には是非オススメしたい。