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akira iさんの My best 2018

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スペイン

創作料理

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【Azurmendi *** 3 バスクシリーズ ビルバオ】 注意)このシリーズは長くかつネタバレを含むのでご注意ください。レストランの記録はここからご覧ください。 ードアオープン ピクニックを始めましょう。ー 荷物を預けて抜けの気持ちいいレセプションエリアでチャコリを受け取ります。このチャコリはここのワイナリーで作られているエネコの叔父もので、オンダラビ・スリとオンダラビセラティアという初めて聞くぶどうでした。チャコリ用のブドウを使ったものながら、市中の軽めの微発泡なドライワインと違い、しっかりとした白ワインになっています。 リラックスしてこの環境を楽しんでいると運ばれてくるのがピクニックバスケット。ワインと合わせて楽しんで。 ウナギの小さなブリオッシュ。キャビアとイカのコンソメは一緒に少しずつテイストするように。オリーブのアイスは、土はブラックオリーブです。 そのどれもがとても印象的。特にコンソメキャビアのスープはちょっと意味不明なほどの美味さです。もう心はここで鷲掴みにされているような。 しばらくすると、さあキッチンへ参りましょう、とエスコートしてくれます。扉を開けるとオラ!の大合唱。目の前にはスペシャリテのエッグトリュフの準備ができています。 卵黄をインジェクションで吸い出し、そこに濃厚なトリュフとシェリーのフォン・ド・ヴォライユ(鳥の出汁)を注入します。この料理、フォンの温度が75度に設定されていて、そのフォンの熱で卵黄を内側から加熱するのです。 一口で。 口の中いっぱいに広がる官能的なトリュフと明らかに良質なフォンの濃厚な味わい、、、卵黄が固まるのが65から70度以上。温度差をうまく生かし、卵黄に粘度が生まれるのでしょう。とろりとした卵黄の旨味を引き出す、まるで魔法のようなひとさじ。 キッチンは広大で二つのパートに分かれています。朝8時から稼働しこの時期、土日以外は昼間のみの1回転。既に下準備も最終段階、綺麗に整ってはいますが、25人の料理人が忙しく動き回っています。 ザ、三つ星のキッチン。それを最初に見せるプレゼンテーション。 さあ、次の部屋に行きましょう! そうして案内されるのはグリーンハウス。冬の最中に目にも美しい緑に溢れる部屋、真ん中は冬のガーデンをイメージして作られています。 その周りのコンテナ、先ずはシードラ、林檎酒を作る段階の前の発酵りんごジュース。濃厚かつ爽やかで、しゃきっとします。 次のコンテナはスパイス。色とりどりのスパイスの中に、五種類のスパイスを使ったトマトのコルネット。さまざまなスパイスが香ります。 次のコンテナにはコップが転がっていて、そこにハーブを落とし、クワハーダというチーズの液体状のものを注ぎます。10秒数えてね、ハーブの香りがうつるから。クワハーダはフレッシュチーズの種類で、山羊のミルクで作ります、まるで美味しいヨーグルトドリンク。 最後のコンテナは、ほらもうお解りね?赤い実がなっているやつね。一口で食べてね、中はカイピリーニャって言うブラジルの有名なカクテルなんだけど、普通はカシャーサというサトウキビの蒸留酒をつかうのを、これはチャコリを蒸留して置き換えてるの。だから、カイピリーチャ。 パリンと赤玉が割れて、口の中に爽やかなライムとハイアルコールになったチャコリがわっと広がります。何という、口福。 小さな花を剪定しているスタッフがいます。綺麗に整えられた美しいグリーンハウスを後にして、いよいよメインダイニングへと移動します。 とにかくここまでの斬新な見せ方の楽しさに驚きました、こういったレストランは見たことがない。もう帰りたいくらいに満足ですが、ここからが本番です。 #エネコ #アスルメンデイ #バスク #バレンタインキャンペーン

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大阪府

寿司

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【やっと、来れました。】 鮨樋口。日本中で鮨を食べ歩いていて、誰もが彼の舌は確かである。と、人を唸らすA氏がミナミで最も愛する寿司店。そして私が愛する鮓木村健介の師匠でもあります。 修行元はなんと銀座寿司幸。こちらは、アッパーすぎて何時もドン引きするミスターMの行きつけで、その美しい握りの写真に何度も悶絶させられており、その片鱗を遂に私も味わうことに。 この日は樋口の寿司に合わせて竹野酒造の杜氏をお招きしてのカップリングというなんとも贅沢な貸切イベントでした。 杜氏が選んできたお酒は非常に興味深いもので、アルコールも一般的なものからやや低いもの、甘味の強いものやキリキリにシャープなものなど、一般的には販売していないようなお酒を沢山持ってきてくれまして、凡そ、日本酒というもののもっと広範囲な可能性を見せてくれましたし、こう言ったチャレンジは日本酒というものをもっと面白くしてゆくのだろうなと思いました。実に前衛的でモダンです。そして、それらがとても美味い。 また是非ゆっくりとお話をお伺いしたいと思います、竹野に遊びに行かないと。 さて、樋口さんのお寿司。「樋口の寿司は丸いんや」と常連のK氏が耳元で言いました。「優しくて、柔らかいねん」なるほど。 角がない。いい意味で緊張感がない。高圧的ではなくフワリと存在する。味は濃厚なのに滑らか。口の中で暴れることはない。そして一つの塊として、鮓として完璧に蕩ける。 これは王の寿司である。全てが満たされた寿司。過不足がないということはそういうことなのだと気づかせてくれる。例えば、完璧というものが何者をも許さないが故に緊張感などのある種の硬さを伴うものならば、そこを越えた先にある鮨。力点の存在しない凝集という鮨。なんというか、達観すら感じる握りでした。 包丁仕事も丁寧。見た目も美しいイカ。握りも最高級に美しい形。もはや、何も望むべくものはございません。 惜しむらくはこの日、久しぶりにお会いした人も多く、あまりに潤沢な酒ゆえに完璧な宴席で、飲むや食うわの、どんちゃん騒ぎ、、、おお、年末のキムケンと一緒や、、、 ええ、入店する前までは今日だけは。今日だけは集中して鮨を食い、酒を味わうために集中しよう。そう、心に決めていたのですが、 負けた。あまりの楽しさに負けた。気がつけば席を離れウロウロしてしまっていた。 次回は、しっかりと集中して鮨を食べます。いつ行こうかなー。 最後に当企画を立てまた、ご尽力頂きましたK氏、A氏、そして参加された皆さん、お世話になりました。ありがとうございます! #師匠 #押しも押されぬ #人柄も良い #楽しすぎ #再訪しない理由がどこにもない

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スペイン

バー

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【ディナーの時間です! バスクシリーズ サンセバスチャン】 さーやっとディナーです。本日7軒目、夜の部3軒目はこちら!実はこの店は前日にも入店していたのですが、混雑で何も食べずに出てきていたのです。ここは、ピンチョスの無いフルオーダー制のバル。実に居心地よくて腰を落ち着けてしっかりといただきました。 先ずはリオハ赤とステーキ(€13)をオーダー。このステーキ、25日間熟成のエイジングビーフで、めっちゃうめーから食えよ!ってメニューに書いてあります。オーダーするとユーのお名前は?って聞かれます。出来上がると名前を呼ぶシステムなんですね。お陰で店員が私の名前を覚えるので、その後は、アキラ、次何飲むねん?とか、名前付きで話しかけてくれます。いやー素晴らしい! 1枚目、ここはチャコリもかなりの高さから注いでます。こういうのもお店の見どころの一つ、おお、やるなー。 2枚目、ステーキの断面図です。素晴らしい色の洪水!肉めっちゃくちゃ美味いです。朝の1軒目で肉焼きのレベルの高さは大体想像できましたので、完璧ですね。ガーリックバターも相まってまるで、絵の具のパレットのように美しい。 3枚目、結構でかいんですよ。3種のソースです。フレークソルトもいい感じ。レベル高すぎ! 4枚目、彼女が写真に撮ってるのはフォアグラ。このサイズハーフです、私も頼みました。 5枚目、これがハーフ(€4.5!)。ハーフでもかなりデカイです。実は、私は何度もフランスでフォアグラを食べてきましたが実はフランスのフォアグラを美味いと思ったことがありません、と、いうのも生が殆どだからです。そしてデカイ。あれは濃すぎます。(タテルヨシノのスペシャリテ、フォアグラのミ・キュイはだから驚きました。あれは美味い)そういう意味で、フォアグラ絶対ソテーがいい!なんですが、フランス人に聞いてもソテーなんかしないよーって言われ続け、そんなもんかと思ってました。 ソテーです!ソテーでこの量!もうめっちゃくちゃ美味いです!しかもアホみたいに安いです、日本円換算現在レートで611円でした。ひー! 結構皆さんフルサイズでオーダーしてます。すげー。 6-7枚目、プルポ(€4.5)タコです。出てきたらなんと輪切りではなく平たくカットして焼いてました、新食感!多分鍬焼きみたいにプレスしながら焼いてますね、サンセバスチャンはタコがどこも美味い。カットの違いだけでこんな風になることに驚きです。 最後にパスタのキノコリゾット(€3.6)これもハーフ。こちらはハーフを結構用意してくれてます。ポルチーニ味ですね、濃厚で美味い!ポルチーニとというか多分セップの乾燥を使うんでしょう。米ではなくライスパスタ使ってます。 このあとリオハの赤の別のやつも飲みましたがどれも1杯2€でした。別のちょうだい!っていうとなんか新しいボトル抜栓してくれた。この店、本当にいい店でした。店員のサービスも気持ちがいいし、安くて本当に美味い。サンセバスチャンに行ったら、ぜひお腹をすかせて(?)この店に行っていただきたい! この後LaVinaに行ってイワシ(酸っぱい!)を食べてこの日は8件、外に出れば小雨。時間は11時をすぎ多くの店が閉店時間となりタイムアップ。お腹ももうはち切れそうです。夜雨を避けるように海岸線を歩いて帰り、ホテルの部屋からサンセバスチャンの夜景を眺めました。 短い時間でしたがサンセバスチャンは本当に素晴らしかった。どのお店も、驚くべき美味さとアイデアで個性豊かに存在しております。そしてその、素晴らしいホスピタリティ。 美食の街の名前は伊達ではない。 #肉 #色の洪水 #フォアグラ #安すぎ #名前で呼ぼう #サンセバスチャン

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大阪府

スペイン料理

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【 バスク料理の真髄 】 現地でバスク料理を食べてからの再訪で、1年ぶりのALARDEを再度レビューさせていただきます。スペインバスクにあるミシュラン一つ星、ARAMEDA出身の山本シェフが一人で切り盛りするバスク料理のお店であり、もしかしたら私が今一番関西で好きなシェフです。前回あった月替りメニューは無くなりました。そして、旬の物で入荷したものに合わせ、メニューを構成するスタイルになりました。 入店するとモクモクと薪のいい香りがします、メインの肉料理は壁面に設えた薪窯で粛々と火を通されていく様が見えます。テーブルが全員揃ったらお料理スタート。一番最初に出されるのは山本シェフのスペシャリテであろう、フォアグラのヘーゼルナッツショコラボンボンからスタートします。岩塩はバスク産であり、その濃厚な味わいを酸味のあるチャコリをエスカンシアしてもらい合せました。そこからは怒涛の山本劇場であり、素晴らしいお料理もさることながら、お客を会話でも楽しませ、およそ最低でも三時間かかる品数のコースを食べて、すべての人が幸せな気持ちになることができる。そんなレストランがALARDEです。 前回のコースよりもよりシンプルに素材の味をうまく引き出しながらも、しっかりとバスクスタイルを感じる料理になっている気がします。全体的に力強くなった。それは例えば、バスクによくある”黒オリーブを粉砕して土に見立てる擬態”などの視覚的な楽しみよりも、もっとストレートに小細工なしの直球勝負をしてきていると感じます。 特に今回感じたのが薪釜での火入れの素晴らしさです。ナスとウニのナスの香ばしさ。剣先イカのリゾットのイカの火入れの絶妙さ。(部位によって火入れ時間を変えている)そして、傑出していたのがウチヒラ。凡そ一時間の薪釜での火入れにより、完璧な焼きあげとなっていした。 美しいその緋色。外は綺麗にメイラード反応し、中は完全にルビー色ですが、下手な火入れだと加熱がかかっていないただの生肉です。それは調理ではない。肉の内部が水分を失わない温度でかつ、熱が通った状態の赤身肉という極上の火入れです。 流石にこの料理に関しては色々な方の質問が飛んでいました。どうやって火の掛かり具合を管理しているのか、という質問に、”音と触診です。油がチリチリいう音がちゃんと聞こえてるし、定期的に触診してます”と答えていました。”肉はやっぱり、どん!っと出てこないと肉食べた気にならないでしょ”とおっしゃる山本シェフですが、私も同じ意見です。この肉の写真は色加工を一切していません。本当にこういう色でちゃんと加熱調理された肉が出されます。そして、途方もなく、美味い。 まるで、バスクでバスク料理を食べているみたいだ。 まるで、バスクのミシュラン一つ星のレストランで食べているみたいだ。 とにかくお料理は絶品ですし、軽快に料理をこなしながら”お客さんとコミュニケーションを取ることをとても大事にしている”という山本シェフの仕事を眺めているのは、とても素晴らしい時間です。目の前でまるで魔法のように美しい料理たちが仕上げられて行く。それに合わせてスペインでは逆になかなかお目にかかれない”スペインのいいワインたち”が合わされてゆく。 今回18:30からスタートしましたがまた今回も私たちが最後の客で、シェフとお酒を飲みながらバスクの色々な話をしました。大いに笑って楽しんで、終電ギリギリに退店です。 バスク料理とは、スペイン料理のエッセンスこそありますが、スペイン料理ではありません。そして分子料理というものでもない。私は個人的にバスク料理に日本的な様々なものを感じています、それは繊細さや丁寧さ、味の積み重ね方や料理の構造です。塩分、油分、出汁、酸味、甘み、苦味、旨味。それらのバランスをどうとって料理とするのかという基本的構造がとても似ているような気がしています。 バスクの夏を感じさせる素晴らしいお料理に感謝して。

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東京都

日本酒バー

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【珍しく2回目の投稿はその必要性を鑑みて】 実はこのお店のことに関してはRetty Newsに詳しいのでそちらを是非見て頂きたい。 https://retty.news/26240/ 今回早2回目のにして待望の訪問、Gats会。創業300年を超える老舗、福島県の酒蔵仁井田本家がその歴史上で初めて公認した”お燗番”である水原氏のお店である。水原氏は「お燗とは調理です。お酒を加熱するというのをただあっためるだけ、それは調理ではありませんし、お酒本来の旨さを全く引き出せません」とおっしゃる。 チロリは銅と硯を使い分けるのは熱伝導の差であり、それぞれが90度と70度の湯煎に浸かっている。実はその他にも氷水の層がある。そして、その上にはズラリと温度計が並んでいて、温度管理を伴う撹拌をしながら”加熱”という調理してゆく。もちろん、その調理法は酒によって異なる。 Retty Newsにこの店の看板である純米吟醸のお燗のつけかたが出ている。 仁井田本家 自然酒 純米吟醸のつけ方 お酒を銅のちろりに入れる 湯せん(70°C)で60°Cまで上げる 水せん(氷水)で40°Cまで下げる 湯せん(70°C)で58°Cまで上げる 常温のお酒を少し足して53°Cまで下げる あらかじめ温めておいた徳利に静かに注ぐ 口径が5cmのおちょこで飲む この加熱、急冷、再加熱、そして加酒をする理由は、是非お店で水原氏に聞いて見て頂きたい。このプロセスを経て出されるお酒をお猪口でいただくのだ。「先ずはその突き出しの左のやつを口に含んで、お酒で追っかけてください。」このような説明がなされる。食べ物と酒の融合。お米を醸した液体を、ご飯と同じ視点で見てくださいと水原氏は言う。 先日とあるシェフが「日本人にとってのお米というのは、口の中で自分の好きな味にコントロールするという機能があるんです。例えば、塩辛いシャケの焼いたものだとご飯を多めに口に含む。味の薄いものなら少なめに、そしてそれは口の中での旨味として機能もするんですよ。例えばパスタなら、決まった味のものが出て来て、口の中でそういったコントロールをするということはないわけです。」とおっしゃった。 「酒も一緒です、料理が酒の味を引き立て、酒が料理の味を引き立てる。この料理にはこの酒。その先にある、調理してさらに、美味いと思ってもらえる酒を出すんです。」とは、水原氏の言葉である。 そう言った水原氏の思想が今回最もよく出ていたのが、出汁で割った酒。綺麗な煮物に合わせて出されたそれは、もはや和食の新しい進化じゃないのかと思う程鮮烈で、まさにそのアテと酒の組み合わせの妙は、すべての人を唸らせるに足るものだった。アテを食べて酒で追っかける。それぞれの味と共に、その融合した時の頂点を、水原氏は見せようとしている。 とにかく絶妙に配される酒。オードブルからデザートまで、完璧な融合をもってサーブされ、それらは常に驚きに満ちており、さらに言うなれば”今まで飲んでいた日本酒”という概念を根底から覆してしまうほど別物である。とにかく美味い。 水原氏は日本酒の可能性を見事に引き出した現代のお燗のマエストロだ。試行錯誤の末に発見したその調理法を隠すことなく、「どこにも秘密なんてものはありません、美味しい素材を美味しく調理するというのをただずっと、ひたすら毎日考えてます。もっと、さらに美味しくできるんじゃないかと思わなければ、そこで終わりですからね。」と、水原氏はおっしゃった。 酔うために飲む酒では無い酒という概念がここにはある。それはとても大きな発見だ。心地よい時間が流れるため客の滞在時間も長く、一晩で1回転しかできない。それだけゆったりと、全員が話をしながら食事と酒を楽しんでいるということでもある。 2回目にして更にその感動は大きく、再度投稿させて頂きます。

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兵庫県

ビストロ

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【 パリの最先端を日本で味わう 】 大阪北浜にあった評判のお店、ユニッソンデクールが閉店して早幾年。ファンも多くその惜しまれた閉店後、グランシェフは谷町四丁目でオノウエというレストランをオープンし既に話題に。さて、今日はそのユニッソンにいたもう一人のお話。 六甲道に7月の終わりにトレフル、というお店をオーナーシェフとしてオープンさせた井上シェフ。元ユニッソンという事で既に話題になり、ランチは予約で満席という人気ぶり。早速ユニッソンファンだった私は、どれどれどんなものだろうとお試しランチに出かけました。 注文は2350円のワンアントレ、2メインプレートプラスデセール。アントレはマグレ鴨のローストで、その仕上がりは素晴らしいものです。ソースはマンゴーをうまく使っていて楽しい一皿。 野菜がとても力強い。アンディーブとセルフィーユ。この野菜の力強さはロアラブッシュを思い出させます。 ポワッソンは明石のメイタカレイ。ふっくらとして皮目がカリカリとし、実に上手な火入れはユニッソンの魚を思い出しました。あの店は、特に魚が旨かった。 上に乗っているのはなんとフェンネルの球根。これを薄くスライスさせてあって、華やかなハーブの香りが素晴らしい。玉ねぎのコンポートとの相性もなかなか。 ヴィヤンドは仔牛タン。4時間茹でたものを最後に表面をカリッと焼き上げたものです。赤ワインのソースと共にあるのがバターナッツのピュレ。肉がほろほろに溶けゆく旨さです。添えてグリルされている芽キャベツが、とんでもなく濃厚で美味い。 ワンオペで忙しそうなシェフの手が少し空いたのでお話をしていたら、渡仏経験があるとの事。なるほど、ユニッソンの後、どちらのお店で、、と伺えば。 パリのオーデュバンでスーシェフを任されていたとの事。私はオーデュバンは存じ上げないのですが、このお店がおやすみを2.5日くれるので、休みの日はセプテイムや、シャトーブリアンで働いていたと。 あの!ネオビストロで揺るぎない地位を確立している一つ星!なるほど、だからこのお料理。 極限までピュアで、塩で食わすようなことはしません。素材の味を前面に持ってくるナチュラルさ。そして、生き生きとした野菜に上質な肉や魚。 井上シェフのフランスでの師匠はミッシェルブラスからシャトーブリアン という経歴で、今ではフランスでも注目されるべきシェフ。シャトーブリアン といえば、今やパリでも最高の評価を受けているアルページュのラインです。 そう、このお店では今、一番最先端のフレンチを食べることができます。野菜は味が落ちるから切らない。注文が通るまで極力調理も下拵えもしない。その日に入荷した季節感たっぷりのものを調理する。 素晴らしい。本当に素晴らしい。このお店には、私がパリで一番感動したシャトーブリアン のエッセンスが感じられる。自由で生き生きとして、一皿一皿に驚きが詰まったお料理の数々、、、、 夜はね、もっと凄いんですよ。やりたい放題でお料理していますから、と、ニヤリと笑った井上シェフ。お野菜が濃厚なのは、彼自身が野菜の卸もしているから。 パリの天才シェフたちの元で積んだ技術と経験の片鱗は既に現れていて、フランス時代の面白い話も交えながら、これは凄い楽しみなシェフが登場したぞ、、と大満足なランチでした。 シャトーブリアンのスペシャリテであるセビーチェの秘密を知りたい方は是非シェフに聞いてみてください。これはメキシコ料理のセビーチェを新しく構築した物なのですが、なるほどそりゃあ凄い。と、唸ってしまうこと間違いなしですよ。 早く夜も食べに行かなくちゃ!

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【トラディショナルで最高にピュアなタイ料理の秘密】 シーロムに泊まっていた理由が実は、このクッキングスクールに行く事。そして今回唯一、現地でのアクティビティとして予約していたもので、とても楽しみにしておりました。つきましては食いしん坊なRettyの皆様、タイに行ったら象に乗るとか、涅槃像見るとか、そんな事はさておいて、絶対的にオススメするのがこのクッキングスクールです。こんなに興味深いアクティビティがたったのUSD30です。およそ4時間5品の幸せの報告です。 まずは市場にて参加者全員でお買い物、という事だったのですが、このスクールは実際は市場に行ってすでに用意された食材の説明を聞くというものでした。チェンマイとかだと実際にいろいろ購入するところから始まると聞いたことがあるような気がしますが、これはまあ余興ですね。そこからトゥクトゥクに乗ってスタジオへ。私はてっきり日本の ABCクッキングスクール的な調理場を思い浮かべていましたが、もうそんなレベルじゃない。一軒家をタイ式エスニックに完璧に美しく改装したタバーンです。そこからさらに、今日使う食材。お米の種類や麺の種類、そしてそれらの原材料などのはなしを一通り。 そして、タイ料理で最も重要な材料の一つ、ココナッツミルクを実際に作ります。それも伝統的な手法で。ココナッツクリームとミルクの違いも説明してくれます。要するに、そういうレベルの食材を使うクッキングクラスです。ここには魔法の調味料などというものは一切ございません。 自分たちでココナッツミルクを絞ったら、そこから今日の調理が始まります。メニューは日替わりになっていて、私が参加したのは トムヤムクン パッタイ ソムタム マッサマンカレー マンゴーカオニャオでした。 目の前に出てくる材料たちのディスプレイの美しさも息を飲みます。”タイ料理にはそれぞれに、鍵となる食材があって、それをちゃんとしないといけません”とは先生。特に、甘み、辛味、酸味に関してなるほど、だからこの味になるのだと。興味深かったのは甘味はココナッツシュガーであることと、実際にタマリンドも酸味として使用するのですが、水に戻してから絞って使うというところです。あとは塩分はエビのチリペースト。これは加熱で香りが引き立つあれですね。”加熱するまでは臭いけどね!”と先生もおっしゃっておりました。 実際に調理してみてわかったことは、タイ料理とは非常に下ごしらえが重要であり、加熱調理する時間は実に短いという事です。そして、実に様々なハーブ類が仕込まれているということもわかりました。そしてこのクッキングクラスは、実に伝統的な調理法に則っており、素材も素晴らしくハイクラスなタイ料理が出来上がります。 一つ目のトムヤンクンなんて、本当に驚くほど美味しいトムヤンクンです。というか、これがピュアなトムヤンクン。いわゆる、ハイクラスなタイ料理のレストランで出てくるそれです。しぼりたてのココナッツの甘味とコク。タマリンドの酸味と、コブミカンリーフのレモンのような香り。ショウガとレモングラス。本当にシンプルですが、本当に美味しい。 パッタイはいく種類かの麺があるのですが、透明で平たい一番高級な麺を使います。この麺の材料も見せてくれました。美味しい。ソムタムは木の臼でつくんですけど、マッサマンカレーのペーストは、石の臼でつきます。これはスパイスに熱が通らないようにするための放熱効果だそうです。 マッサマンカレー。カップヌードルで有名になりましたが、このカレーのルーツはインドです。最初にクローブ、クミン、黒胡椒、コリアンダーシードを軽く炒ったものを石臼で潰します。レッドチリ、にんにく、しょうが、コブミカンピール、プリッキーヌ、小さい玉ねぎ、コリアンダーの根。これらを本当に細かく切り刻んで、石臼で綺麗にペースト状に。 鍋にはココナッツミルクに月桂樹リーフ、シナモン、ホールのままのカルダモン。トマトとジャガイモと鶏肉。それを加熱してペーストを入れます。水分を飛ばす感じで加熱してゆくとやがて、ココナッツミルクのオイルが分離する。粘度が出て色が変わる。 ああ、これか。昔タイ料理屋で料理長が”この分離させるのがなかなか安定しない”と言ってたのはこの加熱時間の絶妙なタイミングだったのか。そこは大きなレストランだったので仕込み量も多かったから、これを焼かずに作るのは大変だったろうな。 マッサマンカレーは焼く感覚で、煮込むものではないわけです。本当に素晴らしい。そういうノウハウやメソッドは、自分でやってみなければわかりにくし、しかも日本では材料が代替品になってしまう。ここは、本物の食材で家庭料理ではない、ちゃんとした伝統的手法を教えてくれるのです。 そしてその全ての料理が美味い。

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【クラブフロアがオススメです】 フォーシーズン香港のクラブフロアなら同じ日程で1泊10万円オーバーですが、なんと、電車でピューっと深センに行けば1泊3.5万円で泊まれてしまいます。中国で3.5万?いえいえ、これ激安なんです、という解説を。 クラブフロア、というものを意外とご存知ない方もいらっしゃるかと思いますが、ラウンジにて食べ放題、飲み放題がついてくると思ってください。このラウンジの内容というのがホテルによってまちまちで、けち臭いホテルなんてほんのフィンガーフードしかないだとか、アルコール類が全然ダメとかいろいろありますが、深センフォーシーズンは完璧です。ティータイムから酒があり、夜はがっちり夕ご飯を食べることができます、泡はバルドビアーデネ(イタリア北部の泡の産地、私は好きです)のブリュット。赤(ピノとメルロー両方ちゃんと置いてる)、白、ともに揃っていますし、モヒートが飲めるように生ミントとラム等まで置いてます。いわゆる、世界の酒が飲み放題。29Fの美しい眺めとともに、ゲストも少ないので本当に豊かにリラックスして酒を煽る、そんな楽しみが実は中国にもある、いや、中国だからできるのです。 フォーシーズンはまだできて日が浅いので、内部設備及び誂えなんかも完璧に現代的で豪華で、もうこれ以上求めるものは何もありません。チェックインしたらラウンジで軽く一杯。すぐに屋外プールに行ってごろごろして、屋内プールでひと泳ぎ。ジムで汗を流してサウナでリフレッシュ、ほらもうカクテルアワーの始まりで、ラウンジに戻ればフォーシーズンのお料理が並んでいます。バフェだからと言って全く侮れないレベルを維持していますよ。 ゆったりと飲んだら屋外のテラスの散歩でもしながら超絶の夜景を。部屋に戻ってバスタイムをリラックスしたら、24H空いてるジムでカロリー消費、朝はメインフロアの豪華なレストランで朝食です。すごいですよ、コムハニーから滴る蜂蜜とか頂けます。ものすごい品数。すべて、税サービス料込みの値段が土曜日で二人で3.5万。これは二人での値段なので、一人宿泊だとラウンジアクセスの料金が下がるから、もっと安いんじゃないですかね。私、チェックインからチェックアウトまで、一歩もホテルから出ませんでしたし、そんな暇はどこにもありませんでした、これだけのサービスを享受するのも忙しいんですよ。 とにかく、ここまでのサービスと空間を楽しんでこの価格は、たとえば深センで1万円くらいのホテルに宿泊して外にご飯を食べに行ったと思うと実はそれほど差が出ない分、相当なお得感です。というか安い。わりとべらぼうに安い気分。都会の中のリゾートを満喫できるので超、オススメです! #フォーシーズンズ #コムハニー #ラウンジ #クラブフロア #プール #ジム #パフェ

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【ホテルホッピング 親和性を打ち出すモダニズム】 今回のホアヒン滞在で3つのリゾートホテルに滞在しました。その中でもプタラクサが非常に素晴らしかったのは、海やガーデンとのデザイン上の親和性が非常に高かったからです。 リゾートに行くのにどのホテルに泊まるのかを選択するのは非常に骨の折れる作業です。それは土地勘のないところなら尚更で、よくあるのが写真映えばかりしていて実際には施設の規模も小さく現実と乖離しているパターンです。その点、メガチェーンでは一定のクオリティは保証されているので安心して泊まることができると思います。 私がリゾートで最も重きを置くのはプールの設えとジム。その次に立地。先ずこれらで篩をかけたあと、写真などを眺めて1泊目に選んだのがプタラクサです。どちらかというとサイトの写真では”チャチなモダニズム”が売りの雰囲気であまり期待はしていなかったのですが、いい方に裏切られました。本当に、素晴らしいホテルです。 先ず、部屋の外にタオル地の大きなソファアが置かれていて、そこからそのままプールにドボン!と入れます。玄関を使わなくていい部屋から直接プールに入れる幸せ。プールと部屋が一続きになっています。そのプールは宿泊者数に見合わない大きめのサイズで2つあり、片方は塩水になってます。 もう一つのプールは別棟になっていて、道路を挟んだ向かいにあるので、これがめんど臭いという人がいるのですが、私は全く気になりませんでした。別棟はハイクラスレジデンスになっていて、そこにはインフィニティプールが。 美しい。その作りと眺め全てが完璧です。 そしてそのインフィニティプールの向こう側には大きな大きな、ソファア席。大人なら6ー8人くらい座れるくらいの席は、他のデッキチェアなんていうものを寄せ付けない迫力です。デッキチェアのデザインが古臭いホテルは嫌だなあ、なんて思いますが、プタラクサはデッキチェアすら過去のものに葬り去っています。その、席の下にはわざわざ白砂を敷き詰めてあります。左を見ればちゃんとしたビーチグリルレストラン。正面は海。暑くなれば後ろのプールへ。 ここまで素晴らしいプールは見たことがありません。海との融合感と快適性に本当に感動しました。 夜は外部からここでディナーを取りに来る人もいます。もちろん普通のレストランの席でもいいですし、こちらのビーチベッドの方でもいけます。ビールが90BTで300円。普通のレストランメニューもむしろ安いと感じるぐらいでした。 素晴らしい。本当に、お勧めしたいホテルです。 今回は2名ツインで14000円朝食込み。流石、素晴らしいホテルというのは朝食にちゃんと、泡を置いているものです。プロセッコを飲みながら、チーズやオムレツを。 スタッフも丁寧でとても快適。全てにおいて文句の付け所がない素晴らしいホテルでした。

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【映画の世界/グランブルー】 「あの断崖絶壁のレストランは無くなってしまったのね」 久しぶりにあった友人とフランスのカフェを模したどうでもいいような店で、たいしてうまくないライトボディのデキャンタのワインを飲みながら、映画の話をしていた。 「いや、無いわけではない。ただし、映画のように崩れそうでもなければ華奢でもない。どうやら増築と補強をしたようで、その痕跡はまるで現実を肯定するように存在しているよ」 「私が海の幸のパスタを食べた時はまだ、あの映画のままだったのに」 「そう、だから行きたいと思ったら躊躇なく行くべきだと思ったんだ、ほんのわずかな逡巡で世界はこうも変わってしまう。しかも、残念なことに太陽の光が降り注ぐ実に夏の日の午後のメニューは、アラカルトではなくバフェなんだよ。よって、マンマの作るパスタよりも美味い海の幸のパスタは、もう食べることもできない。」 「その時にしかないものが、世界にはたくさんあるのよ。あのレストランはそういう儚さの象徴で、元々が映画が作り上げた架空の世界がまさか現実にあった、と言うある種のおとぎ話でしょう?」 「でもとりあえず、今でも現実なのか映画の世界なのかわからないような、不思議な感覚だよ、皿を持ってウロウロしながらイワシのマリネをつついたりしているとね。」 「そうね、でも確かなことは、そこから見るイオニア海の眺めは以前と何も変わってないわ、私が見たときと、あなたが見たときと、映画の中の世界とね。」 シチリア島で過ごした早めの夏を思い出す。色は紺碧の青で、空には毎日雲ひとつなかった。カタルーニャで借りたフィアットパンダでエトナ山に登り、ヴィスコンティの映画、“揺れる大地”のロケで使われたTrattria de Federicoでランチを食べた。小さな漁港の何の事は無いレストランだがその眺めは素晴らしい。車を走らせその日の宿泊先、タオルミナのサンドメニコパレスホテルについた頃には夕方になっていたが、そこからは全てが映画、グランブルーの世界だった。タオルミナの街は崖の上にあり、目抜き通りにはレストランやお土産屋が立ち並んでいて、たくさんの人で溢れていた。 翌日その崖を降りてついたホテルがカポタオルミナである。こちらは崖の下にポツンと単独棟として立っていた。このホテルも映画、「グランブルー」の中で数々の印象的なシーンのロケが行われたホテルだ。プールでピアノを弾くシーンもこのホテルのプールである。そのメインダイニングがラ・スコリエーラであり、劇中“海の幸のパスタを食べる断崖絶壁のレストラン”である。 私は初夏でも厳しい日差しの中、このテラス席でランチをとった。バフェスタイルの料理は豊富な魚介類、このシチリアの夏にふさわしいが、食事として特筆すべきかというと難しいところだと思う。但し、この映画を見たことがある人ならばこの午後のひととき、このテラス席から離れることができないだろう。美しい海と閑散としたレストランのゆったり流れる時間の贅沢さは、このレストランを特別なものとするに充分である。誰に急かされるでもなくただ、海を眺めながらゆったりとワインを飲むといい。 「なぜあのレストランのシーンがここまで人の心に残ったのだとおもう?」 「そうね、この映画を最初に見た頃、私もあなたもまだイタリアの事を、いろんな意味でよく知らなかった。だからイタリア男はマザコンだというシーンにきっと驚いたんじゃないかしら」 「フランス人が描いたシラクサの男を、結局僕らは鵜呑みにしていたわけだ」 「そう、そして実は、みんなジャックマイヨールではなく、エンゾマイオルカに恋に落ちたのよ、映画の中のね。」 映画の中のこのレストランは断崖に張り付く木造の茅葺であって、いつ崩れるやも、いった風情だが、今はコンクリート仕立ての堅牢な構造となっている。時間の経過は変化を促したが、それでもこのスコリエーラはそこに存在する、それで充分だ。満たされた僕はレストランを出て、その階からエレベーターに乗り込み、一番下の地下6階のボタンを押す。扉が開くとそこは暗い洞窟になっていて、その洞窟を抜けるとホテルのプライベートビーチに出る。青い海と青い空だけが広がる美しい世界だった。 #新年 #帰省 #想い出話し #グランブルー