Hirotaka Kawasaki

Hirotaka Kawasakiさんの My best 2019

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東京都

寿司

Hirotaka Kawasaki

【町寿司の鑑】 dancyuの「みんなの町鮨」でおなじみ。 練馬が誇る、町の寿司屋『菊寿司』 洗いざらしのような澄んだ空気がながれ、 清潔感にあふれる店内、大将と女将さんの 醸しだすゆるやかな雰囲気に、旨い寿司。 こんなに気持ちのいい店は滅多にない。 休日の夕方、予約をいれた時間にうかがい 扉をひらくと、お二人の温かい笑顔がお出迎え。 カウンター席に腰をおろし、まずは瓶ビール。 お通しの酢味噌の和えもの、雲丹がのせられた 湯葉をつつき、すぐに日本酒にきりかえる。 刺し盛りは控えめにお願いし、ねっとりと まとわりつくイカに、ぷりっとした歯応えの蛸、 脂身がさっとほぐれ、甘みを感じる中トロ。 どれも新鮮でみずみずしく、一口一口これを 丁寧にいただき呑む酒がまた旨い。 ついで、白子ぽん酢。 白子の表面に歯がはいると、ぷちっとやぶれ、 中はとろっとクリーミー。ポン酢も角がたたず まろやかで、舌でおしつぶすように味わう。 ここらで、穴子も炙ってもらう。 炙られ、皮目香ばしく、ふっくらとした穴子に 塩をまぶし、口にほおりこむと、おもわず目を つぶってしまう。 あれこれつまみ日本酒も進み、すっかり夢見心地。 そろそろ、握ってもらおう。 しめ具合のよい小肌に、もっちりとした鯛の 昆布締め、ねっとりとまとわりつき旨味の濃い 赤身、いってん、脂身が口でさっととろける 中トロ、そして、海苔の香りの高いトロたく。 赤酢のシャリは一粒一粒の空気の入りもよく 口でほどけ、ネタとすうっとなじむ。 嗚呼、至福… 温かく、ゆるんだ空気の中であれこれつつき 酒を呑み、寿司をつまむ。 これ以上、何を求められるだろうか。 #新江古田 #町の寿司屋

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うなぎ

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【さらば、町の鰻屋 はせ川】 もともとは鰻問屋であった こちら「うなぎ はせ川」 地元民で満員御礼、予約が必須と 聞き、電話で鰻重と焼鳥を取りおき 夜におとずれた。 奥の小上がりにあがり、ビールを呑み 焼鳥を。ごろんと肉厚、しっとりとして 煮詰められたタレも甘さの塩梅よく、 いそぎ燗酒を。 ついで、ふっくらとした白焼き。 山葵をまぶしいただき、また燗酒を。 嗚呼、至福。 そして、お待ちかねの鰻重(特) 鰻重は、蓋をあける瞬間がたまらない。 蓋物の愉しみはここに尽きる。 艶やかな鰻は焼きがよく、焦げ目は 美しく、焼きすぎていないのが嬉しい。 ひとくちいただけば、鰻はふっくら。 タレは甘すぎず、ごはんの炊き加減も よく、柔らかすぎず固すぎず。 鰻とごはんをおもいっきり頬張り、 燗酒をくっと呑むと、鰻のあぶらが さっとながれ、さっぱりとした感じが また鰻の脂をよぶ。 ひとくちひとくち噛みしめ、酒を呑み、 さいごの一口まで、あきがこなかった。 鰻はハレの日の食べもの。 今日は鰻という日に安心してゆける 鰻屋を近所でさがしており、ついに 意中の店と嬉しくなったが帰りしな 「今月で店を閉じるんです…」と。 それをきくと、店内のさんざめきも うなずけ、閉店をしっている地元民が はせ川の味を名残惜しみに押し寄せ、 あのあたたかい空気をつくっていたのか。 旨い鰻屋と出会えたというよろこびと この店がなくなってしまうという悲嘆が まじり、なんとも言えない心持ちだが、 あと十日、どうにかもういちど惜別と ともに鰻を食らいたい。 #練馬 #町の鰻屋 #焼鳥 #白焼き #鰻重 #今月で閉店

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東京都

定食

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【ハムエッグ、生姜焼きで呑みチキンライスを】 食堂呑みといえば「なみき食堂」 安くて、早くて、とにかくうまい。 大衆食堂の鑑であり、ご隠居さんたちが 店内のテレビをながめ、呑み、しゃべり、 ゆるやかな空気が流れる。 こちらも早く、その幸福感を味わおうと いそぎ、瓶ビールを頼み、注文を重ねる。 この日は呑み仲間と *ハムエッグ(180円)×2 *オムレツ(220円) *とんかつ(320円) *豚肉生姜焼き(320円) *チキンライス(650円) *やきめし(540円) ビール大瓶二本に小瓶、レモンハイ、 これで、ひとりあたま2500円。 トップバッターはハムエッグ。 半熟の卵に醤油をまぶして、ハムと なじまして、わしわし食らう。 ついで、オムレツ、これがトロトロ。 ケチャップたっぷりで食う。 あぁ、卵呑み、しみじみ旨いねぇ。 お次は、トンカツ。薄っぺらい下町の ミラノ風カミカツだね。これは辛子を まぶしてソースでつまむ。 そして、生姜焼き。これがたまらない。 筋切りされた豚バラに濃いめの醤油ダレ、 ほんのり生姜、やわらかく脂身があまい。 ハムエッグの黄身と醤油がなじんだ キャベツと生姜焼きのタレがなじんだ キャベツ、この食べ比べもいいんだな。 食って呑んだら、やっぱりシメもん。 ここのチキンライスが本当にうまい。 しっかり炒めて、ケチャップの酸味は とんで、ベタつきなし。ラードの香りが たって、香ばしい玉ねぎの歯ざわりと 甘さ、柔らかいチキンと申し分なし! 焼きめしも美味い!ふんわりした玉子の やさしい甘さ、鍋肌でちょいと焦がした 醤油の風味で素朴な旨さ。 これを平らげ、食堂呑みの余韻にひたり お母さんとあれこれ話し、席をたつ。 どれも家庭でつくられる味の延長線上で 押し付け、ストレスがない味だ。 吐く息もラードで香ばしく、充足感に 包まれ、要町の住宅地をあるく。 要町の宝、ここは足繁く通いたい。 #要町 #大衆食堂 #昭和9年創業 #ハムエッグ #オムレツ #とんかつ #生姜焼き #やきめし #チキンライス

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東京都

とんかつ

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【肉寄せで呑み、絶品の特ロースを】 わたしの、とんかつ御三家というと 「とん太」「ポンチ軒」「丸五」 とりわけ、こちら「丸五」が好きだ。 ここにくるときは平日に休みをとり、 開店三十分前には店先にならぶ。 一巡目に入り瓶ビールを呑み、そして 特ロースの揚がりを定番の肉寄せでまつ。 肉寄せは、豚の中落ちやスジがごろっと つまった煮こごりで、これに辛子をまぶし かぶりついて呑むビールがまた美味い。 カウンター席で呑み、とんかつを揚げる 姿をながめ、ピチピチと揚がる音をきき 油の匂いを嗅ぐ。なんとも贅沢なじかん。 ほどなく、配膳されると、気もそぞろ。 とりいそぎ、とんかつの一片に塩をまぶし 箸をつけ、かぶりつく。 豚肩ロースに歯をいれると、きめが細かく ふわっとほどけ、濡れそぼった脂身は甘く 口にのこらない。 衣は粗さがないのに、サクサクの食感で 豚肉との一体感があり、衣はがれもない。 ここはソースもうまく時間がたち脂身が とけだしソースとがっぷり四つになじむ。 ゆっくりとんかつをいつくしむように 噛みしめ、われちゃいけないのが伏兵。 白米は炊き加減がよく、ふっくらとして ややかため、なめこの赤だしの味噌汁、 紫蘇のはいったキャベツの千切りも旨い。 とんかつ屋の白米は、ここが一番うまい。 白米、味噌汁など合いの手も隙がなく、 とんかつ定食というと、丸五をおいて、 ないようにおもう。 ゆっくりと余韻にひたりたいが、そとは あいもかわらず長蛇の列、会計をすまし 店をあとにする。 やっぱり、丸五のとんかつは素晴らしい。 そして、ここはとんかつの魅力だけでは なく、従業員の気働きがまた素晴らしい。 アットホームとはちがうが、神経が端々 までゆきとどき、とんかつを揚げる職人の 姿とあいまって、なんだか襟をただされる ような、パリッとした気持ちよさがある。 #秋葉原 #とんかつ御三家 #肉寄せ #特ロース定食

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北海道

ラーメン

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【いちばん好きな味噌ラーメン】 大好きな味噌ラーメン。 帰省のさい、新千歳から、いちもくさん、 まっさきに目指すのが、ここ「彩未」 美園はふだん全くなじみがないが、彩未を 想わせる、この駅名をきくと嬉しくなる。 開店は11時ですが、その前に店をあけて くれるので、それまでに店先につきたく この時間がまた肝となる。 店先につくと外待ちは4人。ほどなく中に 呼ばれると、コの字の椅子、12人ほどが 座れる待機場所でまつ。 味噌のやわらかい匂いに、気もそぞろ。 ひとり、またひとりと食べおえ、心も 千々に乱れたころに、カウンター席へ。 チャーシュー麺、もちろん味噌を。 ここにきたら、チャーシュー麺にされる ことを強くオススメします。 豚肉高騰の煽りをうけ数量限定。 以前11:30にきた際はすでに売り切れ、 涙を飲んだ想い出が。 なので、時間が肝となる。 そして、そのチャーシュー麺、 瓶ビールが目の前におかれる。 まずは、ずずっとスープをひとくち。 あぁ… うますぎる… 豚骨に煮干しでしょうか、丁寧に炊かれた 旨味に、味噌のやわらかい風味。ラードも 過剰ではなく、コクが深いのに、すいすい 飲めてしまう軽みがある。 そして、中太のちぢれ麺。もっちりとして ぷりぷり、啜りも抜群で、スープの旨味を しっかりと拾ってくれる。 具材はチャーシュー、もやしにメンマ、 青葱と潔く、このチャーシューがとにかく 絶品。煮豚タイプのものですが、柔らかく 脂身も甘く、繊維質のほぐれもいい。 噛むほどに肉々しい旨味が感じられる。 途中、おろし生姜をスープにとかし、 楔をうち、最後の一口まで飽きがこない。 余韻に浸りたいが、外は行列。 そそくさと席をたつ。 これだけの繁盛店ながら、店員の気働き、 客あしらいもよく、気持ちがいい。 また帰省のさいには、美園にこよう。 1月から、火・水曜は昼のみ営業に、 そして、月に二回不定休があるので、 お越しの際はご注意を。 #札幌 #味噌ラーメン #気持ちのいい接客 #平日でも10:30には着きましょう

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東京都

とんかつ

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【絶品の特ロース定食に瓶ビール】 ここの特ロースカツは出色の旨さ。 町場のとんかつ屋のなごやかな雰囲気を のこしながら、凛とした空気もあり、その なかでつつく、とんかつがまた旨い。 昼の開店直後にうかがうと、カウンターに 数席あきがあり、テーブル席は満員御礼。 カウンター席に腰をおろし、品書きから *瓶ビール(500円) *特ロースカツ定食(1700円) カウンターから、大将が肉をきりわけ、 肉たたきでならし、揚げる姿を眺め、油の 匂いをかぎ本命を待っていると、ほどなく 出来あがり、カウンターごしにうけとる。 さっそく、ロースカツのいっぺんを箸で ころがし、断面をみると、濡れそぼった 艶やかな脂身に、肉をとりかこむ卵衣。 塩をまぶし、一口いただくと、おもわず 頬がゆるむ旨さで、うっとりとする。 やや粗めの衣も、毛羽立ちすぎず、 しっとりとした肉質で、赤身ぶぶんの 繊維質のほぐれもよく、脂身の甘さも くどさなく、口にひろがりさっと消える。 こんどは、自家製中濃ソースをまわしかけ からしをまぶしいただくと、これがまた、 ズバッと脂身の甘さがたちすこぶる旨い。 これを惜しみながらつつきビールを呑み、 ふっくら、固めに炊かれた白米に、コクの ある豚汁に、漬物と合いの手も抜かりなく 端から端まで丁寧な仕事がひかる。 いぜん、こちらでヒレをいただいた時より ロースカツの方がより、印象的で、通常の ロースカツと特ロースの差は400円であり ここは豪勢に特をえらばれた方がいい。 町場のとんかつ屋と侮るべからず。 ここの特ロースは、旨いですよ。 #江古田 #町のとんかつ屋 #特ロース定食 #瓶ビール #L.Oは19:50

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寿司

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【新江古田にて絶品の鮨を】 昨年、新江古田に店をかまえた「彌いち」 梅雨もあけた猛暑の昼下がり、予約をいれ 扉をあけると、しつらえはすっきりとして 清潔、実にきもちがいい。 七席のみのカウンター席に腰をおろし、昼限定の コース「桜」(5000円)の宴がはじまる。 その中身は、季節の料理三種に、握りが 十種、椀物という充実っぷり。 冷えた瓶ビールを薄はりのグラスでいただき まずはと供されたのは「生しらす」。 シャキッとした歯ざわりに、白身魚のねっとりと まとわりつく旨さを、おろし生姜がぴしっとしめる。 ついで、前菜四種盛り。 つぶ貝に、万願寺とうがらし、枝豆、もずく酢。 酒は大信州を冷やとして、これらをつつき、 ちびちびと呑む酒がまた旨い。 そして、茶碗蒸し。出汁の旨さがきき、 下地はゆるすぎず固すぎず、椎茸、鶏肉、 お麩と具材の調理もよく、抜かりがない。 酒をハイボール、イチローズモルトにかえ ここからは握りとなる。 *イカ *小鯛 *鰹 *ボタンエビ *鯵 *黒ムツ *鮪 *鉄火巻き *玉子鮨 ここはアテも旨いがそれ以上に握りがいい。 ネタの新鮮さはさることながら、ふわっと ほどける赤酢のシャリが実にうまい。 とくに出色は、イカ、鰹、ボタンエビ。 イカは、粗く格子状にこまごまと切って それを握る。断面が多く、イカの甘みが たち、ねっとり。さっとひとかけ酢橘の 香りがまた嬉しい。 そして、鰹。濃厚な滋味で、脂のりよく 鮮度よく、くさみがまったくない。 ボタンエビは、ねっとりとまとわりつく 旨さで、上品で、後をひかない甘さだ! 鉄火巻きの海苔の香りも格別であったし ここは何をたべても、一段うえの旨さと 調理の妙を味わうことができる。 追加の穴子巻き、椀物をいただき、大将と ゆっくり話し、寛いで店をでる。 ちかく、また昼に再訪しよう。 ここは練馬民以外の鮨好きにもススメたい。 #新江古田 #鮨

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そば(蕎麦)

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【ハモの天ぷらで呑み、せいろと親子丼を】 夏の新蕎麦の時期になった。 本来、新蕎麦とは秋そばのことを指し 夏に刈り入れた蕎麦の実でつくられた 「夏新」と比べ、「秋新」の蕎麦の実は 香り、味わいともに深いという。 しかしこの時期、走りの早熟「夏新」を 味わい、きたる秋をむかえるというのが 愉しみのひとつだ。 蕎麦前で一杯呑り、新蕎麦をすすろうと やってきたるは「ふるまい蕎麦 ふる井」 昼下がりに訪れると四人がけのテーブルが ひとつ空いているのみで、他は満員御礼。 そこに腰をおろし、瓶ビールをたのみ アテをえらぶ。 初物の鱧をいただこうと、鱧の天ぷらを たのみ、突き出しの枝豆でビールを呑む。 ほどなく、揚げられたゴーヤと真打の 鱧がはこばれる。 ゴーヤは抹茶塩をまぶし、かじりつくと 口いっぱいに苦味がひろがり、ほのかに 甘みも感じられる。 そして、鱧。 淡白ながらふわっとした身で、角のない 天つゆのコクとがっぷり四つの相性だ! これを惜しみながらつつき呑むビールが また格別で、じわじわ胃がひらいてくる。 ここらで、蕎麦をいただこう。 お得な親子丼とのランチセットとする。 蕎麦は北海道産のもので、茹であがり よくエッジのたった歯ざわりに、噛むと ふわっとたつ蕎麦の香り。 つゆもこの蕎麦によく合うカエシの塩梅で すっきりした味わいだ。 親子丼は、固すぎず緩すぎずのとじ加減で 鶏肉はふっくら、シャキッとした玉葱に、 三つ葉の青い香りがピシッと丼をしめる。 蕎麦を啜り、丼をかきこむと出汁の匂いが 胃から立ちのぼり、口をひらくと匂いが もれそうでなんとも、もったいない。 ちかくの名店、法師人は昼営業をやめ、 昼下がりに蕎麦前をたのしめる店もへって いるが、ふるい井があれば、文句なし。 店内はやや手ぜまなので独酌をゆっくりと 愉しむには気がひけるが、清潔、風通しの いい空間で、味は万事行きとどいている。 気持ちのいい処で食べるものはやっぱり旨い。 #桜台 #夏の新蕎麦 #瓶ビール #鱧の天ぷら

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イタリア料理

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【カルボナーラと、まかないのカチョエペペ】 昼どきの桜台、旨いパスタと一品料理に ワインといえばここ『イル・トンシオーネ』 先日発売された「東京極上レストラン」にも 掲載され、今や飛ぶ鳥を落とす勢いだ。 年内最終営業日に予約をいれ、開店時間に うかがい、いつものカウンター席へ。 スパークリングワインで喉を潤し、まずは 前菜の盛り合わせを。 熟成されたベーコンの入ったフリッタータ、 低温調理され、しっとりとした美桜鶏の胸肉と 鮎の魚醤でマリネしたマイクロフンギの椎茸、 もも肉のミンチを包んだガランティーヌ、 リンゴでマリネしたしめ鯖。 どれも組み合わせの妙を感じ、思わずうなって しまう旨さで、ワインもすすみにすすんでしまう。 そして、この日はパスタが圧巻だった。 先日、こちらの店のまかないでだしたという カチョエペペ、それともう一つカルボナーラで チーズの食べくらべをしようという算段に。 まずはカチョエペペ。 ペコリーノ・ロマーノのチーズのコク深さに フレッシュな黒胡椒の香り、これがモチモチ、 アルデンテの生パスタと渾然一体となって、 ひとくちごと惜しみつついただき、ワインを。 ついで、カルボナーラ。 太めのリガトーニの歯ざわりの良さに、 ゴルゴンゾーラチーズのコク、まろやかな卵の 風味、塩気がほどよいパンチェッタ、こちらも 思わずうっとりとしてしまう。 旨いパスタはそれ自体アテになり、ワインの お供にぴったり、がっぷり四つの相性だ。 しかも、こうした食べ比べを軽みをもって受けて いただけるというのは、非常にありがたい。 パスタはもちろん、独創的な一品料理に、 安価で豊富なワイン、調理のさまをのぞめる オープンキッチン、そしてなにより店主の 頓所さんが醸しだす店の雰囲気が気持ちがいい。 本当に素晴らしい店だとおもう。 #桜台 #イタリアン #ワイン #パスタ

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居酒屋

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【あん肝にカキフライ、白子と稲荷寿司】 練馬でもっとも好きな酒場だ。 駅前の呑み屋街にこっそりと佇む店で 扉をひらけば、そこは桃源郷。暖色のぬくい 灯りに、木の温もりがあるカウンター席、 ひかえめに流れるジャズ。 酒もアテも人もよし、三拍子そろった名店だ。 ことしもなんど寄らせてもらっただろうか。 年内の営業最終日にゆっくりと酒を呑もうと うかがった。 温燗を呑みながら、お通しをつつき、まずは ぶりと炙りしめ鯖を。脂のりがよくしっとりと したぶりに、肉厚でほどよいしめ具合の鯖。 これは塩をまぶし、かぼすをさっとひとかけ。 ひとくちごと、これを温燗で愉しむ。 ついで、あん肝。海苔で巻いてあるんですが、 あん肝の旨煮に、大葉、やがらにイカと二種、 まとめて口に放れば、あん肝がとろっと舌で とけ、大葉のさわやかな青味と、ねっとりと したイカが渾然一体となって、もう、うっとり。 酒も拍車がかかり、いそぎ、追加する。 つぎは焼き牡蠣、香ばしい牡蠣はぷりっとした 歯ざわりで、酒盗オイルのコクがまた酒をよぶ。 牡蠣が旨いんだからと、カキフライを。 毛羽立った衣は揚がりもよく、香ばしい。 なかの牡蠣は衣で蒸され、ふっくらとして、 身のちぢこまりもなく、辛子をまぶし、出汁 醤油をちらっと、熱々をほおばる喜びよ! ついで、定番の白子昆布焼。 下に敷かれる昆布ごと熱がとおされた白子は くさみが一切なく、歯でぷちっと押しわると とろっと身がほどけ、クリーミーな旨味だけが 口にのこる。鮮度のよさ、口どけに笑みがとまらない。 そして、この日、もっとも驚いたのがしめの 稲荷寿司。これがふだんいただく稲荷寿司とは 格がちがうほどにうまかった。おあげの甘さは ひかえめで、中に揚げた桜海老がまぶしてあり 押し付けがましさのない、優しい甘さにコクが あって、すっきりとした後味で、酒のあとにも もってこいの旨さだ。 嗚呼、ことしも美味しく、心地がいい時間を ずいぶんと過ごさせていただいた。 年始の営業再開日に予約をいれ、店をあとにし この余韻で、もう一杯、他にも顔をだして帰ろう。 #練馬 #酒場 #温燗 #あん肝 #白子 #牡蠣