梅崎桜丞

梅崎桜丞さんの My best 2017

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鹿児島県

そば(蕎麦)

梅崎桜丞

2017.02.17 鹿児島県出水市 旧武家屋敷群に佇む古民家蕎麦屋 1日限定30食の蕎麦。 透き通っていて美しい まるで澄んだ山水の様だ。 噛み締めて味わう。 今まで私は何の蕎麦を 食べてきたのかと疑って しまいます。 行くべき蕎麦屋。 #クセになる

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福岡県

和食

梅崎桜丞

史実を重ねた寺院らが、今日も泰然と 御供所町を見守る。 その寺院らに挟まれ【白つぐ】は 雅やかな香りを放つ。 店の大きな窓から東長寺が見え 隣接していることに気付くと緊張感すら 感じてしまう。 千二百年前、窓の向こうで 空海が立ち、空を見上げている。 しかし、彼は千二百年先の未来から 私が覗いているなんて知る由もないだろう。 こんなことを考えていると、私と彼は 背を向け合い「無限 ∞」の記号を 描いている。 そう感じた。 【突き出し】 ・焼き茄子の茶碗蒸し 焼かれ縮んだ茄子は旨味が凝縮され 自らの出汁で苦味に似た香ばしさを残す。 【前菜】 ・秋刀魚の押し寿司 ・柿の白和え ・鮎の子持ち 鮎を茶で煮る。斬新だ。 骨まで柔らかさに従い、茶の渋味で 風味を引き立てる。 【椀物】 ・百合の球根饅頭 百合の球根を饅頭仕立てにしている。 柿に似た饅頭を箸で割ると極小の鳥ミンチが現れ肉汁と一緒に口にすれば、ほのかに スイーツに似た甘さを醸す。 そして刻まれたビターな春菊が味を締める。 【向付】 ・しめ鯖 ・鯛 ・烏賊 ・サワラの炙り 【鉢肴】 ・カマス焼き 身が太く脂が乗ったカマスは最高だ。 【止め肴】 ・コハダ ・生キクラゲ ・柚子 個性が立つキクラゲと柚子が「コハダ」 の上質な身をお膳立てする。 【食事】 ・むかごのご飯 【デザート】 ・フロランタン最中 フロランタンと最中の合わせ。 冷やされた小豆を挟み、手で潰し食らう。 アーモンドが甘味を伸ばす。 美味だ。 旬を念頭に置いた美しくも繊細な料理。 【白つぐ】は実に美味い。 オリジナリティを前に出し 会席料理を超えた会席料理だ。 「良い匂いがしたから」と 突然、見知らぬ婦人が飛び込んできた。 これが全てだろう。 緊張感も、いつしか緩んでいる。 少し、御供所町を歩いてみようと思う。 まだまだ知らない伝統ある町を見てみたい。 しかし、過去に触れ過ぎて タイムパラドックスが起きては困る。 「千二百歩の旅だけにしよう」 「なんてね」

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福岡県

寿司

梅崎桜丞

冷房が効いた店内 涼しさの中に熱気を燻り放つ職人。 早々と予約者で席は満たされ 飛び込み客は次々に優しく断られる。 さあ始まった 今夜も騒がしくなりそうだ。 最高の食材を気取らない価格でもてなす。 知る人ぞ知る、下町の人気寿司屋 『福ずし』 30年の老舗を慕うファンは数知れない。 父親の故郷、大川市の魚屋に並ぶシャコ。 帰省の帰り際、よく彼は数十匹を買い漁り 蒸してはいただいていたようだが 私はまだ幼いから苦手だった。 今、ここに生シャコがある。 初めていただくが 口溶けするほど柔らかい身は最高。 こんなに美味いのか... 皮はぎ薄造りを辛口醤油で溶いた 肝ソースでいただく。 「 .... 」 冷静を装うのは、もはや困難。 目の前で急ぎながらも丁寧に造る 大将に向かって「美味い」とこぼす。 笑みを浮かべる大将は満足気だ。 焼酎 魔王、屋久の石楠花 日本酒 黒龍、繁桝にごり 通し 刺身のごま醤油造り 寿司 うね(鯨の首)、地アジ、石垣鯛 いかのウニのせ、アワビ、大トロ 絶品の寿司達をたいらげ 大トロで〆る。 「望外の喜び」 土産の鉄火巻を包んでもらい 手にぶら下げ、友人の下へと向かう。 良い夏の夜だった。