料理 澤@関内(✿︎´ ꒳ ` ) 四季を、情緒を、奥ゆかしさを味わう。 「日本」の魅力を再確認させてくれる場所。 Takahiro.Mさんの投稿を拝見して以来、恋焦がれ、宿願を果たす想いで訪問しました。(❁︎´ω`❁︎) 席に着くと、そのしつらえに目を見張ります。 鼻腔をくすぐる微かなお香の香りが、これから訪れる体験への期待と共に高鳴る鼓動を鎮めてくれます。 (先附) 厚岸、浜中産 無添加うにの玉締め (八寸) *春菊と菊花のお浸し *銀杏素揚げ *姫サザエ潮煮 *愛知産、車海老 *佐島産、皮剥 肝和え *利平栗 渋皮煮 *丸十檸檬煮 (向附) 北海道産、活締め 平目 北海道産、真つぶ貝 北海道産、水蛸 (椀) 福井産、甘鯛と飛竜頭 清汁仕立 (焼物) 根室産、釣りキンキ炭火焼 京都産、紫ずきん (凌ぎ) 京都産、京鴨ロース (食事) いくらごはん/黒鮑の酒蒸し (菓子) 水菓子/栃木産、日光梨、愛媛産、太秋柿、岡山産、シャインマスカット 月見うさぎ 芋ようかん 秋の風景を一枚一枚の写真に切り取った様な料理の品々。 自然豊かなこの島国を尊ぶ想いが、実に豊かな表情を持って具現化されていました。 先附は厚岸の雲丹。それだけでも逸品と呼べるものに岩海苔が合わさり、北国の海に引き込まれるかのような感覚。 鮮度の良い本山葵の香りで、歯切れの良いひとつの世界が完成しています。 八寸はどこを取っても主役級。姫サザエ、車海老に皮剥の肝和え、利平栗に丸十。 海から山、山から海へのなんとも贅沢な往復。 あまりの贅沢な舞台にキャストの出演料が心配になるところ。 向附は何れも北海道の幸。食感の妙。噛めば噛むほどに「らしさ」が表れ、酒が進む。 非常に良く出来たマーケティング。 つまの仕事の丁寧さにも驚くばかり。 椀は出汁のしっかり入った甘鯛。北の海の幸との格闘により研ぎ澄まされた感覚に束の間の休息。 続いて炭火で火入れした釣りキンキ。 これほど希少度の高い魚にここでまさか出会えるとは思ってもみませんでした。 鮮度の良さがひと目でとれる紅色。 焼き目の黒、炙った脂の照りに引き立てられ、実に官能的。 大きく齧り付き、口中に広がる旨みの海原を荒々しく流し込む。 凌ぎは鴨。サーカスのテントの様な有田焼の中には、薄紅色に身を赤らめた鴨がいました。 魚の官能の次は肉の官能が押し寄せて来た。 「もう分かっているよ。キミもどうせ豊潤で美味いんだろう?」 一皿一皿の繋がりが濃密であることに頭が理解していても、口に入れて噛み締めた時の感覚の針は振り切れるばかり。 締めのご飯は大粒のいくらに黒鮑の酒蒸し。 もう何が起きても怖くない。 ただ締めに黒鮑は食べたことがない。狡い。 甘味は別れを惜しみ、華やかに送りだしててくれるような果物と月の兎の共演。 心の平静と共に名残惜しさも感じます。 合わせたお酒は、大好物の黒龍 純米吟醸 三十八号に始まり、飛露嬉 特別純米、十四代 中取り純米 生詰めと錚々たる面々。 この料理を目の前にして止まるはずがない。 食べるという五感を使う唯一の行為を通じて、日本料理の本懐が垣間見えたような気がします。 驕らず、尊び、しなやかに。 今日の出会いに感謝すると共に、こちらのお店が似合う男になりたい。 そう思いました。