的場 義広
広尾駅
創作料理
某日、ラッキールーザー的に「81」にお招きいただき的場家で参加して来ました。 ひっそりとした西麻布の住宅街のレジデンスにあるお店。 あの永島オーナーシェフ自らお出迎え、ディレクション、ストーリーテリング、もちろん料理をエンターテイメントとしてご披露いただきました。 アイスブレイクとして、イタリアのスパークリングワインでお出迎え。深みがあるなかで、カラッしているが、後味が後引く美味しさ。 このワイングラスを持ちつつメインダイニングへ。 薄暗い空間。目が慣れてくると、周辺状況が滲み出してくる。壁に黒い蝶が舞っていたり、大理石の大きなテーブル、奥にはMA卓がある。 目の前には、スペインから直輸入されたどんぐりを食べさせたイベリコ豚の原木が鎮座している。削り取られていて、細くなっていたが、「骨の近くがうまいんです」と言われる。 それがふるまわれると、納得。今まで食べた生ハム中で、ベスト、でした。口に含んでから味が深まる、旨味が増すのは初めてでした。 次が、キャビア&チョウザメのパテ。 そう、おそらく最高の部類に入る「親子」。 このキャビアは、いわゆるキャビアの冷凍保存 、塩漬け、ではなく、塩分を3%に抑えた生なキャビアでした。全くの別物。 2杯目のドンペリニヨン ビンテージ 2006 とのマッチングが完璧でした。 3品目、のびる、くぼみな、コシアブラをセモリナ粉で揚げた天ぷら。苦味が雑味がこんなに気持ちよさと懐かしさが滲み出てきました。 これも、ドンペリにマッチ。 4品目、「春の朧月夜」。 はまぐりを出汁にとした茶碗蒸し、と言ってしまうとあまりに陳腐なのだが、最高レベルのそれ。ビジュアルもたまりませんでした。 5品目、見た目は桜餅。 え、ここでデザート?いや、違います。 アンコの代わりに、「桜肉」が詰まってました。もーいたずらっこって感じです。 6品目、壱岐で、一本釣りした「桜鯛」を蒸し焼きに。もちろん表面はカリカリで香ばしく。 こんなに肉厚にしなくても、と思えるほどでした。フランス産コートドローヌ地方の白ワイン「コンドリュー」の華やかなで優しい風合いが待ってました。 7品目、黒毛和牛の希少部位「マルシン」。 これを真空パックし、60℃のお湯に漬け2時間半。そして、表面を炭焼きで燻した、「お肉」。シェフ曰く「子牛で作るのではなく、親牛でクリーミーを出すのが良い」。オーディエンスから「このお肉セクシー!」の声が出ると 「セクシーの向こう側に行きたい( 目指したい)」とシェフのオブジェクション。 華やかな(春やか)バローロと共に。 こんなに爽やかバローロは初めてでした。 8品目、デザート「壊れたショートケーキ」with 一保堂のほうじ茶。 合うんですね、これが。 ※詳細忘れました笑。 食べ物、飲みも、全てを通して「春」の文脈が最後まで貫き通されたラインアップでした。 ここ数年、食べ飲みで大きな感動が無かった中で、振り切った経験となりました。 まだまだ未知な領域があるのだな、楽しめるんだな、と認識を新たにした、邂逅でした。