Kouichi Nei

東急田園都市線とJR横浜線が交差する長津田駅。夕刻の帰宅ラッシュ時、二つの改札を結ぶ乗換客の流れは勢いのいい河川のよう。しかしこの人たちは駅の外には出ないようで、長津田駅周辺は意外とひっそりしている。南口におり、横浜銀行の前を右に折れ、ちょっと行ったところを左の小道に折れれば〈真八〉という素敵な大衆居酒屋があるのに。普段あまりお目にかからない刺身も「本日のおすすめ」メニューにのっている。昨日は太刀魚が美味かった。地酒は、浦霞、一ノ蔵と吉乃川のみ、焼酎グラスは、芋、麦、甲類の三つ。こういうシンプルで分かりやすいことは居酒屋さんの基本だと思う。座敷にあがると神保町の名店〈酔の助〉の雰囲気があった。

久々に来た赤津加。コの字カウンターにつき、熱燗2合。お姉さんが慣れた手つきで升に入った菊正宗をジョウロのささった徳利に流し込む。見ているだけで癒される。秋葉原での癒しはコスプレやフィギュアだけではない。秋葉原には東京の居酒屋・赤津加がある。

夕刻に風向きが変わり寒くなりました。東戸塚は人工的な街並みだけど、駅から少し歩いて赤提灯を見つけ、ホッとしました。店先に“もつ”と潔い字。煮込み食べなくちゃ。ホッピーが空きっ腹に滲みました。お店の若い人が気持ちよい店です。

10年位前、仕事でよく函館にきた。宿の近くにこの店があって、「あ、魚の店だ」と嬉しくなって飛び込んだ。函館で魚の店だぞ！ 壁に貼られたメニューに鰊380円とある。身が大きく焼き上がるのにたっぷり時間がかかった。あいよ、と出された魚を眺め、これが日本海の鰊か、380円なんて信じられません、と大将に言うと、「なわけないだろう、ノルウェー産だよ、北海道でこんなデカイの獲れるわけがない、しかも380円で出せるわけがない」 と潔く言われ、「ですよねえ」と泣き笑いした記憶があります。でもいいの、地球上の海のどこで獲れても鰊は鰊なのだから。まあそれはともかく、魚一心の魚はすべて新鮮で美味しく、安いですよ。