Besha List
京都河原町駅
カレー
京都市内随一の繁華街河原町をもってしてもカレー専門店は極端に少ない。 大部分をラーメン文化に支配された都市においてカレー人生を豊かにするには圧倒的にシチュエーションの頭数が欠けている。 ただ、だからといって、ここで突き付けられた“諦めの条件”にはまだ未熟さが感じられるし、小さな希望の光達はむしろ明るいカレー都市京都の先駆者としての立ち位置が約束されていると言っても過言ではない名店ばかりだ。 さて本題、カラヒカレー。 藤井大丸東側という街ど真ん中に建つ雑居ビルの中にあるこの店はカウンター7席のみの小さな佇まい、何やらほとんどがDIYで拵えた店舗らしく非常に整った印象。 そしてカレーはチキンのみと追い打ちをかけるようなシンプルさ、無駄の無さが極まっている。 オーダーされてから一皿ずつ仕上げていくので短くても10分の待ち時間が必要なのでご了承を。 時として姿を表したカレーは見た目以上にコンパクトなボリュームなので男子なら大盛りが鉄則だと強く記しておこう。 食べた感想としては、幅広さより奥深さに焦点が定められたであろうカレーとの付き合い方はしっかりと一皿で表現されているといったところ以外何もなく、潔い姿勢は澱みのない美味さとして鮮やかに昇華されている。 言わせてもらえば、無数に存在するスパイスの扱いに誰かが開発した答などあるわけもなく、だからこそ“王道”や“スタンダード”といったスタンスが1番の覚悟であり、美学なのだ。 カラヒカレーは無言でそれを主張しているように思う。 一口頂けば、辛くもなく甘くもなく酸っぱくもない。 だが、確かに素材と素材が複雑に絡んだ上でしか生まれ得ない納得の旨味がしっかりあり、食べれば食べるほど吹き出す汗に悟る物がなければスプーンを置いた方が良いだろう的なスパイスの妙だ。うまい。 様々な状態によって味覚が変化する人間を前に、常にブレない味を伝える程大変な事などなく、増してやカレーという途方もない料理においてはプロップスを安定させるという事自体が最早 無謀なモノ(言い過ぎ)で、未知なるカレーへの冒険心により同じ店でも味が少しずつ変化する事もあれば、消費者の事を思った絶妙なスパイス焙煎で味の表情が豊かになる事もあり、カレーというものは各店で常にポジティブな変化を繰り返し続けているのが当然とされるべきで、どこがどうの何があーだと語るのが野暮になる、それこそがカレーなのだ。 じゃあどこのカレーを食べたらえねんな? ココでしょ。