Yuji Sugawara
内幸町駅
カフェ
取引先に誘われ1970年開業の老舗喫茶店へッケルンさんへ。朝8時から夜7時まで50年、営業日はずっと立ちっぱなしでてきぱきと仕事をこなしてこられた70代後半のマスターがつくり続けるプリンとババロア、サンドイッチが大人気のお店とのこと。なかでもババロアは、作った日には予約で完売しているため、そうと知らずに訪問し注文してもありつけない代物なんだそうです。この日はそのババロアの日に当たり、親切なお取引先は3週間程前に私を数にいれて予約をしてくれていたそうで、幸運にも初来店でそんな貴重なババロアを味わうことができました。もうひとつの人気者プリンは毎日作っていらっしゃるそうですが、殆どの人が飲み物とセットで700円のこれをオーダーするため生産が追いつかず、プリン30分待ちだけどいいですか、はい、待ちます、というやり取りが頻繁に聞こえてきます。そして、お客さんの注文が揃ったタイミングでマスターが、じゃープリン行くぞ、と一声発し、一気にカップからプリンをお皿に移していくショータイムが始まります。正直、こんな喫茶店は、古風な喫茶店好きな私も見たことがありません。ゆっくり時間をつぶそう的な目的で入ったら圧倒されてしまうかもしれません。さて、私がいただいたババロアですが、とにかくフワフワな仕上がりで、懐かしい洋風の上等な甘味にあふれていました。最初はストレートで楽しみ、次に、マスターが3日間煮込んでつくるレモンソースをからめ、最後はそこにフレッシュクリームを垂らし、計3回の変化を楽しみながら味わいます。食べ終わる手前くらいでサイフォンで丁寧にいれたコーヒーも到着するので、それとともに、正確には4回の味変が楽しめました。ババロアもプリンも玉子サンドも、どれもが見た目も中身もシンプルなのですが、そんな普通なものがやけに美味しい、そして、お客さんが絶えることのない不思議な喫茶店でした。何故こんな風に美味しくできるのですか、という誰かの質問に、新鮮な材料で手間を惜しまず丁寧につくるだけ、でも手間は企業秘密よ、と答えていました。 #50年の時を刻む銘店の絶品ババロアとプリン