Hirokazu Ishii
研究学園駅
ラーメン
他の地方都市の現状を寡聞にして存じ上げないが、つくば市周辺は人口や周辺地域から訪れる方々の数に比して、非常に店舗の入れ替わりが激しい土地である。理由は様々あろうが、基本的に住宅地が前提であること(会社のオフィスがないわけではないけれど)とつくばエクスプレス沿線の地価の高騰から、恐らく平日の集客を見込むにはそれなりの存在感がなくてはならない。まして茨城屈指のラーメン激戦区と言われる土地柄である。非常にハイレベルなものを、必然的に我々は求めてしまう。結果、1年も経たないうちに撤退を余儀なくされる店舗を、私も両手に余るほど見てきた。 喜元門…茨城屈指の名店が小美玉・石岡から居を移して以来数年が経過すると記憶するが、そんなつくば・研究学園周辺地域で(移転組として)確固たる地位を不動のものにした数少ない成功例であろう。その人気を支えているのは、やはりラーメンの奥義とも言うべきスープの完成度の高さ。写真は鶏支那そばの塩であるが、見た目の想像を裏切らぬ見事な出来栄えで、まずは文句のつけようがない。塩辛過ぎず、物足りぬこともない、絶妙な塩加減と澄み渡るスープに染み出した鶏の旨味が、一口含んだ瞬間に完食を確信させる。デフォルトはメンマ、のり、ネギ、そしてチャーシューとシンプルなトッピングであるが(写真はチャーシュー増し、味玉プラス)、二大メインキャストの麺とスープでの正々堂々たる勝負っぷりは、正直脱帽する他にない。が、喜元門のメインキャストはそれだけではない。低温調理、直火焼、炭火焼、バラの4種類から選ぶチャーシューがそれに加わる。どれを選んでも外さないが、個人的には低温と炭火焼がオススメ。特に炭火焼はそのスモーキーな風味が何とも言えない味わいで、スープの変化も楽しめ、是非お試しいただきたい。 ちなみに、一時期味が落ちたように感じたので足が遠のいてしまったが、今は間違いなく完全復活を保証する。また、私はつけ麺党ではないのでコメント出来ないが、つけ麺も絶品との評判。喜元門の味だ、間違いなかろう。茨城県南地域屈指の、全国レベルの名店である。