Mukohara Michitaka

Mukohara Michitakaさんの My best 2018

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東京都

とんかつ

Mukohara Michitaka

8月は病院周り月間だったので、景気付け(笑)に念願の小川町ポンチ軒を訪問、特選ロースかつを注文。 勢い込んで口に入れたからか、ラードの芳醇な香りに思わずむせて咳き込む。 上質な豚肉だけが持つ脂の甘みが口全体に広がります。 そして肉質のきめ細かさ。 ギュッと噛み締めると、肉汁をたっぷり含んだ肉が歯にまとわりつくような不思議な感覚を味わえます。 ああ、幸せ。まさに口福なひと時でした。

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大阪府

ワインバル

Mukohara Michitaka

それは、衝撃的な出逢いであった。 大阪出張の折、往きと同じく帰りも新大阪駅でランチの時間となる。またもや「なんでもあるで」とアルデ新大阪をウロウロ。視界を「赤白」という看板がかすった。確か大阪の友人に聞いた「フレンチおでん」の店じゃないかな?と思い、遠目に覗うと、カウンターバーのような僅か10席余りの小さなスペース。中では女性ばかり数人が、昼間からワイングラスを片手に談笑している。 男一人、入りにくいことこの上ないが、ままよと突入した。 メニューを見ながら、暫しキッチンの女性(皆女性!)とお話。「赤白」と書いて「こうはく」と読むらしい。2015年ころから梅田周辺に3店舗を展開し、新大阪駅のこの小店が一番新しいのだと。どの店も時間帯によっては行列ができる人気店のようだ。 初めてなので、女性店員に言われるがままオーダー。客は皆ワインを呑んでいるので仕方なく(笑)注文。   これが、衝撃の正体。人気一番メニューの「大根のポルチーニ茸ソース」。 皿が出された瞬間から、ポルチーニの濃厚で色っぽい香りが鼻をくすぐる。思わず、ああっ!と口走り、心臓の鼓動が速まる。そして鼻をぎりぎりまで皿に近づけ、馨しい香りを胸いっぱい吸い込む。スプーンを入れると、飴色の大根の断面が美しい。おいしい料理は、決まって姿かたちも美しいのだ。 大根はコンソメで柔らかく炊かれ、それがポルチーニソースの衣を纏って得も言われぬ風味を醸し出す。なんと幸せな時間だろう。 冷静に考えてみると、「本歌」はおでんの大根。あるいは柚子味噌のかかったふろふき大根だろう。しかし、このコンソメとポルチーニという発想は素晴らしい。そのアイデアによって未知の世界に招かれた我々は幸せ者だ。 味・香りに気を取られて書くのを忘れた。価格は一皿180円なのである。これにも驚愕するしかない。   人気二番メニューの「フォアグラの茶碗蒸し」。一番人気の「大根のポルチーニソース」があまりに強烈なので、損をしているかもしれないが、こちらも傑作だろう。ベースは茶碗蒸しだが、上にフォアグラと茸を刻んだ餡がかかっている。フォアグラの香りは言うに及ばないが、茸の食感も私を虜にする。380円もお値打ち。   「赤白」は上記の定番メニューは共通だが、店舗によってメイン料理のメニューに変化を持たせているようだ。例えば肉料理、鉄板焼きなどなどで、ここ新大阪店のメインはフレンチ焼き串。10種類以上の中で、鶏ももとウズラのフレンチ古典ソースをチョイス。鶏肉は歯ごたえ良く、噛みしめると旨味が滲みでる。素材を厳選しているのがわかる。ウズラは桜材でスモークしている。ソースも複雑な風味で、すべてに手抜きがないのだ。   そしてワイン。おススメで10年熟成のシャンパーニュをいただいた。アッシュブランミレジメ2008年をグラスで780円とお手頃。 酒の弱い私としては、昼呑みですっかり心地よくなり夢の世界へ(笑)。 纏めてみると、お料理は抜群でCPも高い。お酒もお手頃。大阪の人は幸せだ。 ぜひ、ほかの店舗にも出かけてみたいものだ。できれば何人(女性)かで。

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大阪府

四川料理

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大阪新町の創作中華 空心を訪ねた。二回目の訪問である。 初回もアイデアの多様さに感心したが、今回もますますその思いを強くした。ひとえに大澤シェフの独創力のなせる業であろう。 コースもあるが、今回はアラカルトをたのむ。 まず、前菜の盛り合わせ。前菜といってもこのボリューム。左上の水たこ爽やか花山椒あえ、右上のよだれ鶏は定評ある不動のメニューで。左下はカツオのピータン&おこげソース。右下は千切りにした海月とサーモンに雪菜の佃煮?トッピング。いずれも、食感と素材のハーモニーが素晴らしく、既に前菜だけで満足してしまう。 有頭エビの濃厚チリソース煮込み。ありふれたチリソースではなく、辛さを抑えながらとても濃厚なソースのパンチを味わう逸品。瞬間的にチーズのコクを感じたが、それではなく炒めた玉ねぎがベースになっているらしい。中華の花巻(蒸しパン)につけて食べたら最高だろうなと想像力を掻き立てられる。 特別メニューの金鶏。メニューには金鶏としか書かれてないが、見栄えも食感も北京ダックと同じ調理法のようだ。茨城産と聞いたので龍崗鶏やもしれぬ。外皮のパリパリ感と弾力ある鶏肉の対比の妙がある。 シグネチャーの一つ「叉焼メロンパン濃厚卵黄とトリュフ」。卵黄とトリュフの組み合わせは、食通にはよく知られていて、エロチックな旨味と香りに思わず唾を飲み込むほどだ。メロンパンのあんこにはジューシーな叉焼が鎮座していて、卵黄トリュフとともに食べるハーモニーがなんとも素晴らしい。 〆はメニューで凄く気を引いた「サンマXO醤 蓮の粽 すだち酸辣油」。秋刀魚の粽なんて、考えただけでも生臭さが漂う。ところが、である。生臭さは微塵も感じられず、秋刀魚の脂味が粽の米粒をしっとりとコーティングして美味しいことこの上ないのだ。そして特筆すべきは大根おろしをベースにして酢橘をキリリと効かせた酸辣湯。大澤シェフに「大根おろしは焼き秋刀魚からの発想ですか」と恐る恐る尋ねてみた。シェフは「その通り。これは中華風サンマ定食なんだ」と喝破する。秋刀魚、大根おろし、酢橘とくれば確かにサンマ定食そのものである。まことに、こうしたユニークで愉快な創作力は大澤シェフの真骨頂なのだ。 折からアルザスワイン特集をやっていて、普段は飲む機会の少ないアルザスをいただく絶好の機会である。 大好きなクラシックの指揮者に上岡俊之(新日本フィル音楽監督)がいるが、彼はユニークな指揮を自ら「変態」とのたまう。中華料理界では、大澤シェフこそ天才的な変態料理人だといえるのではないか。