Kazuko Tadahira

甲州街道沿いにいきなり開ける白壁の和風建築、開放的なテラスとそれに続く庭、裏には蔵があり、ただならぬ店の予感に吸い寄せられるように入りました。お店の名前の由来は古くからこのあたりを千丑地区と言ったのだそうで、由緒ある農家さんであるオーナーが長年の構想の末に満を持してオープンなさったお店です。この道30年のイタリアンシェフの腕に農家の利を生かしたとれたて野菜がかかればその味は格別。ちょっと軽く一品のつもりで春鰹のカルパッチョを頂いたら、あまりに美味しくて、また、店内に漂うディアボラのトマトソースの香りに堪らなくなり、 ペスカトーレを追加でオーダー。ぷりっぷりの海老、イカ、アサリ、ムール貝、本当に美味しかった。オープン２日目夕方、ひとりで訪問だからまだなんとかすべりこめたのだと思います。ランチは新鮮野菜のサラダバー もついていて、休日は行列必至です。なんとも素晴らしいお店ができてしまいました。

はじめてつばめグリルのハンバーグを食べたのはもう28年も前になりますが、当時と変わらぬおいしさ、変えて欲しくない味です。ロメインレタスのおいしさもつばめグリルで知りました。つばめ風ハンブルグステーキはトロトロのビーフシチューに包まれた看板メニューのひとつ。この日は頼まなかったアイスバインもおすすめです。お肉に刺さってくるドイツのフラッグにこれまで提供したアイスバインの通し番号が書かれています。なかなか他では食べられないドイツの伝統料理です。ひとりでハンバーグにプラスしてサイドとして食べるには量が多いのでシェアできるときに是非召し上がってみて下さい。

閉店なさったとは、言葉にならないくらい残念です。7年前くらいに伺いました。お料理の素晴らしさもさることながら、一歩店に入るやそこはもう今まで自分がいた世界ではないような、不思議な非日常感に包まれたことが忘れられません。思い出させて下さってありがとうございます。

間違いないお店です。ご主人が店頭で打つ蕎麦は繊細でいて、きりっとしまった香りのよいお蕎麦。お庭の緑に心癒され、店内の設えもきちんと美しく、ご主人の蕎麦にかける思いの丈さえ感じさせてくれます。教えなくてもあまりに静岡では有名な老舗です。私はこの日も やまかけの天つき 、毎度これ。たまには違うものをと思っても、必ず やまかけ天つきで としゃべっている私がいます。きっともうずっと私はやまかけ天つきから離れられないので、いらした方はどうぞいろいろ召し上がってみて下さい。どれも必ず美味しいはずですから。