大木淳夫

デパートなどの商業施設に入っているレストランは、ともすれば軽視しがちだが、その偏見を激しく後悔することも多々ある。 かつて東急東横店にあった『小松庵』とかとか。 パルコ４階の『chompoo』（チョンプー）もそのひとつ。 話題の料理人である森枝幹氏がプロデュースし、あるべきタイ料理の特徴を守りながら、それをモダンに引き上げている。 旨み、香り、驚きの連続。 やっぱりレストランはいいなあとつくづく。

2019年暮れに全面リニューアルされた表参道「GYRE」4階のフランス料理店。 辻調を主席で卒業し、銀座「エスキス」でスーシェフだった信太竜馬氏がシェフを務める。 フロアはゆったりとした作りで、料理はその姿、味共にさすがの一言。コースのみだが、緩急のつけかたが楽しく、飽きさせない。 前後に同フロアのバー「フュンクライン」で、高いところに上って一杯やると、より楽しめる。

2019年8月、激戦区の恵比寿にオープンした焼き鳥店。 「ねぎま」は鴨頭ねぎという、あさつきのような高級ねぎをもも肉で巻くという新解釈。手羽は骨抜き、きんかんは磯部巻きで、つくねには山田農場の黄身が付くなど、随所に工夫があってなんとも楽しい。ワイン、日本酒も充実。

高田馬場から南阿佐ヶ谷の住宅街に移転した新生「成蔵」へ。 なんだか皆が「詣で」状態になっていて、そこかしこに見たような人が。 この日は4人で愛農ポークと雪室熟成豚、それぞれのヒレとロース定食、さらに評判のささみかつとエビフライにポテサラ。 完全予約制にしたことで、一度に揚げる肉の量が減り、火の通りがさらに抜群に。 普通のとんかつ屋さんに比べれば圧倒的に高い。しかし、成蔵で食べたことがあるのか無いのかで、とんかつに対するリスペクト具合は全く変わると思う。